
節分の日、豆をまいたり、恵方巻きを食べたりするのは、
なんとなく「毎年やっているから」になりがちです。
でも実は、節分にはちゃんとした理由があります。
節分とは何か、
なぜ豆をまくのか、
鬼は何を表しているのか。
さらに、福豆やいわし、恵方巻きなどの行事食には、
どんな願いがこめられているのでしょうか。
この記事では、
節分・豆まき・恵方巻きの意味と由来を、
小学生にもわかる言葉で整理しながら、
自由研究に使える調べ方のアイデアまで紹介します。
読み終わるころには、
今年の節分が「ただのイベント」ではなく、
季節の変わり目を気持ちよく迎えるための知恵
だとわかるはずです。
節分とは何?意味と由来をやさしく解説
節分って、どんな日?
節分(せつぶん)とは、季節が切りかわる前の日のことです。
「節」は季節の区切り、「分」は分けるという意味があります。
つまり節分は、次の季節に進むための区切りの日なのです。
今の私たちは、節分と聞くと「2月にある行事」というイメージをもっていますが、もともとはもっと広い意味をもっていました。
昔の節分は年に4回あった
実は、昔の日本では節分は年に1回ではありませんでした。
立春・立夏・立秋・立冬――
それぞれの季節が始まる前の日すべてが節分だったのです。
春が始まる前
夏が始まる前
秋が始まる前
冬が始まる前
季節が変わる前には、いつも節分がありました。
それだけ、昔の人にとって季節の変わり目は特別なタイミングだったのです。
なぜ春の節分だけが残ったの?
では、どうして今は「春の前の節分」だけが行事として残っているのでしょうか。
それは、昔の日本では
立春(りっしゅん)が1年の始まり
と考えられていたからです。
今は1月1日が新年ですが、昔の人にとっては
「春が来る=新しい年が始まる」
という感覚のほうが大切でした。
そのため、立春の前の日である節分は、
1年の終わりをしめくくる特別な日
として、強く意識されるようになったのです。
季節の変わり目は、こわい時期だった
昔の人にとって、季節の変わり目は楽しみなだけでなく、
とても不安な時期でもありました。
気温の変化で体調をくずす
病気が流行る
作物がうまく育たない
今のように病院や薬が十分にない時代、
こうした変化は命にかかわる問題でした。
だからこそ人びとは、
「悪いことが起きませんように」
「無事に新しい季節をむかえられますように」
と願い、その思いを行事にこめたのです。
節分は、心を切りかえるための日
節分は、ただのイベントではありません。
それは、次の季節に向けて心を整える日でもありました。
寒い冬を乗りこえ、
少しずつ春に向かっていく自然の流れの中で、
人は自分の気持ちや暮らしを見つめ直してきました。
節分は、
「ここまでおつかれさま」
「ここからまたがんばろう」
と、自分や家族に声をかけるような日だったのです。
節分から見える、昔の人の知恵
このように節分には、
自然とともに生きてきた人びとの知恵や願いがつまっています。
なぜ行事を行うのか
なぜ毎年くり返すのか
それは、変わりやすい自然の中で、
人が安心して生きるための工夫だったのです。
節分の日はなぜ毎年ちがうの?
節分は「日付」で決まっている行事ではない
節分というと、「2月3日」というイメージをもっている人が多いかもしれません。
しかし実は、節分は特定の日付で決まっている行事ではありません。
節分は、
立春(りっしゅん)という日の前日
と決められています。
つまり、
「2月◯日が節分」
なのではなく、
「春が始まる日の前の日が節分」
という考え方なのです。
立春って、どんな日?
立春とは、春の始まりを表す日です。
昔の日本では、立春を
一年の始まりのように考えることもありました。
そのため、立春の前日は、
一年の終わりをしめくくる特別な日
として、大切にされてきました。
この「一年の区切りの日」が、
今の節分につながっています。
なぜ立春の日は毎年少しずつ変わるの?
立春の日が毎年同じにならないのは、
地球の動きとカレンダーのしくみが関係しています。
地球が太陽のまわりを一周するのにかかる時間は、
約 365.24日 です。
しかし、カレンダーの一年は
365日(うるう年で調整)
で作られています。
このわずかなズレが毎年少しずつたまっていくため、
立春の日は
2月4日になったり
2月3日になったり
ごくまれに2月5日になることもあります。
立春が動くと、節分も動く
節分は「立春の前日」なので、
立春の日が変われば、節分の日も一緒に変わります。
たとえば、
・立春が2月4日 → 節分は2月3日
・立春が2月3日 → 節分は2月2日
というように、
立春の日に合わせて節分の日も前後する
のです。
では、2026年の節分はいつ?
ここまでの説明をふまえると、
2026年の節分がいつなのかも、自分で考えることができます。
2026年は、立春が 2月4日 です。
その前日にあたる
2026年の節分は、2月3日(火)
になります。
毎年必ず同じ日になるわけではありませんが、
2026年は、いつもどおり2月3日が節分の日です。
節分は「自然の動き」を感じる行事
このように、節分の日が動くのは、
人が決めたカレンダーよりも、
自然の動きを大切にしてきた行事だからです。
昔の人は、
太陽の動き
季節の変化
寒さやあたたかさ
をもとに、一年の区切りを考えていました。
節分は、
自然のリズムに合わせて暮らすための知恵
がつまった行事だといえるでしょう。
節分はなぜ大切にされてきたの?昔の人の考え方
昔の人にとって「季節の変わり目」は特別だった
昔の人は、今のように天気予報を見たり、すぐに病院に行ったりすることができませんでした。
そのため、季節が変わる時期は体や暮らしに大きな影響が出やすいと考えられていました。
寒さが急にやわらぐ
急に冷えこむ
雨や雪の降り方が変わる
こうした変化は、体調をくずす原因になったり、病気が広がったりすることにつながります。
だから昔の人にとって、季節の変わり目は「うれしい」だけでなく、気をつけなければならない時期でもあったのです。
病気や災いは「目に見えないもの」だった
今では、病気には名前があり、原因も少しずつ分かっています。
しかし昔は、病気や不幸な出来事の理由が分かりませんでした。
そこで人びとは、
「悪いことは、目に見えない何かのせいかもしれない」
と考えるようになります。
この「目に見えない悪いもの」を、わかりやすい形で表した存在が、鬼です。
鬼は本当にいる生き物ではなく、
病気・不運・災い・不安
といったものをまとめて表した存在だったのです。
行事には「安心するための意味」があった
昔の人は、ただ不安におびえていたわけではありません。
不安な気持ちを少しでもやわらげるために、行事という形で行動をしました。
声を出す
体を動かす
みんなで同じことをする
こうした行動には、
「これで大丈夫」
「ちゃんと備えた」
と感じる力があります。
節分の行事は、
不安な季節の変わり目を、安心してこえるための工夫
だったのです。
なぜ節分は今まで残ってきたの?
時代が変わり、暮らしが便利になっても、節分は今も続いています。
それは、節分がただの昔の習慣ではなく、今の私たちの気持ちにも合っている行事だからです。
新しいことが始まる前に気持ちを切りかえる
家族で同じことをして安心する
「よいスタートを切りたい」と願う
こうした思いは、昔も今も変わりません。
節分は、時代をこえて人の心に寄りそってきた行事なのです。
節分は「くらしの知恵」から生まれた
節分は、特別な人だけの行事ではありません。
毎日の生活の中で、
「どうすれば元気にくらせるか」
「どうすれば不安を減らせるか」
を考えた結果、生まれたくらしの知恵です。
だからこそ、節分は今も多くの家庭で行われ、子どもたちにも伝えられています。
次の章では、節分の行事の中でもとくに有名な
**「豆まき」**について、
なぜ豆をまくのか、どんな意味があるのかを詳しく見ていきましょう。
豆まきとは?なぜ豆をまくのか意味を解説
豆まきって、どんな行事?
豆まきとは、節分の日に豆をまいて悪いものを追いはらう行事です。
「鬼は外、福は内」というかけ声をかけながら豆をまくことで、
家の中に入ってくると考えられていた災いや不運を外に追い出し、
かわりに幸せやよい運を呼びこもうとしました。
この行事は、特別な道具や準備がなくてもできるため、
昔から多くの家庭で続けられてきました。
「鬼」は何を表しているの?
豆まきに登場する鬼は、実際にいる生き物ではありません。
昔の人は、次のような目に見えない悪いことを、鬼という姿で表しました。
・病気
・けが
・不運
・不安な気持ち
理由が分からず、どう対処すればよいか分からないものを、
「鬼」という形にすることで、
人はそれを追いはらう行動を起こすことができたのです。
なぜ「豆」をまくの?
豆まきに使われるのは、主に大豆です。
大豆は昔のくらしの中で、とても大切な食べ物でした。
栄養がある
保存しやすい
育てやすい
こうした理由から、豆は人の命を支える存在だったのです。
また、「豆(まめ)」という言葉には、
「魔(ま)を滅(め)する」
という意味をこめることができると考えられていました。
豆をまくことは、
悪いものを追いはらい、よいものを呼びこむ
という願いを、行動で表したものだったのです。
声を出して豆をまく理由
豆まきでは、豆をまくだけでなく、
「鬼は外、福は内」と声に出すことも大切にされてきました。
声を出すことで、
気持ちがはっきりする
家族で同じ行動をしていると感じられる
行事としての意味が強くなる
といった効果があります。
昔の人は、
言葉と行動をセットにすることで、願いがより強く伝わる
と考えていたのです。
クイズ①
次のうち、豆まきで「鬼」が表しているものとして、もっとも近いものはどれでしょう?
- 本当にいるこわい生き物
- 病気や不運などの目に見えない悪いこと
- 冬にあらわれる動物
正解は 2 です。
👉 鬼は、病気や災い、不安など、目に見えない悪いことを分かりやすく表した存在でした。
豆まきのやり方とルール|家ではどうする?
豆まきの基本的な流れ
家庭で行う豆まきには、むずかしい決まりはありませんが、
昔からよく行われてきた基本の流れがあります。
まず、節分の日に**炒った豆(いりまめ)**を用意します。
生の豆ではなく、炒った豆を使うのは、
「拾い忘れた豆から芽が出ると、よくないことが起きる」
と考えられていたからです。
次に、家の中や玄関に向かって豆をまきます。
そのときに、「鬼は外、福は内」と声を出しながら行うのが一般的です。
なぜ「鬼は外、福は内」と言うの?
「鬼は外、福は内」という言葉には、
とても分かりやすい意味があります。
鬼は、病気や不運などの悪いもの
福は、健康や幸せ、よい出来事
を表しています。
つまりこの言葉は、
悪いものには出ていってもらい、よいものだけを家に迎えたい
という願いを、短い言葉で表したものなのです。
家のどこで豆をまくの?
豆まきをする場所にも、昔の人の考え方があらわれています。
玄関
窓
部屋の入り口
など、外と中をつなぐ場所で豆をまくのが一般的です。
これは、悪いものが家の中に入ってこないようにするための工夫でした。
最近では、
部屋の中だけで行う
豆をまく代わりに声だけ出す
など、家庭に合わせたやり方も増えています。
年の数だけ豆を食べるのはなぜ?
豆まきのあとに、年の数だけ豆を食べるという習慣もあります。
これは、
「その年も元気に過ごせますように」
という願いをこめたものです。
昔の人は、体をつくる食べ物をとても大切にしていました。
豆を食べることは、
健康を願う行動でもあったのです。
地域や家によってちがう豆まき
豆まきのやり方は、日本中でまったく同じというわけではありません。
・落花生をまく地域
・家族の中で役を決める家
・神社やお寺で行う豆まきに参加する人
など、さまざまな形があります。
大切なのは、
決まりを守ることよりも、意味を考えながら行うこと
です。
クイズ②
次のうち、豆まきで「炒った豆」を使う理由として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 色がきれいだから
- 拾い忘れた豆から芽が出ないようにするため
- 音が大きくなるから
正解は 2 です。
👉 生の豆から芽が出ると、よくないことが起きると考えられていたため、炒った豆が使われてきました。
節分の行事食とは?なぜ食べ物が大切なの?
行事食って、どんな食べ物のこと?
行事食(ぎょうじしょく)とは、季節の行事や特別な日に食べられてきた食べ物のことです。
お正月のおせち料理や、七夕のそうめんなども行事食の一つです。
行事食は、ただおいしいだけの食べ物ではありません。
そこには、
・健康でいられますように
・悪いことが起きませんように
・よい季節を迎えられますように
といった、人びとの願いがこめられています。
なぜ節分に「食べること」が大切なの?
節分は、季節の変わり目に行われる行事です。
昔の人は、季節の変わり目を体調をくずしやすく、不安が多い時期だと考えていました。
そこで、
声を出す(豆まき)
行動する(鬼を追いはらう)
食べる(行事食)
というように、いくつもの方法で願いをこめました。
食べ物を体に取り入れることは、
願いを自分の中に取りこむ行動
だと考えられていたのです。
行事食にはどんな願いがこめられている?
節分の行事食に共通しているのは、
「体を守る」「悪いものを遠ざける」
という考え方です。
栄養のあるもの
においの強いもの
よくかんで食べるもの
こうした食べ物は、昔の人にとって
元気に生きる力そのものでした。
だから節分では、
「何を食べるか」
「なぜそれを食べるのか」
が、とても大切にされてきたのです。
行事食は心も整える
行事食には、体だけでなく、心を整える役割もありました。
家族と一緒に食べる
同じものを同じ日に食べる
毎年くり返す
こうした体験は、
「今年もこの季節が来た」
「また次の季節に進むんだ」
と、気持ちを切りかえる助けになります。
節分の行事食は、
体と心の両方を整えるための知恵
だったのです。
クイズ③
次のうち、節分の行事食に共通している考え方として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 願いをこめて、体の中に取り入れる
- できるだけたくさん食べる
- いつもと同じ食事をとる
正解は 1 です。
👉 行事食は、健康や幸せへの願いをこめて「食べる」こと自体に意味がある食べ物です。
節分の行事食いろいろ|何を食べるの?
節分といえば「福豆」
節分の行事食として、もっともよく知られているのが福豆(ふくまめ)です。
福豆とは、豆まきに使う炒った大豆のことを指します。
豆まきのあとに年の数だけ豆を食べるのは、
「その年も元気に過ごせますように」
という願いをこめた習慣です。
豆は栄養があり、体をつくる大切な食べ物です。
そのため福豆は、健康を願う行事食として、節分に欠かせない存在になりました。
いわしを食べるのはなぜ?
地域によっては、節分にいわしを食べる習慣もあります。
とくに、いわしの頭を焼いて、ひいらぎの枝にさす「ひいらぎいわし」は有名です。
いわしには、
においが強い
煙が出る
という特徴があります。
昔の人は、この強いにおいと煙が、
悪いものを遠ざける力をもつ
と考えていました。
いわしを食べたり、家の入り口にかざったりすることも、
豆まきと同じく、厄よけの意味をもつ行事だったのです。
地域によってちがう節分の食べ物
節分の行事食は、日本中で同じというわけではありません。
・落花生を食べる地域
・けんちん汁や汁物を食べる家
・地域の伝統料理を用意する家庭
など、その土地のくらしや食文化によって、
節分に食べるものはさまざまです。
共通しているのは、
「体にやさしいもの」「元気が出るもの」
が選ばれている点です。
行事食から見える、昔のくらし
節分の行事食を見ていくと、
昔の人のくらしの様子が見えてきます。
保存しやすい食べ物
身近に手に入る食材
家族みんなで分け合える料理
これらはすべて、
自然の中で生きてきた人びとの工夫です。
節分の行事食は、
その土地で生きるための知恵がつまった食文化
だといえるでしょう。
クイズ④
次のうち、節分の行事食として「いわし」が使われてきた理由として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 高級な魚だったから
- 見た目がきれいだから
- においや煙が、悪いものを遠ざけると考えられていたから
正解は 3 です。
👉 いわしの強いにおいや煙には、悪いものを追いはらう力があると考えられていました。
恵方巻きとは?意味と由来をわかりやすく
恵方巻きって、どんな食べ物?
恵方巻き(えほうまき)とは、節分の日に食べる太巻きずしのことです。
太く巻いたすしを切らずに、その年の「恵方」と呼ばれる方角を向いて食べるのが特徴です。
恵方巻きは、豆まきのように声を出したり動いたりする行事とはちがい、
静かに食べることで願いをこめる行事食として広まりました。
いつから食べられるようになったの?
恵方巻きは、昔から日本中で食べられていた行事食ではありません。
もともとは、関西地方を中心に広まった風習だといわれています。
商売がうまくいくように
その年がよい年になるように
といった願いをこめて、節分に太巻きを食べる習慣が生まれ、
その後、時代が進むにつれて全国に広がっていきました。
なぜ切らずに丸ごと食べるの?
恵方巻きを切らずに食べるのには、意味があります。
すしを切る
= 縁(えん)や運を切ってしまう
と考えられていたため、
運が途中で切れないように、丸ごとのまま食べるようになりました。
太巻きの形には、
「福を包みこむ」
という意味もこめられていると考えられています。
なぜ無言で食べるの?
恵方巻きを食べるときは、無言で食べるのがよいとされています。
これは、途中で話すと、こめた願いがにげてしまうと考えられていたからです。
心の中で願いごとを思いながら、
静かに最後まで食べることで、
願いをしっかりと届ける
という意味がありました。
恵方巻きも「行事食」の一つ
恵方巻きは、豆やいわしと同じく、
節分の行事食の一つです。
・節目の日に食べる
・食べること自体に意味がある
・願いをこめる
という点で、恵方巻きも昔からの行事食と同じ考え方につながっています。
形や食べ方は少し新しく見えますが、
その根っこには、「新しい季節をよい形で迎えたい」
という、昔から変わらない人の思いがあるのです。
クイズ⑤
次のうち、恵方巻きを「切らずに丸ごと食べる」理由として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 運や縁が切れないようにするため
- 食べやすくするため
- 昔の法律で決められていたから
正解は 1 です。
👉 恵方巻きを切らずに食べるのは、運や縁が途中で切れないようにという願いがこめられているからです。
恵方とは何?方角が決まる仕組み
恵方って、どんな意味?
恵方(えほう)とは、その年の福徳(幸せや運)を司る方角のことです。
節分の日にその方角を向いて恵方巻きを食べることで、
一年の幸せや健康を願うとされてきました。
恵方は、気分や流行で決まっているわけではありません。
昔の人が大切にしてきた、暦(こよみ)の仕組みや方角の考え方にもとづいて決められています。
なぜ毎年、恵方が変わるの?
恵方は、毎年同じ方角になるわけではありません。
それは、年ごとに**「よい方角」が変わると考えられている**からです。
昔の人は、
年ごとにめぐる自然のリズムや時の流れを大切にしていて、
それを方角にも反映させました。
そのため、恵方はその年ごとの暦の要素にもとづいて決められます。
十干と恵方の関係
恵方を決める仕組みには、**十干(じっかん)**と呼ばれる考え方が使われます。
十干とは、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸という10種類の要素で、
昔の暦や時間の区切りに使われてきました。
この十干の性質と方角を組み合わせることで、
その年にふさわしい方角が「恵方」として決められるのです。
2026年の恵方はどっち?
2026年(令和8年)の恵方は、
「南南東やや南(南南東)」 です。
これは南と東の間くらいで、少し南寄りの方向になります。
スマートフォンのコンパスアプリや方位磁石を使うと、
北を基準に東へ順番に回して165度前後になる位置が南南東です。
節分の日に恵方巻きを食べるときは、
この**2026年の恵方「南南東」**を向いて食べるとよいとされています。
方角を大切にする考え方
昔の人にとって、方角はとても重要でした。
家を建てる向き
神社やお寺の位置
行事やおまつりの方角
こうしたものは、すべて自然の流れをよくするために意識されていました。
恵方を向くという行動も、
その年の自然の流れや幸せを受け入れるための工夫だったのです。
クイズ⑥
次のうち、恵方が毎年変わる理由として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 天気や季節で変わるから
- 年ごとに暦の考え方にもとづいて決められているから
- 地域ごとに自由に決めているから
正解は 2 です。
👉 恵方は、十干などの暦の考え方をもとに、その年ごとに決められています。
節分の行事に共通する考え方
豆まき・行事食・恵方巻きは何が同じ?
ここまで見てきたように、節分には
豆まき
行事食
恵方巻き
と、いくつかの行動があります。
一見すると、それぞれ別のことをしているように見えますが、
実は共通している考え方があります。
それは、
新しい季節を、よい形で迎えたい
という願いです。
「追いはらう」と「取り入れる」
節分の行事は、大きく分けると二つの考え方に分けられます。
一つは、
悪いものを外に出す
という考え方です。
豆まきで鬼を追いはらう
いわしのにおいで厄を遠ざける
これらはすべて、
よくないものを自分の外へ出す行動
です。
もう一つは、
よいものを自分の中に取り入れる
という考え方です。
福豆を食べる
行事食を体に取り入れる
恵方巻きを食べる
これらは、
元気や幸せを自分の中に入れる行動
だと考えられてきました。
行動・言葉・食べ物を使う理由
節分では、
体を動かす(豆をまく)
声を出す(かけ声を言う)
食べる(行事食を食べる)
といった、いろいろな行動が組み合わされています。
これは、
願いをただ思うだけでなく、行動として表す
ための工夫です。
昔の人は、
行動する
言葉にする
体に取り入れる
この三つを重ねることで、
願いがより強くなると考えていました。
節分は「気持ちを切りかえる日」
節分の行事には、もう一つ大切な役割があります。
それは、気持ちを切りかえることです。
寒い季節から春へ
去年から今年へ
不安から前向きな気持ちへ
節分は、こうした切りかえのタイミングを、
わかりやすくしてくれる日でした。
行事があることで、
「ここから新しく始まる」
と気持ちを整えることができたのです。
今のくらしにつながる節分の意味
今の私たちは、昔ほど季節の変わり目をこわがることはありません。
それでも節分が続いているのは、
この行事が今のくらしにも合っているからです。
新しいことを始める前に、気持ちを整える
家族で同じことをして安心する
一年の区切りを感じる
節分は、時代が変わっても、
人の心に必要とされてきた行事なのです。
世界にもある?季節の変わり目の行事
日本だけじゃない「季節の区切り」
節分は日本の行事ですが、
季節の変わり目を大切にする行事は、世界中にあります。
昔の人びとは、
寒さや暑さ
食べ物のとれ方
自然の変化
によって、生活が大きく左右されていました。
そのため、季節が切りかわるタイミングは、
どの国でも特別な意味をもつ日だったのです。
中国|春節(しゅんせつ)
中国では、旧暦の正月を春節と呼び、
一年でいちばん大切な行事とされています。
春節では、
家や町をきれいに掃除する
赤い飾りをつける
家族で集まって食事をする
といった習慣があります。
これらはすべて、
悪いものを追い出し、新しい年をよい形で迎える
という考え方にもとづいています。
「追いはらう」「整える」という点で、
春節は節分とよく似た行事だといえます。
ヨーロッパ|カーニバル
ヨーロッパの国々では、春を迎える前に
カーニバルと呼ばれる行事が行われます。
仮装をしたり、音楽やダンスで町をにぎやかにしたりするのが特徴です。
これは、
長い冬を終える前に
気持ちを解放し
新しい季節を迎える準備をする
ための行事でした。
節分で声を出したり豆をまいたりするのと同じように、
体を動かし、音を出すことで気持ちを切りかえる
という役割があります。
インド|ホーリー祭
インドでは、春の訪れを祝うホーリー祭という行事があります。
この行事では、人びとが色の粉をかけ合って祝います。
色をつけ合うことには、
冬の終わりを祝う
悪いものを洗い流す
新しい季節を明るく迎える
という意味があります。
見た目はとても派手ですが、
季節の変わり目を祝う行事という点では、節分と同じ考え方です。
世界の行事に共通するポイント
国や文化はちがっても、
季節の変わり目の行事には共通点があります。
・古いものを手放す
・新しい始まりを祝う
・食べ物や行動に意味をもたせる
・家族や仲間と一緒に行う
節分の豆まきや行事食、恵方巻きも、
この世界共通の流れの中にあります。
節分を世界の行事と比べてみよう
節分は、日本独自の形をしていますが、
その考え方はとても普遍的です。
自然の変化を感じ
気持ちを切りかえ
新しい季節に向かう
節分は、
世界中の人びとが行ってきた「季節を迎えるための行事」の一つ
だと考えることができます。
自由研究に使えるアイデア
節分の行事を調べてまとめてみよう
まずは、節分について基本的なことを調べてみましょう。
・節分はいつ行われるのか
・どんな行事があるのか
・なぜ豆まきをするのか
これらを、自分の言葉でまとめるだけでも立派な自由研究になります。
調べたことを、図やイラストを使って整理すると、分かりやすくなります。
家や地域の節分を調査してみよう
節分のやり方は、家や地域によって少しずつちがいます。
・家ではどんな豆を使っている?
・豆まきは誰がする?
・行事食は何を食べている?
家族にインタビューしてみたり、
おじいさん・おばあさんに昔の話を聞いたりすると、
自分の身近な文化として節分を考えることができます。
行事食にこめられた意味を調べてみよう
節分には、福豆やいわし、恵方巻きなど、さまざまな行事食があります。
・なぜその食べ物なのか
・どんな願いがこめられているのか
・ほかの行事食と共通点はあるか
こうした視点で調べると、
食べ物と文化のつながりが見えてきます。
恵方の決まり方を図にしてみよう
恵方は毎年変わりますが、決まり方にはルールがあります。
・恵方は何種類あるのか
・どのように順番が決まっているのか
・今年の恵方はどの方角か
方位磁石の図を書いたり、円グラフのように整理したりすると、
算数や理科の考え方ともつながる研究になります。
世界の行事と比べてみよう
節分と、ほかの国の季節行事を比べるのもおすすめです。
・どんな行動をするのか
・食べ物はあるか
・どんな願いがこめられているか
共通点とちがいを表にまとめると、
世界の文化を比べる自由研究になります。
自分の「節分」を考えてみよう
最後に、
「もし自分が新しい節分の行事を作るなら?」
と考えてみるのもおもしろい研究です。
・どんな行動をする?
・どんな食べ物を食べる?
・どんな願いをこめる?
理由をしっかり書くことで、
考える力や表現力を生かした自由研究になります。
おさらいクイズ
クイズ①
節分が「季節を分ける日」と呼ばれている理由として、正しいものはどれでしょう?
- 一年を半分に分ける日だから
- 月の形が変わる日だから
- 季節が変わる前の区切りの日だから
正解は 3 です。
👉 節分は、次の季節に進む前の区切りの日として考えられてきました。
クイズ②
豆まきで使われる「鬼」が表しているものとして、もっとも近いものはどれでしょう?
- 病気や不運などの目に見えない悪いこと
- 昔話に出てくるこわい生き物
- 冬の寒さそのもの
正解は 1 です。
👉 鬼は、病気や災い、不安などを分かりやすく表した存在でした。
クイズ③
節分の行事食に共通している考え方として、正しいものはどれでしょう?
- 特別な日なので、たくさん食べること
- 願いをこめて体の中に取り入れること
- いつもと同じ食事をすること
正解は 2 です。
👉 行事食は、健康や幸せへの願いをこめて「食べる」ことに意味があります。
クイズ④
恵方が毎年変わる理由として、正しいものはどれでしょう?
- 天気や気温によって変わるから
- 地域ごとに自由に決めているから
- 暦の考え方にもとづいて決められているから
正解は 3 です。
👉 恵方は、十干などの暦の考え方をもとに、その年ごとに決められています。
クイズ⑤
節分と、世界の季節行事に共通している考え方として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 季節の変化を感じ、新しい始まりを大切にする
- 特別な服を着ることが決まっている
- 必ず同じ食べ物を食べなければならない
正解は 1 です。
👉 世界の多くの行事も、季節の変わり目を大切にし、新しい始まりを祝っています。
まとめ
節分は、ただの楽しい行事ではありません。
季節の変わり目を大切にし、新しい季節をよい形で迎えるための知恵がつまった、日本の伝統行事です。
豆まきでは、
目に見えない悪いものを「鬼」として表し、
それを外に追いはらうことで、気持ちを整えてきました。
行事食や恵方巻きでは、
健康や幸せへの願いを食べ物にこめ、
体の中に取り入れることで、新しい季節への準備をしました。
また、恵方や方角の考え方には、
自然や時間の流れを大切にしてきた、昔の人のくらし方が表れています。
節分を世界の行事と比べてみると、
季節の変わり目を祝う文化は、日本だけでなく世界中にあることも分かりました。
節分は、
自然の変化を感じ、気持ちを切りかえ、前向きに進むための行事
です。
今年の節分も、
「なぜ豆をまくのか」
「なぜその食べ物を食べるのか」
を考えながら過ごしてみると、
行事の意味がより深く感じられるはずです。
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この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。


