
包丁を持つ子どもの隣には、自然と高学年の子どもが立っていました。
「猫の手にすると安全だよ。」
そんな声を掛けながら下級生を支える姿から始まったこの日のサマースクール。カレー作りでは夏野菜を通して植物のつくりを考え、豆腐作りでは食べ物ができる仕組みに触れ、風鈴やうちわ作りでは一人ひとりの個性を表現しました。体験を楽しむだけで終わらせず、「なぜ?」を考え、「やってみたい」を育てる。MOANAVIならではの学びあふれる一日をご紹介します。
「今日の先生」は、高学年の子どもたちでした。
今日のサマースクールのメイン活動は、夏野菜たっぷりのカレー作りです。
包丁を使う調理では、安全に取り組むことが何より大切になります。
すると、自然と高学年の子どもたちが下級生のそばに集まり始めました。
「猫の手にすると安全だよ。」
「反対の手はここに置くと切りやすいよ。」
包丁の持ち方や野菜の押さえ方を、一つひとつ丁寧に伝えていきます。
先生がお願いしたわけではありません。
自分たちで「教えよう」と動き始めたのです。
教える子どもたちは、自分がこれまで学んできたことを言葉にしながら整理し、教わる子どもたちは安心して新しいことへ挑戦できます。
異学年で活動するからこそ生まれる、MOANAVIらしい学びの場面でした。


カレー作りは、理科の学びから始まりました。
野菜を切る前に、今日使う食材をみんなで確認しました。
ナス、ピーマン、パプリカ、トマト。
「これって全部、夏野菜だね。」
そんな会話から始まったのは、植物について考える時間です。
夏野菜を挙げていくと、その多くが「実」を食べる野菜であることに気付きました。
一方で、ニンジンやジャガイモは「根」の部分を食べる野菜です。
「じゃあ、今日のカレーには葉っぱを食べる野菜は入っているかな?」
子どもたちは野菜を見比べながら、それぞれ植物のどの部分を食べているのかを考えていました。
料理をするために集まった時間が、自然と理科の学びへつながっていきます。
教科書の写真だけではなく、自分の手に取った野菜だからこそ、「なるほど!」という気付きが生まれていました。
「おいしい」を作るには、たくさんの学びがありました。
いよいよ調理が始まります。
野菜を切る。
肉を炒める。
鍋の中を混ぜる。
火加減を見ながら煮込む。
ルウを入れて、とろみが付いていく様子を観察する。
一つひとつの工程には、理科や算数、生活の知識が詰まっています。
火を通すことで食材の色や硬さが変わること。
時間をかけることで味がなじんでいくこと。
材料の量や順番によって仕上がりが変わること。
子どもたちは調理を楽しみながら、たくさんの「なぜ?」に出会っていました。
完成したカレーには、自分たちで育てた夏野菜も加わり、季節を感じられる一皿になりました。
「自分で作ったカレーはおいしい!」
そんな笑顔があちこちで見られました。

豆乳が豆腐になる。その変化を、自分の目で確かめました。
午後は豆腐作りにも挑戦しました。
普段食べている豆腐は、どのように作られているのでしょうか。
材料は液体の豆乳です。
そこから少しずつ変化が始まり、やがて柔らかな豆腐へと姿を変えていきます。
「本当に固まってきた!」
子どもたちは容器をのぞき込みながら、その変化をじっくり観察していました。
教科書で読むだけでは分からない、「液体が固体へ変わる」という現象を、自分の目で確かめられる貴重な体験です。
食べ物を作ることは、その仕組みを知ることにもつながっています。

一人ひとり違う作品だからこそ、おもしろい。
午後は風鈴とうちわの制作も行いました。
好きな色を選び、筆を動かしながら、一人ひとりが思い思いの作品を仕上げていきます。
同じ材料を使っていても、完成する作品はどれも違います。
夏の思い出を描く子。
好きな色で模様を作る子。
じっくり時間をかけて細かく仕上げる子。
正解が決まっていないからこそ、自分らしさを表現できる時間になりました。
完成した作品を見せ合いながら、「それいいね!」と声を掛け合う姿も印象的でした。

遊びの時間も、学びの時間です。
活動の合間には、それぞれが興味を持った遊びにも取り組みました。
国旗カルタでは、世界中の国旗を探しながら、自然と国の名前や位置に興味が広がります。
ブロックでは、パーツを組み合わせながら何度も作り直し、自分のイメージを形にしていきます。
紙コップタワーでは、「どう積めば高くなるかな?」と相談しながら挑戦を繰り返していました。
自由時間だからこそ、自分で選び、自分で考え、仲間と協力する姿がたくさん見られました。
遊びと学びを分けるのではなく、遊びの中にも学びがある。
それもMOANAVIが大切にしている考え方の一つです。

体験の数だけ、学びの入り口があります。
今日一日だけでも、
カレー作り。
豆腐作り。
風鈴の絵付け。
うちわ作り。
国旗カルタ。
ブロック。
紙コップタワー。
子どもたちは、さまざまな活動に挑戦しました。
しかし、本当に育っていたのは、料理や工作の技術だけではありません。
高学年が下級生へ自然に声を掛ける姿。
植物について疑問を持ち、自分たちで考える姿。
完成するまで試行錯誤を繰り返す姿。
友達の作品を認め合う姿。
一つひとつの体験が、「知りたい」「やってみたい」「伝えたい」という気持ちにつながり、学びの輪を広げていました。
MOANAVIのサマースクールでは、体験そのものが目的ではありません。
体験を通して、理科や算数、ものづくり、人との関わりなど、さまざまな学びが自然につながっていくことを大切にしています。
今日もまた、子どもたちはたくさんの「できた!」と「なるほど!」を持ち帰る一日になりました。

