
夜の暗いお寺で「耳なし芳一」が琵琶をひくと、平家の亡霊があらわれる…。
雪の夜に美しい「雪女」が出てきて、ヒミツを守らなかった男に恐ろしい運命が…。
こんなドキドキする日本の怪談を世界に広めたのが、小泉八雲(こいずみ やくも) です。
でも実は、小泉八雲は日本人ではなく、外国で生まれた人だったって知っていましたか?
この記事では、小泉八雲の生涯や「耳なし芳一」「雪女」などの代表作、そして彼が大切にした考え方をやさしく紹介します。
自由研究や調べ学習にも役立つクイズつきなので、物語を楽しみながら日本文化のふしぎを探ってみましょう!
小泉八雲とは?【本名・出身・日本名・帰化の理由】
小泉八雲(こいずみ やくも)は、日本の怪談を世界に広めた作家です。
しかし、もともとは日本人ではなく 外国生まれ でした。
- 本名はラフカディオ・ハーン。1850年にギリシャのレフカダ島で生まれました。
- 父はアイルランド人の軍医、母はギリシャ人。幼いころに両親と離れ、複雑な環境で育ちました。
- その後、アイルランドやフランスで教育を受けますが、視力を失いかけるほどのけがを負うなど苦労も多かったといわれています。
青年になってからはアメリカへ渡り、新聞記者として活躍。記事を書く力や観察力を身につけました。
そして明治時代の日本に魅了されて来日します。
来日後は 島根県松江 に住み、日本人女性と結婚。
そのとき妻の姓「小泉」を名乗り、日本国籍を取得して「小泉八雲」となりました。
👉 外国で生まれながら日本に帰化し、日本文化を深く愛した人物なのです。
クイズ① 小泉八雲の本名はどれでしょう?
- チャールズ・ディケンズ
- ラフカディオ・ハーン
- アーネスト・ヘミングウェイ
正解は 2. ラフカディオ・ハーン です。
👉 「小泉八雲」という名前は日本に帰化してから名乗ったもの。外国生まれだった彼が日本文化を心から愛した証でもあります。
小泉八雲の生涯【ギリシャ生まれから日本定住まで】
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生涯は、まるで冒険物語のように世界をめぐる旅でした。
幼少期〜青年期(ギリシャ・アイルランド時代)
- 1850年、ギリシャのレフカダ島で誕生。
- 父はアイルランド人、母はギリシャ人。しかし家庭の事情で幼いころに母と離れ、アイルランドの親戚に育てられます。
- 学校時代に不運な事故で左目の視力を失い、片目での生活を強いられました。
👉 この体験が彼の「見えないもの」への関心を深めたとも言われています。
渡米と記者時代(アメリカ)
- 19歳でアメリカへ移住し、新聞記者として働き始めます。
- 犯罪記事や社会問題を取材する中で、文章力と観察力を養いました。
- ニューオーリンズやカリブ海の島々を取材し、異文化への興味をどんどん深めていきました。
来日と日本文化との出会い(明治日本)
- 1890年、39歳のときに日本へ。英字新聞の記者として来日しました。
- まず島根県松江市に滞在し、日本人女性・小泉セツと結婚。
- この結婚をきっかけに日本国籍を取得し、「小泉八雲」と名乗ります。
👉 日本文化を「外から見る目」と「中から体験する心」の両方を持つ特別な存在となりました。
教育者としての活動
- 熊本の第五高等中学校(現在の熊本大学)や、東京帝国大学(現在の東京大学)で英文学を教える教師に。
- ただ作家として有名なだけでなく、教育者としても多くの日本人学生に影響を与えました。
クイズ② 小泉八雲が日本に来たのはいつごろ?
- 江戸時代の終わり(1860年代)
- 明治時代のはじめ(1890年ごろ)
- 昭和時代の戦後(1950年ごろ)
正解は 2. 明治時代のはじめ(1890年ごろ) です。
👉 八雲は明治日本の近代化を間近で体験し、その文化や人々を世界に伝えました。
小泉八雲の代表作【耳なし芳一・雪女・怪談集】
小泉八雲が世界に知られるようになったのは、日本の昔話や怪談を集めて紹介した作品のおかげです。
「怖い話」として有名ですが、そこには日本の文化や心が映し出されています。
耳なし芳一(みみなしほういち)
- 舞台は平家物語の伝説が残る下関。
- 琵琶法師(びわほうし)の芳一は、平家の亡霊に取り囲まれてしまいます。
- 僧が彼を守るために体に経文を書きますが、耳にだけ書き忘れてしまい……。
👉 ただの怪談ではなく「信仰心」「語りの力」の大切さを伝える物語です。
雪女(ゆきおんな)
- 雪の夜に現れる美しい女性の怪談。
- 若者が雪女と出会い、命を助けられるが「出会ったことを誰にも話すな」と言われます。
- しかし後に妻に話してしまい……正体が雪女であったことが明かされるのです。
👉 日本の自然や季節の厳しさ、人と自然の境界が描かれた物語です。
『怪談(Kwaidan)』
- 小泉八雲の代表的な作品集。
- 「耳なし芳一」や「雪女」などを収録。
- 幽霊・妖怪の話だけでなく、昆虫の話などもあり、多様な日本文化を紹介しています。
👉 英語で出版され、世界中に「日本の不思議な物語」として知られるようになりました。
クイズ③ 小泉八雲の代表作にふくまれる怪談はどれでしょう?
- 耳なし芳一
- 桃太郎
- 鶴の恩返し
正解は 1. 耳なし芳一 です。
👉 「桃太郎」や「鶴の恩返し」も有名な昔話ですが、八雲がまとめた『怪談』には入っていません。
小泉八雲と日本文化【怪談を集めた理由】
小泉八雲が「怪談作家」として知られるのは、ただ怖い話を集めたからではありません。
彼が本当に大切にしたのは、日本人が昔から持っていた 心のあり方や文化 でした。
日本の民話や昔話に魅了された
- 八雲は日本に来て、庶民が語り継いできた「怪談」や「民話」に出会いました。
- それは、ただ怖いだけでなく「自然への畏れ」「人の心の弱さや優しさ」を映し出していたのです。
- 外国のホラーと違い、日本の怪談には「静けさ」「余韻」「あいまいさ」があることに感動しました。
外国人だからこそ気づけた日本の良さ
- 当時の日本人にとっては「当たり前」で、特に残そうとは思わなかった話も、八雲には宝物のように感じられました。
- 「記録しておかなければ消えてしまう文化」だと考え、作品としてまとめました。
- 日本の「見えないものを敬う心」を世界に紹介しようとしたのです。
教育者としての使命感
- 八雲は松江・熊本・東京で教師を務めました。
- 学生たちに「自分の文化のすばらしさを誇りに思ってほしい」と伝えるために怪談を題材に選びました。
- その背景には「日本文化を次の世代へ残す」という思いがありました。
クイズ④ 小泉八雲が怪談を集めた理由として正しいのはどれでしょう?
- 日本人を怖がらせて楽しませるため
- 日本文化を記録し、世界に紹介するため
- 外国のホラー小説をまねするため
正解は 2. 日本文化を記録し、世界に紹介するため です。
👉 八雲の怪談は「ただの怖い話」ではなく、日本文化を守り伝えるための文学だったのです。
小泉八雲の思想【見えないものを大切にする心】
小泉八雲の作品を読むと、ただ「怖い!」と感じるだけではなく、大切なメッセージ が隠されていることに気づきます。
怪談は「人の心」を描く文学
- 八雲の怪談には、必ず「人の心の弱さ・やさしさ・恐れ」が描かれています。
- 例えば「雪女」では、人間が自然に抱く恐怖や、約束を守る心がテーマになっています。
- 「耳なし芳一」では、忠義や信仰の力が怪談の背景にあります。
👉 怪談は単なる娯楽ではなく、人間の本質を映す文学でした。
「見えないものを大切にする」姿勢
- 八雲は「目に見えないもの」をとても重視しました。
- 幽霊や妖怪といった存在を、迷信や作り話だと切り捨てず、「そこに込められた人々の思い」に価値を見いだしたのです。
- これは「自然への畏れ」「ご先祖を敬う心」といった、日本人の文化や宗教観につながります。
現代にも通じる考え方
- 八雲の姿勢は、今の社会にも通じます。
- SDGsで語られる「文化を守ること」「多様性を尊重すること」に似ています。
- 「数字や目に見える利益だけでなく、人の心や文化を大切にしよう」という八雲の考えは、現代の生き方にもヒントを与えてくれます。
クイズ⑤ 小泉八雲が作品を通して伝えた大切な考え方はどれでしょう?
- 幽霊は本当にいると信じさせること
- 見えないものにこそ人の心や文化が宿ること
- 日本より外国の文化が優れていること
正解は 2. 見えないものにこそ人の心や文化が宿ること です。
👉 八雲は「幽霊がいるかどうか」ではなく、それを信じてきた人々の心に価値を見出したのです。
自由研究・調べ学習におすすめ!【小泉八雲をテーマにする】
小泉八雲は「耳なし芳一」や「雪女」といった有名な怪談を残しただけでなく、
日本文化を外国人の視点から紹介した特別な存在です。
だからこそ、自由研究や調べ学習のテーマ にするのにピッタリです。
アイデア① 好きな怪談を選んでまとめる
- 「耳なし芳一」「雪女」「むじな」など、自分が気になる作品を1つ選ぶ。
- あらすじをまとめるだけでなく、「この話から何を学べるか」を自分の言葉で書く。
👉 例えば「耳なし芳一」なら → 信仰や約束の大切さ。
👉 「雪女」なら → 人間と自然の関わり、約束を守ることの意味。
アイデア② 日本の怪談と外国のホラーを比べる
- 日本の怪談は「静けさ」「あいまいさ」「自然とのつながり」が特徴。
- 西洋のホラーは「直接的で派手」「恐怖を強調する」傾向がある。
👉 似ている点とちがう点を表にまとめると発表でわかりやすい。
アイデア③ 八雲が住んだ土地を調べる
- 松江(島根県)、熊本、東京など、八雲が過ごした場所を地図にまとめる。
- 写真やイラストを添えると「文学マップ」として楽しめる。
👉 「松江の八雲記念館」など実際に行ける場所も調べれば、社会科や総合学習にもつながる。
アイデア④ 同じ時代の人物と比べる
- 夏目漱石(文学)、福沢諭吉(教育)、坪内逍遥(文学)などと比較。
- 「八雲は外国人として日本をどう見たか?」を視点にすると研究が深まる。
アイデア⑤ 八雲の「文化を守る姿勢」を現代とつなげる
- 八雲は「見えないものを大切に」した → 今のSDGs「文化を守る」「多様性を尊重する」に似ている。
- 自分のまわりにある「残したいもの(地域の昔話・祭り・習慣)」を探してみる。
👉 自分の生活と八雲の考えをリンクさせることで、オリジナリティある研究になる。
✅ 自由研究のコツは「まとめる+自分の考えを書く」こと。
小泉八雲の怪談を調べるだけでなく、そこから「何を感じたか」「今とどうつながるか」を書けば、先生やクラスメイトにとっても印象に残る研究になります。
おさらいクイズ【小泉八雲】
記事を読んで学んだことをふり返ってみましょう。自由研究や授業の復習にもぴったりです。
クイズ① 小泉八雲の本名は?
- アーネスト・ヘミングウェイ
- ラフカディオ・ハーン
- チャールズ・ディケンズ
正解は 2. ラフカディオ・ハーン です。
👉 ギリシャで生まれ、アイルランドで育った外国人でしたが、日本に帰化して「小泉八雲」と名乗りました。
クイズ② 小泉八雲が日本に来たのはいつごろ?
- 江戸時代(幕末)
- 明治時代のはじめ(1890年ごろ)
- 昭和の戦後
正解は 2. 明治時代のはじめ(1890年ごろ) です。
👉 明治日本の文化や人々に魅了され、日本で暮らすことを決めました。
クイズ③ 小泉八雲の代表作にふくまれる怪談はどれ?
- 耳なし芳一
- 桃太郎
- 鶴の恩返し
正解は 1. 耳なし芳一 です。
👉 「雪女」や「むじな」といった作品も『怪談』に収録されています。
クイズ④ 小泉八雲が怪談を集めた理由は?
- 日本人を怖がらせて楽しませるため
- 日本文化を記録し、世界に紹介するため
- 外国のホラー小説をまねするため
正解は 2. 日本文化を記録し、世界に紹介するため です。
👉 怪談を通じて、日本人の心や生活を海外に伝えたのです。
クイズ⑤ 小泉八雲が作品を通して伝えた大切な考え方は?
- 幽霊は本当にいると信じさせること
- 見えないものにこそ人の心や文化が宿ること
- 日本より外国の文化が優れていること
正解は 2. 見えないものにこそ人の心や文化が宿ること です。
👉 八雲は「怖い話」ではなく、人々の心に込められた文化を大切にしました。
✅ このクイズを自分で友達に出してみたり、プリントにまとめたりすれば、そのまま自由研究の一部になります。
まとめ【小泉八雲は日本文化を世界に伝えた作家】
- 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、外国生まれでありながら日本に帰化し、日本文化を世界に紹介した作家。
- 代表作「耳なし芳一」「雪女」を収めた『怪談』は、今でも広く読まれている。
- 彼が大切にしたのは「見えないものを敬う心」や「文化を残そうとする姿勢」。
- 松江や熊本で暮らし、教育者として日本の学生に文化の大切さを伝えた。
- その考えは、現代の SDGs「文化を守る」「多様性を尊重する」 にもつながる。
👉 小泉八雲の生涯や作品を学ぶことは、日本の昔話を知るだけでなく、「自分たちの文化をどう残すか」を考えるきっかけになります。
自由研究のテーマにも最適で、歴史・文学・社会・文化を横断的に学べる題材です。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。