校内研修で先生方に問いかけて見えた「誰もが安心して学べる学校」とは

「誰もが安心して学べる学校」とは、どのような学校でしょうか。

子どもたちが安心して挑戦できること。困ったときに「助けて」と言えること。そして、一人ひとりの違いが認められること。そうした環境づくりは、特別な支援を必要とする子どもだけでなく、すべての子どもたちの学びにつながると私は考えています。

本日、横浜市立戸部小学校で教職員の皆様を対象に、「誰もが安心して学べる学校をつくるために」をテーマとした校内研修を担当させていただきました。

今回は、Webレジュメを活用し、リアルタイムアンケートを取り入れながら研修を進めました。先生方がどのような思いで研修に参加され、どのような気付きや学びを得られたのか。その過程を、アンケート結果や先生方から寄せられた質問・感想とともに振り返ります。

学校現場で日々子どもたちと向き合う先生方の声から、「誰もが安心して学べる学校」をつくるためのヒントを、一緒に考えていただけたら嬉しく思います。

戸部小学校で校内研修を行いました

本日、横浜市立戸部小学校で教職員の皆様を対象に、「誰もが安心して学べる学校をつくるために」をテーマとした校内研修を担当させていただきました。

この研修では、一方的に話を聞くだけではなく、先生方にも考えながら参加していただける時間を大切にしたいと考えました。そこで、タブレットからアクセスできるWebレジュメを活用し、講義の途中でリアルタイムアンケートやスライダーによる回答を取り入れました。

質問に答えていただくことで、先生方自身が日頃の学級や子どもたちの姿を思い浮かべながら研修に参加できるだけでなく、集まった回答をその場で共有しながら対話を進められることも、この方法の大きな特徴です。

今回は、そのアンケート結果や先生方から寄せられた感想をもとに、研修を通してどのような気付きや学びが生まれたのかを振り返っていきたいと思います。

先生方はどのような気持ちで研修に参加されたのでしょうか

研修の冒頭では、先生方に2つの質問をしました。

最初の質問は、「研修会や勉強会は好きですか?」です。

100点満点のスライダーで率直な気持ちを回答していただいたところ、平均は約60点でした。

教員は日々学び続ける仕事です。しかし、研修や勉強会に対して「とても楽しみ」と感じる人ばかりではありません。「新しいことを学びたい」という期待がある一方で、「忙しい中で参加する意味があるだろうか」と感じることもあるかもしれません。今回の結果からも、先生方がさまざまな思いを抱きながら研修に参加されていることがうかがえました。

続いて、「勉強は好きですか?」という質問にも回答していただきました。

こちらの平均は約64点でした。

教員になってからも、学びは続いています。新しい指導法を知ること、子どもたちの姿から気付きを得ること、同僚との対話から考えを深めることなど、学ぶ場面は数多くあります。

今回の研修では、先生方自身が「学ぶ人」としての気持ちを改めて見つめ直すことからスタートしました。

人はどのような環境であれば学びたくなるのか。安心して挑戦できるのはどのようなときなのか。

その視点を共有した上で、「誰もが安心して学べる学校」とはどのような学校なのかを、先生方と一緒に考えていきました。

身近な課題として考えるために

研修の前半では、先生方に次のような質問をしました。

「クラスに、不登校や別室登校、登校しぶりのある子どもはいますか。」

3択で回答していただいたところ、「いる」「ときどきいる」と回答された先生が多くを占めました。一方で、「いない」と回答された先生もいらっしゃいました。

学級によって状況は異なりますが、不登校や登校しぶりは、特別な出来事ではなく、多くの学校で向き合っている身近な課題であることがうかがえます。

もちろん、その背景は一人ひとり異なります。学習への不安、人間関係、生活環境、心身の状態など、さまざまな要因が重なり合っていることも少なくありません。

今回の研修では、そうした子どもたちだけを対象に考えるのではなく、「誰もが安心して学べる学校」をつくることが、結果として不登校や登校しぶりの予防や支援にもつながるという視点でお話をしました。

一人の子どものための支援ではなく、すべての子どもが安心して過ごせる環境づくり。その積み重ねが、学校全体の安心感につながっていくのではないかと考えています。

「子どもを変える」のではなく、「学習環境を変える」

研修では、これまで私自身が教育現場やMOANAVIで実践してきた経験をもとに、「誰もが安心して学べる学校」をつくるために大切にしている考え方をお伝えしました。

その中で一貫してお話ししたのは、「子どもを変えようとする前に、学習環境を変えることができるのではないか」ということです。

子どもたちが学習につまずく理由は、一人ひとり異なります。「やる気がない」と見える子も、実は「どう始めたらよいか分からない」「失敗するのが怖い」「助けを求める方法が分からない」といった困り感を抱えていることがあります。

だからこそ、まず考えたいのは「この子はどんな学習環境なら学べるのだろう」という問いです。

課題の出し方を変えること。学ぶ順番を工夫すること。困ったときに相談できる環境をつくること。挑戦したことや助けを求めたことなど、学力を育てる行動に価値を見いだすこと。

こうした学習環境の工夫は、私たち大人の働きかけによって変えることができます。そして、その積み重ねが、子どもたちの「やってみよう」という気持ちや、自分から学ぼうとする姿につながっていくと考えています。

研修の最後には、先生方へ一つのメッセージをお伝えしました。

「不登校支援の専門家になってください、ということではありません。目の前のその子の専門家になってください。」

どんなことに困っているのか。どんな支援が届くのか。どんな環境なら安心して学べるのか。その問いを持ち続けることが、「誰もが安心して学べる学校」をつくる第一歩なのではないかと思っています。

先生方の感想から見えたこと

研修の最後には、自由記述で感想を寄せていただきました。

一つひとつ読ませていただくと、印象に残る言葉がたくさんありましたが、特に共通していたのは、「子どもを見る視点が変わった」という気付きでした。

「できる・できない」という結果だけではなく、「どのような環境なら安心して学べるのか」という視点で子どもたちを見つめ直したいという声が多く寄せられました。

また、「明日から実践してみたい」「自分の学級でも取り入れてみたい」といった感想も多く見られました。

研修は、その場で「なるほど」と思って終わるだけでは、子どもたちの学びは変わりません。しかし、一つでも実践してみようという思いが生まれれば、その変化はやがて子どもたちにも伝わっていきます。

さらに、「ヘルプを出しやすい環境づくり」や「安心して挑戦できる学級づくり」の大切さについて触れられた感想も多く見られました。

今回の研修でお伝えしたかったのは、特別な支援技術ではありません。

目の前の子どもが「この教室なら挑戦しても大丈夫」「困ったら助けを求めても大丈夫」と感じられる環境を、日々の実践の中で少しずつ積み重ねていくことです。

先生方からいただいた感想を読みながら、その思いが少しでも伝わっていたのであれば、講師としてこれほど嬉しいことはありませんでした。

先生方から寄せられた質問

研修では、多くの先生方から質問をいただきました。

印象的だったのは、「答えを教えてほしい」という質問ではなく、「もっと子どもを理解したい」「学校で実践するにはどうしたらよいだろう」という視点の質問が多かったことです。

例えば、

  • MOANAVIではどのような学習環境を整えているのか。
  • 子ども一人ひとりをアセスメントするとき、どのようなことを大切にしているのか。
  • 「先生がいないと勉強できない」と話す子どもには、どのように関わればよいのか。
  • 保護者と子どもの思いが一致しないとき、どのように対話を進めているのか。
  • 一人ひとりを丁寧に見たいと思っていても、30人以上の子どもたちを受け持つ学校現場で、何から始めればよいのか。
  • 子どもをよく見る力やアセスメントする力は、どのように身に付けていけばよいのか。

どの質問にも共通していたのは、「目の前の子どものために、よりよい支援をしたい」という先生方の思いでした。

限られた時間の中ですべてにお答えすることはできませんでしたが、一つひとつの質問から、先生方が子どもたちと真剣に向き合っていることが伝わってきました。

私自身も改めて、「目の前のその子の専門家になる」という姿勢を大切にしながら、学校の先生方と一緒に学び続けていきたいと感じた時間となりました。

研修を終えて見えた先生方の変化

研修の最後にも、先生方に2つの質問をしました。

1つ目は、「今日の内容は、今後の教育活動に役立ちそうですか。」という質問です。

100点満点のスライダーで回答していただいたところ、平均は約87点となりました。

また、「今回の研修の満足度を教えてください。」という質問では、平均約89点という結果になりました。

もちろん、数字だけですべてを判断することはできません。しかし、研修の冒頭では平均約60点だった「研修会や勉強会は好きですか」という結果と比べると、多くの先生方が前向きな気持ちで研修を終えられたことが伝わってきます。

今回の研修で目指したのは、「新しい知識を増やすこと」ではありません。

目の前の子どもたちを見つめる視点が少し変わること。そして、「明日、こんなことをやってみよう」と思える実践が一つでも増えることです。

先生方から寄せられた感想や質問、そして最後のアンケート結果からは、その思いが少しでも届いていたことを感じることができました。

私自身も、今回いただいた先生方の声を大切にしながら、これからも「誰もが安心して学べる学校」について、学校現場の先生方とともに考え続けていきたいと思います。

おわりに

今回の研修を通して改めて感じたのは、学校の先生方が一人ひとりの子どもと真剣に向き合い、「もっとよい支援ができないだろうか」と日々考え続けているということです。

研修の中で先生方にお伝えしたことの多くは、決して特別な技術ではありません。

よく見る、よく考える、やってみるというOCTループを繰り返しながら、

子どもの困り感に目を向けること。
安心して挑戦できる環境をつくること。
困ったときに助けを求められる関係を築くこと。

そうした日々の積み重ねが、「誰もが安心して学べる学校」につながっていくのだと思います。

私自身も、MOANAVIで子どもたちと向き合う中で、多くのことを子どもたちから学び続けています。そして、その学びを学校現場の先生方と共有し、先生方からいただいた気付きを、今度は子どもたちへの支援に生かしていきたいと考えています。

今回の研修が、先生方にとって明日からの実践を考えるきっかけとなり、その先にいる子どもたちの「安心して学べる毎日」につながっていれば、講師としてこれほど嬉しいことはありません。

このような貴重な機会をいただいた戸部小学校の先生方に、心より感謝申し上げます。

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