
みんなが大好きな チョコレート や コーヒー。
でも、それを作っている人たちがどんな生活をしているか、考えたことはありますか?
実は、遠い国の農家さんが作っているのに、安い値段で買い取られてしまって、家族を養うのも大変…ということがあるんです。
そんな問題を解決するために生まれたのが フェアトレード(公平な取引)。
この記事では、フェアトレードの意味やSDGsとのつながりを、わかりやすく紹介します。クイズや自由研究のヒントもあるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
フェアトレードとは?【小学生にもわかる意味と仕組み】
「フェア(fair)」は「公平」「正しい」という意味。
「トレード(trade)」は「貿易」「取引」のこと。
つまり フェアトレード=公平な取引 です。
🔹 なぜフェアトレードが必要なの?
たとえば、あなたが育てた野菜を売るとします。
すごくおいしいのに、「1円でしか買ってあげないよ」と言われたらどうでしょう?
本当なら100円で売れるはずなのに、あまりに安く買われてしまったら、生活できなくなりますよね。
実際に、コーヒー豆やカカオ(チョコの原料)を育てている国の農家さんが、そういう状況に置かれているのです。
- 朝から晩まで働いても家族を養うのがやっと
- 子どもが学校に行けずに働かされてしまうこともある
- 安く売るために環境をこわしてしまう農業を続けざるを得ない
こうした問題を解決するために生まれたのが フェアトレード です。
🔹 フェアトレードの仕組み
フェアトレードでは、
- 農家さんに「生活できるだけのお金」をちゃんと払う
- 子どもが学校へ行けるように支える
- 環境を守る農業を続けられるようにする
といったルールが決められています。
その証拠が フェアトレードマーク。
このマークがついている商品は「ちゃんと農家さんが守られている」とわかる目印です。
🔹 子ども向けのイメージ例
フェアトレードは「弱い立場の人を守るための公平なルール」です。
たとえば、あなたがとてもおいしいクッキーを作ったとします。
本当は100円で売れるのに、「どうせあなたはお金に困っているでしょ? じゃあ10円でしか買ってあげない」と言われたらどう感じますか?
売る人が「お金がないからしかたない…」とがまんしてしまえば、買う人は安く得をするけれど、売る人は生活が苦しくなってしまいます。
フェアトレードは、そんな「立場の弱さにつけこんだ不公平な取引」をなくす仕組みです。
生産者が正しい値段で売れるようにし、安心して生活できるようにするのが目的なのです。
👉 クイズ①
フェアトレードとはどんな意味でしょう?
- 楽しい貿易
- 公平な取引
- 高いものを買うこと
正解は 2. 公平な取引 です。
フェアトレードとSDGsのつながり【目標1・8・12・17を解説】
フェアトレードは、ただ「お金のやり取りを公平にする」というだけではありません。
実は、世界中の国が協力して取り組んでいる SDGs(持続可能な開発目標) とも深く結びついているのです。
🔹 そもそもSDGsってなに?
- SDGs(エス・ディー・ジーズ) とは、国連が決めた 2030年までにみんなで目指す17の目標 のことです。
- 「貧困をなくそう」「教育を広めよう」「環境を守ろう」など、世界の大きな問題を解決するための約束です。
学校でもポスターや授業で見たことがあるかもしれませんね。

🔹 フェアトレードが関係するSDGsの目標
- 目標1:貧困をなくそう
→ 農家さんが正しい値段で売れると、家族が貧困から抜け出せます。 - 目標8:働きがいも経済成長も
→ 子どもが無理に働かされず、学校へ行けるようになり、大人は安心して働けます。 - 目標12:つくる責任 つかう責任
→ 消費者である私たちが「どういう商品を選ぶか」が、世界の未来を決めます。 - 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
→ 生産者・会社・消費者が協力して世界をより良くする動きにつながります。
🔹 SDGsとフェアトレードをつなげて考えると…
- スーパーで「フェアトレードマーク」がついたチョコを選ぶ → 国際協力に参加していることになる
- ちょっと高いけどフェアトレードコーヒーを買う → 貧困や児童労働の問題解決を応援することになる
- 学校でフェアトレードをテーマに発表する → SDGsの学びそのものになる
つまり、フェアトレードは 「買う」という身近な行動がSDGsにつながる、とてもわかりやすい取り組みなんです。
👉 まとめると、フェアトレードは SDGsを実現するカギのひとつ。
「買い物」=「世界を変えるアクション」になる、ということを覚えておきましょう。
フェアトレードの商品例【コーヒー・チョコ・バナナを中心に】
フェアトレードの商品といえば、まず思い浮かぶのが コーヒー・チョコレート・バナナ です。
どうしてこの3つがよく出てくるのか、理由とともに見ていきましょう。
🔹 コーヒー豆
- 世界中で飲まれている人気の飲み物ですが、実は作っているのはアフリカや南米などの農家さん。
- 普通の取引だと「豆の買い取り価格が安すぎて生活できない」ことが問題になっています。
- フェアトレードでは、農家さんが安心して暮らせる価格で買い取る仕組みを取り入れています。
👉 日本では スターバックス や 無印良品 などでフェアトレードのコーヒーを見つけることができます。
🔹 チョコレート(カカオ豆)
- 甘くておいしいチョコレートも、原料はカカオ豆。
- 主にアフリカ(ガーナ、コートジボワールなど)で作られていますが、児童労働が問題になってきました。
- フェアトレードチョコは、子どもが学校に通えるように大人が正しく働ける仕組みを守っています。
👉 バレンタインの時期になると、スーパーや輸入食品店で 「フェアトレードチョコ」 をよく見かけます。
例:People Tree(ピープルツリー)の板チョコは有名ですね。
🔹 バナナ
- スーパーの果物売り場に並ぶバナナも、フィリピンや南米で作られています。
- 普通は安く買いたたかれてしまい、農園で働く人たちの生活が苦しいこともあります。
- フェアトレードのバナナは「環境にやさしい農園」で栽培され、働く人にも公平な賃金が払われます。
👉 日本では イオン や 一部のスーパー で「フェアトレードバナナ」を買うことができます。
🔹 そのほかの商品
実はコーヒー・チョコ・バナナだけでなく、
- 紅茶
- 砂糖
- 綿(Tシャツやエコバッグなど)
- 花(バラなど)
もフェアトレード商品として売られています。
🔹 子ども向けのイメージ
- コーヒー → 大人が飲むイメージ。でも、フェアトレードの代表選手。
- チョコ → 子どもも大好き!「食べるだけで国際協力できる」食品。
- バナナ → 毎日の朝ごはんにも出る、身近なフルーツ。
つまり、フェアトレードは 特別な商品ではなく、みんなの生活にすでにあるもの なんです。
👉 クイズ②
フェアトレードでよく見かける商品はどれでしょう?
- コーヒー・チョコ・バナナ
- お米・パン・牛乳
- 自動車・スマホ
正解は 1. コーヒー・チョコ・バナナ です。
フェアトレードのメリット・デメリット【SDGsとの関係で考える】
フェアトレードは「世界をよくする仕組み」として注目されていますが、いいこと(メリット)だけでなく、まだ課題(デメリット)もあります。
それぞれをSDGsとの関わりといっしょに見ていきましょう。
🔹 フェアトレードのメリット
- 生産者が安心して暮らせる
→ 安定した価格で作物を売れるから、農家さんが貧困から抜け出せる。
👉 SDGs目標1「貧困をなくそう」に貢献。 - 子どもが学校へ行けるようになる
→ 無理に子どもを働かせる必要がなくなり、教育を受けられる。
👉 SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」ともつながる。 - 環境にやさしい農業が広がる
→ 農薬の使いすぎや森の破壊を防ぎ、地球を守る農業ができる。
👉 SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」とも関係。 - 消費者(買う人)も世界に参加できる
→ 日本に住んでいても、商品を選ぶだけで国際協力に参加できる。
👉 SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に直結。
🔹 フェアトレードのデメリット
- 値段が少し高くなる
→ 生産者に正しくお金を払うので、普通の商品より値段が上がることが多い。
👉 でも「高い=悪い」ではなく、「本来の正しい価格」とも言える。 - まだ広まっていない
→ スーパーやコンビニでも、フェアトレード商品が少ない。
👉 「もっと広げよう」という課題が残っている。 - 知っている人が少ない
→ 「フェアトレードって何?」と知らない人も多い。広める活動が必要。
🔹 考えてみよう
「安いほうがいい!」と思うのは自然なこと。
でも、その安さの裏で苦しんでいる人がいるとしたら…?
フェアトレードは「ちょっと高いけど、世界の人を助ける選択肢」。
それを知った上で、自分ならどうするかを考えてみることが大切です。
👉 クイズ③
フェアトレードが「少し値段が高い」と言われるのはなぜでしょう?
- おしゃれなパッケージだから
- 生産者に正しいお金を払っているから
- 日本でしか売られていないから
正解は 2. 生産者に正しいお金を払っているから です。
フェアトレードとエシカル消費の違い【小中学生向けにわかりやすく】
最近「エシカル消費(しょうひ)」という言葉もよく聞かれるようになりました。
フェアトレードとエシカル消費はとても似ていますが、注目するポイントに少しちがいがあります。
🔹 フェアトレードとは?
- 意味:「公平な取引」
- 注目するのは「生産者(作る人)」が正しいお金をもらえているかどうか。
- 例:カカオ農家に正しい対価を払い、子どもが働かされないようにする。
🔹 エシカル消費とは?
- 意味:「人や地球にやさしい買い物」
- 注目するのは「商品やサービス全体」が社会や環境にどう影響しているか。
- 例:リサイクル素材でできた服を選ぶ、地元の野菜を買う、環境に悪い農薬を減らした食品を選ぶ。
🔹 ちがいをまとめると
- フェアトレード → 「取引のしかた」に注目(お金の流れの公平さ)
- エシカル消費 → 「買うもの全部の影響」に注目(環境や人権もふくめた広い考え方)
つまり、フェアトレードはエシカル消費の一部だといえます。
🔹 子どもでもできること
- チョコを買うときに「フェアトレードマーク」を探す
- スーパーで「地元産」の野菜を選ぶ
- マイボトルを持ってペットボトルを減らす
これらはぜんぶ 「世界や未来にやさしい消費」 です。
👉 クイズ④
フェアトレードとエシカル消費の大きなちがいはどこにあるでしょう?
- フェアトレードは公平な取引に注目、エシカル消費は社会や環境全体に注目
- フェアトレードは日本だけ、エシカル消費は世界だけ
- フェアトレードはチョコ限定、エシカル消費は洋服限定
正解は 1. フェアトレードは公平な取引に注目、エシカル消費は社会や環境全体に注目 です。
フェアトレードの歴史と世界の広がり【日本と国際的な取り組み】
🔹 フェアトレードの始まり(ヨーロッパから)
フェアトレードの考え方は、1960年代のヨーロッパ で広まりました。
当時、アフリカやアジアの農家さんたちは「とても安い値段」で作物を売らされていて、生活がとても大変でした。
そこでヨーロッパの市民団体や教会が立ち上がり、
「もっと正しい値段で商品を買おう!」
「ただ安いものを選ぶのではなく、生産者を守ろう!」
とフェアトレード運動が始まったのです。
🔹 世界に広がるフェアトレード
- 1988年:オランダで「フェアトレード認証マーク」が誕生
- 1990年代:イギリスやドイツを中心に、スーパーやコーヒーチェーンで商品が販売されるようになった
- 2000年代以降:世界の人々が「SDGs」や「エシカル消費」に関心を持つようになり、フェアトレードがさらに広がった
今ではヨーロッパを中心に、アメリカ、アジアでも広く知られるようになっています。
🔹 日本でのフェアトレードの広がり
日本にフェアトレードの考え方が入ってきたのは 1990年代。
- NGOやNPOがフェアトレード商品を紹介しはじめた
- 名古屋市が「フェアトレードタウン」に認定されるなど、地域ぐるみの取り組みも増えている
- スターバックス、無印良品、イオンなど身近なお店でもフェアトレード商品を買えるようになった
🔹 フェアトレードとSDGs時代
2015年にSDGsが採択されてから、フェアトレードの重要性はさらに注目されています。
- 貧困や児童労働を減らす
- 環境を守る農業につながる
- 消費者が「選ぶ力」で世界を変えられる
これらはすべてSDGsの目標にぴったり重なっています。
👉 クイズ⑤
フェアトレードが始まったのはどこでしょう?
- 日本
- ヨーロッパ
- アメリカ
正解は 2. ヨーロッパ です。
自由研究・調べ学習のテーマ例【フェアトレードとSDGsをまとめる】
フェアトレードは「買い物で世界を変える」という身近なテーマなので、自由研究や調べ学習にぴったりです。
ここでは小学生・中学生が取り組みやすいアイデアを紹介します。
🔹 テーマ① スーパーでフェアトレード商品を探そう
- 近くのスーパーやコンビニを回って「フェアトレードマーク」がある商品を探す。
- 写真を撮ったり、ノートにスケッチしてまとめる。
- 「普通の商品とどう違うのか」「どんな国から来たのか」を調べて、地図に書き込むとさらに分かりやすい。
👉 例:「チョコレートはガーナから」「バナナはフィリピンから」など。
🔹 テーマ② フェアトレードとSDGsのつながりを表にする
- SDGsの17の目標をプリントアウトして、フェアトレードが関係する番号にチェック。
- 目標1(貧困)、目標8(働きがい)、目標12(つくる責任)、目標17(パートナーシップ)などを自分で説明文つきでまとめる。
- 模造紙に大きな「SDGs × フェアトレードマップ」を作れば発表資料にもなる。
🔹 テーマ③ フェアトレードマークのひみつを調べよう
- 「国際フェアトレード認証マーク」にはどんな意味があるのか?
- なぜコーヒーやチョコに多いのか?
- 世界で共通して使われているのか?
調べてポスター風にまとめると楽しい。
🔹 テーマ④ 値段のちがいを比べてみる
- 普通のチョコとフェアトレードチョコの値段を比べる。
- どうして値段がちがうのかを調べてグラフにする。
- 「高いけれど生産者の生活を守っている」という説明をつければ説得力が出る。
🔹 テーマ⑤ 家族や友だちにアンケートしてみる
- 「フェアトレードを知っていますか?」
- 「高くても買いたいと思いますか?」
アンケートを取って円グラフにまとめる。
→ 自分の身近な人の意識を調べることで、社会調査にもなります。
🔹 テーマ⑥ 世界のフェアトレードタウンを調べる
- 日本では名古屋市や逗子市などが「フェアトレードタウン」に認定されています。
- 世界ではイギリスやドイツを中心に広がっている。
- 自分の住む地域もフェアトレード活動をしているか調べてみる。
👉 ポイントは、
- 「見つける」(スーパーで探す)
- 「調べる」(SDGsやマークの意味を調べる)
- 「まとめる」(表・地図・ポスターにする)
この3ステップで研究テーマにすると、とても完成度の高い自由研究になります。
📝 フェアトレードおさらいクイズ
ここまでの記事を読んで、フェアトレードについてだいぶわかってきたかな?
最後にクイズでふり返ってみましょう!
クイズ① フェアトレードの意味はなに?
- 楽しい取引
- 公平な取引
- 高いものを売ること
正解は 2. 公平な取引 です。
生産者が正しくお金をもらえる仕組み、それがフェアトレードです。
クイズ② フェアトレードが関係するSDGsの目標はどれ?
- 目標1「貧困をなくそう」
- 目標8「働きがいも経済成長も」
- 目標12「つくる責任 つかう責任」
- 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
- ぜんぶ
正解は 5. ぜんぶ です。
フェアトレードは「貧困」「働き方」「責任ある消費」「協力」という4つの目標と強く関わっています。
クイズ③ フェアトレードでよく見かける商品は?
- コーヒー・チョコ・バナナ
- 牛乳・パン・お米
- 自動車・スマホ
正解は 1. コーヒー・チョコ・バナナ です。
この3つはスーパーやコンビニでも見つけやすいフェアトレード商品です。
クイズ④ フェアトレードが少し値段が高いのはなぜ?
- おしゃれなパッケージだから
- 生産者に正しいお金を払っているから
- 日本限定の商品だから
正解は 2. 生産者に正しいお金を払っているから です。
「高い」のではなく「本来の正しい値段」と言えるのです。
クイズ⑤ フェアトレードが始まったのはどこ?
- 日本
- ヨーロッパ
- アメリカ
正解は 2. ヨーロッパ です。
1960年代にヨーロッパの市民団体から始まった運動が世界に広がりました。
🌍 まとめ【フェアトレードでSDGsに参加しよう】
フェアトレードは、遠い国の農家さんや労働者を守るための「公平な取引」です。
- チョコやコーヒー、バナナを買うときに「フェアトレードマーク」を選ぶ
- 少し高くても「正しい値段で買う」ことを意識する
- SDGsの目標(貧困・働きがい・責任ある消費・協力)につながっていると知る
こうした小さな行動が、世界を大きく変えていく力になります。
🔹 子どもへのメッセージ
「フェアトレードの商品を買う」=「ただのお買い物」ではなく、世界をよくする一歩 です。
友だちや家族と話題にしたり、自由研究にまとめたりすれば、自分の学びがまわりに広がっていきます。
🔹 大人へのメッセージ
フェアトレードは、子どもたちの学びのテーマであると同時に、私たち大人が考えるべき「未来の社会のあり方」でもあります。
家庭の買い物や学校の授業から始められる国際協力。
それがフェアトレードなのです。
👉 まとめると、フェアトレードは身近な買い物から始められるSDGsの実践。
今日からできる「世界を変える小さな一歩」として、ぜひ心に残してください。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。