
子どもたちが自分たちで決めた「新年度最初の校外学習」
「潮干狩りに行きたい!」
今年度最初の校外学習は、朝のコミュニケーションタイムの中で、子どもたち自身が話し合って決まりました。
どこへ行くのか。
何を持っていくのか。
どんな準備が必要なのか。
大人が全部決めるのではなく、子どもたちが相談しながら少しずつ形にしていった校外学習です。
そして迎えた当日。
空は快晴。
まさに潮干狩り日和でした。
しかもこの日は、昼過ぎに「-14cm」という大きな干潮になる日。
結果的に、この自然条件そのものが、子どもたちにたくさんの学びを与えてくれることになりました。
「レールがない!?」移動中から始まっていた学び
行きの電車では、シーサイドラインに乗った瞬間から子どもたちの声が飛び交いました。
「この電車、レールないのすごくない!?」
普段当たり前に乗っている電車とは違う景色。
窓の外を見ながら、
「どうやって動いてるんだろう?」
「運転手いない?」
と興味津々の様子でした。
校外学習というと、現地での体験ばかりに目が向きがちですが、実際には移動そのものにもたくさんの発見があります。
見たことのない景色。
初めて乗る乗り物。
街の変化。
海が近づく空気感。
「なんでだろう?」が自然に生まれていく時間になっていました。
海風・潮の満ち引き…教科書だけでは伝わらない実感
海の公園に到着すると、今度は自然そのものが子どもたちを驚かせました。
「風強っ!!」
テントやビーチボールがどんどん飛ばされるほどの海風。
押さえていないと物が飛んでいってしまう状況に、
「海ってこんなに風あるんだ」
と実感している様子でした。
さらに時間が経つにつれて、海の様子がどんどん変わっていきます。
最初は海だった場所が、少しずつ地面になっていく。
「さっきまで海だったのに!」
「めっちゃ遠くまで行ける!」
潮が引いていくことで、遠くまで陸続きになっていく景色。
理科や社会で「干潮」「満潮」という言葉を学ぶことはありますが、実際に目の前で海が変化していく様子を見る経験は、やはり特別です。
百聞は一見にしかず。
まさに、そんな学びの連続でした。
アサリがいない…そこで始まった「マテ貝ハンター」
今年の海の公園では、
「アサリが全然取れない」
というニュースも出ていました。
実際に掘ってみても、なかなか見つかりません。
「ない…」
「全然いない…」
最初は少し残念そうだった子どもたち。
でも、そこで終わらないのが面白いところでした。
「マテ貝ならいるかも!」
子どもたちは次第に、マテ貝探しへ切り替えていきます。
砂に空いた小さな穴を探し、
そこへ塩を入れる。
すると――
ニュッ。
マテ貝が顔を出します。
「出た!!!!!」
そこからは完全に“マテ貝ハンター”。
どこに穴があるのか。
どの穴が本物なのか。
どうやったらうまく捕まえられるのか。
自然と試行錯誤が始まっていました。
「こっちの穴深い!」
「塩もっと必要じゃない?」
「今のタイミング早かった!」
遊びながら、観察しながら、挑戦を繰り返していく。
こういう時間の中には、教科ごとに分けられない学びがあります。
お弁当の時間に起きた“事件”
たくさん歩き、たくさん探し、ようやく収穫したマテ貝。
みんなで「結構取れたね!」と話しながら、お弁当の時間になりました。
外で食べるお弁当は、それだけで特別です。
海風を感じながら、
みんなで笑いながら食べる昼食。
ところが――
その隙に事件が起きます。
なんと、収穫したマテ貝をカラスが食べていたのです。
「え!?!?!?」
「全部ない!!」
「カラス食べてる!!」
気づいた時には、ほぼ全部なくなっていました。
収穫ゼロ。
普通に考えれば「失敗」と感じてもおかしくありません。
それでも、帰り道のみんなは笑顔だった
でも、帰りの電車の中での子どもたちの表情は、とても満足そうでした。
「楽しかった!」
「またやりたい!」
「カラス強すぎた(笑)」
取れた貝の数ではなく、
その日どんな体験をしたのか。
それが子どもたちの中にしっかり残っているようでした。
海風の強さ。
潮の満ち引き。
生き物を探す面白さ。
自然の中で思い通りにいかないこと。
そして、自然の中で生きる生き物の逞しさ。
カラスに全部食べられるという出来事まで含めて、子どもたちにとっては強烈な体験になっていました。
「うまくいったか」だけではない校外学習
校外学習というと、
「何を学んだのか」
「成果はあったのか」
に目が向きがちです。
でも実際には、
自分たちで相談して決めること。
準備を考えること。
現地で驚くこと。
予想外を体験すること。
思い通りにならない自然と向き合うこと。
そうした一つひとつが、子どもたちの経験になっていきます。
今回の潮干狩りは、収穫だけを見れば“ゼロ”だったかもしれません。
それでも帰り道の笑顔を見ると、この校外学習には、数字では測れない学びがたくさん詰まっていたように感じます。


