
為替レートってどう決まるの?
ドルと円・円高と円安の仕組みを小中学生向けにわかりやすく解説
ニュースや新聞で「きょうのドル円相場は1ドル=150円です」といった言葉を聞いたことはありませんか?
「え、1ドルってなに?」「どうして円の数字が毎日かわるの?」と不思議に思ったことがある人も多いでしょう。
この記事では、為替レート(かわせレート)って何?どうやって決まるの? を、小学生にもわかりやすく説明します。円高と円安の違いや、食べ物や旅行にどう関わっているか、自由研究に使えるアイデアも紹介します。
為替レートとは?【意味と仕組みを小学生向けにわかりやすく】
「為替レート(かわせレート)」とは、日本のお金(円)と外国のお金(ドルやユーロなど)を交換するときの比率のことです。
たとえば…
- 「1ドル=150円」 → 1ドルを手に入れるために150円が必要
- 「1ドル=100円」 → 1ドルを手に入れるために100円でOK
つまり、為替レートは 「外国のお金を買うときの値段表」 のようなものです。
💡 もっと身近な例で考えてみよう
- お祭りの屋台で「りんご飴=300円」と書いてあったら、300円出せばりんご飴が1つ買えますよね。
- 為替レートも同じで、「1ドル=150円」と決まっていたら、150円を出せば1ドルがもらえる、という仕組みなんです。
🌍 外国のお金は国ごとに違う
- アメリカ → ドル(USD)
- ヨーロッパ → ユーロ(EUR)
- 中国 → 元(CNY)
日本と外国を行き来するとき、旅行や輸入品の買い物に必ず関わってくるのが為替レートです。
🧩 為替レートは毎日変わる
りんご飴の値段はいつも同じかもしれませんが、為替レートは 毎日・毎時間変わります。
それは、世界中の人が「ドルを買いたい」「円を売りたい」と動いているからです。
クイズ①
為替レートとは何のこと?
- 日本と外国を行き来する人の数
- 日本と外国のお金を交換するときの比率
- スーパーで売っている商品の値段
正解は 2. 日本と外国のお金を交換するときの比率 です。
為替レートはどうやって決まる?【ドルと円の関係と外国為替市場】
「1ドル=150円」という数字は、誰かが勝手に決めているわけではありません。
実は、**世界中のお金の売り買い(外国為替市場)**によって毎日変わっているのです。
🌍 外国為替市場(がいこくかわせしじょう)とは?
外国為替市場とは、世界中の銀行や会社、投資家が「円やドルを交換している場所」のことです。
インターネットを通じて24時間動いていて、日本が夜でもヨーロッパやアメリカで売り買いが行われています。
👉 つまり、世界のどこかで常に「円」と「ドル」のやり取りが行われていて、その値段=為替レートが決まっているのです。
⚖️ 決まる仕組みは「需要と供給」
為替レートは「円を買いたい人」と「円を売りたい人」のバランスで決まります。
- 円を買いたい人が多い → 円の価値が上がって「円高」になる
- 円を売りたい人が多い → 円の価値が下がって「円安」になる
これはスーパーでの値段の変わり方と似ています。
人気があって「買いたい!」人が多いものは値段が上がり、売れなくて余っているものは値段が下がりますよね。
📊 影響するニュースや出来事
為替レートは、次のようなニュースでも動きます。
- 日本やアメリカの景気(経済の調子)が良いか悪いか
- 政治の安定や大きな選挙の結果
- 災害や戦争など、国際的な出来事
👉 例えば「日本の景気が良くなる」と思われれば円を買う人が増えて円高になり、逆に「日本が不安定になりそう」と思われれば円を売る人が増えて円安になります。
クイズ②
為替レートはどうやって決まるでしょう?
- 日本の総理大臣が毎日決めている
- スーパーの店員さんが決めている
- 世界中のお金の売り買いで決まる
正解は 3. 世界中のお金の売り買いで決まる です。
円高と円安の違いをわかりやすく解説【旅行・買い物の例で理解】
「円高(えんだか)」と「円安(えんやす)」は、ニュースでよく耳にしますが、意味を混同しやすい言葉です。
実はとてもシンプルで、**「同じ1ドルを買うのに必要な円が少ないか、多いか」**で決まります。
💴 円高とは?
- 意味:少ない円でたくさんのドルが買える状態(=円が強い)。
- 例:1ドル=100円なら、100円で1ドルが買える。
- 生活の影響:海外旅行が安くなる、輸入品(外国から来る食べ物やエネルギー)が安くなる。
👉 つまり「日本円の力が強い!」という状態です。
💴 円安とは?
- 意味:多くの円を出さないとドルが買えない状態(=円が弱い)。
- 例:1ドル=150円なら、150円で1ドルが買える。
- 生活の影響:外国旅行が高くなる、輸入品の値段が上がる。
- 会社への影響:日本から外国へ商品を売る「輸出企業」にとっては有利になる。
👉 つまり「日本円の力が弱まっている…」という状態です。
🍔 身近な買い物で考える
ハンバーガーがアメリカで1ドルだとします。
- 円高(1ドル=100円)のとき → 100円で買える
- 円安(1ドル=150円)のとき → 150円で買わないと買えない
この違いだけで「お得」「割高」という感覚がわかりますよね。
✈️ 海外旅行で考える
- 円高のとき → ホテル代・食事代・おみやげ代が安くなる
- 円安のとき → 同じ旅行でも費用が高くなる
家族旅行の計画にも関わるほど大きな影響があるのです。
クイズ③
円高のとき、海外旅行はどうなるでしょう?
- 旅行代金が安くなる
- 旅行代金が高くなる
- 旅行がタダになる
正解は 1. 旅行代金が安くなる です。
為替レートが生活に与える影響とは?【輸入品・旅行・会社の利益】
為替レートの変化は、ただの数字の動きではなく、私たちの生活に直結する大きな出来事です。
ニュースで「円安が進んでいます」と聞いたとき、それが何を意味するのかを知ると、毎日の生活と世界のつながりが見えてきます。
🛒 食べ物や日用品の値段に影響
日本はパンやラーメンの材料になる 小麦、給食のデザートに出る オレンジやバナナ、チョコレートの原料である カカオ などを多く輸入しています。
円安になると、これらを買うために必要なお金(円)が増えるため、スーパーの食品やお菓子が値上がりしやすいのです。
逆に円高になると、同じ量のドルでたくさんの輸入品が買えるので、値段が安くなりやすくなります。
⛽ エネルギーと生活費の変化
ガソリンや電気のもとになる石油や天然ガスも外国からの輸入が中心です。
- 円安 → ガソリン代や電気代が高くなる
- 円高 → ガソリン代や電気代が下がりやすい
👉 円安・円高の違いは、車を持つ家庭や電気を多く使う夏や冬の生活費に大きな影響を与えます。
✈️ 旅行や留学にも関係
- 円安 → 日本から外国に行くときにたくさんの円が必要になるため、旅行や留学の費用が高くなる
- 円高 → 海外旅行や留学が安くなるので、家族で旅行しやすくなる
子どもにとっては「夏休みの海外旅行が行けるかどうか」や「留学にかかるお金」にも影響が出てきます。
🏭 会社や働く人の立場で見ると?
- 円安 → 日本から外国に商品を売る 輸出企業(自動車メーカー・電化製品メーカーなど) は有利になり、もうけが増えやすい。
- 円高 → 外国から商品を仕入れる 輸入企業(食品・エネルギー関連など) にとって有利になり、コストを下げられる。
👉 つまり「円安は輸出企業にプラス」「円高は輸入企業にプラス」と覚えるとわかりやすいです。
クイズ④
円安のときに得をするのはどんな会社でしょう?
- 外国に商品を売る輸出企業
- 外国から商品を買う輸入企業
- コンビニ
正解は 1. 外国に商品を売る輸出企業 です。
為替レートおさらいクイズ【3択で楽しく復習】
ここまで読んだことをふり返って、クイズにチャレンジしてみましょう!
家族や友達に出題してみるのもおすすめです。
クイズ① 為替レートとは何を表しているでしょう?
- 日本と外国を行き来する人の数
- 日本と外国のお金を交換するときの比率
- 日本で売られている商品の値段
正解は 2. 日本と外国のお金を交換するときの比率 です。
👉 「1ドル=150円」のように、お金とお金を交換するときの基準を表します。
クイズ② 為替レートはどうやって決まるのでしょう?
- 日本の総理大臣が毎日決める
- 世界中のお金の売り買いで決まる
- 学校の先生が黒板に書いて決める
正解は 2. 世界中のお金の売り買いで決まる です。
👉 外国為替市場で、円を「買いたい人」「売りたい人」のバランスによって毎日変わります。
クイズ③ 円高のとき、外国旅行はどうなる?
- 安く行けるようになる
- 高くなる
- タダで行ける
正解は 1. 安く行けるようになる です。
👉 円高は「少ない円でドルが買える」状態なので、旅行代や食事代が安くなるのです。
クイズ④ 円安のときに得をしやすいのはどんな会社?
- 外国に商品を売る輸出企業
- 外国から商品を買う輸入企業
- 日本のコンビニ
正解は 1. 外国に商品を売る輸出企業 です。
👉 円安だと「外国から見て日本の商品が安く感じられる」ので売れやすくなります。
自由研究・調べ学習のアイデア【為替レートを調べてまとめよう】
為替レートは「数字を調べる → まとめる → 自分なりの考えを加える」という流れが作りやすいテーマです。
算数・社会・国語の力をあわせて使えるので、夏休みの自由研究や授業の調べ学習にぴったりです。
✅ 1. 為替レートを毎日調べてグラフにしよう
- 新聞やインターネットで「1ドル=〇〇円」を調べ、ノートに記録。
- 1週間〜1か月分を集めて、折れ線グラフにする。
- グラフが上がると「円安」、下がると「円高」という動きを視覚的に理解できる。
👉 これなら算数(グラフづくり)と社会(経済の仕組み)を同時に学べます。
✅ 2. 輸入品と円安・円高の関係を調べてみよう
- スーパーで売っている輸入品(バナナ、オレンジ、チョコレート、コーヒーなど)をリストアップ。
- 円安のときに値段がどう変わるか、過去のニュースや商品の値札を調べてまとめる。
- 国産品との違いも比べると理解が深まる。
👉 身近な「食べ物」と結びつけると、自分の生活と直結して考えられます。
✅ 3. 円高・円安クイズを作って友達に出してみよう
- 「円高のとき海外旅行はどうなる?」「円安のとき得をするのはどんな会社?」など、記事を参考にクイズを作る。
- 家族や友達に出題し、正解を説明する。
- そのやりとり自体が「発表」となり、自由研究の成果物になる。
👉 ゲーム感覚でできるので、楽しく学びが深まります。
✅ 4. ニューススクラップをまとめてみよう
- 新聞やネット記事から「円高」「円安」という言葉が出てくる部分を集めてノートに貼る。
- その横に「誰にとってプラス?誰にとってマイナス?」と自分の考えを書く。
- 1か月分をまとめると「円高円安新聞」が完成!
👉 社会科の調べ学習や意見表明の練習にもなります。
✅ 5. 外国のお金と日本円を比べよう
- 外国旅行のおみやげや図鑑で、ドルやユーロ、元などのお札やコインを観察。
- 「この国のお金は日本円でいくら?」を為替レートで計算してみる。
- お札に描かれた人物やデザインを調べると、歴史や文化にもつながる。
👉 経済だけでなく、社会・歴史・美術など横断的な学びに広がります。
💡 ポイント
- 調べたことを グラフ・表・新聞・クイズ・比較レポート などにまとめると完成度が高くなる。
- 数字を扱うので、計算が得意な子にもおすすめ。
- 親子でニュースを見ながら進めると、家庭での会話も深まります。
まとめ|為替レートを知ると世界とのつながりが見えてくる
為替レートとは、日本円と外国のお金を交換するときの比率です。
この数字は、世界中の人や会社が行うお金の売り買いによって毎日変わり、円高や円安として私たちの生活に影響します。
- 円高 → 輸入品や海外旅行が安くなる
- 円安 → 輸入品が高くなるが、輸出企業や観光業にはプラス
ニュースで「円安」「円高」という言葉を聞いたとき、ただ「むずかしい」と感じるのではなく、
「これは誰にとって得で、誰にとって大変なんだろう?」と考えてみましょう。
👉 為替レートを理解すると、毎日の生活と世界のニュースがつながり、社会の見方がぐっと広がります。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。