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電気の仕組みと使われ方|回路・電流・電圧から電磁石・発電までを一つの流れで理解する【小中学生向け】

電気は、回路をつなぐと流れ、
光になったり、動きになったり、音になったりします。
乾電池と豆電球、モーター、磁石、発電機。
一見すると別々の装置ですが、どれも同じ電気のはたらきを利用しています。

電流はどのように流れているのか。
なぜ回路は一周していないといけないのか。
電気と磁石は、どこで、どのようにつながっているのか。
そして、電気はどのように作られ、使われているのか。

この記事では、回路・電流・電圧といった基本から、
電磁石、モーター、電磁誘導、発電までを、
順を追って整理していきます。

個々の現象を切り離して覚えるのではなく、
電気の流れとエネルギーの変換として、
全体のつながりが見えるように進めていきましょう。


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  1. 電気とは何か
    1. 電気は「見えないけれど、はたらきは見える」
    2. 電気はエネルギーの一種
    3. 電気は「流れる」ときに力を発揮する
    4. なぜ電気は一周しないと流れないのか
    5. 電気はどこから生まれるのか
    6. この記事で学ぶ電気の全体像
  2. 電気を流すために必要な条件
    1. 電気が流れるとはどういうことか
    2. 電気を流すための三つの要素
    3. 電源 ― 電気を生み出すもと
    4. 導線 ― 電気の通り道
    5. 利用する部分(負荷) ― 電気を使う場所
    6. 回路とは何か
    7. なぜ「一周」する必要があるのか
    8. クイズ① 電気が流れるために必要な条件
  3. 乾電池の役割
    1. 乾電池は「電気をためている」わけではない
    2. 乾電池の中で起きていること
    3. プラス極とマイナス極の意味
    4. 電気の向きは「決まり」として決められている
    5. 乾電池が消耗するとはどういうことか
    6. 乾電池はエネルギー変換のスタート地点
  4. 豆電球が光る理由
    1. 豆電球は「電気が通ったから」光るのではない
    2. フィラメントとは何か
    3. なぜ熱くなると光るのか
    4. 豆電球は熱もたくさん出している
    5. 明るさは何で決まるのか
    6. 光っている間、エネルギーはどうなっているか
    7. 豆電球はエネルギー変換を学ぶ入り口
  5. 回路が切れるとなぜ電気は流れないのか
    1. 電気は「粒」が動いていると考えてみよう
    2. 一つの粒が動くと、次の粒も動く
    3. ところてんのように押し出されるイメージ
    4. なぜ「一周」していないとだめなのか
    5. スイッチは何をしているのか
    6. 電気は「行って帰ってくる」
    7. この考え方が後の学習につながる
  6. 直列つなぎと並列つなぎ
    1. つなぎ方が変わると、何が変わるのか
    2. 直列つなぎとはどんなつなぎ方か
    3. 直列つなぎでは電流はどうなるか
    4. 直列つなぎで暗くなる理由
    5. 並列つなぎとはどんなつなぎ方か
    6. 並列つなぎでは電流はどうなるか
    7. 並列つなぎで明るさが変わらない理由
    8. どちらかが切れたらどうなるか
    9. クイズ② 直列と並列のちがい
  7. 電流とは何か
    1. 電流は「電気の量」ではなく「流れ方」
    2. 電子は速く動いているのか?
    3. 電流が大きい・小さいとはどういうことか
    4. 電流の向きはなぜ決められているのか
    5. 電流は回路のどこでも同じなのか
    6. 並列回路では電流はどうなるか
    7. 電流は何で決まるのか
    8. 電流を数で表すということ
  8. 電圧とは何か
    1. 電圧は「電気を押し出す力」
    2. ところてんで考える電圧
    3. 電圧がなければ電流は流れない
    4. 電圧はどこで生まれるのか
    5. 電圧は回路のどこにかかっているのか
    6. 電圧が大きい・小さいとはどういうことか
    7. 電圧は数で表せる
    8. 電流と電圧の役割の違い
    9. クイズ③ 電圧について正しいのはどれ?
  9. 電気と磁石の関係
    1. 電気と磁石は別物だと思われていた
    2. 電流のまわりには何が起きているのか
    3. 磁界は目に見えないが、たしかに存在する
    4. 磁石のまわりにも磁界がある
    5. なぜこの関係が重要なのか
    6. 電気と磁気はセットで考える
    7. 次につながるポイント
  10. 電磁石とは何か
    1. 電磁石は「電気でつくる磁石」
    2. コイルに電流を流すとなぜ磁石になるのか
    3. コイルは「磁界を集める装置」
    4. 鉄しんを入れるとなぜ強くなるのか
    5. 電磁石と永久磁石のちがい
    6. 電磁石はどこで使われているか
    7. 電磁石は電気と磁気の結びつきそのもの
  11. 電磁石の強さを決める条件
    1. 電磁石の強さとは何を指すのか
    2. 条件① 電流の大きさ
    3. 条件② コイルの巻き数
    4. 条件③ 鉄しんの有無と種類
    5. 三つの条件の関係を整理する
    6. なぜこれ以上強くできない場合があるのか
    7. 電磁石の強さの考え方はどこにつながるか
    8. クイズ④ 電磁石を強くする方法
  12. 右ねじの法則
    1. なぜ「向き」を考える必要があるのか
    2. 右ねじの法則とは何か
    3. まっすぐな導線での右ねじの法則
    4. コイルの場合の右ねじの法則
    5. 手を使った考え方(右手の法則)
    6. なぜ「右」なのか
    7. 右ねじの法則は何のためにあるのか
    8. 次につながるポイント
  13. モーターの仕組み
    1. モーターは「電気を動きに変える装置」
    2. 磁界の中を電流が流れると何が起こるか
    3. 力の向きはどう決まるのか
    4. フレミングの左手の法則
    5. 回転はどうやって生まれるのか
    6. 回り続けるための工夫
    7. モーターは電磁石の応用
    8. モーターの向きと右ねじ・左手の法則
    9. 次につながるポイント
  14. 電磁誘導とは何か
    1. 磁石を動かすと、なぜ電気が生まれるのか
    2. 電磁誘導は「磁界の変化」がカギ
    3. コイルと磁石で考える電磁誘導
    4. なぜ磁界が変わると電流が生まれるのか
    5. 電磁誘導で生まれる電流の向き
    6. 電磁誘導はモーターの逆
    7. 電磁誘導はどこで使われているか
    8. 電磁誘導で重要なポイント
  15. 発電の仕組み
    1. 発電とは何をしているのか
    2. 発電の基本は電磁誘導
    3. 磁石とコイルの役割分担
    4. 回転運動が電気を生む理由
    5. 交流が生まれるしくみ
    6. モーターとの共通点とちがい
    7. 身の回りの発電方法
    8. 太陽光発電は少し違う
    9. 発電はエネルギー変換の連続
  16. エネルギー保存の法則
    1. エネルギーは消えてしまうのか
    2. 「保存」とはどういう意味か
    3. 豆電球でエネルギーを考える
    4. モーターと発電でのエネルギーの流れ
    5. 「無駄なエネルギー」は本当に無駄か
    6. 効率とは何を比べているのか
    7. エネルギー保存の法則が教えてくれること
    8. これまでの内容を一本でまとめる
    9. クイズ⑤ エネルギー保存の法則
  17. 白熱電球とLEDの比較
    1. 電球は「光を出す装置」ではない
    2. 白熱電球の仕組み
    3. 白熱電球はなぜ熱くなるのか
    4. LEDの仕組み
    5. LEDはなぜ効率がよいのか
    6. 「熱」は本当に無駄なのか
    7. 目的に応じた選択という考え方
    8. 電球の比較から見えてくること
  18. 抵抗とは何か
    1. 抵抗は「電気の流れにくさ」
    2. 導線の中では何が起きているのか
    3. 抵抗があるとなぜ熱が出るのか
    4. 抵抗は「じゃま」なのか
    5. 抵抗の大きさは何で決まるのか
    6. 抵抗が変わると電流はどうなるか
    7. 抵抗はエネルギー変換の場
    8. 次につながるポイント
  19. 電流・電圧・抵抗の関係とオームの法則
    1. 三つの量はどうつながっているのか
    2. ところてんモデルで三つをまとめる
    3. オームの法則とは何か
    4. 式が意味していることを読む
    5. なぜ計算できるようになるのか
    6. オームの法則は「流れを予測する道具」
    7. 熱との関係をもう一度整理する
    8. クイズ⑥ オームの法則の考え方
  20. 自由研究・探究向け実験アイデア
    1. 実験① 回路のつなぎ方で電流はどう変わるか
    2. 実験② 電磁石の強さを決める条件を調べる
    3. 実験③ モーターの回転と条件の関係
    4. 実験④ 簡単な発電モデルを作る
    5. 実験⑤ 電球とLEDのエネルギー比較
    6. 探究を深めるための問い
  21. おさらいクイズ
    1. クイズ①
    2. クイズ②
    3. クイズ③
    4. クイズ④
    5. クイズ⑤
  22. まとめ

電気とは何か

電気は「見えないけれど、はたらきは見える」

私たちの身の回りには、電気を使ったものがあふれています。
部屋を明るくする電灯、音を出すスピーカー、回転する扇風機、情報をやり取りするスマートフォン。
けれども、「電気そのもの」を見たことがある人はいないはずです。

電気は、目に見える物質ではありません。
電気は エネルギーの一つの姿 であり、「流れる」「はたらく」ことで、その存在が分かります。

この「見えないけれど、はたらきで分かる」という特徴は、この記事全体を通してとても大切な考え方になります。


電気はエネルギーの一種

エネルギーとは、「仕事をする力」や「変化を起こす力」のことです。
たとえば、

  • 物を動かす力
  • 明るく照らす力
  • 音を出す力
  • 物を温める力

これらはすべてエネルギーのはたらきです。

電気は、そのエネルギーの一つで、
光になったり、動きになったり、音になったり、熱になったり します。

この記事では、電気を
「何か特別なもの」
としてではなく、
エネルギーが形を変えて使われている例
として整理していきます。


電気は「流れる」ときに力を発揮する

電気には大きな特徴があります。
それは、流れることで初めてはたらく という点です。

電池を机の上に置いてあるだけでは、豆電球は光りません。
電線でつなぎ、電気が一周できる道を作ってはじめて、電気は流れ、豆電球は光ります。

つまり、

  • 電気は流れないと意味がない
  • 電気は「道」が必要

という性質をもっています。

この「電気の通り道」を、理科では 回路 と呼びます。


なぜ電気は一周しないと流れないのか

電気は、途中で止まってしまうことができません。
電池から出た電気は、ぐるりと回って、再び電池にもどる必要があります。

途中で道が切れていると、
電気は行き場を失い、流れそのものが起こらなくなります。

この性質は、

  • スイッチがなぜ電気を止められるのか
  • 家の中で電気が安全に使える理由

とも深く関係しています。

後の章では、この「一周する」という考え方が、
直列回路・並列回路、電流や電圧の理解につながっていきます。


電気はどこから生まれるのか

電気は自然にわいてくるものではありません。
必ず、別のエネルギーから変換されて生まれます

たとえば、

  • 乾電池:化学エネルギー → 電気エネルギー
  • 発電所:運動エネルギー → 電気エネルギー
  • 太陽電池:光エネルギー → 電気エネルギー

電気は、エネルギーの「中継役」のような存在です。
作り出され、運ばれ、別の形に変えられて使われます。


この記事で学ぶ電気の全体像

これからこの記事では、

  • 電気がどのように流れるのか
  • 電気と磁石がどのようにつながっているのか
  • 電気がどんな形に変換されて利用されているのか
  • その関係を表す法則や式は何を意味しているのか

を、順番に整理していきます。

電気を
「暗記するもの」
ではなく、
エネルギーの動きとして理解すること
を目標に、先へ進んでいきましょう。


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電気を流すために必要な条件

電気が流れるとはどういうことか

「電気が流れる」とは、電気エネルギーが回路の中を移動している状態のことです。
水が高いところから低いところへ流れるように、電気も条件がそろったときにだけ流れます。

このとき大切なのは、
電気は勝手に動くのではなく、流れるための仕組みが必要
という点です。

その仕組みを正しく整えないと、電気は流れません。


電気を流すための三つの要素

電気を流すためには、次の三つがそろっている必要があります。

1つ目は 電源
2つ目は 導線
3つ目は 利用する部分(負荷) です。

この三つが正しくつながって、はじめて電気は流れます。


電源 ― 電気を生み出すもと

電源は、電気エネルギーを生み出すもとです。
乾電池や発電所がこれにあたります。

電源の役割は、
電気を押し出す力を生み出すこと
です。

この「押し出す力」は、後の章で学ぶ 電圧 と深く関係しています。


導線 ― 電気の通り道

導線は、電気が通る道です。
多くの場合、金属の電線が使われます。

金属の中には、電気が流れやすい性質があります。
このような物質を 導体 と呼びます。

もし導線が途中で切れていると、電気は流れません。
これは、電気が「一周して流れる」性質をもっているからです。


利用する部分(負荷) ― 電気を使う場所

電気は流れるだけでは意味がありません。
使われる場所 があって、はじめて役に立ちます。

豆電球なら光になりますし、
モーターなら回転になります。

このように、電気エネルギーが別の形に変換される部分を 負荷 と呼びます。


回路とは何か

電源・導線・負荷が、
切れ目なく一周する形でつながっている状態
これを 回路 といいます。

回路が完成していないと、電気は流れません。

  • 途中が切れている
  • どこかがつながっていない

このような場合、電気は動き出せないのです。


なぜ「一周」する必要があるのか

電気は、行きっぱなしで終わることができません。
必ず、電源にもどる道が必要です。

もし一周できなければ、
電気は途中で止まり、流れそのものが起こらなくなります。

この考え方は、

  • スイッチが電気を止められる理由
  • 家庭の安全な配線

にもつながっています。


クイズ① 電気が流れるために必要な条件

次のうち、電気が流れるために 必ず必要なもの はどれでしょう?

  1. 電池・導線・豆電球が一周つながっていること
  2. 電池が2本以上あること
  3. 導線ができるだけ長いこと

正解は 1 です。
👉 電気は、電源・導線・負荷が切れ目なく一周してつながった回路ができて、はじめて流れます。


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乾電池の役割

乾電池は「電気をためている」わけではない

乾電池を見ると、「中に電気がたまっている」と思ってしまいがちです。
しかし、実際には 電気そのものがたまっているわけではありません

乾電池の中には、電気を生み出すための 材料 が入っています。
電気は、回路がつながったときに、乾電池の中で起こる反応によって生まれます。

つまり乾電池は、
電気を保存している箱ではなく、電気を作り出す装置
だと考える方が正確です。


乾電池の中で起きていること

乾電池の中では、目には見えない 化学反応 が起きています。

この化学反応によって、

  • 電子(電気の正体となる粒)が動きやすくなり
  • 電子が一方向に移動しようとする力が生まれます

このとき、
化学エネルギーが電気エネルギーに変換 されています。

回路がつながっていないときは、
電子が動く道がないため、反応はほとんど進みません。

回路をつないだ瞬間に、
乾電池の中と外で電気の流れが始まります。


プラス極とマイナス極の意味

乾電池には、プラス極(+)とマイナス極(−)があります。

この二つは、
電気を押し出す力に差がある場所
だと考えると分かりやすくなります。

  • マイナス極:電子が多く集まろうとする
  • プラス極:電子が不足し、引き寄せられやすい

この差があることで、
電子はマイナス極からプラス極へ向かって動こうとします。

この「動こうとする力」が、
後で学ぶ 電圧 の正体です。


電気の向きは「決まり」として決められている

実際には、電子はマイナス極からプラス極へ動いています。
しかし、理科では 電流の向き を、

プラス極 → マイナス極

と決めて考えます。

これは歴史的に決められた約束で、
考えやすくするための ルール です。

この記事でも、この決まりに従って説明を進めていきます。


乾電池が消耗するとはどういうことか

乾電池を使い続けると、やがて電気が流れなくなります。
これは、中の化学反応が進み、
電気を生み出す材料が使われてしまった状態 です。

エネルギーが「消えた」のではありません。
化学エネルギーが電気エネルギーに変換され、
さらに光や熱などに変わって使われただけなのです。

この考え方は、後で学ぶ エネルギー保存の法則 につながります。


乾電池はエネルギー変換のスタート地点

乾電池は、回路の中で最初にエネルギーを供給する場所です。

  • 乾電池:化学エネルギー → 電気エネルギー
  • 豆電球:電気エネルギー → 光・熱
  • モーター:電気エネルギー → 運動

このように、
乾電池は エネルギー変換の出発点 となっています。


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豆電球が光る理由

豆電球は「電気が通ったから」光るのではない

豆電球に電気を流すと光ります。
しかし、これは「電気が通ったから光った」という単純な話ではありません。

大切なのは、
電気エネルギーが別の形に変換された結果として光が出ている
という点です。

豆電球は、
電気エネルギー → 光エネルギー・熱エネルギー
という変換が起こる装置だと考えることができます。


フィラメントとは何か

豆電球の中には、フィラメント と呼ばれる細い金属の線が入っています。
このフィラメントは、とても細く、電気が流れにくい性質をもっています。

電気が流れにくい場所に電流が流れると、

  • 電気エネルギーが熱エネルギーに変わり
  • フィラメントの温度が非常に高くなります

このとき、フィラメントは白く熱せられ、光を出します。


なぜ熱くなると光るのか

物質は、温度が高くなると光を出すことがあります。
たとえば、熱した鉄が赤く光るのも同じ理由です。

フィラメントは、

  • 非常に高温になる
  • その結果、目に見える光を出す

という性質を利用しています。

つまり豆電球は、
「熱を出すことで光を得ている」装置
なのです。


豆電球は熱もたくさん出している

豆電球をしばらくつけていると、
ガラス部分がとても熱くなります。

これは、電気エネルギーの多くが
光ではなく熱に変換されている
ことを意味します。

この点は、後の章で学ぶ LED との比較で重要になります。


明るさは何で決まるのか

豆電球の明るさは、
フィラメントに流れる電流の大きさ によって変わります。

  • 電流が大きい → より熱くなる → 明るく光る
  • 電流が小さい → あまり熱くならない → 暗くなる

この関係は、直列つなぎ・並列つなぎの理解にもつながります。


光っている間、エネルギーはどうなっているか

豆電球が光っている間、
電気エネルギーは次々に、

  • 光エネルギー
  • 熱エネルギー

へと変換されています。

エネルギーが消えているわけではありません。
形を変えて、外に出ているだけです。

この考え方は、
後の エネルギー保存の法則 の理解に直結します。


豆電球はエネルギー変換を学ぶ入り口

豆電球は、構造が単純で、変化が分かりやすいため、
電気の学習の最初にとてもよく使われます。

  • 電気が流れる
  • 熱が出る
  • 光が出る

この三つを一度に観察できるからです。

豆電球は、
電気エネルギーの変換を目で確かめられる教材
だと言えるでしょう。


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回路が切れるとなぜ電気は流れないのか

電気は「粒」が動いていると考えてみよう

まず、電気をとても小さな  の集まりだと考えてみましょう。
この粒は、実際には 電子 と呼ばれるものです。

電子は、回路の中をバラバラに飛び回っているわけではありません。
導線の中には、もともとたくさんの電子が並んで存在しています。

電気が流れるとは、
この電子たちが少しずつ動くこと
だと考えることができます。


一つの粒が動くと、次の粒も動く

電子は、1つだけが勝手に動くことはできません。
前にある電子を押し、後ろからも押されながら、
列になって動きます

イメージとしては、

  • 電子が1つ動く
  • すると、となりの電子が押される
  • そのまたとなりも押される

というように、
連なって影響が伝わる 形です。


ところてんのように押し出されるイメージ

ここで、とても分かりやすいたとえがあります。
それが ところてん です。

ところてんを筒に入れて押すと、

  • 後ろから押す
  • 中身全体が少しずつ動く
  • 反対側から、同時に出てくる

ということが起こります。

電気の流れも、これとよく似ています。

  • 電池が電子を押す
  • 導線の中の電子全体が少しずつ動く
  • 反対側でも、同時に電子が動き出す

一つずつが遠くまで移動しているわけではない
という点が、とても重要です。


なぜ「一周」していないとだめなのか

ところてんの筒を思い出してください。
もし途中で筒が切れていたら、どうなるでしょうか。

  • 押しても力が伝わらない
  • 中身は動かない

電気も同じです。

回路が途中で切れていると、

  • 電子を押しても
  • 押された力が伝わらず
  • 全体として動きが起こらない

そのため、電気は流れません。

電気が流れるためには、
押した力が最後まで伝わり、元にもどってこられる道
が必要なのです。


スイッチは何をしているのか

スイッチは、回路を
つなぐ/切る
ための装置です。

  • スイッチON:回路が一周し、電子が動ける
  • スイッチOFF:途中が切れ、電子が動けない

スイッチは、電気をためたり消したりしているわけではありません。
電子の通り道を開けたり閉じたりしているだけ なのです。


電気は「行って帰ってくる」

電気は、

  • 電池から出て
  • 回路を通り
  • 利用され
  • 電池にもどる

という 一周の動き をします。

これは、

  • 電流
  • 直列回路・並列回路
  • 電圧

を理解するときの土台になります。


この考え方が後の学習につながる

この「ところてんモデル」で考えると、

  • なぜ回路が切れると流れないのか
  • なぜ電流は回路のどこでも同時に流れるのか
  • なぜ押す力(電圧)が必要なのか

が、自然に理解できるようになります。

このあと学ぶ 電流・電圧・抵抗・オームの法則 は、
すべてこのイメージの上に成り立っています。


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直列つなぎと並列つなぎ

つなぎ方が変わると、何が変わるのか

回路では、
同じ乾電池・同じ豆電球を使っても、
つなぎ方 を変えるだけで、電気の流れ方や明るさが変わります。

代表的なつなぎ方が、

  • 直列つなぎ
  • 並列つなぎ

の二つです。

ここでも前の章で使った
ところてんのイメージ
を使って考えてみましょう。


直列つなぎとはどんなつなぎ方か

直列つなぎは、
電気の通り道が 1本だけ になっているつなぎ方です。

  • 電池 → 豆電球 → 豆電球 → 電池
    というように、
    すべてが一列につながります。

ところてんで言えば、

  • 筒が1本
  • 中身はすべて同じ道を通る

という状態です。


直列つなぎでは電流はどうなるか

直列回路では、
回路のどこでも電流の大きさは同じ です。

なぜなら、

  • 電子は列になって動く
  • 途中で分かれる道がない

からです。

ところてんを押すとき、
出口の近くだけ速く動く、ということはありません。
中身全体が同じ速さで動きます。

これが、
「直列回路では電流は同じ」
という意味です。


直列つなぎで暗くなる理由

豆電球を直列につなぐと、
1つずつが暗くなります。

これは、

  • 同じ電流が流れている
  • しかし電気を使う場所が増えた

ためです。

エネルギーを分け合う形になるので、
1つあたりに使えるエネルギーが少なくなります。


並列つなぎとはどんなつなぎ方か

並列つなぎは、
電気の通り道が 枝分かれ しているつなぎ方です。

  • 電池から出た電気が
  • 複数の道に分かれて流れ
  • 再び合流して戻ります

ところてんでたとえるなら、

  • 筒が途中で分かれ
  • 複数の出口をもつ

ようなイメージです。


並列つなぎでは電流はどうなるか

並列回路では、

  • 全体として流れる電流は増える
  • 1本1本の道に流れる電流は分かれる

という特徴があります。

それぞれの豆電球には、
必要な分の電流が流れる
と考えるとよいでしょう。


並列つなぎで明るさが変わらない理由

豆電球を並列につなぐと、
1つだけのときと同じくらいの明るさで光ります。

これは、

  • 各豆電球に
  • 同じ押し出す力(電圧)がかかっている

からです。

この性質のおかげで、
家庭の電気は並列回路でつくられています。


どちらかが切れたらどうなるか

ここは、直列と並列の大きな違いです。

  • 直列回路
    • 1つ切れると、全体が止まる
  • 並列回路
    • 1つ切れても、他は動き続ける

これも、
「道が1本か、複数あるか」
で考えると理解しやすくなります。


クイズ② 直列と並列のちがい

次のうち、並列つなぎの特徴 として正しいものはどれでしょう?

  1. 電流が回路のどこでも同じになる
  2. 1つ切れても、他の電気は使える
  3. 豆電球を増やすと必ず暗くなる

正解は 2 です。
👉 並列つなぎでは道が分かれているため、1つが切れても他の回路には影響しません。


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電流とは何か

電流は「電気の量」ではなく「流れ方」

「電流」と聞くと、
「電気そのものの量」だと思ってしまいがちです。
しかし、電流は 電気がどれくらいの勢いで流れているか を表す量です。

水でたとえるなら、

  • 水そのもの → 電子(粒)
  • 水の流れ → 電流

という関係になります。

つまり電流とは、
電子の集団が、どれくらいの速さ・量で動いているか
を表す考え方なのです。


電子は速く動いているのか?

ところてんのイメージを思い出してください。

実は、導線の中の電子一つ一つは、
とてもゆっくりとしか動いていません。

それでも、

  • 後ろから押され
  • 前に押し出され
  • 全体として動きが伝わる

ため、
スイッチを入れた瞬間に電球が光ります。

電流とは、
一つの電子が遠くまで移動する速さではなく、
押される動きがどれだけ多く伝わっているか

を表しているのです。


電流が大きい・小さいとはどういうことか

電流が大きいとは、

  • 同じ時間に
  • より多くの電子が
  • 同じ断面を通過している

ということです。

逆に、電流が小さいとは、

  • 通過する電子の数が少ない
  • 動きがゆっくり伝わっている

という状態です。

豆電球が明るく光るときは、
電流が大きい
状態だと考えることができます。


電流の向きはなぜ決められているのか

実際の電子は、
マイナス極 → プラス極
へ動いています。

しかし、理科では電流の向きを、

プラス極 → マイナス極

と決めて考えます。

これは、電気の研究が始まった時代に、
電子の正体がまだ分かっていなかったためです。

後から分かったことと、
先に決められていた約束が違っていただけで、
計算や法則を考える上では問題はありません

この記事でも、この決まりに従って説明します。


電流は回路のどこでも同じなのか

直列回路では、
回路のどこでも電流は同じ です。

これは、

  • 電子が列になって動いている
  • 途中で分かれる道がない

ためです。

ところてんを押したとき、
出口だけ多く出る、ということはありません。
全体が同じだけ動きます。


並列回路では電流はどうなるか

並列回路では、

  • 電流は枝分かれして流れる
  • 全体として流れる電流は増える

という特徴があります。

それぞれの道には、
必要な分の電流が流れます。

この性質は、
家庭の電気や安全装置を理解する上で重要です。


電流は何で決まるのか

電流の大きさは、

  • 電気を押し出す力
  • 流れにくさ

によって決まります。

この二つは、後で学ぶ

  • 電圧
  • 抵抗

です。

電流は、
電圧と抵抗の結果として決まる量
だと言えます。


電流を数で表すということ

電流は、
アンペア(A)
という単位で表されます。

数で表すことで、

  • 比較できる
  • 計算できる
  • 予測できる

ようになります。

次の章では、
この電流を生み出す力である 電圧 について、
くわしく見ていきます。


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電圧とは何か

電圧は「電気を押し出す力」

電流が「電気の流れ方」だとすると、
電圧は 電気を押し出す力 です。

同じ回路でも、

  • 強く押せば、たくさん流れる
  • 弱く押せば、あまり流れない

という関係になります。

この「どれくらい押しているか」を表す量が、電圧です。


ところてんで考える電圧

ところてんの筒を思い出してください。

  • 後ろから弱く押す
  • 後ろから強く押す

どちらの場合もところてんは出てきますが、
出てくる勢い は変わります。

このとき、

  • 押す力 → 電圧
  • 出てくる量・速さ → 電流

と対応させて考えることができます。

電圧は、
流れを生み出す原因
電流は、
その結果として起こる流れ
なのです。


電圧がなければ電流は流れない

回路がつながっていても、
電圧がなければ電流は流れません。

たとえば、

  • 電池が入っていない回路
  • 電池が使い切られた回路

では、電気を押し出す力がないため、
電子は動き出せません。

つまり、

電流が流れるためには、
必ず電圧が必要

ということになります。


電圧はどこで生まれるのか

電圧は、
エネルギーの差 から生まれます。

乾電池の場合、

  • 化学反応によって
  • プラス極とマイナス極の間に
  • エネルギーの差ができる

この差が、
電気を押し出す力=電圧になります。

発電所や太陽電池でも、
形は違っても同じ考え方です。


電圧は回路のどこにかかっているのか

電圧は、
電源によって生み出され、
回路の中で分配されます

直列回路では、

  • 電池の電圧が
  • 負荷ごとに分かれて使われる

並列回路では、

  • それぞれの負荷に
  • 同じ電圧がかかる

という違いがあります。

この違いが、
明るさや安全性に大きく関係しています。


電圧が大きい・小さいとはどういうことか

電圧が大きいとは、

  • 電気を強く押し出している
  • エネルギーの差が大きい

という状態です。

逆に電圧が小さいとは、

  • 押す力が弱い
  • エネルギーの差が小さい

ということになります。

電圧が高いほど、
同じ条件なら電流は大きくなりやすくなります。


電圧は数で表せる

電圧は、

ボルト(V)

という単位で表されます。

乾電池1本は約1.5Vです。
乾電池を2本直列につなぐと、約3.0Vになります。

数で表すことで、

  • どれくらい押しているか
  • どのくらいの電流が流れそうか

を予測できるようになります。


電流と電圧の役割の違い

ここまでを整理すると、

  • 電圧:流れを生み出す原因
  • 電流:実際に起こる流れ

という関係になります。

この二つを区別して考えることが、
後に学ぶ 抵抗 や オームの法則 を理解するカギになります。


クイズ③ 電圧について正しいのはどれ?

次のうち、電圧の説明として正しいもの はどれでしょう?

  1. 電気そのものの量を表す
  2. 電気を押し出す力を表す
  3. 電気が熱に変わった量を表す

正解は 2 です。
👉 電圧は、電気を流そうとする押し出す力を表します。


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電気と磁石の関係

電気と磁石は別物だと思われていた

磁石と聞くと、

  • くっつく
  • 引き合う
  • はね返し合う

といった性質を思い浮かべるでしょう。

一方で電気は、

  • 流れる
  • 光る
  • 動かす

という別のはたらきをもっています。

実は、昔は
電気と磁石はまったく別の現象
だと考えられていました。

ところが研究が進むにつれて、
この二つが 深く結びついている ことが分かってきました。


電流のまわりには何が起きているのか

導線に電流を流すと、
ただ電気が流れているだけに見えます。

しかし実際には、
導線のまわりには 磁石と同じようなはたらき が生まれています。

これを 磁界(じかい) と呼びます。

磁界とは、
磁力がはたらく範囲
のことです。


磁界は目に見えないが、たしかに存在する

磁界は目に見えません。
しかし、たしかに存在しています。

たとえば、

  • 電流を流した導線の近くに方位磁針を置く
  • 方位磁針が向きを変える

という実験をすると、
電流によって磁界が生まれていることが分かります。

これは、

電流が流れる
→ 磁界ができる

という関係を示しています。


磁石のまわりにも磁界がある

磁石のまわりにも、磁界があります。

  • N極から出て
  • S極へ向かう

という形で、
磁界は空間に広がっています。

電流のまわりの磁界と、
磁石のまわりの磁界は、
同じ性質をもつもの です。

つまり、

電流と磁石は
磁界という共通の考え方で説明できる

ということになります。


なぜこの関係が重要なのか

この
電流 → 磁界
という関係があるからこそ、

  • 電磁石
  • モーター
  • スピーカー
  • 発電機

といった装置が成り立っています。

もし、電流が磁界を生み出さなかったら、
これらの技術は存在しません。


電気と磁気はセットで考える

ここで大切なのは、

  • 電気
  • 磁気

を別々に覚えようとしないことです。

電流が流れると磁界が生まれ、
磁界が変化すると電流が生まれます。

この双方向の関係をまとめて、
電磁気 と呼びます。


次につながるポイント

この章で押さえておきたいことは、次の3つです。

  • 電流が流れると、必ず磁界ができる
  • 磁界は目に見えないが、はたらきは確かめられる
  • 電気と磁石は、磁界を通してつながっている

次の章では、
この関係を利用した 電磁石 をくわしく見ていきます。


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電磁石とは何か

電磁石は「電気でつくる磁石」

電磁石とは、
電流を流したときだけ磁石になるもの です。

スイッチを入れると磁石になり、
スイッチを切ると磁石でなくなる。
これが、電磁石の大きな特徴です。

永久磁石のように、
いつも磁力をもっているわけではありません。


コイルに電流を流すとなぜ磁石になるのか

導線に電流を流すと、
そのまわりに磁界ができます。

この導線を、
ぐるぐると輪の形(コイル)に巻く と、
それぞれの磁界が重なり合います。

すると、

  • 磁界が強くなり
  • まとまった向きをもつ

ようになり、
磁石と同じはたらきをするようになります。


コイルは「磁界を集める装置」

1本のまっすぐな導線でも磁界はできますが、
その力は弱く、広がっています。

コイルにすると、

  • 磁界が内側に集まり
  • 向きがそろい
  • 強くなる

という効果があります。

このため、
電磁石にはコイルが使われます。


鉄しんを入れるとなぜ強くなるのか

コイルの中に 鉄しん(鉄くぎなど) を入れると、
電磁石はさらに強くなります。

これは、鉄が
磁界を通しやすく、集めやすい性質
をもっているからです。

鉄の中では、
小さな磁石の向きがそろい、
磁界を強める手助けをします。


電磁石と永久磁石のちがい

電磁石と永久磁石には、はっきりした違いがあります。

  • 電磁石
    • 電流を流したときだけ磁力をもつ
    • 強さを調節できる
    • スイッチでON・OFFできる
  • 永久磁石
    • いつも磁力をもつ
    • 強さはほぼ一定

この「調節できる」という性質が、
電磁石の最大の強みです。


電磁石はどこで使われているか

電磁石は、身の回りの多くの場所で使われています。

  • モーター
  • スピーカー
  • リレー(電気スイッチの仲介役)
  • クレーン

これらはすべて、
電気を流すことで磁力を生み出す
という性質を利用しています。


電磁石は電気と磁気の結びつきそのもの

電磁石は、

  • 電気を流す
  • 磁界が生まれる
  • 磁石のようにはたらく

という流れが、
そのまま形になった装置です。

このあと学ぶ

  • 電磁石の強さ
  • 右ねじの法則
  • モーター
  • 発電

は、すべてここからつながっていきます。


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電磁石の強さを決める条件

電磁石の強さとは何を指すのか

電磁石の強さとは、
どれだけ強く物を引きつけられるか
ということです。

たとえば、

  • どれくらい多くのクリップを持ち上げられるか
  • どれくらい重い物を引きつけられるか

といった形で確かめることができます。

では、この強さは何によって決まるのでしょうか。


条件① 電流の大きさ

電磁石の強さに、最も直接関係するのが
電流の大きさ です。

  • 電流が大きい
     → 磁界が強くなる
     → 電磁石も強くなる

乾電池を増やして電圧を高くすると、
電流が大きくなり、
電磁石は強くなります。

ここで大切なのは、

電池の数そのものが大事なのではなく、
流れる電流がどれだけ大きいか

という点です。


条件② コイルの巻き数

同じ電流を流しても、
コイルの巻き数 を増やすと、
電磁石は強くなります。

これは、

  • 巻き数が増える
  • 磁界を生む部分が増える
  • 磁界が重なり合う

ためです。

実験では、

  • 10回巻き
  • 20回巻き
  • 30回巻き

と比較すると、
引きつける力がはっきり変わります。


条件③ 鉄しんの有無と種類

コイルの中に 鉄しん を入れると、
電磁石は一気に強くなります。

鉄は、

  • 磁界を通しやすい
  • 磁界を集めやすい

という性質をもっています。

また、鉄の種類や形によっても、
強さは変わります。

  • 鉄くぎ
  • 鉄棒
  • U字形

など、形を変えることで、
磁力の使われ方も変わります。


三つの条件の関係を整理する

ここまでの内容を整理すると、
電磁石の強さは次の三つで決まります。

  1. 電流の大きさ
  2. コイルの巻き数
  3. 鉄しんの性質

この三つは、
どれか一つだけでなく、組み合わせで効いてくる
という点が重要です。


なぜこれ以上強くできない場合があるのか

実験を続けていると、

  • 電流を増やしても
  • 巻き数を増やしても

あまり強くならなくなることがあります。

これは、鉄しんが
これ以上磁化できない状態
になるためです。

この状態を 飽和(ほうわ) と呼びます。

磁力にも、
上限がある
ということです。


電磁石の強さの考え方はどこにつながるか

この考え方は、

  • モーターの力
  • 発電機の出力
  • 電磁クレーンの性能

など、実際の技術にそのまま使われています。

強くしたいからといって、
やみくもに電流を増やせばよいわけではなく、
条件をどう組み合わせるか
が重要なのです。


クイズ④ 電磁石を強くする方法

次のうち、電磁石を強くする方法として正しいもの はどれでしょう?

  1. 電流を大きくする
  2. コイルの巻き数を増やす
  3. 鉄しんを入れる

正解は 1・2・3 すべてです。
👉 電磁石の強さは、電流・巻き数・鉄しんの条件によって決まります。


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右ねじの法則

なぜ「向き」を考える必要があるのか

これまで、電流を流すと磁界ができることを学びました。
しかし、実際に回路や電磁石を扱おうとすると、次の疑問が出てきます。

  • 磁界は、どちら向きにできているのか
  • N極とS極は、どう決まるのか

磁界は目に見えないため、
向きを間違えやすい のが大きな問題です。

そこで登場するのが、
右ねじの法則 です。


右ねじの法則とは何か

右ねじの法則とは、
電流の向きと磁界の向きを対応させて考えるための法則
です。

右ねじ(右回りに回すと進むねじ)を使って、
次のように考えます。

  • 右ねじが進む向き
     → 電流の向き
  • ねじが回る向き
     → 磁界の向き

この対応を使うことで、
磁界の向きを迷わずに判断できます。


まっすぐな導線での右ねじの法則

まず、まっすぐな導線に電流を流す場合を考えます。

  • 電流の向きに、右ねじを進める
  • ねじが回る向きが、導線のまわりの磁界の向き

磁界は、
導線のまわりを 円をえがくように 広がっています。

この円の向きが、
右ねじの回る向きと一致します。


コイルの場合の右ねじの法則

次に、コイルの場合です。

  • コイルに電流を流す
  • 右ねじを、電流の向きに進める

すると、

  • ねじが進む方向が
     → 電磁石の N極 を示す

という対応になります。

この方法を使えば、

  • どちらがN極か
  • どちらがS極か

を、確実に判断できます。


手を使った考え方(右手の法則)

実際には、ねじを使わなくても、
右手 を使って同じことを考えられます。

  • 親指:電流の向き
  • 指を握る向き:磁界の向き

この形は、
後で学ぶ フレミングの法則 ともつながっています。


なぜ「右」なのか

左ねじではだめなのか、
と疑問に思うかもしれません。

実は、
右ねじと決めておかないと混乱が起きる
ためです。

向きの基準は、
全員が同じである必要があります。

そのため、
物理では「右」を基準にする
という約束が使われています。


右ねじの法則は何のためにあるのか

右ねじの法則は、
暗記するためのものではありません。

  • 電磁石の極を決める
  • モーターの回転方向を考える
  • 発電で電流の向きを考える

といった場面で、
向きを間違えないための道具
として使われます。


次につながるポイント

ここで押さえておきたいのは、次の点です。

  • 電流には向きがある
  • 磁界にも向きがある
  • その対応を整理するのが右ねじの法則

次の章では、
この向きの考え方を使って、
電流と磁界が力を生む仕組み
を見ていきます。


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モーターの仕組み

モーターは「電気を動きに変える装置」

モーターは、
電気エネルギーを運動エネルギーに変換する装置 です。

扇風機、洗濯機、掃除機、電車、電動工具など、
私たちの身の回りにある「回るもの」の多くにモーターが使われています。

では、
なぜ電気を流すと回転が生まれる のでしょうか。


磁界の中を電流が流れると何が起こるか

前の章で学んだように、

  • 電流が流れると磁界ができる
  • 磁石のまわりにも磁界がある

という性質があります。

この二つが重なると、
力が生まれます

つまり、

磁界の中にある導線に電流を流す
→ 導線が力を受ける

という現象が起こります。

これが、モーターの原理です。


力の向きはどう決まるのか

力が生まれるといっても、
どちら向きに動くのかが分からなければ困ります。

そこで使われるのが、
フレミングの左手の法則 です。


フレミングの左手の法則

左手の三本の指を、次のように広げます。

  • 人さし指:磁界の向き(N極 → S極)
  • 中指:電流の向き(+ → −)
  • 親指:力の向き(動く向き)

この三つが、
それぞれ直角になるように 対応します。

この法則を使うと、

  • 電流の向き
  • 磁界の向き

が分かれば、
導線がどちらに動くかを判断できます。


回転はどうやって生まれるのか

モーターでは、
1本の導線が動くだけでは足りません。

  • コイルの一部が上に動く
  • 反対側が下に動く

というように、
回転しようとする力の組み合わせ
が必要です。

コイルの左右で、

  • 電流の向きが逆
  • 受ける力の向きも逆

になることで、
コイルは回転します。


回り続けるための工夫

もしそのまま電流を流し続けると、
回転は途中で止まってしまいます。

そこでモーターには、

  • 電流の向きを入れ替える仕組み
  • タイミングよく力を生み出す構造

が組み込まれています。

この工夫によって、
コイルは 回り続ける ことができます。


モーターは電磁石の応用

ここまでをまとめると、モーターは

  • 電磁石をつくり
  • 磁界の中で電流を流し
  • 力を生み出し
  • 回転させる

という装置です。

電磁石の理解が、そのままモーターにつながっていることが分かります。


モーターの向きと右ねじ・左手の法則

モーターを考えるときには、

  • 電流の向き
  • 磁界の向き
  • 力の向き

を同時に考える必要があります。

そのため、

  • 右ねじの法則(磁界の向き)
  • フレミングの左手の法則(力の向き)

がセットで使われます。


次につながるポイント

モーターで起きていることは、

電気 → 磁気 → 力 → 運動

というエネルギーの変換です。

次の章では、
この流れを 逆向き にすると何が起こるのか、
つまり 電磁誘導 を見ていきます。


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電磁誘導とは何か

磁石を動かすと、なぜ電気が生まれるのか

これまで、
電気を流すと磁界ができる
という関係を学んできました。

では、もし逆に、

  • 磁石を動かしたら
  • 磁界を変化させたら

どうなるのでしょうか。

実はこのとき、
電気が生まれます

この現象を 電磁誘導 と呼びます。


電磁誘導は「磁界の変化」がカギ

ここで大切なのは、
磁界があるだけではだめ
という点です。

  • 磁石をじっと置いても電流は流れない
  • 磁石を動かすと電流が流れる

つまり、電磁誘導が起こる条件は、

磁界が変化すること

です。

この「変化」という考え方が、
電磁誘導の本質です。


コイルと磁石で考える電磁誘導

電磁誘導は、
コイルと磁石 を使うと分かりやすくなります。

  • コイルの中に磁石を入れる
  • 磁石を動かす
  • コイルに電流が流れる

磁石を速く動かすほど、
流れる電流は大きくなります。

止めてしまうと、
電流も止まります。


なぜ磁界が変わると電流が生まれるのか

磁界が変化すると、
コイルの中の電子が押されるようなはたらきを受けます。

これは、

  • 磁界の変化が
  • 電子に力を与え
  • 電子が動き出す

と考えることができます。

その結果、
電流が生まれる のです。


電磁誘導で生まれる電流の向き

電磁誘導で生まれる電流にも、
向き があります。

その向きは、

  • 磁石の動かし方
  • 磁界の変わり方

によって決まります。

ここでも、
向きを考える道具として
右ねじの法則 が使われます。


電磁誘導はモーターの逆

ここで、これまでの学習を整理してみましょう。

  • モーター
    • 電気 → 磁気 → 運動
  • 電磁誘導
    • 運動 → 磁気 → 電気

つまり、
同じ装置でも、使い方を変えると逆の働きをする
ということです。


電磁誘導はどこで使われているか

電磁誘導は、
私たちの生活を支える多くの技術に使われています。

  • 発電機
  • 自転車のライト
  • 非接触充電
  • ワイヤレス給電

これらはすべて、
磁界の変化から電気を生み出しています。


電磁誘導で重要なポイント

この章で押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 磁界が「変化」すると電流が生まれる
  • 磁石を動かす速さで電流の大きさが変わる
  • モーターと電磁誘導は表裏の関係

次の章では、
この電磁誘導を使って、
電気を大量につくる仕組み=発電
を見ていきます。


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発電の仕組み

発電とは何をしているのか

発電とは、
別のエネルギーを電気エネルギーに変換すること です。

電気は自然にわき出てくるものではありません。
必ず、

  • 動き

などのエネルギーをもとにして作られています。

発電は、その「変換の場」だと考えることができます。


発電の基本は電磁誘導

ほとんどの発電方法に共通している原理は、
電磁誘導 です。

  • 磁界を変化させる
  • コイルの中の電子が動く
  • 電流が生まれる

この流れが、発電の基本構造です。


磁石とコイルの役割分担

発電では、
磁石とコイルのどちらか、または両方を動かします。

  • 磁石を動かす
  • コイルを動かす

どちらの場合でも、
磁界が変化すれば電流が生まれる
という点は同じです。

重要なのは「動かすこと」そのものではなく、
磁界が変化しているかどうか です。


回転運動が電気を生む理由

発電機では、
コイルや磁石を 回転 させます。

回転させると、

  • 磁界の向き
  • 磁界の通り方

が、連続的に変化します。

その結果、
コイルの中では電流が流れ続けます。

これが、
電気を連続して取り出せる理由 です。


交流が生まれるしくみ

発電機で作られる電気は、
多くの場合 交流 です。

交流とは、

  • 電流の向きが
  • 時間とともに
  • 入れ替わる

電気のことです。

回転によって磁界の向きが変わると、
電流の向きも自然に変わります。


モーターとの共通点とちがい

発電機とモーターは、
とてもよく似た構造をしています。

  • モーター
    • 電気 → 回転
  • 発電機
    • 回転 → 電気

同じ装置でも、
エネルギーの流れの向き が違うだけです。


身の回りの発電方法

実際の発電所では、
回転を生み出す方法が違います。

  • 火力発電:蒸気でタービンを回す
  • 水力発電:水の流れで回す
  • 風力発電:風で回す
  • 原子力発電:熱で蒸気を作る

どれも最終的には、
タービンを回して発電機を動かす
という共通点をもっています。


太陽光発電は少し違う

太陽光発電は、
電磁誘導ではありません。

  • 光エネルギーが
  • 直接電気エネルギーに変換される

という、別の原理を使っています。

ただし、

エネルギーを変換して電気を作る

という点では、
他の発電方法と同じです。


発電はエネルギー変換の連続

発電を整理すると、次のようになります。

  • 熱 → 運動 → 電気
  • 風 → 運動 → 電気
  • 水 → 運動 → 電気

どの場合も、
電気は最終形 として現れています。

次の章では、
この「変換してもエネルギーは消えない」という考え方、
エネルギー保存の法則 を整理します。


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エネルギー保存の法則

エネルギーは消えてしまうのか

豆電球が光り、
モーターが回り、
発電機が電気を生み出す。

こうした現象を見ていると、
エネルギーが「使われてなくなっている」
ように感じるかもしれません。

しかし、物理では次のように考えます。

エネルギーは消えない
形を変えて移り変わるだけ

これを エネルギー保存の法則 と呼びます。


「保存」とはどういう意味か

ここでいう「保存」とは、
同じ形のまま残る、という意味ではありません。

  • 光 → 熱
  • 電気 → 運動
  • 運動 → 電気

のように、
姿は変わっても、合計は変わらない
という意味です。

エネルギーは、
移動し、変換され、広がっていきますが、
突然なくなることはありません。


豆電球でエネルギーを考える

豆電球では、

  • 乾電池の化学エネルギー
  • → 電気エネルギー
  • → 光エネルギー+熱エネルギー

という変換が起きています。

電球が消えたあとも、

  • 光は周囲に届き
  • 熱は空気や物体に伝わる

つまり、
エネルギーはすべて外へ出ていっただけです。


モーターと発電でのエネルギーの流れ

モーターでは、

  • 電気エネルギー
  • → 運動エネルギー
  • → 摩擦や音としての熱

が生じています。

発電ではその逆で、

  • 運動エネルギー
  • → 電気エネルギー

が生まれます。

どちらも、
エネルギーの形が変わっているだけ
であることが分かります。


「無駄なエネルギー」は本当に無駄か

よく、
「熱として逃げてしまうエネルギーは無駄」
と言われます。

確かに、
目的が「光を得ること」なら、
熱は効率を下げる原因になります。

しかし、

  • 暖房
  • ビニルハウス
  • 調理

のように、
熱そのものが目的 の場合もあります。

エネルギーに「無駄」はなく、
目的との関係で意味が決まる
と考えることができます。


効率とは何を比べているのか

エネルギー効率とは、

入れたエネルギーのうち、
目的の形で取り出せた割合

のことです。

LEDが高効率と言われるのは、

  • 光として取り出せる割合が高い
  • 熱になる割合が小さい

からです。

ただし、
効率が高い=いつも正解
ではありません。


エネルギー保存の法則が教えてくれること

エネルギー保存の法則は、
次のような見方を教えてくれます。

  • エネルギーは形を変えて移動している
  • 技術とは、変換の仕方を工夫すること
  • 判断は「目的」によって変わる

電気の学習は、
回路や式を覚えることではなく、
エネルギーの流れを読む力
を身につけることでもあります。


これまでの内容を一本でまとめる

ここまで学んできたことを整理すると、

  • 回路:エネルギーの通り道
  • 電流:エネルギーが流れる様子
  • 電圧:エネルギーを押し出す力
  • 電磁石・モーター:電気と磁気の変換
  • 発電:運動から電気への変換

すべてが、
エネルギー保存の法則のもとで起きている現象
だと言えます。


クイズ⑤ エネルギー保存の法則

次のうち、エネルギー保存の法則の考え方として正しいもの はどれでしょう?

  1. エネルギーは使うとなくなってしまう
  2. エネルギーは形を変えることはあるが、全体の量は変わらない
  3. 光や熱になったエネルギーは、もう利用できないので消えたと考える

正解は 2 です。
👉 エネルギーは、電気・光・熱・運動などに形を変えて移り変わりますが、全体の量が突然消えたり増えたりすることはありません。これがエネルギー保存の法則です。


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白熱電球とLEDの比較

電球は「光を出す装置」ではない

白熱電球もLEDも、
目的は「光を得ること」です。

しかし、物理的に見ると、
どちらも エネルギー変換装置 です。

  • 何のエネルギーが
  • どんな形に
  • どれくらい変わっているのか

という視点で比べる必要があります。


白熱電球の仕組み

白熱電球の中には、
フィラメント と呼ばれる細い金属線があります。

  • 電気が流れる
  • フィラメントが強く熱せられる
  • 高温になって光を出す

という仕組みです。

つまり白熱電球では、

  • 電気エネルギー
  • → 熱エネルギー
  • → 光エネルギー

という変換が起こっています。


白熱電球はなぜ熱くなるのか

白熱電球が熱くなるのは、
電気エネルギーの多くが
熱に変換されている からです。

実際には、

  • 光になるエネルギー:一部
  • 熱になるエネルギー:大部分

という割合になっています。

そのため、

  • 触ると熱い
  • エネルギー効率は低い

という特徴があります。


LEDの仕組み

LEDは、
半導体 を使った装置です。

  • 電気が流れる
  • 電子の動きによって
  • 直接光が生まれる

という仕組みを使っています。

ここでは、

  • 強く熱する
  • 高温にする

といった過程は必要ありません。


LEDはなぜ効率がよいのか

LEDが高効率といわれる理由は、

  • 電気エネルギーが
  • 直接光エネルギーに近い形で
  • 変換される

からです。

熱になる割合が少ないため、

  • 消費電力が小さい
  • 長持ちする

という利点があります。


「熱」は本当に無駄なのか

ここで大切なのは、
熱=無駄
と決めつけないことです。

たとえば、

  • ビニルハウス
  • ひよこ電球
  • 暖房用照明

などでは、
光と同時に熱が必要 な場合があります。

このような目的では、
白熱電球が役立つこともあります。


目的に応じた選択という考え方

エネルギーの利用では、

  • 効率が高いか
  • 安全か
  • 目的に合っているか

を総合的に考える必要があります。

LEDは、

  • 明るく
  • 長持ちし
  • 省エネルギー

という点で、
多くの場面に向いています。

一方で、
白熱電球にも
役割が残る場面があります。


電球の比較から見えてくること

白熱電球とLEDの比較は、

  • エネルギー保存の法則
  • エネルギー変換
  • 効率の考え方

を、実生活に結びつけて理解する良い例です。

技術とは、
エネルギーをどう変換し、どう使うかの工夫
だということが見えてきます。


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抵抗とは何か

抵抗は「電気の流れにくさ」

抵抗とは、
電気が流れにくくなる性質 のことです。

電気は、どんな物の中でも同じように流れるわけではありません。

  • 流れやすいもの
  • 流れにくいもの

があり、その違いを表すのが抵抗です。


導線の中では何が起きているのか

導線の中には、
たくさんの電子が並んでいます。

電子は、

  • まっすぐ何もない空間を動く
    のではなく、
  • 原子の間をぶつかりながら進む

という動きをしています。

このとき、

  • ぶつかりが多い
  • 動きがさまたげられる

ほど、電気は流れにくくなります。

これが、抵抗の正体です。


抵抗があるとなぜ熱が出るのか

電子が動くとき、
原子とぶつかると エネルギーが伝わります

このエネルギーは、

  • 原子の動き
  • 振動

となり、
 として現れます。

つまり、

抵抗がある
→ 電子がぶつかる
→ エネルギーが熱になる

という流れです。

電熱線や白熱電球は、
この性質を意図的に利用しています。


抵抗は「じゃま」なのか

抵抗という言葉から、
「電気のじゃまをする悪者」
という印象をもつかもしれません。

しかし、抵抗は 必要不可欠 です。

  • 電流を流しすぎない
  • 装置を守る
  • 熱を得る

など、
電気を安全に使うために欠かせません。


抵抗の大きさは何で決まるのか

抵抗の大きさは、次のような条件で変わります。

  • 材料の種類
  • 太さ
  • 長さ
  • 温度

たとえば、

  • 細くて長い導線
  • 電気を通しにくい材料

ほど、抵抗は大きくなります。


抵抗が変わると電流はどうなるか

同じ電圧をかけたとき、

  • 抵抗が小さい
     → 電流は大きくなる
  • 抵抗が大きい
     → 電流は小さくなる

という関係があります。

この関係は、
次の章で学ぶ オームの法則 で
数式としてまとめられます。


抵抗はエネルギー変換の場

抵抗がある場所では、

  • 電気エネルギー
  • → 熱エネルギー

への変換が起こります。

これはエネルギー保存の法則に完全に一致しています。

抵抗は、

  • 電気の流れを調節し
  • エネルギーの変換をコントロールする

役割をもっているのです。


次につながるポイント

ここまでで分かったことは、

  • 電流は勝手に決まらない
  • 電圧と抵抗の関係で決まる

という点です。

次の章では、
この関係を一つの式にまとめた
オームの法則 を見ていきます。


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電流・電圧・抵抗の関係とオームの法則

三つの量はどうつながっているのか

ここまでで、

  • 電流:電気の流れ方
  • 電圧:電気を押し出す力
  • 抵抗:電気の流れにくさ

をそれぞれ学んできました。

この三つは、
独立した別々の量ではありません

回路の中では、

電圧が原因となり
抵抗によって流れがさまたげられ
その結果として電流が決まる

という関係があります。


ところてんモデルで三つをまとめる

ところてんのイメージに戻って考えてみましょう。

  • 押す力が強い
     → たくさん出てくる
  • 押す力が同じでも
     → 筒が細いと出にくい

これを対応させると、

  • 押す力:電圧
  • 出てくる量:電流
  • 出にくさ:抵抗

となります。

この関係は、
どんな回路でも成り立っています。


オームの法則とは何か

この三つの関係を、
一つの式でまとめたもの が
オームの法則です。

オームの法則は、次のように表されます。

  • 電圧 = 電流 × 抵抗

または、

  • 電流 = 電圧 ÷ 抵抗

この式は、
新しい決まりを作ったものではありません。

回路で起きている関係を
数で表しただけ

のものです。


式が意味していることを読む

オームの法則の式から、
次のことが読み取れます。

  • 電圧を大きくすると、電流は大きくなる
  • 抵抗を大きくすると、電流は小さくなる

これは、
実験やこれまでの説明と完全に一致しています。

式は、
現象を短くまとめた言葉
だと考えるとよいでしょう。


なぜ計算できるようになるのか

三つの量のうち、
二つが分かれば、
残り一つが必ず決まります。

たとえば、

  • 電圧が分かっている
  • 抵抗が分かっている

なら、
流れる電流を予測できます。

これは、

  • 安全に使えるか
  • 装置がこわれないか

を考える上で、とても重要です。


オームの法則は「流れを予測する道具」

オームの法則は、

  • 覚えるための公式
    ではなく、
  • 回路のふるまいを予測する道具

です。

実験をしなくても、

  • 電池を増やしたらどうなるか
  • 抵抗を変えたらどうなるか

を、頭の中で考えられるようになります。


熱との関係をもう一度整理する

オームの法則で決まった電流が、
抵抗のある場所を流れると、

  • 電気エネルギー
  • → 熱エネルギー

への変換が起こります。

つまり、

  • 電圧
  • 抵抗
  • 電流

は、
熱の出方 とも直接つながっています。


クイズ⑥ オームの法則の考え方

次のうち、オームの法則の考え方として正しいもの はどれでしょう?

  1. 電流は電圧と抵抗に関係なく決まる
  2. 電圧が同じなら、抵抗が大きいほど電流は小さくなる
  3. 抵抗が大きいほど、必ず電流も大きくなる

正解は 2 です。
👉 抵抗が大きくなると、電気は流れにくくなり、電流は小さくなります。


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自由研究・探究向け実験アイデア

実験① 回路のつなぎ方で電流はどう変わるか

テーマ
直列つなぎと並列つなぎで、電流や明るさはどう変わるのか。

方法の例

  • 乾電池と豆電球を用意する
  • 直列回路と並列回路を作る
  • 明るさや電池の減り方を比べる

考えるポイント

  • 電流はどこで同じか、どこで分かれるか
  • なぜ家庭では並列回路が使われているのか

実験② 電磁石の強さを決める条件を調べる

テーマ
電磁石の強さは何によって変わるのか。

方法の例

  • コイルの巻き数を変える
  • 乾電池の数を変える
  • 引きつけられるクリップの数を比べる

考えるポイント

  • 電流・巻き数・鉄しんの役割
  • どこで強さが頭打ちになるか(飽和)

実験③ モーターの回転と条件の関係

テーマ
モーターの回転の速さは何で決まるのか。

方法の例

  • 電池の数を変える
  • 回転数を目で数える、動画で記録する

考えるポイント

  • 電圧が変わると何が変わるか
  • モーターの中で起きているエネルギー変換

実験④ 簡単な発電モデルを作る

テーマ
磁石を動かすと本当に電気は生まれるのか。

方法の例

  • コイルと磁石を用意する
  • 磁石を動かす速さを変える
  • LEDや検流計の反応を見る

考えるポイント

  • 「動かすこと」ではなく「磁界の変化」が重要な理由
  • モーターとの共通点と違い

実験⑤ 電球とLEDのエネルギー比較

テーマ
白熱電球とLEDでは、どこにエネルギーが使われているのか。

方法の例

  • 同じ電池で白熱電球とLEDを点灯
  • 明るさと熱の出方を比較する

考えるポイント

  • 光と熱の割合
  • 目的に応じた選択という考え方

探究を深めるための問い

実験の結果から、次のような問いを立ててみましょう。

  • なぜこの結果になったのか
  • 条件を一つだけ変えたらどうなるか
  • 実生活ではどこに使われているか

「正解を出す」よりも、
理由を説明できるかどうか が探究のポイントです。


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おさらいクイズ

クイズ①

回路が一周していないとき、電気が流れない理由として最も適切なものはどれでしょう?

  1. 電気は途中で止まってもよいが、明るくならないから
  2. 電気は押し出されても、戻る道がないと全体が動かないから
  3. 電池の中の電気が足りなくなるから

正解は 2 です。
👉 電気は「ところてん」のように全体が押し出されて動くため、行って戻れる一周の道が必要です。


クイズ②

直列回路と並列回路の説明として正しいものはどれでしょう?

  1. 直列回路では、回路の途中で電流の大きさが変わる
  2. 並列回路では、1つ切れるとすべての電気が止まる
  3. 並列回路では、それぞれの負荷に同じ電圧がかかる

正解は 3 です。
👉 並列回路では、枝分かれしたそれぞれの回路に電源と同じ電圧がかかります。


クイズ③

電磁石が磁石になる直接の原因として正しいものはどれでしょう?

  1. 鉄しんがもともと磁石だから
  2. 電流が流れることで磁界が生まれるから
  3. コイルが丸い形をしているから

正解は 2 です。
👉 電磁石は、電流が流れることで磁界が生まれ、その結果として磁石のはたらきをします。


クイズ④

モーターが回転する理由として最も適切なものはどれでしょう?

  1. 電流が流れると、導線が自然に回ろうとするから
  2. 磁界の中を電流が流れることで、力が生まれるから
  3. 電池の数が多いほど、回転が必ず起こるから

正解は 2 です。
👉 磁界の中を流れる電流は力を受け、その力の組み合わせによって回転が生まれます。


クイズ⑤

オームの法則の考え方として正しいものはどれでしょう?

  1. 電流は電圧だけで決まり、抵抗は関係しない
  2. 抵抗が同じなら、電圧を大きくすると電流は大きくなる
  3. 抵抗が大きいほど、必ず明るく光る

正解は 2 です。
👉 電流は、電圧(押し出す力)と抵抗(流れにくさ)の関係で決まります。


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まとめ

電気は、目に見える物質ではなく、
エネルギーが流れ、形を変えてはたらく現象 です。

回路では、電気は一周できる道があってはじめて流れます。
導線の中では、電子がところてんのように押し出され、
全体として同時に動きが伝わっています。

電流は「流れ方」、電圧は「押し出す力」、抵抗は「流れにくさ」です。
この三つの関係をまとめたものが オームの法則 であり、
回路のふるまいを予測するための道具になります。

電流が流れると磁界が生まれ、
その磁界を利用したのが 電磁石 です。
電磁石は、強さを調整できる磁石として、
モーターやスピーカーなど多くの装置に使われています。

モーターでは、
電気エネルギーが磁気を通して力に変わり、回転が生まれます。
一方、電磁誘導ではその逆に、
磁界の変化から電気が生み出され、発電につながります。

豆電球、電熱線、LEDなどでは、
電気エネルギーが光や熱に変換されています。
どの装置でもエネルギーは消えず、
形を変えて移り変わっているだけ です。
これが エネルギー保存の法則 です。

効率のよさは大切ですが、
何が「よい選択」かは目的によって変わります。
電気の学習は、公式や用語を覚えることではなく、
エネルギーの流れを読み、仕組みとして理解すること にあります。

この記事で学んだ回路・電磁石・モーター・発電は、
すべて同じ考え方でつながっています。
電気を「暗記の分野」ではなく、
現象が一本につながる科学 としてとらえることができれば、
次の学びにも自然につながっていくでしょう。


この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。

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