今回の学びの概要
3月9日から10日にかけての教室では、算数・理科・社会・英語など、それぞれの子どもが選んだ課題に取り組む学習が進められました。
数直線の理解に取り組む子ども、中学数学の問題に挑戦する子ども、理科の発芽と成長を調べる子ども、公民分野の地方政治を学ぶ子どもなど、学習内容は一人ひとり異なります。
MOANAVIでは、学年やカリキュラムを一律に進めるのではなく、子どもの「学びの現在地」をもとに課題を選びます。そのため同じ時間の教室でも、扱う内容は多様になります。
今回の実践で特に印象的だったのは、子どもたちの「わからないときの行動」でした。
以前であれば「わからない」と言って手が止まる場面でも、今回は答えを見ながら解き方を確認したり、教科書を読み直して理解しようとしたりする姿が見られました。
わからない問題に出会ったとき、すぐに諦めるのではなく、調べながら理解を作ろうとする学習行動が生まれていました。
実践
算数では、数直線の問題に取り組む子どもがいました。目盛りの読み取りに迷う場面がありましたが、すぐに教師に答えを求めるのではなく、教科書を読み直しながら考え直していました。
また別の子どもは、中学数学の内容に挑戦していました。計算の途中で理解が曖昧になる場面がありましたが、答えを参考にしながら解き方を確認し、どこで間違えたのかを確かめていました。
社会では地方政治の仕組みについて調べながら学習を進める姿が見られました。用語の意味を確認しながら資料を読み、理解を整理していきます。
理科では、植物の発芽と成長の学習に取り組む子どもがいました。条件制御の考え方を整理しながら、どの条件を変えると結果がどう変わるのかを確認していました。
こうした場面で教師が行うのは、答えを説明することではありません。
ヒントを出したり、どこを見れば理解できるかを示したりしながら、学び方そのものを支える関わりを行います。
子どもたちはその支援を受けながら、自分で調べ、考え、理解を更新していきます。
学習理論から見るMOANAVIのサポート
このような学習の姿は、学習科学の研究とも重なります。
教育研究者のJohn D. Bransfordらは、著書How People Learnの中で、効果的な学習環境には次の4つの要素があると説明しています。
- Learner-centered(学習者中心)
- Knowledge-centered(理解中心)
- Assessment-centered(評価中心)
- Community-centered(共同体中心)
MOANAVIの教室でも、この考え方に近い環境が自然に形成されています。
まず、学習は子どもの理解段階を起点に進みます。これはLearner-centeredの環境です。
次に、学習の目的は単なる正解ではなく、解き方や考え方を理解することです。これはKnowledge-centeredの学習です。
教師は答えを与えるのではなく、ヒントや問いかけを通して理解を支えます。これはAssessment-centered、つまり形成的アセスメントの役割です。
さらに、教室の中には「わからないときは調べてみる」という文化があります。教師もその文化を支える一員として関わっています。これはCommunity-centeredの学習環境といえます。
また、子どもが少し難しい課題に挑戦しながら理解を広げていく姿は、Lev Vygotskyが提唱した最近接発達領域(ZPD)の考え方とも重なります。
さらに、解き方を調べたり学習方法を調整したりする姿は、Barry J. Zimmermanの自己調整学習の研究とも一致しています。
今回見えた学び
今回の実践から見えてきたのは、「わからないときの行動」が変わり始めていることでした。
学習において最も大きな違いを生むのは、問題の難しさではなく、わからないときにどう行動するかです。
わからないときに諦めてしまえば、学びはそこで止まります。
しかし、調べる、読み直す、解き方を確認するという行動が生まれると、そこから理解が広がっていきます。
MOANAVIでは、こうした学習行動を大切にしています。
子どもがどの課題を選び、どこで止まり、どのように試行錯誤し、どのように理解を更新していくのか。
そのプロセスを丁寧に観察しながら、学びの環境を整えていくことが、教室の役割だと考えています。




