フードロスとは?小学生にもわかる意味と原因|日本と世界の現状・対策・自由研究に役立つ学習記事

「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」のことを フードロス(食品ロス) といいます。
たとえば、給食で食べきれなかったパンや牛乳、冷蔵庫で眠って賞味期限が切れたヨーグルト、コンビニで売れ残ったお弁当…。

みんなの身近なところでも起きているフードロス。実はこれが 環境・お金・世界の食料問題 に大きく関わっているのです。

この記事では、フードロスの意味や原因、影響、そして日本や世界の取り組みをわかりやすく紹介します。途中にクイズもあるので、ぜひ「フードロス博士」になってくださいね。


  1. フードロスとは?【意味と定義を小学生向けに解説】
    1. どれくらいの食べ物が捨てられているの?
    2. どうして問題なの?
  2. フードロスはどこで起きているの?【家庭・お店・工場など】
    1. ① 家庭でのフードロス
    2. ② スーパーやコンビニなどのお店
    3. ③ レストラン・食堂
    4. ④ 工場や生産の現場
    5. ⑤ 日本のフードロスの割合(イメージ)
  3. なぜフードロスが問題なの?【環境・お金・世界の食料問題】
    1. ① 環境への悪影響
    2. ② お金のムダ
    3. ③ 世界の食料問題との関係
    4. ④ 道徳と経済のつながり
  4. フードロスを減らすためにできること【家庭・学校・社会】
    1. ① 家庭でできること
    2. ② 学校でできること
    3. ③ 社会でできること
    4. ④ 子どもでもできる身近なこと
  5. 自由研究におすすめ!フードロスを調べてまとめよう
    1. ① 家庭のフードロス調査
    2. ② 学校給食の残食調査
    3. ③ スーパー・コンビニの取り組みを調べる
    4. ④ 世界と日本の比較
    5. ⑤ 自分なりの「解決アイデア」を提案する
  6. おさらいクイズ|フードロス博士になろう!
    1. クイズ① フードロスってどんな意味?
    2. クイズ② 日本のフードロス量は年間どのくらい?
    3. クイズ③ 家庭でできるフードロス対策として正しいのは?
    4. クイズ④ 学校でできるフードロス削減の工夫はどれ?
  7. まとめ|フードロスを減らすのは私たちみんなの役目

フードロスとは?【意味と定義を小学生向けに解説】

みんなは「フードロス」という言葉を聞いたことがありますか?
フードロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物 のことをいいます。日本語では「食品ロス」とも呼ばれます。

たとえばこんなときに起こります。

  • 冷蔵庫に入れっぱなしで賞味期限が切れたプリンを捨てたとき
  • お腹いっぱいで残した給食のパンが捨てられたとき
  • スーパーやコンビニで売れ残ったおにぎりやお弁当が捨てられたとき

👉 「腐って食べられなくなったもの」ではなく、本当なら食べられたのに捨てられてしまうもの がポイントです。


どれくらいの食べ物が捨てられているの?

日本の場合

  • 1年間に 約523万トン もの食べ物が捨てられています(農林水産省 2022年度推計)。
  • これは 日本人1人あたり、おにぎり約1個分を毎日捨てている のと同じ計算になります。

👉 イメージすると、東京ドーム約5杯分の食べ物が毎年ゴミになっているのです。

世界の場合

  • 世界全体では 13億トン以上 の食べ物が捨てられているといわれています(国連の報告)。
  • これは世界で作られる食べ物の 約3分の1 にあたります。

👉 つまり、世界中で作られた食べ物のうち、トラック3台分のうち1台分は捨てられているのです。


どうして問題なの?

フードロスは「もったいない」だけではありません。

  • 食べ物を捨てる → ゴミを燃やすと二酸化炭素(CO₂)が出て、地球温暖化に影響。
  • 食べられる物を捨てる → その分のお金もムダになる。
  • 世界には食べ物が足りなくて困っている人がいる → 不公平。

👉 フードロスをなくすことは、地球と人の未来を守ること につながるのです。


フードロスはどこで起きているの?【家庭・お店・工場など】

フードロスは、私たちが思っている以上にいろいろな場所で起きています。
「家だけの問題じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は 家庭・お店・レストラン・工場 など社会のあちこちで発生しているのです。


① 家庭でのフードロス

  • 日本のフードロスの約半分は家庭から 出ています。
  • たとえば…
    • 冷蔵庫に入れっぱなしで賞味期限が切れてしまう
    • 作りすぎて食べきれずに残してしまう
    • 野菜の皮を厚くむきすぎて、食べられる部分まで捨ててしまう
  • 家庭で出るフードロスは 年間約244万トン(2022年度推計)。

👉 つまり「家での工夫」がすごく大事なんです。


② スーパーやコンビニなどのお店

  • おにぎりやパン、弁当などは「賞味期限が近いと売れない」ために、売れ残ったものが廃棄されます。
  • 商品をきれいに並べて「いっぱいありますよ!」と見せるために、多めに仕入れて余らせることもあります。
  • 小学生のみんなも、コンビニで「新しいのを奥から取る」ことを見たことがあるかもしれませんね。

👉 お店では 見た目のよさや新鮮さを大事にするあまり、食べ物が捨てられている のです。


③ レストラン・食堂

  • 食べきれずに残された料理(食べ残し)
  • 「お店の都合」で出されずに捨てられる食材(仕込みすぎた具材など)
  • ホテルのバイキングでは、最後まで料理を並べるために多く作って余らせることもあります。

👉 「もったいないな」と思うけれど、サービスを良く見せるためにフードロスが出ているのです。


④ 工場や生産の現場

  • 工場でパンやお菓子を作るときに「形がちょっと悪い」ものは捨てられることがあります。
  • スーパーに並ぶ野菜や果物も、形が曲がっているだけで出荷されない ことがあります。
  • これを「規格外品」といいます。味は同じでも、見た目の理由で廃棄されてしまうのです。

⑤ 日本のフードロスの割合(イメージ)

  • 家庭:約 46%
  • 事業者(お店・レストラン・工場など):約 54%

👉 「家庭だけじゃなく、社会全体でフードロスを減らす必要がある」ということがわかりますね。


クイズ①

日本のフードロスの約半分はどこから出ているでしょう?

  1. 家庭(家庭の食べ残しや冷蔵庫の中)
  2. 工場だけ
  3. 海外からの輸入食品

正解は 1. 家庭(家庭の食べ残しや冷蔵庫の中) です。
日本のフードロスの約46%は家庭から。みんなの家でも工夫すれば、大きく減らせるんです。


なぜフードロスが問題なの?【環境・お金・世界の食料問題】

フードロスは「もったいない」だけではありません。
実は 地球環境・お金・世界の食料問題 に大きな影響を与えています。


① 環境への悪影響

  • 食べ物を捨てるとき、ただゴミ箱に入れて終わりではありません。
  • 生ごみは焼却場で燃やされることが多く、その時に 二酸化炭素(CO₂) が出て地球温暖化を進めてしまいます。
  • また、ゴミを燃やすためにはたくさんのエネルギー(電気や燃料)が必要。つまり「捨てるだけで地球に負担をかけている」んです。
  • 日本のフードロスは年間約523万トン(2022年度推計)。これは 東京ドーム約5杯分 の食べ物が毎年捨てられているのと同じ!

👉 「食べ物を捨てること」=「地球を汚すこと」にもつながっているのです。


② お金のムダ

  • 捨てられる食べ物は、もともと 農家が育てて・運んで・加工して・売られて きたものです。
  • つまり、その裏にはたくさんのお金と労力がかかっています。
  • 家庭で捨てる食べ物の金額は、1世帯あたり年間約6万円分 にのぼるとも言われています。
  • 6万円あれば、家族で旅行に行けたり、新しい自転車を買えたりしますよね。

👉 食べ物をムダにすることは「お金をゴミ箱に捨てている」のと同じことなのです。


③ 世界の食料問題との関係

  • 世界には、今も 8億人以上 の人が十分な食べ物を得られず苦しんでいます。
  • ところが日本をふくむ先進国では、大量の食べ物が廃棄されているのです。
  • 「あまって捨てる国」と「足りなくて困っている国」が同時に存在する…これは大きな矛盾です。
  • 日本がフードロスを減らせば、世界の食料資源を有効に使うことにつながります。

④ 道徳と経済のつながり

  • フードロスの問題は、渋沢栄一が言った「道徳経済合一」にもつながります。
  • 「お金もうけや便利さだけでなく、みんなの幸せや未来を考える」ことが大切。
  • フードロスを減らすことは、私たち一人ひとりの生活の質を上げ、世界の人を助け、地球を守ることにつながります。

クイズ②

フードロスが環境に悪い理由はどれでしょう?

  1. 生ごみを燃やすと二酸化炭素が出て温暖化につながるから
  2. 食べ物を捨てると冷蔵庫が空っぽになるから
  3. 食べ物を捨てるとテレビが見られなくなるから

正解は 1. 生ごみを燃やすと二酸化炭素が出て温暖化につながるから です。
食べ物を捨てることは、地球にも大きな影響を与えてしまうのです。


フードロスを減らすためにできること【家庭・学校・社会】

フードロスは「大きな社会問題」ですが、解決のカギは私たち一人ひとりの行動にもあります。
ここでは 家庭・学校・社会 それぞれでできることを具体的に見ていきましょう。


① 家庭でできること

  • 買いすぎない・作りすぎない
    スーパーで「安いから」とまとめ買いして、食べきれずに捨ててしまったことはありませんか?
    必要な分だけ買う「適量購入」が大切です。
  • 冷蔵庫の中をチェックする
    奥にしまったまま、気づいたら賞味期限切れ…というのもよくある失敗。
    冷蔵庫を整理して「見える収納」にすると、ムダなく使えます。
  • 残りものをアレンジする
    夕飯のカレーが残ったら翌日はカレーうどんにする、野菜の切れ端でスープを作る、など「リメイク料理」が役立ちます。

👉 家庭では「ちょっとした工夫」で食べ物のムダを大きく減らせるのです。


② 学校でできること

  • 給食の残りを減らす工夫
    食べきれる量を自分で選んだり、苦手な食材を少量にしたりする取り組みがあります。
    みんなが「残さず食べる」意識をもつことが大切です。
  • 食育の授業で学ぶ
    フードロスの問題を授業で知ることで、自分ごととして考えられるようになります。
  • 調べ学習や自由研究
    学校で「フードロス調査」をして、どんな食べ物がよく残るのかを調べるのも面白いですね。

③ 社会でできること

  • コンビニ・スーパーの取り組み
    賞味期限が近い食品を割引販売する「見切り商品コーナー」や、期限ラベルを工夫する仕組みがあります。
  • フードバンク活動
    まだ食べられるのに販売できない食品を集め、食べ物に困っている人に届ける活動です。
    日本でも多くのフードバンク団体が活動しています。
  • 企業や自治体の取り組み
    学校や会社に啓発ポスターを掲示したり、地域イベントで「食べきり運動」を広げたりしています。

④ 子どもでもできる身近なこと

  • 今日のおやつを食べ残さない
  • 苦手なものは「少なめ」でお願いする
  • 家の人と一緒に冷蔵庫チェックをする

👉 小さなことでも、みんなでやれば大きな力になります。


クイズ③

フードロスを減らすために家庭でできる工夫はどれでしょう?

  1. 必要な分だけ買い、残りはアレンジして使う
  2. 好きなものだけを大量に買う
  3. 賞味期限が切れたものは必ずすぐに捨てる

正解は 1. 必要な分だけ買い、残りはアレンジして使う です。
冷蔵庫を整理したり、残りものを工夫したりすることが、フードロス削減につながります。


自由研究におすすめ!フードロスを調べてまとめよう

フードロスは、身近な生活と世界の課題がつながるテーマなので、自由研究や調べ学習にとてもおすすめです。ここでは小学生・中学生でも取り組みやすい研究アイデアを紹介します。


① 家庭のフードロス調査

  • 1週間分の食事で どんな食べ物が残ったか、捨てたか を記録する。
  • ノートに「食べたもの・残したもの・理由(食べきれなかった、忘れていたなど)」を書き出す。
  • 最後にグラフにまとめれば「わが家のフードロスレポート」になります。

👉 例えば「野菜をよく残してしまう」「冷蔵庫の奥に入れたヨーグルトを忘れていた」などの気づきが出てきます。


② 学校給食の残食調査

  • クラスや学年で どのメニューが残りやすいか を調べる。
  • 先生に協力してもらい、給食の残量を簡単に記録して表にする。
  • 「人気のあるメニューは残りが少ない」「苦手な食材が入っていると残りやすい」などの傾向がわかります。

👉 改善策をみんなで考えるのも自由研究のポイントです。


③ スーパー・コンビニの取り組みを調べる

  • スーパーの「見切り商品コーナー」を観察して、何が多いかを調べる。
  • コンビニで「消費期限の短いパンやおにぎりはどうしているのか?」を調査する。
  • お店の人にインタビューできれば、さらに深いレポートになります。

👉 研究テーマを「お店の工夫とフードロス削減」にすれば、社会科的な学習にもつながります。


④ 世界と日本の比較

  • 日本のフードロス量(年間約500万トン)と、世界のデータを調べて比較する。
  • 食料自給率やSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」と関連づける。
  • ポスターや新聞形式にまとめると発表しやすいです。

⑤ 自分なりの「解決アイデア」を提案する

  • もし「フードロスを減らすアプリ」を作るならどんな機能?
  • 家庭でできる「食べきりカレンダー」を考える。
  • 学校でできる「フードロス削減キャンペーン」をデザインする。

👉 単なる調査で終わらず「自分の考え」を加えると、自由研究がぐっと面白くなります。


おさらいクイズ|フードロス博士になろう!

ここまで学んだことをふり返ってみましょう。クイズ形式で整理すれば、しっかり覚えられます。


クイズ① フードロスってどんな意味?

  1. 食べ物をおいしく食べきること
  2. まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと
  3. 食べ物がなくなる自然現象

正解は 2. まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと です。
フードロスは「食品ロス」とも呼ばれ、社会全体で大きな問題になっています。


クイズ② 日本のフードロス量は年間どのくらい?

  1. 約50万トン
  2. 約500万トン
  3. 約5億トン

正解は 2. 約500万トン です。
これは世界中で食べ物を支援している量に匹敵し、日本の食料問題を考えるうえで大きな課題です。


クイズ③ 家庭でできるフードロス対策として正しいのは?

  1. 必要な分だけ買い、残りはアレンジして使う
  2. 安いときにたくさん買って冷蔵庫にため込む
  3. 賞味期限が近いものは必ず捨てる

正解は 1. 必要な分だけ買い、残りはアレンジして使う です。
冷蔵庫を整理して見える化したり、残り物をリメイク料理にしたりすることも立派な対策です。


クイズ④ 学校でできるフードロス削減の工夫はどれ?

  1. 好きなメニューだけ残す
  2. 食べられる量を自分で調整して盛りつける
  3. 食べ残しをこっそり捨てる

正解は 2. 食べられる量を自分で調整して盛りつける です。
給食では「適量をとる」「残さない工夫」がとても大切です。


まとめ|フードロスを減らすのは私たちみんなの役目

フードロスは「社会問題」であると同時に、私たち一人ひとりの行動で変えられるテーマです。

  • フードロスとは? → まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。
  • 日本の現状は? → 年間約500万トンのフードロスがあり、世界でも大きな課題。
  • なぜ問題? → 食べ物のムダだけでなく、地球環境・エネルギー・お金にも悪影響。
  • どうすればいい? → 家庭・学校・社会それぞれで小さな工夫を積み重ねることが大切。

👉 例えば「冷蔵庫をチェックする」「食べ残さない」「見切り品を買う」など、今日からできることがたくさんあります。

また、フードロスは SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」 とも直結しています。
「食べ物を大切にすること」が、地球や未来の世代を守ることにつながるのです。


🌱 まとめのひとこと
フードロスをなくすのは難しいことではありません。
小さな一歩が集まれば、大きな力になります。みんなで食べ物を大切にして、未来の地球を守りましょう!


この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。

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