
冬になると、夕方なのに外がもう暗くなっていると感じることはありませんか?
「まだ16時なのに、もう夜みたい!」と思ったことがある人もいるでしょう。
それは、冬至(とうじ)が近づいている、または冬至の日だからかもしれません。
冬至は、一年の中で昼の時間がいちばん短くなる日です。
でも、どうしてそんな日があるのでしょう?
なぜ冬になると太陽は低く見えるのでしょうか?
そして、なぜ昔の人は冬至をとても大切にしてきたのでしょうか?
この記事では、
冬至とは何の日なのか
太陽と地球はどんな関係にあるのか
夏至や春分・秋分とどうちがうのか
かぼちゃやゆず風呂にはどんな意味があるのか
を、やさしく、わかりやすく解説します。
冬至を知ると、いつもの空や季節の見え方が少し変わってきます。
さあ、太陽と地球のふしぎな関係を、いっしょに見ていきましょう。
冬至とは何の日?
冬至(とうじ)は、一年の中でいちばん昼の時間が短く、夜が長くなる日です。
毎年12月ごろにあり、日本では12月21日や22日になることが多い日です。
冬至の日は、「暗くなるのがとても早いな」「夕方なのにもう夜みたいだな」と感じる人も多いでしょう。それは気のせいではなく、実際にこの日は、太陽が出ている時間が一年でいちばん短くなっているのです。
ただし、冬至は「一年でいちばん寒い日」という意味ではありません。
寒さのピークは、冬至よりも少しあとにやってきます。これは、地面や空気が冷えるまでに時間がかかるためです。このように、昼の長さと気温は同じ動きをするわけではないという点も、冬至を学ぶうえで大切なポイントです。
冬至は、カレンダーや祝日としてはあまり目立たない日ですが、昔から人々にとってとても重要な日でした。なぜなら、冬至は「ここから少しずつ昼が長くなっていく」という、大きな区切りの日だからです。
一年の中で太陽の力がいちばん弱くなり、そこから再び強くなっていく――そんな変化を感じ取る目印として、冬至は大切にされてきました。
また、冬至は自然の変化だけでなく、くらしとも深く結びついています。
日本では、冬至にかぼちゃを食べたり、ゆず風呂に入ったりする風習がありますが、これも「寒い冬を元気に乗り切ろう」という知恵から生まれたものです。
つまり冬至は、自然のしくみと人のくらしがつながる日でもあるのです。
これからの記事では、
- なぜ冬至になると昼が短くなるのか
- 太陽と地球はどのように動いているのか
- 夏至や春分・秋分とはどうちがうのか
といったことを、順番にわかりやすく説明していきます。
冬至を知ることは、一年の季節の流れや、太陽と地球の関係を知ることにつながります。まずは「冬至とは何か」をしっかり押さえて、次の話に進んでいきましょう。
なぜ冬至が起こるの?|太陽と地球の関係
冬至が起こる理由を知るカギは、地球の動きにあります。
地球は、ただ止まって太陽のまわりを回っているわけではありません。実は、2つの大切な動きを同時にしています。
1つ目は、自転です。
地球は、コマのようにくるくる回りながら、1日に1回転しています。この動きによって、昼と夜が生まれます。
2つ目は、公転です。
地球は、1年かけて太陽のまわりを一周しています。この動きが、季節の変化と深く関係しています。
ここでとても重要なのが、地球はまっすぐ立って回っているわけではないという点です。
地球は、少しななめに傾いたまま、自転しながら太陽のまわりを回っています。この「ななめ」が、冬至や夏至を生み出す原因です。
冬至のころ、日本のある北半球では、地球が太陽に対して背中を向けるような向きになります。そのため、太陽の光が当たりにくくなり、太陽が空の低い位置を通るようになります。
太陽が低い位置を通ると、空に出ている時間が短くなり、昼が短く、夜が長くなるのです。
反対に、夏至のころは、北半球が太陽のほうを向く形になり、太陽が高い位置を通ります。その結果、昼の時間がとても長くなります。
このように、地球の傾きと公転が合わさって、昼の長さが一年の中で変化しているのです。
冬至の日は、この変化の中で、太陽の通り道が一年でいちばん低くなる日です。
太陽が低いということは、同じ時間だけ外にいても、受け取る光や熱が少なくなるということでもあります。だから、冬は寒く感じやすくなるのです。
クイズ①
一年の中で、太陽がいちばん低い位置を通る日はどれでしょう?
- 夏至
- 冬至
- 春分の日
正解は 2 です。
👉 冬至のころは、地球の傾きの影響で、太陽が空の低い位置を通り、昼の時間が短くなります。
冬至の日は何が「いちばん」なの?
冬至は、「一年でいちばん◯◯な日」と言われることがありますが、
実は**いくつかの「いちばん」**があります。ここでは、まちがえやすい点も含めて整理してみましょう。
まず、冬至の日にいちばんになるのは、昼の時間がいちばん短いということです。
太陽が出ている時間が一年で最も短くなり、その分、夜の時間はいちばん長くなります。
「もう夕方なのに真っ暗だな」と感じるのは、このためです。
次に、太陽の高さです。
冬至の日、太陽は空の中で一年でいちばん低い位置を通ります。
南の空を見上げたとき、夏にくらべて太陽がずっと低いところにあることに気づくでしょう。
太陽が低いと、もう一つ大きく変わるものがあります。それが、影の長さです。
同じ人が同じ場所に立っていても、冬至のころは影がとても長くのびます。
これは、低い角度から太陽の光が当たるためです。影の長さは、太陽の高さを知る手がかりにもなります。
ここで注意したいのが、冬至は「一年でいちばん寒い日」ではないという点です。
多くの人が「昼がいちばん短い=いちばん寒い」と思いがちですが、実際には、寒さのピークは冬至のあとにやってきます。
これは、地面や海、空気が冷えきるまでに時間がかかるからです。
昼が短くなっても、すぐに気温が下がりきるわけではありません。このような「時間のずれ」があることも、自然の面白いところです。
そして、とても大切なのが、冬至をすぎると昼の長さは少しずつ長くなっていくという点です。
一日一日では変化がわかりにくいですが、確実に太陽は長く顔を出すようになります。
昔の人々は、この変化をとても大切にし、「太陽が力を取りもどす日」として冬至を特別な日と考えていました。
冬至と夏至・春分・秋分のちがい
冬至は、一年の中での「太陽の動きの区切り」を知るうえで、とても大切な日です。
冬至だけを見ても理解できますが、夏至・春分・秋分とくらべることで、太陽の動きがもっとはっきり見えてきます。
まず、冬至は
昼の時間が一年でいちばん短く、夜がいちばん長い日です。
太陽は空の低い位置を通ります。
これに対して、夏至はその反対で、
昼の時間が一年でいちばん長く、夜がいちばん短い日です。
夏至のころ、太陽は空の高い位置を通り、強い日ざしが長い時間続きます。
そして、春分の日と秋分の日は、少し特別な日です。
この2つの日は、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
太陽の高さも、冬至と夏至のちょうど中間くらいになります。
この4つの日を並べて考えると、次のような流れになります。
- 冬至:昼がいちばん短い
- 春分:昼と夜がほぼ同じ
- 夏至:昼がいちばん長い
- 秋分:昼と夜がほぼ同じ
このように、太陽の高さと昼の長さは、一年を通して少しずつ変化しています。
冬至は、その変化の中で「いちばん低いところ」にあたる日なのです。
また、冬至をすぎると、昼の時間は少しずつ長くなっていきます。
まだ寒さは続きますが、自然の中ではすでに次の季節へ向かう変化が始まっています。
このことから、冬至は「冬のまん中」ではなく、次に向かうスタート地点としても考えられてきました。
クイズ②
昼と夜の長さが、ほぼ同じになる日はどれでしょう?
- 冬至
- 夏至
- 春分の日
正解は 3 です。
👉 春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになります。冬至と夏至は、昼と夜の長さに大きな差がある日です。
「冬至」という言葉の意味
「冬至(とうじ)」という言葉には、自然のようすがとてもよく表れています。
まずは、それぞれの漢字の意味を見てみましょう。
**「冬」**は、寒さがきびしくなる季節を表す言葉です。
草木がしずみ、動物たちも活動をひかえる時期を指します。
**「至」**という漢字には、「行きつく」「いちばん端まで行く」という意味があります。
たとえば、「到着(とうちゃく)」や「至る(いたる)」という言葉にも使われています。
この2つを合わせた「冬至」は、
冬の中で、ある変化がいちばん進んだところに達する日
という意味になります。
では、何が「いちばん」になるのでしょうか。
それは、太陽の動きです。
冬至は、太陽の高さが一年でいちばん低くなり、昼の時間がいちばん短くなる日でした。
つまり、「冬至」という名前は、太陽の動きが“いちばん下まで行きつく日”を表しているのです。
ここで、**春分(しゅんぶん)や秋分(しゅうぶん)**という言葉とくらべてみましょう。
「分」という漢字には、「分ける」「同じくらいにする」という意味があります。
春分・秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日でしたね。
このように、
- 冬至・夏至:太陽の高さが「いちばん」になる日
- 春分・秋分:昼と夜が「分けられる」日
というちがいがあります。
昔の人は、カレンダーや時計がなくても、太陽の動きや影の長さを観察して、季節の変わり目を知っていました。
そして、その変化を表すために、意味のある言葉を選び、名前をつけてきたのです。
「冬至」「春分」「秋分」という言葉を知ることは、
自然の変化を言葉でとらえる、昔の人の知恵を知ることでもあります。
昔の人にとっての冬至
今の私たちは、カレンダーや時計を見れば、いつが冬至なのかすぐに知ることができます。
しかし、昔の人たちは、そんな便利な道具を持っていませんでした。それでも、人々は冬至がいつなのかを知る必要がありました。
なぜなら、冬至は季節の大きな区切りだったからです。
昔の人は、毎日の太陽の動きをとても注意深く観察していました。
太陽が昇る位置や沈む位置、昼の長さ、影の長さなどを見て、「少しずつ変わってきたな」と感じ取っていたのです。
そして、太陽の高さがだんだん低くなり、影がいちばん長くなるころを「冬至」と考えました。
特に、農業をしていた人々にとって、太陽の動きはとても重要でした。
作物は、太陽の光を受けて育ちます。そのため、これから昼が長くなっていくか、短くなっていくかは、生活に直結する問題だったのです。
冬至は、昼の時間がいちばん短い日ですが、見方を変えると、
**「ここからまた昼が長くなり始める日」**でもあります。
このことから、冬至は「太陽がよみがえる日」「新しい始まりの日」として、大切にされてきました。
また、昔の人は、太陽の力が弱くなる冬を、病気や不作が起こりやすい時期だと考えていました。
そのため、冬至のころには、体をいたわったり、栄養のあるものを食べたりして、寒い季節を乗り切ろうとしました。
この考え方が、今に伝わる冬至の風習へとつながっています。
冬至は、ただの自然現象ではなく、
人のくらしと深く結びついた、大切な目印の日だったのです。
冬至の風習|かぼちゃとゆず風呂のひみつ
冬至といえば、日本ではかぼちゃを食べる、ゆず風呂に入るといった風習がよく知られています。
これらは、ただの昔からの習慣ではなく、冬を元気に乗り切るための知恵がつまったものです。
まず、かぼちゃについて見てみましょう。
かぼちゃは夏にとれる野菜ですが、保存がきくため、冬まで食べることができました。
寒い冬は新鮮な野菜が少なくなりがちですが、かぼちゃには、体の調子をととのえる栄養が多くふくまれています。
また、昔の人は、「ん」がつく食べ物を食べると運がよくなると考えていました。
かぼちゃは別名で「なんきん」とも呼ばれ、「ん」が2つ入っています。
冬至という節目の日に、縁起のよい食べ物をとって、元気に冬を越そうとしたのです。
次に、ゆず風呂です。
ゆずは、強い香りをもつ果物で、お風呂に入れると体がぽかぽかと温まります。
香りには、気分をリラックスさせるはたらきもあります。
さらに、ゆずの皮にふくまれる成分は、体を温めたり、肌を守ったりするはたらきがあるとされています。
寒い時期に体を冷やさないようにするための、とても理にかなった工夫だったのです。
このように、冬至の風習は、
「寒さがきびしい時期を、どうやって元気に過ごすか」
を考えた結果、生まれたものだと言えます。
クイズ③
冬至に、かぼちゃを食べる理由として、もっとも近いものはどれでしょう?
- 冬にしかとれない野菜だから
- 保存がきき、冬に栄養をとるのに向いていたから
- 太陽の色に似ているから
正解は 2 です。
👉 かぼちゃは保存しやすく、栄養も多いため、冬に食べるのに向いた野菜でした。
世界の冬至|国や地域によるちがい
冬至を大切にしてきたのは、日本だけではありません。
世界のさまざまな国や地域でも、冬至は特別な意味をもつ日として考えられてきました。
その理由はどこも共通していて、太陽の力がいちばん弱くなり、そこから再び強くなっていく節目だからです。
まず、中国では、冬至はとても重要な日とされてきました。
昔から「冬至は一年の始まりのような日」と考えられ、家族が集まって食事をする習慣があります。
地域によっては、団子のような料理を食べて、寒さを乗り切る願いをこめることもあります。
次に、**北ヨーロッパ(北欧)**の国々です。
北欧では、冬至のころになると、昼の時間がとても短くなり、場所によっては太陽がほとんど出ない日もあります。
そのため、昔の人々は、冬至を「太陽がよみがえる日」として祝い、火をたいたり、光をともしたりする行事を行ってきました。
今でも、キャンドルやイルミネーションで町を明るくする文化が残っています。
また、古代の人々の中には、冬至の日の太陽の位置を正確に知るために、特別な建物をつくった人たちもいました。
冬至の日に、決まった場所から太陽の光が差しこむように設計された遺跡も、世界各地に残っています。
それだけ、冬至は人々の生活や信仰と深く結びついていたのです。
このように見ていくと、国や地域がちがっても、
「冬至を特別な日として大切にする気持ち」
は共通していることがわかります。
太陽の動きは、世界中の人々に同じように影響を与えてきました。
冬至は、人間が自然と向き合いながら生きてきた証とも言えるでしょう。
自由研究に使えるアイデア
冬至は、太陽の動きや季節の変化を実際に観察するのに、とてもよいテーマです。
ここでは、小学生・中学生が取り組みやすい自由研究のアイデアを紹介します。
① 影の長さをくらべてみよう
同じ場所、同じ時間に立って、自分や棒の影の長さをはかってみましょう。
冬至の日と、その前後の日でくらべると、影の長さがどのように変わるかがわかります。
影が長いほど、太陽が低い位置にあることがわかります。
② 太陽の高さを観察しよう
南の空に見える太陽の位置を、スケッチや写真で記録してみましょう。
冬至のころは、太陽がとても低く見えます。
春分や夏至のころとくらべると、季節によるちがいがはっきりします。
③ 昼の長さを調べてみよう
日の出と日の入りの時刻を調べて、昼の長さを記録してみましょう。
冬至の日がいちばん短く、その後、少しずつ長くなっていくことが数字で確かめられます。
④ 一年の太陽カレンダーを作ろう
一年を通して、太陽の高さや昼の長さをまとめたカレンダーを作ってみましょう。
冬至・春分・夏至・秋分を色分けすると、太陽の動きの流れがよくわかります。
自由研究では、
「どうなると思ったか」
「実際にどうだったか」
「なぜそうなったのか」
を言葉でまとめることが大切です。
冬至は、観察と考察をつなげやすいテーマなので、ぜひチャレンジしてみてください。
おさらいクイズ
クイズ①
冬至の日に起こることとして、正しいものはどれでしょう?
- 昼の時間が一年でいちばん長くなる
- 夜の時間が一年でいちばん長くなる
- 昼と夜の長さが同じになる
正解は 2 です。
👉 冬至は、昼がいちばん短くなり、その分、夜がいちばん長くなります。
クイズ②
冬至に昼の時間が短くなる一番の理由は何でしょう?
- 太陽が地球から遠ざかるから
- 地球の自転が遅くなるから
- 地球が傾いたまま太陽のまわりを回っているから
正解は 3 です。
👉 地球は傾いたまま公転しているため、冬至のころは太陽が低い位置を通ります。
クイズ③
冬至・夏至・春分・秋分をくらべたとき、春分の日の説明として正しいものはどれでしょう?
- 昼が一年でいちばん短い日
- 昼と夜の長さがほぼ同じ日
- 太陽がいちばん高い位置を通る日
正解は 2 です。
👉 春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
クイズ④
冬至のころ、昔の人が特に大切にしていた理由として近いものはどれでしょう?
- 冬が終わる日だと考えられていたから
- 太陽の力がこれ以上弱くならず、ここから強くなると考えられていたから
- 必ず雪が降る日だったから
正解は 2 です。
👉 冬至は、太陽がよみがえり、昼が少しずつ長くなる節目の日と考えられてきました。
まとめ
冬至は、一年の中で昼の時間がいちばん短く、夜がいちばん長くなる日です。
これは、地球が傾いたまま太陽のまわりを回っているために起こる、自然のしくみです。
冬至の日は、太陽が一年でいちばん低い位置を通り、影が長くのびます。
ただし、冬至が「いちばん寒い日」というわけではなく、寒さのピークはそのあとにやってきます。
また、冬至は終わりの日ではありません。
この日をすぎると、昼の時間は少しずつ長くなっていきます。
そのため、昔の人は冬至を「太陽がよみがえり、次の季節へ向かう大切な節目」と考えてきました。
かぼちゃを食べたり、ゆず風呂に入ったりする日本の風習や、世界各地で冬至が祝われてきたことからも、
冬至が自然と人のくらしをつなぐ日であることがわかります。
冬至を知ることで、太陽の動きや季節の流れを、より身近に感じられるようになります。
ぜひ、空を見上げたり、影を観察したりして、冬至の変化を実感してみてください。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。


