
円安になるとどんな影響があるの?
小中学生向けにわかりやすく解説
輸入・輸出・生活への関係を学ぼう
コンビニのお菓子やジュースの値段が「前より高くなったな」と思ったことはありませんか?
ニュースでよく聞く「円安(えんやす)」は、実はその理由のひとつです。
でも「円が安いってどういう意味?」「円安になると何が高くなるの?」「円高とどう違うの?」と疑問に思う人も多いはず。
この記事では、円安の意味・仕組み・生活への影響・円高との違いを、小学生にもわかる言葉でやさしく解説します。
自由研究や調べ学習に使える クイズやまとめ方のヒント もあるので、最後まで楽しく読んでみましょう!
円安とは?【小学生にもわかる意味と仕組み】
ニュースで「円安」と聞くと、なんだかむずかしそうに感じますよね。
でも実は、「お金の力比べ」 のことなんです。
💴 円安を身近な例で考えてみよう
たとえば、アメリカでおもちゃを1つ買うとします。
- 昔:1ドル=100円 → 100円で1ドルを買っておもちゃをゲット!
- 今:1ドル=150円 → 同じおもちゃを買うのに150円も必要!
このように、前よりも多くの円が必要になってしまう状態を「円安」といいます。
逆に、
- 1ドル=80円で買えるようになったら、
少ない円で1ドルを買えるので「円高」と呼びます。
つまり、円安と円高は 「円と外国のお金(ドルなど)の力比べ」 なのです。
🌍 どうして変わるの?
「円安」「円高」は、世界での円の人気や経済の動きによって毎日少しずつ変わります。
外国の人たちが「日本の商品をもっと買いたい」と思えば円の人気が上がって円高に、
逆に「ドルを持っていたほうが安心」と思う人が増えると円安になりやすいのです。
👉 クイズ①
円安とはどんな状態をさすでしょう?
- 円の力が強くなって外国のお金を安く買える状態
- 円の力が弱くなって外国のお金を買うのに多く必要な状態
- 円とドルが同じ価値になる状態
正解は **2. 円の力が弱くなって外国のお金を買うのに多く必要な状態** です。
円安になると輸入と輸出にどんな影響がある?【外国とのお金の動き】
円安になると、「外国から物を買うとき」と「日本から外国に売るとき」で影響がちがいます。
ここでは 輸入(買う) と 輸出(売る) の両方を見ていきましょう。
🛒 輸入(外国から買うもの)
外国から物を買うときは、その国のお金(ドルやユーロなど)で支払います。
円安になると、同じ物を買うのに前よりもたくさんの円が必要になります。
👉 つまり 輸入品の値段が高くなる のです。
たとえば…
- パンやラーメン → 小麦を外国から輸入しているので値上がりしやすい
- 牛肉やオレンジ → アメリカやオーストラリアから来るので高くなる
- ガソリン → 石油を輸入しているので、車に乗る人や運送費に影響
- スマホやパソコン → 部品の多くは外国から入っているので値段が上がる
🚗 輸出(日本から外国に売るもの)
逆に、日本の商品を外国に売るときはどうでしょう?
円安になると、外国のお金で見ると日本の商品が「安く」感じられます。
👉 つまり 輸出品は売れやすくなる のです。
たとえば…
- 自動車(トヨタ・日産など)
- 家電製品(冷蔵庫・テレビ)
- ゲームソフトやマンガ
外国の人にとって買いやすくなるので、輸出企業にはプラスになります。
⚖️ 輸入と輸出のバランス
- 日本に住む人(私たちの生活)にとっては「輸入品が高くなる」ので大変
- 日本の会社(特に輸出している会社)にとっては「商品が売れやすくなる」ので有利
このように、円安には「良いこと」と「大変なこと」の両方があるのです。
👉 クイズ②
円安のときに値段が高くなりやすいのはどちらでしょう?
- 輸入品
- 輸出品
- 国内でとれた野菜
正解は **1. 輸入品** です。
円安になると生活はどう変わる?【私たちの身近な影響】
円安はニュースの中だけの出来事ではありません。
実は、毎日の買い物や家の生活 にも大きく関係しているのです。
🍞 食べ物の値段が上がる
日本ではパンやラーメンの材料となる 小麦 を多く外国から輸入しています。
円安になると、その小麦を買うのに多くの円が必要になるので、パンやラーメンの値段が上がりやすくなります。
同じように、ハンバーグやステーキに使う 牛肉、給食のデザートで出る オレンジやバナナ も外国から来るので、円安の影響を受けやすい食品です。
⛽ エネルギーが高くなる
ガソリンや電気の元になる石油や天然ガスも外国からたくさん輸入しています。
円安になると輸入にかかるお金が増えるため、
- ガソリンスタンドでの値段が高くなる
- 電気料金が上がりやすい
といった形で生活に直結します。
🗼 観光がにぎやかになる
円安になると、日本の商品やサービスは外国のお金で見ると安く感じられます。
そのため、外国から日本を訪れる観光客が増える のです。
街で外国人観光客を見かけることが多くなるのも円安の影響のひとつです。
✈️ 海外旅行や留学が高くなる
逆に、日本人が外国へ行く場合は、たくさんの円を使わないといけません。
- 家族旅行でアメリカに行く → 円安だとホテル代や食事代が高く感じる
- 留学で外国に行く → 学費や生活費にたくさんのお金がかかる
このように、円安は「外国に行く人」にとっては大変になることもあります。
👉 クイズ③
円安で外国人観光客が日本に来やすくなるのはなぜでしょう?
- 日本の商品やサービスが外国のお金で見ると安く感じられるから
- 日本に飛行機がたくさん飛ぶから
- 円安になると旅行がタダになるから
正解は **1. 日本の商品やサービスが外国のお金で見ると安く感じられるから** です。
円安と円高の違いは?【どっちがいいの?メリットとデメリット】
円安と円高は「どちらが正しい」「どちらが悪い」と決められるものではありません。
それぞれに メリット(いいこと) と デメリット(大変なこと) があるからです。
💴 円安のとき
- メリット
- 日本の商品(輸出品)が外国で売れやすくなる
- 外国人観光客が増えて観光地がにぎやかになる
- 日本の会社がもうかると、働く人の給料が上がることもある
- デメリット
- 輸入品(食べ物・エネルギーなど)の値段が上がる
- 家計(家庭のお金)が苦しくなる
- 海外旅行や留学が高くなる
💴 円高のとき
- メリット
- 輸入品が安く買える → 食べ物やガソリン代が下がりやすい
- 海外旅行や留学が安くなる
- 家計にとってはうれしい場面が増える
- デメリット
- 日本の輸出品が高く見えるので、外国で売れにくくなる
- 輸出に頼る会社の利益が減り、景気が悪くなることもある
- 外国人観光客が減る可能性がある
⚖️ わかりやすい比較表
状態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
円安 | 輸出が有利/外国人観光客が増える | 輸入品の値上がり/海外旅行が高い |
円高 | 輸入品が安い/海外旅行が安い | 輸出が不利/観光客が減る可能性 |
✨ まとめポイント
- 円安 → 輸出する会社や観光業にとってプラス
- 円高 → 輸入品を買う人や海外旅行をする人にとってプラス
👉 つまり、「どっちがいいか」は人や立場によって変わるのです。
円安のニュースをどう見ればいい?【小中学生へのアドバイス】
テレビやネットで「円安が進んでいます」というニュースを見たことはありますか?
大人でも「円安は悪いことなの?」「円高なら安心なの?」と感じる人が多いくらい、わかりにくいテーマです。
でも、円安=悪いこと とは限りません。
むしろ、良いことと大変なことが両方あるので、ニュースを聞いたときに「誰にとってプラスで、誰にとってマイナスなのか」を考えることが大切です。
👨👩👧 家庭の立場で考える
- パンやラーメンが少し高くなったら、家のお金のやりくりが大変になる
- ガソリン代や電気代が上がれば、家計の負担が増える
👉 円安は「家の生活費」に影響するので、家族と一緒にニュースを見ると理解しやすいです。
🏭 会社や働く人の立場で考える
- 自動車や電化製品を作っている会社にとっては、円安は「外国で商品が売れやすい」というチャンスになる
- 会社の利益が増えれば、働く人の給料が上がったり、新しい仕事が生まれる可能性もある
👉 円安は「会社や経済」にとってはプラスになる場合があるのです。
🌍 社会全体で考える
- 円安で観光客が増えれば、観光地やお店がにぎわう
- でも輸入に頼っている分野(食べ物・エネルギー)は価格が上がりやすい
👉 円安には「得する人」と「困る人」が両方いることを理解するのがポイントです。
✨ 小中学生へのアドバイス
円安や円高のニュースを聞いたときに、ぜひこんな風に考えてみましょう。
- 「これは家の生活にどう影響するのかな?」
- 「輸出の会社と輸入の会社では、感じ方がちがうんだな」
- 「外国とのお金の関係は、社会科の授業にもつながるな」
👉 ニュースを「自分の生活と関係あること」として考えると、経済がぐっと身近になります。
円安おさらいクイズ【3択で楽しく復習】
ここまでの内容をふり返るクイズです。答えはクリックすると見られます。
クイズ① 円安になると、輸入品(外国から買う物)の値段はどうなる?
- 安くなる
- 高くなる
- 変わらない
正解は **2. 高くなる** です。円安になると、同じドルで買う商品により多くの円が必要になるからです。
クイズ② 円安はどんな会社にとって有利になることが多い?
- 日本から外国に商品を売る会社(輸出)
- 外国から商品を買う会社(輸入)
- コンビニ
正解は **1. 日本から外国に商品を売る会社** です。円が安いと、外国の人から見ると日本製品が安く見えるので売れやすくなります。
クイズ③ 円安のニュースを聞いたときに大切なのはどんな視点?
- 「誰にとってプラスで、誰にとってマイナスか」を考える
- いつも円高の方が安心と考える
- 難しいから無視する
正解は **1. 誰にとってプラスで、誰にとってマイナスかを考える** です。円安にもメリット・デメリットがあるので、立場によって見方が変わります。
自由研究・調べ学習におすすめのテーマ【円安を調べてみよう】
円安はニュースでよく聞く言葉ですが、実際に「自分で調べてまとめる」と、社会科や算数の力を同時に伸ばせます。ここでは小中学生でも取り組みやすいテーマを紹介します。
✅ 1. 為替レートを調べてグラフにしよう
- 新聞の経済面やインターネットで毎日の「1ドル=〇〇円」の数字を調べる。
- 1週間や1か月分のデータを集めてノートに書き、折れ線グラフにしてみる。
- グラフが上がると円安(円の力が弱くなる)、下がると円高(円の力が強くなる)とわかる。
👉 数学(算数)のグラフ作成と社会科の学びをつなげられるテーマ。
✅ 2. 円安になると身近な商品の値段はどうなる?
- スーパーに売っている輸入品(バナナ、オレンジ、チョコレート、コーヒーなど)をリスト化。
- 円安になると、同じドルで買うのに円が多く必要になるから値段が上がりやすい。
- 実際に「国産の商品」と「輸入の商品」を比べてまとめると面白い。
👉 食べ物や生活用品と結びつけることで「円安=生活とつながっている」と実感できる。
✅ 3. 円高・円安クイズを自分で作ってみよう
- この記事のクイズを参考に、自分で問題を作る。
- 例:「円安のとき、外国旅行の費用はどうなる?」
- 家族や友達に出題してみると、遊び感覚で学びが深まる。
👉 発表形式の自由研究にぴったりで、クラスのみんなに披露できる。
✅ 4. ニュース記事を切り抜いてスクラップブックを作ろう
- 新聞やネットニュースから「円安」という言葉が出てきた記事を集める。
- 「誰が得して、誰が困っているのか」を自分の言葉で書き足す。
- 1か月まとめれば、社会の動きを「自分の新聞」として発表できる。
👉 調べ学習+意見表明の練習にもなり、社会科の探究活動として評価されやすい。
✅ 5. 外国と日本のお金を比べてみよう
- 外国旅行に行ったことがある家族や知り合いから、お札やコインを見せてもらう。
- デザインや大きさ、使われている人物や動物のちがいを観察する。
- さらに「この国の1ドルは日本円でいくら?」を調べると、為替と文化の両面で学びになる。
👉 美術(デザインの観点)と社会(通貨制度)をクロスして学べる。
💡 まとめるポイント
- 「調べる → まとめる → 発表する」の3ステップを意識すると自由研究として完成度が高くなる。
- グラフ・表・スクラップ・クイズ・比較表など、形式を工夫すると見栄えも良くなる。
- 家庭科・算数・社会科を横断するテーマとして評価されやすい。
まとめ|円安を身近なこととして考えよう
円安とは、「日本のお金=円の価値が外国のお金に比べて低くなること」。
これによって、
- 輸入品や生活費は高くなる(家庭に影響)
- 輸出企業は有利になる(会社や働く人にプラス)
- 観光や社会全体にも影響がある
といった「良いこと」と「大変なこと」が両方起こります。
小中学生のみなさんも、ニュースを見たときに「これは生活にどうつながる?」「誰が得して誰が困る?」と考えてみると、社会科や経済の学びがぐっと身近になりますよ。
👉 円安はむずかしい言葉に聞こえるけれど、自分の生活と世界をつなぐキーワードなのです。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。