
「知らない、わからない」
社会のプリントを前にした子どもが、最初にそう話していました。
学習内容は、日本の工業と自動車工業。
でも、そのあと教科書を開きながら学習を進めていくうちに、以前学んだ都道府県の知識と結びつき始めていました。
「分からない」で止まっていた時間が、少しずつ「つながる」に変わっていった社会の学習でした。
最初は「何を見ればいいか分からない」
この日取り組んでいたのは、社会のプリント学習でした。
1枚目は22分。
2枚目は12分。
どちらも短時間で終わる学習ではなく、じっくり時間をかけながら進めていました。
ただ、最初からスムーズに解けていたわけではありません。
アセスメント記録には、
「知らない、わからないと話していたので教科書で調べながら学びました。」
と残っています。
工業の学習では、地域、工場、自動車工業、生産、輸送など、さまざまな内容が一気に出てきます。
特に、日本の工業分野は、都道府県や地図の知識ともつながっているため、情報量が急に増えたように感じやすい単元です。
そのため、最初は「何を見ればいいのか分からない」という状態になりやすくなります。
実際、この日も最初は「分からない」という感覚が大きかったようでした。
教科書を開きながら進めていった
それでも、その日は止まりませんでした。
学習記録を見ると、1枚目では6分以上、2枚目でも6分以上を「調べた時間」として使っていました。
つまり、かなり長い時間を、教科書や資料を確認しながら進めていたことになります。
社会の学習では、答えだけを書いて終わることもできます。
でも、この日は違いました。
「どこに書いてあるだろう」
「この言葉は何だろう」
「この地域は前に見たことがあるかもしれない」
そんなふうに、確認しながら進めている時間がありました。
分からない問題に出会ったとき、すぐに誰かに答えを聞くこともできます。
けれど、この日はまず教科書を開いていました。
教科書のどこにヒントがあるのかを探しながら、一つずつ進めていたことが記録から伝わってきます。
「覚えた知識」がつながり始めた
そして、学習を進める中で、小さな変化がありました。
アセスメント記録には、
「今まで習った都道府県の知識とつなげながら学びを深めていました。」
と書かれていました。
ここが、この日の学習の中で特に印象的だった場面でした。
都道府県の学習は、名前を覚えるだけで終わってしまうこともあります。
でも、この日は、その知識が別の学習につながり始めていました。
例えば、
「この工業地帯は前に見たことがある」
「この地域は工場が多かった」
「この県の名前、前に勉強した」
そんなふうに、以前学んだ内容が、今の学習を支える形になっていたようでした。
知識は、最初は単独で存在しています。
でも、別の学習とつながった瞬間に、「覚えたこと」が「使えるもの」に変わっていきます。
この日は、その変化が少し見えた時間でした。
「調べる」が学びを前に進めた
この日の記録で特徴的だったのは、「調べた時間」の長さでした。
1枚目は22分のうち6分以上。
2枚目も12分のうち6分以上。
かなりの割合を「調べる時間」に使っていました。
これは、ただ答えを写していた時間ではありません。
分からないことを、そのままにせず、自分で探していた時間です。
社会の学習では、「知っているかどうか」だけが注目されることがあります。
でも実際には、
・資料を見る
・地図を見る
・教科書を読む
・前に学んだ内容を思い出す
といった力が、とても大切になります。
そして、その力は、最初から自然にできるわけではありません。
分からない問題に出会ったとき、
「もう無理」
「分からないから終わり」
で止まることもあります。
でも、この日は教科書を開いていました。
その行動が、学びを前に進めていました。
「分からない」で終わらなかった時間
この日のスタートは、
「知らない、わからない」
でした。
でも、そのあと教科書を使いながら調べ続けていました。
そして最後には、以前学んだ都道府県の知識と結びつけながら学習していたことが記録に残っていました。
最初から全部分かっていたわけではありません。
むしろ、「分からない」から始まった時間でした。
それでも、自分で調べながら進めたことで、少しずつ知識がつながり始めていました。
学習では、「すぐ解けたこと」だけが大切なのではありません。
分からない内容に出会ったときに、
教科書を開く。
資料を見る。
前に学んだことを思い出す。
そうやって、自分で確かめながら進める時間があります。
この日の社会の学習には、その姿が残っていました。
「知らない、わからない」で止まらず、教科書を開きながら進めた時間。
その小さな積み重ねが、学びを少しずつ前に動かしていました。


