
「水素エネルギー」って聞いたことありますか?🚗💨
ニュースや理科の授業で耳にすることもあるけれど、「なんだかむずかしそう」「本当に未来のエネルギーなの?」と思う人も多いはず。
じつは水素エネルギーは、地球を守るヒーローになれるかもしれない存在なんです。
車を走らせたり、電気をつくったりするときに二酸化炭素を出さず、水しか出ない!──まるで魔法みたいですよね。
この記事では、水素エネルギーの仕組みやメリット・デメリット、日本や世界の取り組みをわかりやすく紹介します。
さらに、自由研究にも使えるアイデアやクイズもあるので、楽しく学びながら「未来のエネルギー博士」をめざしましょう!
水素エネルギーとは?【小学生向けにわかりやすく解説】
みんなが毎日使っている「電気」や「ガソリン」。これらは生活に欠かせないエネルギーですが、石油や石炭などの資源を燃やすと二酸化炭素(CO₂)が出てしまい、地球温暖化の原因になります。
そこで今注目されているのが 「水素エネルギー」 です。
「水素(すいそ)」は地球上にとてもたくさんある元素で、空気のように目に見えない軽い気体。実は、燃やしても二酸化炭素を出さない「とてもクリーンなエネルギー源」なんです。
✅ ポイント
- 水素は空気よりも軽い気体
- 燃やしても 水しか出ない
- 地球にやさしい未来のエネルギー
たとえば、ガソリンで走る車はCO₂を出しますが、水素を使う「燃料電池車」は、走るときに 水(水蒸気)しか出しません。だから「走るだけで環境にやさしい車」といわれているんです。
クイズ①
水素を燃やすと何が出るでしょう?
- 二酸化炭素(CO₂)
- 水(水蒸気)
- オゾン
正解は 2. 水(水蒸気) です。
だから水素エネルギーは「地球にやさしいクリーンエネルギー」と呼ばれています。
水素エネルギーの仕組みとは?【燃料電池と発電の流れをやさしく説明】
「水素を燃やすと水しか出ない」というのはわかったけれど、じゃあどうやって電気やエネルギーをつくるの?と疑問に思う人もいるでしょう。
そのカギになるのが 「燃料電池(ねんりょうでんち)」 です。
燃料電池のしくみ
燃料電池では、水素(H₂)と酸素(O₂)を化学反応させます。すると電気が生まれ、そのときの副産物として水が出ます。
流れを簡単にすると…
- 水素をタンクから取り出す
- 酸素(空気中にある)と出会わせる
- 電気が発生!
- 出てくるのは「水」だけ
つまり、「水素+酸素 → 電気+水」 という、とてもシンプルでクリーンな反応なのです。
実際に使われている例
- 燃料電池車(FCV):ガソリン車の代わりに水素を使う車。走ると水しか出さない。
- 水素発電所:水素をたくさん使って大規模に電気をつくり、町に送る。
- 家庭用燃料電池(エネファーム):家で電気とお湯を同時につくれる装置。
これらはすでに日本でも使われはじめています。未来の技術ではなく、今すでに動いている技術なのです。
クイズ②
燃料電池で電気をつくるとき、副産物として出るのは何でしょう?
- 二酸化炭素(CO₂)
- 水(水蒸気)
- 石油
正解は 2. 水(水蒸気) です。
だから燃料電池は「地球にやさしい発電方法」として注目されているんですね。
水素エネルギーのメリットとデメリット【地球にやさしいけど課題もある】
水素エネルギーは「クリーンで未来的!」とよく言われますが、実はいいところ(メリット)だけでなく、まだまだ課題(デメリット)もあるんです。ここではその両方をわかりやすく見ていきましょう。
水素エネルギーのメリット
- 二酸化炭素を出さない
水素を使うと出てくるのは「水」だけ。地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO₂)を出さないので、とても環境にやさしい。 - 資源がたくさんある
水素そのものは水(H₂O)や天然ガスなどから取り出せるので、世界中でつくることができる。石油のように「特定の国に頼る必要がない」のが強み。 - いろいろな場面で使える
車、電車、工場、家庭用の電気──使い道がとても幅広い。将来は飛行機や船も水素で動かせるようになるかもしれない。
水素エネルギーのデメリット
- コストが高い
水素を取り出したり運んだりするには、まだまだお金がかかります。ガソリンや石炭よりコストが高いため、普及に時間がかかっている。 - 安全に扱うのがむずかしい
水素はとても軽くて小さい分子なので、ちょっとしたすき間からも漏れやすい。さらによく燃える性質があるため、保管や輸送には高い技術が必要。 - 作り方によっては環境に負担
水素を「化石燃料を燃やして」つくると、結局二酸化炭素が出てしまうこともある。本当に地球にやさしくするには「再生可能エネルギー(太陽光や風力)で水素をつくる」ことが大切。
クイズ③
水素エネルギーの大きなメリットはどれでしょう?
- 使うと水しか出ない
- ガソリンよりにおいがいい
- 石油と同じで限られた国だけが持っている
正解は 1. 使うと水しか出ない です。
地球温暖化を防ぐカギになるのは「二酸化炭素を出さない」という点なんですね。
水素エネルギーの未来と日本の取り組み【水素社会の実現に向けて】
水素エネルギーはまだ発展途中ですが、未来に向けて大きな期待が寄せられています。特に日本は「水素社会」をめざして、世界でも先進的な取り組みを進めている国のひとつです。
日本の取り組み
- 水素自動車(燃料電池車)
トヨタの「MIRAI(ミライ)」やホンダの「クラリティ」など、水素を燃料に走る車がすでに販売されています。ガソリン車と違って走行中に二酸化炭素を出さず、水しか出さないのが特徴です。 - 水素ステーションの整備
水素自動車が広がるには「水素を入れる場所」が必要です。日本では都市部を中心に水素ステーションを増やしていて、将来は全国で使えるように整備が進められています。 - 再生可能エネルギーと組み合わせた水素製造
太陽光や風力などの電気を使って水を分解し、水素をつくる研究が進んでいます。これなら二酸化炭素を出さずに水素をつくれるため、本当に「地球にやさしい水素」が実現します。 - 水素発電所の実験
水素を燃料として使う発電所のプロジェクトも行われています。将来は家庭や工場に電気を安定して供給できる仕組みになる可能性があります。
世界の流れと日本の立ち位置
ヨーロッパ(特にドイツや北欧)は再生可能エネルギーと水素を組み合わせたプロジェクトを強化しています。中国やアメリカも「水素車」や「水素発電」に投資しています。
その中で日本は、
- 燃料電池車の商用化を早く実現
- 水素発電の技術をリード
- 国をあげて「水素社会」という目標を掲げている
という点で、世界的に見ても先進的な国といえます。
未来の可能性
- 水素で走るバスやトラック → 物流や公共交通にも広がれば、町全体の排気ガスを減らせる。
- 水素で飛ぶ飛行機 → CO₂を出さない航空機の実現で、地球規模の環境負荷を大幅に減らせる。
- 水素で暮らす家 → 家庭の電気や暖房を水素からつくり出すことで、化石燃料に頼らない生活が可能に。
クイズ④
日本で進められている水素エネルギーの取り組みとして正しいのはどれでしょう?
- 水素で動く車や発電の研究を進めている
- 水素を食べ物として売っている
- 水素を川に流して魚を増やしている
正解は 1. 水素で動く車や発電の研究を進めている です。
日本は「水素社会」をめざして、自動車や発電所、インフラ整備に力を入れています。
自由研究におすすめ!水素エネルギーを調べてみよう
水素エネルギーはニュースや教科書にも出てきますが、まだまだ新しい分野です。だからこそ「自由研究のテーマ」として選ぶと、とても面白いまとめ方ができます。ここでは小学生・中学生におすすめの研究アイデアを紹介します。
研究アイデア① 水素エネルギーの仕組みを図でまとめる
- 「水を電気で分解すると水素と酸素に分かれる」
- 「水素を燃料電池で使うと水だけが出る」
このサイクルを絵や図で表すと、視覚的に理解できます。
👉 ポスター形式にすると、文化祭や授業発表でもわかりやすい!
研究アイデア② 水素エネルギーと他のエネルギーを比べる
- 石油や石炭は二酸化炭素を出すけど、水素は出さない。
- 太陽光や風力は自然条件に左右されるけど、水素は貯めておける。
長所と短所を表にまとめると、「なぜ水素が注目されているのか」がはっきり見えます。
研究アイデア③ 日本や世界の取り組みを調べる
- 日本 → 燃料電池車「MIRAI」、水素ステーション
- ドイツ → 再エネを使った水素製造
- アメリカ → 水素発電の実験
👉 世界地図にまとめて「どの国がどんな取り組みをしているか」を書くと、グローバルな視点で研究できます。
研究アイデア④ 水素と生活を結びつける
- 「水素自動車のある生活」を想像してイラストにする
- 「水素で動く町」をマンガや模型で表現する
こうした“未来の姿”を描く研究は、発表するときにクラスの友だちの関心を集めやすいです。
研究アイデア⑤ 実験で学ぶ(安全に!)
実際に水を電気分解して水素を発生させる実験があります(理科の実験器具を使えば可能)。
👉 必ず先生や大人と一緒にやることが大前提ですが、「理科と社会のつながり」を体感できる研究テーマになります。
おさらいクイズ|水素エネルギー博士になろう!
これまでの内容をふり返るクイズです。全部わかれば「水素エネルギー博士」になれるかも!?
クイズ①
水素を使ったときに出てくるものは何でしょう?
- 二酸化炭素
- 水
- 火山ガス
正解は 2. 水 です。
水素を燃料にすると、出てくるのは水だけ。だから「地球にやさしいクリーンエネルギー」と呼ばれています。
クイズ②
水素を安全に使うために大切なのはどんなこと?
- すき間の多い容器に入れる
- しっかり管理・保管して漏れないようにする
- 火の近くに置いておく
正解は 2. しっかり管理・保管して漏れないようにする です。
水素は小さな分子で漏れやすく、燃えやすい性質を持っているため、高い技術と安全管理が必要です。
クイズ③
日本が特に力を入れている水素エネルギーの分野はどれでしょう?
- 水素自動車や発電
- 水素を食べ物として売る
- 水素で魚を育てる
正解は 1. 水素自動車や発電 です。
日本は世界に先駆けて「燃料電池車」を販売し、水素発電の研究や水素ステーションの整備を進めています。
まとめ|水素エネルギーは未来のカギ!
水素エネルギーは「水しか出さないクリーンなエネルギー」として注目されており、未来の社会を大きく変える可能性を持っています。
- 二酸化炭素を出さないという大きなメリット
- コストや安全面といった課題
- 自動車や発電など幅広い活用方法
- 日本をはじめ世界中で進められている「水素社会」への挑戦
これらを学ぶことで、私たちが未来のエネルギーにどう関わっていけるかを考えるきっかけになります。
👉 自由研究では「水素の仕組みを図でまとめる」「世界の取り組みを比べる」「未来の町を想像する」といったテーマにすると、とても面白い発表ができます。
🌱 今日からできることは、ニュースで「水素」という言葉を聞いたときに「どんな意味だろう?」と少し立ち止まって考えてみること。
それだけでも「未来のエネルギーを学ぶ第一歩」になりますよ。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。