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自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか

子どもが勉強を続けられないとき、多くの場合「やる気」の問題として語られます。
しかし教育研究では、学びが続くかどうかは気持ちだけではなく、学びの進め方と深く関係していると考えられています。

教育心理学者ジマーマンが提唱した**自己調整学習(Self-Regulated Learning)**は、子どもが目標を立て、理解を確かめ、学び方を調整しながら成長していく学習の仕組みを説明する理論です。

本記事では、自己調整学習の基本的な考え方をわかりやすく解説しながら、子どもが「自分で学ぶ力」を育てていくために大切な視点について整理します。


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子どもが勉強を続けられない理由

子どもが勉強を続けられないとき、多くの大人は「やる気」の問題だと考えます。
しかし教育研究の視点から見ると、必ずしもそうとは限りません。

子どもが学びを続けられない背景には、学習の進め方そのものが見えていないという問題があることが少なくありません。

勉強とは、本来「知識を覚える作業」ではなく、理解をつくっていく過程です。
その過程では、課題を選び、考え、試し、うまくいかなければやり直し、次の方法を探すという行動が繰り返されます。

つまり学びとは、試行錯誤を通して理解を更新していく活動です。

ところが、学校や家庭での学習が「結果中心」になりすぎると、この過程が見えにくくなります。
テストの点数や正解・不正解だけが強く意識されると、子どもは次第に勉強を次のように捉えるようになります。

・正解を出す作業
・間違えてはいけないもの
・できなければ評価が下がるもの

このような認識が強くなると、子どもは挑戦を避けるようになります。
難しい問題に出会ったとき、自分で考えるよりも「答えを聞く」方が安全だからです。

すると学習行動は次第に受動的になります。

・自分で課題を選ばない
・考える前に答えを求める
・わからないとすぐに止まる
・やり直しをしなくなる

この状態になると、子どもは「勉強ができない」のではなく、学びを進める方法を持っていないだけなのです。

教育研究の中では、こうした問題を解決する考え方として
**自己調整学習(Self-Regulated Learning)**という概念が注目されています。

自己調整学習とは、簡単に言えば

自分の学びを自分で調整する力

のことです。

どの課題に挑戦するのか。
どのように考えるのか。
どこで立ち止まり、どのようにやり直すのか。

こうした学習行動を自分で調整できるようになると、子どもは勉強を「やらされるもの」ではなく、自分の理解を広げていく活動として捉えるようになります。

MOANAVIでも、子どもの学びを見るときには、テストの結果だけではなく、こうした学習行動の変化を丁寧に見ています。

たとえば、次のような行動です。

・どの課題を選ぶのか
・どこで止まるのか
・どのようにやり直すのか
・理解できたときにどんな反応をするのか

こうした行動には、子どもの理解の状態がよく表れています。

子どもがどのように学びに向かっているのかを見取り、次の学びにつなげていくこと。
それが教育においてとても大切な視点です。

では、この自己調整学習という考え方は、どのような研究から生まれたのでしょうか。

次の章では、教育心理学者ジマーマンの研究をもとに、
自己調整学習とは何かをもう少し詳しく見ていきます。


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自己調整学習とは何か

子どもが自分から勉強に取り組む姿を見ると、多くの人は「やる気がある子だ」と感じます。
しかし教育研究では、この現象を単純に「やる気」で説明することはあまりありません。

なぜなら、学習が続くかどうかは、気持ちだけではなく学習の進め方と深く関係しているからです。

教育心理学では、この「自分で学びを進める力」を
**自己調整学習(Self-Regulated Learning)**と呼びます。

自己調整学習という概念を体系的に研究した教育心理学者が
Barry J. Zimmermanです。

Zimmermanは、学習を次のように説明しています。

学習とは、教師から与えられるものではなく、
学習者自身が調整していく過程である。

つまり、子どもは単に知識を受け取る存在ではなく、

・目標を立て
・方法を選び
・理解を確かめながら進み
・必要に応じて学び方を変えていく

能動的な学習者であるという考え方です。


自分の学びを自分で調整する力

自己調整学習とは、具体的には次のような行動を指します。

・どの課題に取り組むかを考える
・理解できているかを確かめる
・うまくいかなければやり方を変える
・必要なときに助けを求める
・学習の進み方を振り返る

こうした行動は、特別な才能ではありません。
多くの場合、学習環境や関わり方によって育っていくものです。

たとえば、子どもが問題につまずいたときに、大人がすぐに答えを教えてしまうとどうなるでしょうか。

その場では問題は解けるかもしれません。
しかし子どもは「どうやって理解をつくるのか」という学び方を経験する機会を失ってしまいます。

一方で、子どもが自分で教科書を読み直したり、解き方を考え直したりする時間が確保されていると、学習の進み方は少しずつ変わっていきます。

・まず自分で考える
・うまくいかなければ方法を変える
・必要なときに質問する

こうした行動が積み重なることで、子どもは徐々に
自分で学びを調整できるようになっていくのです。


なぜ自己調整学習が注目されているのか

自己調整学習が近年注目されている理由は、社会の変化とも関係しています。

知識の量が増え続ける現代では、学校で学ぶ内容だけで一生を過ごすことはできません。
大人になってからも、新しい知識や技術を学び続ける必要があります。

そのときに重要になるのが、

「何をどのように学ぶのかを自分で考える力」

です。

このため教育研究では、単に知識を覚えることだけではなく、
学び方を学ぶことが重要だと考えられるようになってきました。

この考え方は、国際的な教育研究でも重視されています。
たとえば、OECDの教育研究でも、学習者が自分の学びを調整する能力は、これからの社会で必要な重要な力の一つとされています。

また、日本の教育政策でも同様の方向性が示されています。
文部科学省が示している「主体的・対話的で深い学び」という考え方の中でも、学習者が自分の学びを振り返り、次の学びを選択する姿が重視されています。

つまり自己調整学習とは、特別な教育法ではなく、
これからの学びの基盤となる考え方なのです。

では、Zimmermanはこの自己調整学習をどのような仕組みとして説明したのでしょうか。

次の章では、
自己調整学習がどのようなサイクルで進むのかを見ていきます。


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ジマーマンの自己調整学習理論

自己調整学習という概念を体系的に整理した教育心理学者が
Barry J. Zimmermanです。

Zimmermanは、学習を単なる知識の獲得ではなく、学習者自身が調整していく循環的なプロセスとして捉えました。

多くの人は、勉強を「教える → 覚える」という直線的な活動としてイメージします。
しかしZimmermanの研究では、学習はもっと動的なものとして理解されます。

子どもは学びの中で

・目標を立て
・方法を考え
・実際に取り組み
・理解を確かめ
・必要に応じてやり方を変えていく

という過程を繰り返しています。

この繰り返しこそが、自己調整学習の中心にある考え方です。


学習は自己調整のサイクルで進む

Zimmermanは、学習が次のような循環によって進むと説明しました。

1 目標を立てる
2 学習方法を考える
3 実際に取り組む
4 理解を確かめる
5 学習を振り返る
6 次の方法を調整する

このサイクルは、一度きりの活動ではありません。
学習の中で何度も繰り返されます。

たとえば算数の問題を解くとき、子どもは次のような行動を取ることがあります。

まず問題を読み、どのように解くかを考えます。
その方法で解いてみて、途中でうまくいかなくなれば、解き方を変えます。
そして答えが出た後には、自分の理解が合っているかを確かめます。

こうした行動は、日常的な学習の中で自然に起こっています。
しかし、この過程が十分に機能していない場合、学習はうまく進まなくなります。

たとえば、

・目標がはっきりしていない
・どの方法で考えればよいかわからない
・理解を確かめる習慣がない
・振り返りが行われない

といった状態になると、学習は途中で止まりやすくなります。

Zimmermanは、こうした問題を理解するために、自己調整学習の構造を三つの段階で説明しました。


Zimmermanの三段階モデル

Zimmermanの研究では、自己調整学習は次の三つの段階で進むとされています。


学習前(Forethought phase)

学習が始まる前に、子どもは無意識のうちにさまざまな準備をしています。

たとえば

・どの課題に取り組むのか
・どのくらいの時間を使うのか
・どの方法で解こうとするのか

といったことです。

この段階では、目標設定学習計画が重要になります。
また、自分ができそうだと感じる自己効力感も、学習の取り組み方に大きく影響します。


学習中(Performance phase)

実際に学習を進めている段階です。

ここでは次のような行動が見られます。

・問題を解く
・教科書を読み直す
・途中で考え方を修正する
・理解できているかを確かめる

この段階で特に重要なのが、モニタリングです。

モニタリングとは、
「今、自分は理解できているだろうか」
「この方法で進めてよいだろうか」
と自分の学習を確かめることです。

この確認が行われることで、子どもは必要に応じて学び方を調整することができます。


学習後(Self-reflection phase)

学習が終わった後には、振り返りが行われます。

たとえば

・どこが理解できたのか
・どこでつまずいたのか
・次はどうすればよいのか

といったことです。

この振り返りによって、次の学習で使う戦略が少しずつ変化していきます。

つまり学習とは、

挑戦 → 確認 → 振り返り → 調整

という循環の中で成長していく活動なのです。


このように見ると、勉強が続くかどうかは、単に「やる気」の問題ではないことがわかります。

学習が進むためには、

・目標を持つこと
・理解を確かめること
・振り返りを行うこと

といった行動が支えになっています。

次の章では、こうした自己調整学習が、実際の学習の中でどのような形で現れるのか、具体例を見ていきます。


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自己調整学習の具体例

ここまで見てきたように、自己調整学習とは
自分の学びを自分で調整していく力です。

しかし、この説明だけでは少し抽象的に感じるかもしれません。
そこでここでは、実際の学習の中で自己調整学習がどのような形で現れるのかを見ていきます。

自己調整学習は、特別なトレーニングの場面だけで起こるものではありません。
むしろ、日常的な学習行動の中に自然に現れます。


自分で課題を選ぶ

自己調整学習の最初のステップは、どの課題に取り組むのかを考えることです。

たとえば算数の学習では、次のような行動が見られます。

・少し難しそうな問題に挑戦する
・同じタイプの問題を繰り返して理解を深める
・前に間違えた問題をもう一度解く

こうした行動は、子どもが自分の理解の状態をある程度つかんでいるときに生まれます。

逆に、常に大人が課題を決めてしまうと、子どもは自分の理解を考える機会を持ちにくくなります。


学習の進み方を確かめる

自己調整学習では、学習の途中で理解の状態を確かめる行動がよく見られます。

たとえば

・途中式を見直す
・教科書を読み直す
・前のページに戻る
・別の例題を確認する

といった行動です。

こうした行動は、先ほど紹介したZimmermanの理論でいう
モニタリングにあたります。

つまり、子どもは学習の途中で
「今の理解は合っているだろうか」
と確かめながら学びを進めているのです。


つまずきを調整する

学習の中でつまずくことは、決して特別なことではありません。
むしろ、新しい理解が生まれる前には必ずと言っていいほど現れるものです。

自己調整学習が育っている子どもは、つまずいたときに次のような行動を取ります。

・問題をもう一度読み直す
・別の解き方を考える
・例題を確認する
・友達や先生に質問する

ここで重要なのは、すぐに答えを求めるのではなく、いくつかの方法を試すことです。

この試行錯誤の経験が積み重なることで、子どもは少しずつ自分の学びを調整できるようになっていきます。


学習戦略を変える

自己調整学習では、学習方法そのものを変える行動も見られます。

たとえば

・図を書いて考える
・ノートに整理する
・声に出して説明する
・別の教材を使う

などです。

こうした行動は、学習戦略を選び直している状態と言えます。

最初から最適な方法を選べる子どもはほとんどいません。
しかし、試行錯誤を重ねる中で、子どもは少しずつ

「自分はどの方法で理解しやすいのか」

を見つけていきます。

このような経験が積み重なると、子どもは次第に

自分で学び方を選べるようになっていくのです。


ここまで見てきたように、自己調整学習は特別な能力ではありません。
むしろ、日常の学習行動の中で少しずつ育っていく力です。

では、この自己調整学習は、家庭の関わりの中でどのように支えることができるのでしょうか。

次の章では、
家庭でできる自己調整学習の支え方について考えていきます。


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自己調整学習は家庭で育てられるのか

自己調整学習という言葉を聞くと、「学校で専門的に教えるもの」と感じるかもしれません。
しかし実際には、自己調整学習は家庭での関わりの中でも育っていく力です。

むしろ日常の学習場面では、保護者の関わり方が学習行動に大きな影響を与えることがあります。

ここで重要になるのは、「どれだけ教えるか」ではなく、
子どもがどのように学びを進めているかを見ることです。


親が答えを教えると学習は止まる

子どもが問題につまずいたとき、多くの保護者はすぐに助けようとします。

「こうやって解くんだよ」
「この公式を使えばいいよ」

こうした声かけは、子どもを助けているように見えます。
しかし長い目で見ると、学習の進み方に別の影響を与えることがあります。

それは、子どもが自分で理解をつくる経験が減ってしまうことです。

答えを教えてもらうことに慣れてしまうと、子どもは次のような行動を取りやすくなります。

・自分で考える前に答えを聞く
・少し難しい問題を避ける
・途中で止まりやすくなる

これは能力の問題ではなく、学習行動のパターンの問題です。

学びは本来、試行錯誤の中で理解が少しずつ更新されていく活動です。
その過程を経験する機会が少ないと、学び方そのものが育ちにくくなります。


子どもに問いを返す関わり

では、つまずいたときに保護者はどのように関わればよいのでしょうか。

教育研究では、答えを教えるよりも問いを返す関わりが学習を支えることが知られています。

たとえば

・「どこまでわかった?」
・「もう一度問題を読んでみようか」
・「さっきの例題はどうだった?」
・「別の方法はありそう?」

こうした問いかけは、子どもが自分の理解を確かめるきっかけになります。

このような関わり方は、Zimmermanの理論でいう
モニタリング振り返りを支える働きを持っています。

つまり保護者は、学習を直接進める存在ではなく、
子どもが学びを調整するための支えになる存在と言えるでしょう。


挑戦と振り返りを支える

自己調整学習を育てるうえで大切なのは、次の二つです。

挑戦振り返りです。

挑戦がなければ、新しい理解は生まれません。
しかし振り返りがなければ、その経験は次の学びにつながりません。

たとえば

・「今日はどこが難しかった?」
・「前よりできるようになったことは?」
・「次はどこをやってみる?」

こうした会話は、学習の振り返りを自然に生みます。

振り返りの中で子どもは

・理解できたこと
・まだ難しいこと
・次に挑戦したいこと

を整理していきます。

この経験が積み重なることで、子どもは少しずつ
自分で学びを進める感覚を持つようになります。


ここまで見てきたように、自己調整学習は特別な教育法ではありません。
子どもが挑戦し、振り返り、次の学びを選ぶ経験の中で育っていく力です。

MOANAVIでも、こうした学習行動を大切にしながら学びの環境を整えています。

次の章では、
MOANAVIの学習デザインと自己調整学習の関係について紹介します。


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MOANAVIの学習デザインと自己調整学習

ここまで見てきた自己調整学習は、子どもが自分の学びを調整していく力でした。
しかし、この力は子どもだけの努力で生まれるものではありません。

学習者が自分の学びを調整できるようになるためには、
その行動が生まれやすい学習環境が必要です。

教育研究でも、学習の成果は個人の能力だけではなく、
学習環境のデザインによって大きく左右されることが知られています。

MOANAVIでも、この考え方をもとに学びの環境を整えています。


学びの現在地を見る

MOANAVIの学びは、学年やテストの点数から始まりません。
まず大切にしているのは、子どもの学びの現在地を見ることです。

子どもが今

・どのように問題に向き合っているのか
・どこで止まりやすいのか
・どのようにやり直そうとしているのか

こうした学習行動を丁寧に見取りながら、次の学びを整えていきます。

これは結果を評価するというよりも、
子どもの様子を見取り、次の学びにつなげる関わりです。

教育研究では、このような関わり方を
形成的アセスメントと呼びます。


ZPDによる挑戦

自己調整学習が育つためには、適切な挑戦が必要です。

簡単すぎる課題では、新しい理解は生まれません。
しかし難しすぎる課題では、学習は止まってしまいます。

教育心理学者ヴィゴツキーは、この状態を
**最近接発達領域(ZPD)**と呼びました。

ZPDとは、

支援があれば到達できる挑戦の領域

のことです。

MOANAVIでは、このZPDの考え方をもとに、
子どもが少し背伸びをする課題に挑戦できるよう学びを整えています。


スタディポイントによる挑戦履歴

挑戦を続けるためには、
その過程が見えることも大切です。

MOANAVIでは、子どもが取り組んだ学習行動を
スタディポイントとして記録しています。

ここで大切にしているのは、点数や順位ではありません。

評価の対象になるのは

・どの課題を選んだのか
・どのように挑戦したのか
・どのようにやり直したのか

といった学習行動です。

こうした記録は、子ども自身が

「どんな挑戦をしてきたのか」
「次にどこへ進もうとしているのか」

を振り返る手がかりになります。


形成的アセスメントによる学習支援

MOANAVIでは、子どもの学びを見るときに
テストの結果だけで判断することはありません。

むしろ大切にしているのは、

・学習の途中でどのように考えているのか
・どこでつまずいているのか
・どのように理解をつくろうとしているのか

といった学習の過程です。

この過程を丁寧に見取りながら、
次の課題の負荷を調整していきます。

このような関わりは、子どもが自分の学びを振り返り、
次の挑戦を選ぶことを支えます。

こうした学びの環境の中で、子どもは少しずつ
自分で学びを調整する感覚を身につけていきます。

MOANAVIの学びについては、
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)でも紹介しています。


ここまで見てきたように、自己調整学習は特別な能力ではなく、
学習環境と経験の中で育っていく力です。

最後に、自己調整学習が育つと子どもの学びはどのように変わるのか、
その特徴を整理してみましょう。


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自分で学ぶ子どもはどのように育つのか

ここまで見てきたように、自己調整学習とは
自分の学びを自分で調整していく力です。

この力が少しずつ育ってくると、子どもの学び方にはいくつかの変化が見られるようになります。
それは特別な能力ではなく、日々の学習行動の中で表れる変化です。


学習行動が変わる

自己調整学習が育ってくると、まず変わるのは学習行動です。

たとえば、次のような行動が見られるようになります。

・自分から課題を選ぶ
・難しい問題にも挑戦する
・途中で止まったときにやり直す
・理解できているかを確かめる
・必要なときに質問する

こうした行動は、一見すると小さな変化に見えるかもしれません。
しかし学習の観点から見ると、とても重要な変化です。

なぜなら、学びは単に知識を増やす活動ではなく、
理解をつくる行動の積み重ねだからです。

学習行動が変わると、学びの質も少しずつ変わっていきます。


学び方を学ぶ

自己調整学習が育つと、子どもは知識だけではなく、
学び方そのものを学ぶようになります。

たとえば

・どの順番で問題を解くと理解しやすいのか
・どこで教科書を読み直すとよいのか
・どの方法で考えると整理できるのか

といったことを、経験の中で少しずつ見つけていきます。

こうした経験は、教科の内容が変わっても役に立ちます。

算数でも、理科でも、社会でも、
子どもは同じように

理解をつくる方法

を使いながら学びを進めることができるようになります。


学びが続く子になる

自己調整学習が育つと、もう一つ大きな変化が起こります。
それは、学びが続くようになることです。

勉強が続かないとき、多くの場合、子どもは次のような状態になっています。

・何から始めればよいかわからない
・途中で止まる
・どうやり直せばよいかわからない

つまり、学びを進める方法が見えていないのです。

一方で、自己調整学習が育っている子どもは

・次に何をすればよいかを考える
・うまくいかなければ方法を変える
・理解できたことを確かめる

といった行動を取ります。

その結果、勉強は「やらされるもの」ではなく、
理解を広げていく活動として感じられるようになります。

学びが続く子どもは、特別に意志が強いわけではありません。
むしろ、

学びを進める方法を少しずつ身につけている

のです。


自己調整学習という考え方は、子どもを「できる・できない」で分けるものではありません。
子どもがどのように学びに向かっているのかを見取りながら、次の学びを整えていく視点です。

この視点を持つことで、子どもの学び方は少しずつ変わっていきます。


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まとめ

子どもが勉強を続けられないとき、多くの場合「やる気」の問題として語られます。
しかし教育研究の視点から見ると、学びが続くかどうかは、気持ちだけではなく学びの進め方と深く関係しています。

教育心理学者ジマーマンの研究で示された自己調整学習は、子どもが

・目標を立て
・学習方法を選び
・理解を確かめ
・必要に応じてやり方を変える

という過程を通して、学びを自分で進めていく力を示しています。

つまり学びとは、教師から与えられるものではなく、
挑戦と振り返りを繰り返す中で少しずつ育っていく活動です。

この視点で子どもの学びを見ると、テストの点数だけでは見えない変化が見えてきます。

たとえば

・自分から課題を選ぶようになる
・途中で止まってもやり直そうとする
・理解できているかを確かめる

こうした行動は、子どもの学び方が少しずつ育っているサインです。

教育の役割は、子どもを評価することではなく、
子どもの様子を丁寧に見取り、次の学びにつなげていくことにあります。

MOANAVIでも、子どもの学びを見るときには、テストの結果だけではなく、こうした学習行動を大切にしています。

子どもがどの課題を選び、どのように挑戦し、どのようにやり直そうとしているのか。
そうした様子を見取りながら、次の学びの負荷を調整していきます。

このような学びの環境の中で、子どもは少しずつ
自分で学びを進める感覚を身につけていきます。

MOANAVIの学びについては、
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)でも紹介しています。

子どもの学びは、能力だけで決まるものではありません。
どのような環境で、どのような経験を重ねるのかによって、大きく変わります。

自己調整学習という視点は、子どもの学びを「できる・できない」で判断するのではなく、
どのように学びが育っているのかを見るための大切な手がかりになるでしょう。



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この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。

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