今回の学びの概要
同じ教室、同じ時間の中でも、学習の進み方は大きく異なる。
今回の実践では、教師の支援によって学びが動き出す場面と、自力で進めているように見えながらも学習の安定性に課題が残る場面の両方が観察された。
いずれも「取り組んでいる」状態ではあるが、学習行動に注目すると、その内側で起きているプロセスは大きく異なっている。
実践
ある児童は、算数の課題に取り組む中で問題の前で手が止まる場面が見られた。課題を選択したものの、自力では進めることが難しく、思考が停止している状態であった。
教師はまず課題の難易度を調整し、取り組みやすい内容へと修正した。その上で、問題文の読み直しを促し、ヒントや解説を加えながら思考の手がかりを提示した。
児童は支援を受けながら再び課題に向き合い、少しずつ解き進めることができるようになった。また、途中からは自ら教師に相談する行動も見られるようになり、学習への関わり方に変化が生まれていた。
別の児童は、算数の課題に対して自分の力で解き進める様子が見られた。複数の問題に取り組み、理解そのものは進んでいる様子が確認できた。
一方で、学習の途中で集中が途切れる場面や、最後までやり切ることが難しい場面も見られた。教師は必要に応じて声かけやヒントを行ったが、基本的には自力で進める時間が長く、支援は限定的であった。
その結果、理解は進んでいるものの、学習の持続や調整の面で不安定さが残る状態となった。
学習理論から見るMOANAVIのサポート
今回の実践は、レフ・ヴィゴツキーのZPD(発達の最近接領域)の観点から捉えることができる。
支援を受けながら学習した児童は、「一人では難しいが支援があればできる」領域に位置しており、教師の関わりによって学習が成立していた。
また、ジマーマンの自己調整学習の観点から見ると、自力で進めていた児童は実行フェーズは機能しているが、途中での調整や見直しといったプロセスが十分ではない状態であった。
さらに、ギップスの形成的アセスメントの視点では、教師によるフィードバックや課題調整が学習を前進させる重要な役割を果たしていることが確認できる。
加えて、ブランスフォードの学習環境デザインの観点では、学習者主体の環境は成立している一方で、評価(Assessment)による調整の機能が学習の安定性に大きく影響していることが示唆される。
今回見えた学び
今回の実践から見えてきたのは、学習は単に「自分で解くこと」だけでは成立しないということである。
支援を受けながら学習した児童は、教師の関わりによって課題に再び向き合い、理解へとつなげていった。その過程で、自ら相談するという行動も生まれ、学習への関わり方自体が変化していた。
一方で、自力で進めていた児童は、理解は進んでいるものの、途中での調整や持続に課題が見られた。これは「できている」ように見える学習の中に潜む不安定さである。
学びは
・どこで止まるか
・どのように再開するか
・どのように支援を使うか
といった学習行動によって形づくられる。
今回の実践は、教師の関わりが学習を成立させる重要な要素であること、そして自走しているように見える学習にも丁寧な見取りが必要であることを示していた。

