
「順列」と「組み合わせ」って、言葉は似ているけれど、
どこが違うんだろう?と思ったことはありませんか?
たとえば友だちと並んで写真を撮るときや、
チームを作るとき、くじを引くとき――。
その「並べ方」や「選び方」を数える考え方こそが、
順列と組み合わせです。
この記事では、
・順番を考える「順列」
・順番を考えない「組み合わせ」
の違いを、身近な例や図を使ってやさしく解説します。
さらに、数がどのようにふえていくのか、
確率や期待値にどうつながるのかも紹介。
最後には自由研究に使える実験アイデアやクイズもあります。
読めばきっと、「考えるって楽しい!」と思えるはず。
数字の世界で、あなたの“思考の並べ方”を探してみましょう。
- 順列と組み合わせとは?|「並べ方」と「選び方」の違いをわかりやすく解説
- 【順列】並べ方を考えるときの数え方|順番が関係する「順列」とは?
- 【組み合わせ】順番を気にしないときの数の考え方|選び方を整理して考えよう
- 【比較】順列と組み合わせの違いを例で学ぶ|どっちを使えばいいか見分けよう
- 【発展】順列・組み合わせでふえるパターンの数|数の爆発的な増え方を観察しよう
- 【応用】確率・期待値につながる順列と組み合わせ|“起こりやすさ”を数で考える準備
- 【実験】自由研究に使える順列・組み合わせのアイデア集
- 【復習】おさらいクイズ|順列と組み合わせの考え方をふりかえろう
- 【まとめ】順列と組み合わせで広がる考え方|論理的に考える力を育てよう
順列と組み合わせとは?|「並べ方」と「選び方」の違いをわかりやすく解説
「順列」と「組み合わせ」。
どちらも“場合の数”を数えるときに使う言葉ですが、
「順番を考えるかどうか」 が大きなちがいです。
🧮 まずは感覚で理解しよう
たとえば、あなたと友だちAさん、Bさんの3人で写真を撮るとします。
並び方を考えると、
- あなた・Aさん・Bさん
- Aさん・あなた・Bさん
- Bさん・あなた・Aさん …
と、順番を変えるだけで別の写真になります。
このように「順番がちがえば別の並び」として数えるのが 順列(じゅんれつ) です。
つまり、「並べ方の数」=順列 です。
👥 一方で「選び方」だけを考える場合
今度は「3人のうち2人でペアを作る」としましょう。
「あなたとAさん」「あなたとBさん」「AさんとBさん」
この3通りしかありません。
「Aさんとあなた」も「あなたとAさん」も同じペアです。
このように、順番を入れ替えても同じものとして数えるのが 組み合わせ(くみあわせ) です。
つまり、「選び方の数」=組み合わせ。
🔢 「順番があるかないか」が判断のカギ
覚え方はシンプルです。
比較 | 順列 | 組み合わせ |
---|---|---|
意味 | 並べ方 | 選び方 |
順番 | ある | ない |
例 | 席順、レースの順位、暗証番号 | チームづくり、味の選択、グループ分け |
計算 | nPr = n×(n−1)×(n−2)… | nCr = n! ÷ r!(n−r)! |
たとえば「席順を決める」→順列、「3人で班を作る」→組み合わせ。
この判断ができれば、どちらを使うか迷わなくなります。
💡 数の考え方は「場合の数」の第一歩
順列も組み合わせも、「すべての場合を整理して数える」考え方です。
これは確率や期待値を考えるときの土台になる重要な考え方。
(→関連記事:「確率・期待値|“起こりやすさ”を数で考える数学の発想」)
また、プログラミングやデザインでも「順番やパターン」を考える力は欠かせません。
算数の学びが未来の発想力につながっているのです。
🧩 クイズ①
次のうち、「順番を変えると別の結果になる」のはどれでしょう?
- 3人の中から2人を選んでペアを作る
- 3人の席順を決める
- 3つの味のアイスを1つずつえらぶ
正解は 2 の「3人の席順を決める」です。
👉 順番を変えるとちがう並びになるので「順列」です。
順列と組み合わせのちがいを理解することは、
「考える順番」を整理する練習にもなります。
このあと紹介する順列の世界では、
“並べ方”がどのように数えられるのかをくわしく見ていきましょう。
【順列】並べ方を考えるときの数え方|順番が関係する「順列」とは?
「順列(じゅんれつ)」とは、順番を考えて並べるときの数の数え方です。
同じ人やものでも、並ぶ順番が変われば“ちがう並び”として数えます。
この考え方を理解すると、レースの順位や暗証番号など、
日常の中にある「並び方のパターン」を整理して考えられるようになります。
👟 並べ方の考え方を体感しよう
たとえば、Aさん・Bさん・Cさんの3人が横に並ぶとき。
最初の場所には3人のうち誰かが入ります(3通り)。
1人が決まると残りは2人。2番目の場所は2通り。
最後は残った1人なので1通り。
つまり、3×2×1=6通り の並び方があります。
これが「3人を並べる順列は6通り」と言われる理由です。
実際に書き出してみると、
- A→B→C
- A→C→B
- B→A→C
- B→C→A
- C→A→B
- C→B→A
たしかに6通りありますね。
🔢 順列の数え方の公式「nPr」
一般に「n個のものからr個を並べる」ときの順列の数は
nPr = n × (n−1) × (n−2) × … × (n−r+1)
と表されます。
たとえば「5人の中から3人を選んで順番に並べる」なら、
5 × 4 × 3 = 60通り。
「P」は英語の Permutation(並べる)の頭文字です。
⚙️ 「階乗(!)」を使うともっとスッキリ!
「n個を全部並べる」とき(r = n)は、
nPr = n!(nの階乗) と書きます。
階乗とは、「その数から1までを全部かける」こと。
たとえば 4!(4の階乗)は 4×3×2×1 = 24。
「びっくりマーク(!)」は驚きではなく“全部かける”のしるしなんです。
大きい数になると計算は大変ですが、
順列は「選ぶごとに選択肢が1つずつ減っていく」という考え方さえわかれば大丈夫。
🧠 順列は「順番を考える問題」で使う!
順列が使われるのは、
「順番」や「位置」が関係する問題です。
たとえば:
- 席順を決める
- 表彰台の1位・2位・3位を決める
- 暗証番号やロッカー番号をつくる
これらは、同じ人や数字でも順番を変えると結果が変わります。
だから順列。
🧩 クイズ②
次のうち、順番を変えると結果が変わるのはどれ?
- くじで2人をえらぶ
- テストの1位・2位・3位を決める
- 3人で班を作る
正解は 2 の「テストの1位・2位・3位を決める」です。
👉 順番が変われば結果が変わるので「順列」です。
順列の考え方は、「順番を意識して考える力」 を育てます。
次の章では、反対に「順番を気にしない」組み合わせの世界を見ていきましょう。
【組み合わせ】順番を気にしないときの数の考え方|選び方を整理して考えよう
「組み合わせ(くみあわせ)」とは、順番を考えずに“どれを選ぶか”を数える方法です。
並べ方ではなく「えらび方」だけに注目するのがポイント。
同じ人でも、順番を変えただけなら同じ組み合わせとして数えません。
🍨 3人から2人を選ぶときの考え方
たとえば、Aさん・Bさん・Cさんの3人から2人をチームにするとき。
まず考えられるペアは
- AとB
- AとC
- BとC
の3通りです。
ここで「AとB」と「BとA」は同じペア。
このように順番を変えても結果が同じなら、
1回だけ数えるのが「組み合わせ」です。
✋ 少し大きな数で考えてみよう(5人から2人を選ぶ)
5人(A〜E)の中から2人を選ぶとします。
まず、1人目を選ぶときは 5通り。
2人目は 残り4人 から選べるので、
一見 5×4=20通り ありそうです。
でもここには、
「AとB」「BとA」のように、同じペアを2回数えています。
つまり、順番の入れ替え(2通り)でダブりがあるんですね。
そこで、重なりをなくすために ÷2 します。5×4÷2=10通り5×4÷2=10通り
これが「5人の中から2人を選ぶ組み合わせの数」です。
🧮 一般の式で表すと「nCr」
同じ考え方を“何人中から何人選ぶ”にも広げると、
次の式が使えます。
\[ nCr = \frac{n!}{r!(n−r)!} \]
ここで、
- n は全体の人数(ものの数)
- r は選ぶ数
- 「!(階乗)」は「その数から1まで全部かける」という意味です。
たとえば「5人から2人を選ぶ」なら、
5! ÷ (2! × 3!) = 10。
さっきの 5×4÷2 と同じ結果になりますね。
🌈 順番が関係しない場面を見つけよう
組み合わせの考え方は、日常のあちこちにあります。
- アイスの味を「いちご・チョコ・バニラ」から2つ選ぶ
- チームのメンバーを決める(順番は関係ない)
- プレゼントの組み合わせを考える
どれも、「順番を変えても同じもの」とみなせるので、組み合わせです。
🧩 クイズ③
次のうち、「順番を入れ替えても同じ結果になる(=組み合わせ)」のはどれでしょう?
- 席にすわる順番を決める
- 5人の中から2人を選んでペアを作る
- テストの1位・2位・3位を決める
正解は 2 の「5人の中から2人を選んでペアを作る」です。
👉 並び順を変えても同じペアなので、「組み合わせ」です。
組み合わせの考え方は、
「重なりをなくす」「同じものをまとめる」という整理の力を育てます。
次の章では、順列と組み合わせのちがいを実際の例で見比べ、
どちらを使えばいいかを見分けるコツを学びましょう。
【比較】順列と組み合わせの違いを例で学ぶ|どっちを使えばいいか見分けよう
「順列」と「組み合わせ」は、とても似ているようで、考え方の根っこがちがいます。
どちらも「場合の数」を求める考え方ですが、
“順番を考えるか” “考えないか” が最大のちがいです。
🔍 並べ方か、選び方か――まずは整理してみよう
比較する項目 | 順列(Permutation) | 組み合わせ(Combination) |
---|---|---|
意味 | 並べ方を数える | 選び方を数える |
順番 | 関係ある | 関係ない |
例 | 席順、順位、暗証番号 | チーム決め、味の選び方、カードの組み合わせ |
公式 | nPr = n×(n−1)×(n−2)… | nCr = n! ÷ r!(n−r)! |
たった一文字違うだけですが、考え方の世界が変わります。
「並べる=順列」「選ぶ=組み合わせ」――
このイメージをしっかり持つことが大切です。
🧠 例①:席順を決めるとき
3人の中から2人を選んで、席の前後を決めるとします。
- Aさんが前でBさんが後ろ
- Bさんが前でAさんが後ろ
この2つは順番がちがうので、**別の並び(順列)**です。
順番を入れ替えるだけで別の結果になるなら、それは「順列」。
🎒 例②:ペアをつくるとき
同じ3人から2人を「ペア」にする場合はどうでしょう?
「AとB」も「BとA」も同じペアです。
このように順番を変えても同じ結果なら、組み合わせです。
🍦 例③:アイスの味を選ぶとき
いちご、チョコ、バニラの3つの中から2つを選ぶとき、
「いちご+チョコ」も「チョコ+いちご」も同じ味の組み合わせです。
だから組み合わせ。
一方、「1段目がいちご」「2段目がチョコ」と決まっているなら、
順番が関係するので順列です。
💬 見分け方のコツ
1️⃣ 順番を変えたら結果が変わる?
→ 変わるなら「順列」
→ 変わらないなら「組み合わせ」
2️⃣ 「並べる」「順位」「順番」などの言葉が出てきたら順列
3️⃣ 「チーム」「ペア」「選ぶ」などの言葉が出てきたら組み合わせ
言葉にヒントが隠れています。問題文をよく読むことが大切です。
🧩 クイズ④
次のうち、「順列」として考えるのが正しいのはどれでしょう?
- 3人でグループを作る
- 席の前後を決める
- 2種類のジュースをえらぶ
正解は 2 の「席の前後を決める」です。
👉 順番を変えると結果が変わるので「順列」です。
順列と組み合わせのちがいがわかると、
「どんな場面でどちらを使うか」を自分で判断できるようになります。
次の章では、実際に数がどのように増えていくか、
順列・組み合わせの“数のふえ方”を体感してみましょう。
【発展】順列・組み合わせでふえるパターンの数|数の爆発的な増え方を観察しよう
「順列」や「組み合わせ」を勉強していると、
数があっという間に大きくなってびっくりすることがあります。
たとえば、たった5人を並べるだけでも「120通り」もあるのです!
ここでは、数がどんなふうに増えていくのかを体感してみましょう。
🧮 順列のふえ方を見てみよう
人数(n) | 並べ方の数(n!) | 説明 |
---|---|---|
2人 | 2×1=2通り | A→B、B→A |
3人 | 3×2×1=6通り | 少し増えただけで3倍! |
4人 | 4×3×2×1=24通り | どんどん増える! |
5人 | 5×4×3×2×1=120通り | もう百通りを超える! |
このように、「1人増えるたびに、前の数の何倍にも増える」ことがわかります。
これが**“階乗(かいじょう)”**のすごさ。
順列の世界はまるで“倍々ゲーム”のように増えていくのです。
🧩 なぜそんなに増えるの?
順列では「1番目」「2番目」「3番目」…と、
並ぶ位置すべてに選択肢があります。
たとえば5人なら、
1番目に入る人が5通り、2番目が4通り、3番目が3通り…。
選ぶごとに選択肢が減るので、かけ算を重ねていくことになります。
結果として、どんどん数がふくらむわけです。
🍀 組み合わせも増えるスピードは速い!
組み合わせは順番を考えないぶん、
順列よりは少し少ないですが、それでもすぐに大きな数になります。
全体の数(n) | 選ぶ数(r) | 組み合わせの数(nCr) |
---|---|---|
5人から2人選ぶ | 10通り | 5×4÷2=10 |
10人から2人選ぶ | 45通り | 10×9÷2=45 |
10人から3人選ぶ | 120通り | 10×9×8÷(3×2×1)=120 |
20人から3人選ぶ | 1140通り | とても多い! |
人数が少し増えるだけで、選び方の数も一気にふくらみます。
だからこそ、組み合わせの考え方はデータ分析や確率にも欠かせないのです。
💻 コンピューターでも全部調べるのは大変!
もし10人全員の並べ方(10!)をすべて調べると、
なんと 3,628,800通り になります。
コンピューターなら一瞬でも、手で数えるのは不可能ですね。
だから数学では、こうした「数の爆発的なふえ方」を扱うために、
式や考え方で整理するのです。
🧩 クイズ⑤
次のうち、最も多くのパターンができるのはどれでしょう?
- 3人を並べる
- 4人を並べる
- 5人から3人を選ぶ
正解は 2 の「4人を並べる」です。
👉 並べ方(順列)は順番が関係するため、組み合わせよりも数が多くなります。
順列と組み合わせの「数のふえ方」を体感できると、
なぜコンピューターや統計学が数学の力を借りるのかが見えてきます。
次の章では、こうした考え方がどのように確率や期待値につながっていくのかを見ていきましょう。
【応用】確率・期待値につながる順列と組み合わせ|“起こりやすさ”を数で考える準備
これまで学んだ「順列」や「組み合わせ」は、
ただの数え方ではありません。
実はこの考え方が、確率や期待値といった
「何がどれくらい起こりやすいか」を考える数学の出発点になります。
🎲 「場合の数」から「確率」へ
確率とは、「起こりうるすべての結果の中で、目的の結果が出る割合」のことです。確率=(望む結果の数)÷(全体の結果の数)確率=(望む結果の数)÷(全体の結果の数)
この“全体の結果の数”を数えるのに使うのが、まさに順列と組み合わせです。
たとえば、コインを2枚投げると
出るパターンは「表表・表裏・裏表・裏裏」の4通り。
この「4通り」は“すべての組み合わせ”であり、
そのうち「表が2枚」の1通りだけを数えると、
1 ÷ 4 = 0.25(25%)が確率になります。
つまり、「順列・組み合わせ」は確率を支える基礎の数え方なのです。
♠️ トランプやくじ引きの世界でも
たとえば、52枚のトランプから2枚引くとき。
どんな2枚を引くかの「えらび方」は 組み合わせ(nCr) で数えます。
もし「ハートのカードを2枚引く確率」を求めたいなら、
- ハート13枚の中から2枚選ぶ組み合わせ(13C2)
- 全52枚から2枚選ぶ組み合わせ(52C2)
をそれぞれ数えて、
確率=(13C2) ÷ (52C2) で求めます。
順列・組み合わせを知っていれば、
「全体の中のどれくらい」という感覚を数で表せるようになります。
💡 「期待値」は確率の先にある考え方
次に出てくる「期待値(きたいち)」とは、
**「たくさん試したときの平均的な結果」**を表す考え方です。
たとえば、サイコロを1回ふるとき、
出る目の合計をたくさんの試行で平均すると約3.5になります。
それが“1回あたりに期待できる平均値=期待値”。
ここでも、どの目が出るかという「すべての可能性」を整理するために、
順列・組み合わせの考え方が欠かせません。
🌍 「順列・組み合わせ」で広がる数学の世界
順列と組み合わせを使うと、
・確率の計算
・ゲームの戦略
・データの分析
・AIや統計のアルゴリズム
など、さまざまな分野で「数の世界のしくみ」を理解できます。
「どんなパターンがあるか」を整理する力は、
現代社会の“考える技術”そのものです。
🔗 次に読むおすすめ
👉 『確率・期待値|“起こりやすさ”を数で考える数学の発想』
この記事では、順列・組み合わせの考え方を使って
「確率とは何か?」「期待値とはどんな意味か?」を
具体的な例とともに学びます。
順列・組み合わせは、“考える数学”の入口。
次の確率・期待値の世界で、その力を試してみましょう。
【実験】自由研究に使える順列・組み合わせのアイデア集
「順列」や「組み合わせ」は、ただの計算ではありません。
実際に試して、観察して、数を数えてみることで、
“考え方のルール”が目に見える実験に変わります。
ここでは、家庭や学校でできる自由研究のアイデアを紹介します。
🎨 アイデア①:色や形の並べ方を調べよう(順列)
用意するのは、3色のブロック(赤・青・黄)やカラーボール。
これを1列に並べると、どんな順番の並べ方ができるでしょう?
実際に手で並べ替えながら、できた順番をノートに記録してみます。
赤→青→黄、黄→赤→青、青→黄→赤…。
全部で何通りになるか数えたあと、式で確認してみましょう。
3×2×1=6通り!
この体験を通して「順列の数え方はかけ算で考える」ということが実感できます。
📌 発展アイデア:
ブロックの数を4個、5個に増やすとどうなる?
「階乗(!)」を使って整理してみよう。
🍭 アイデア②:くじ引きで組み合わせを体験しよう
紙に「A」「B」「C」「D」「E」と書いた5枚のカードを用意。
その中から2枚をランダムに引いてペアを作ります。
どんなペアができたかをすべて書き出してみると、
A-B、A-C、A-D、A-E、B-C、B-D、B-E、C-D、C-E、D-E の10通り。
このとき「A-B」と「B-A」は同じペア。
だから、**順番を気にしない“組み合わせ”**になります。
📌 発展アイデア:
カードの数を6枚、7枚にしたらペアの数はどうなる?
「5×4÷2=10通り」のように、式で整理してみよう。
🧃 アイデア③:アイス屋さんの“味のえらび方”を分析しよう
いちご・チョコ・バニラ・抹茶の4種類の味から
2つ選んでダブルアイスを作るとき、どんな組み合わせができるでしょう?
順番を気にしなければ、
「いちご+チョコ」も「チョコ+いちご」も同じ。
実際にカードや色紙を使って組み合わせを作り、
一覧表にすると視覚的にわかりやすくなります。
📌 発展アイデア:
「1段目」「2段目」を区別してみよう。
順番を決めたら、それは“順列”に変わります。
🧪 アイデア④:順列・組み合わせの法則を自分で発見しよう
- 並べ方をすべて書き出して数える
- 数が増えたときの法則を見つける
- かけ算・わり算の関係を自分で整理する
この3ステップで、「自分の頭で考える数学の探究」ができます。
自分で見つけた法則をグラフや表にまとめると、立派な自由研究になります。
💡 まとめ
順列・組み合わせは、
“決まりを見つける実験”でもあり、“考える力を育てる数学”でもあります。
頭の中だけでなく、実際に手を動かすことで、
数字の世界がグッと身近になります。
「どうすれば全部のパターンを見つけられるかな?」
そんなワクワクする気持ちが、探究の第一歩です。
【復習】おさらいクイズ|順列と組み合わせの考え方をふりかえろう
ここまでで、「順列(並べ方)」と「組み合わせ(選び方)」の考え方を学びました。
どちらも“数える数学”ですが、
順番を考えるか・考えないかで使い分けが大切でしたね。
さあ、ここでおさらいクイズに挑戦!
自分の考え方が整理できているかチェックしてみましょう。
クイズ①
次のうち、「順番を変えると結果が変わる」のはどれでしょう?
- 3人のうち2人を選んでペアを作る
- 3人の席順を決める
- 3つの味のアイスをえらぶ
正解は 2 の「3人の席順を決める」です。
👉 順番を変えるとちがう並びになるので「順列」です。
クイズ②
5人の中から2人を選ぶとき、正しい組み合わせの数え方はどれ?
- 5×4=20通り
- 5×4÷2=10通り
- 5×4×3=60通り
正解は 2 の「5×4÷2=10通り」です。
👉 「AとB」「BとA」は同じペアなので、ダブりをなくすために÷2します。
クイズ③
次のうち、「順列」として考えるのが正しいのはどれ?
- テストの1位・2位・3位を決める
- チームメンバーをえらぶ
- 2種類のジュースを選ぶ
正解は 1 の「テストの1位・2位・3位を決める」です。
👉 順番が関係するので「順列」です。
クイズ④
「いちご・チョコ・バニラ」から2つの味を選ぶとき、
順番を気にしないなら、これはどんな考え方?
- 順列
- 組み合わせ
- 確率
正解は 2 の「組み合わせ」です。
👉 「いちご+チョコ」も「チョコ+いちご」も同じ味の組み合わせになります。
クイズ⑤
順列と組み合わせの違いを、いちばん正しく説明しているのはどれ?
- 並べ方と選び方のちがい
- 掛け算と割り算のちがい
- たし算と引き算のちがい
正解は 1 の「並べ方と選び方のちがい」です。
👉 順列は“並べる”、組み合わせは“選ぶ”という考え方のちがいが基本です。
🧠 振り返り
- 順列(並べ方) → 順番を考える
- 組み合わせ(選び方) → 順番を考えない
- 公式のちがい → nPr(順列)、nCr(組み合わせ)
- 日常の中の例 → 席順・チーム・アイス・くじ引きなど
- つながる学び → 確率・期待値・統計・プログラミング
順列と組み合わせの考え方を身につけると、
ものごとを「順序立てて整理する力」が育ちます。
次の「まとめ」では、今回の学びを未来の“考える力”と結びつけましょう。
【まとめ】順列と組み合わせで広がる考え方|論理的に考える力を育てよう
順列と組み合わせは、「順番を考える」か「考えない」かという、
たったひとつの違いから生まれる考え方の広がりです。
でもそのちがいを理解すると、
ものごとを整理し、筋道を立てて考える力が育っていきます。
順列は「順番を入れ替えて考える力」、
組み合わせは「必要なものを選び取る力」。
どちらも、数学の世界だけでなく、
日常生活や創造的な活動の中でも役立つ“思考の道具”です。
そしてこの考え方は、「確率」「期待値」などの応用分野へとつながり、
さらにデータ分析やプログラミング、AIの仕組みにも生きています。
「順列・組み合わせ」は、
“考えることそのもの”を楽しむ数学。
自分の頭でパターンを見つけ、
「なるほど!」と思えた瞬間こそが、学びのゴールです。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。