
海や川で泳いでいる魚やカメが、ビニール袋や小さなプラスチックを食べてしまうことがあるって知っていますか?
とくに5ミリ以下の小さなごみを 「マイクロプラスチック」 と呼び、世界中で大きな問題になっています。
「どうしてそんな小さなごみができるの?」「人間の体にも入ってしまうの?」と気になる人も多いはず。
この記事では、マイクロプラスチックの正体や発生する理由、海や生き物への影響、そして私たちができる工夫をやさしく解説します。
自由研究に使えるアイデアやクイズもあるので、楽しく学んでみましょう!
マイクロプラスチックとは?【意味を小学生にもわかりやすく】
「マイクロプラスチック」という言葉を聞いたことがありますか?
これはとても小さなプラスチックのかけらのことを指します。大きさは 5ミリ以下。消しゴムのカスや砂粒くらいのサイズで、目ではなかなか見つけられないほど小さいものもあります。
たとえば、海や川に流れ出したペットボトルやビニール袋は、長い時間をかけて太陽の光や波にさらされると、バラバラにくだけて小さくなります。その小さなかけらが「マイクロプラスチック」になります。
さらに、もともと小さい状態で作られたプラスチックもあります。昔は洗顔料や歯みがき粉の中に「マイクロビーズ」と呼ばれる細かいプラスチックが入っていました。これは肌をこすったり、歯をきれいにするための粒でしたが、使った後に水と一緒に流れ出すことで、川や海にたまってしまったのです。
このように、マイクロプラスチックは「ごみ箱に捨てたつもりのプラスチック」が、自然の中で小さく砕けて広がったものや、もともと小さなプラスチックが環境に出てしまったものなのです。
いちばんの問題は、とても小さいので回収がむずかしい ということ。大きなペットボトルなら拾って処分できますが、5ミリ以下の小さな粒は砂や海水とまじってしまい、見つけるのも集めるのもほとんど不可能です。そのため、一度自然に出てしまうと、長い間ずっと残り続けてしまうのです。
👉 つまりマイクロプラスチックは、「見えにくいけれど消えないごみ」。だから世界中で大きな問題になっているのです。
クイズ①
マイクロプラスチックの大きさはどれくらいでしょう?
- 1メートル以下
- 5ミリ以下
- 1センチ以下
正解は 2. 5ミリ以下 です。
とても小さいので回収が難しく、海の中で長い間残ってしまいます。
マイクロプラスチックはどこから来るの?【原因と発生源】
マイクロプラスチックは、ただ自然にあるわけではありません。
じつは私たちの生活の中から少しずつ出てきて、海や川に流れていってしまうのです。では、いったいどこからやってくるのでしょうか?
① 大きなプラスチックごみがこわれて小さくなる
海岸に落ちているペットボトルやビニール袋、ストローなどは、太陽の光や波にさらされると、少しずつもろくなり、細かいかけらになります。これがマイクロプラスチックの一番大きな原因です。
👉 たとえば海岸清掃で拾いきれなかったビニール片が、波にゆられてどんどん小さくなるのです。
② 洗顔料や歯みがき粉に入っていた「マイクロビーズ」
少し前までは、洗顔料や歯みがき粉の中に小さなプラスチックの粒が入っていました。これを「マイクロビーズ」といいます。使ったあと水と一緒に流されて下水処理場を通っても、あまりに小さいために取り除かれず、川や海にたまってしまったのです。現在では日本を含む多くの国で規制されていますが、過去に流れ出したものは今も海に残っています。
③ 衣類から出る化学繊維(マイクロファイバー)
洋服やスポーツウェアの多くはポリエステルやナイロンなどの化学繊維でできています。洗濯するときに、糸くずのように小さな繊維が水に混ざり、下水に流れていきます。これもマイクロプラスチックの一種です。
👉 見えないけれど、毎日の洗濯で少しずつ環境に出ているのです。
④ タイヤの削れかす
車や自転車のタイヤはゴムだけでなくプラスチック成分も含んでいます。道路を走ると、摩擦で小さなかけらがすり減り、雨で流れて川や海に運ばれてしまいます。じつはマイクロプラスチックの大きな発生源のひとつなのです。
⑤ 産業活動やプラスチック工場からの流出
工場でプラスチック製品をつくるときに出る細かい粒や、輸送中にこぼれたプラスチックペレット(原料の粒)がそのまま環境に流れ出してしまうこともあります。
👉 このように、マイクロプラスチックは「家庭」「街」「工場」など、身近な生活のあらゆる場所から生まれています。
つまり「自分たちの生活とつながっている問題」なのです。
クイズ②
次のうち「もともと小さいプラスチック」に当てはまるのはどれでしょう?
- ペットボトルのかけら
- 洗顔料に入っているマイクロビーズ
- 海に落ちた発泡スチロール
正解は 2. 洗顔料に入っているマイクロビーズ です。
小さいまま下水に流れ、海までたどり着いてしまうことがあります。
マイクロプラスチックはどんな問題を起こすの?【環境・生き物・人への影響】
マイクロプラスチックは小さすぎて目に見えないことも多いですが、海や川にたくさんたまると、自然や生き物、そして人間の生活にも大きな影響を与えます。では、どんな問題が起こるのでしょうか?
① 海の生き物が食べてしまう
魚やカメ、カモメなどの海の生き物は、マイクロプラスチックを「エサ」と間違えて食べてしまいます。
体に入っても消化できないため、おなかの中にどんどんたまってしまい、栄養がとれなくなって弱ってしまうこともあります。
👉 クジラやウミガメがビニール袋を食べて命を落としたニュースは、その一例です。
② 食物連鎖を通して人間にも
小さな魚がマイクロプラスチックを食べ、その魚を大きな魚が食べ、やがて人間が食べる――こうして「食物連鎖」を通して、マイクロプラスチックは人間の体にも入り込むと考えられています。
研究では、人間の血液や肺、母乳からも微量のプラスチックが検出されたという報告があり、「自分たちも無関係ではない」とわかってきています。
③ 海の環境そのものが変わる
マイクロプラスチックは海の中をただ浮かんでいるだけではありません。
表面に細菌や有害物質が付着し、それが他の地域へ運ばれることで「外来種や病原菌を広げるリスク」があることも指摘されています。
また、プラスチックが海の底にたまると、生き物の住みかを減らしてしまうこともあります。
④ 人間の社会への影響
漁業や観光業にも悪影響があります。
魚や貝がプラスチックを食べると安全に食べられなくなり、漁業の収穫が減ってしまうこともあります。
さらに、きれいな海岸がプラスチックごみで汚れると観光地としての価値も下がってしまいます。
👉 マイクロプラスチックは「ただのごみ」ではなく、自然・生き物・人間の生活すべてに広がる問題なのです。
クイズ③
マイクロプラスチックが食物連鎖に入ると、どんなことが起こるでしょう?
- 海の生き物が光って見えるようになる
- 小さな魚が食べたプラスチックが、大きな魚や人間にも伝わってしまう
- 海の水がきれいになる
正解は 2. 小さな魚が食べたプラスチックが、大きな魚や人間にも伝わってしまう です。
だからこそ、マイクロプラスチックの問題は「生き物だけでなく人間にも影響する」大きな環境問題なのです。
マイクロプラスチックを減らすために私たちができること【小学生・家庭での取り組み】
マイクロプラスチックの問題は世界的な課題ですが、私たち一人ひとりの行動で少しずつ減らしていくことができます。とくに家庭や学校でできる取り組みは、すぐに始められるものが多いのです。
① プラスチックごみを減らす工夫
- マイボトルや水筒を使う
ペットボトルを毎日買うのではなく、自分の水筒を持ち歩くだけでごみを大きく減らせます。 - マイバッグを持ち歩く
コンビニやスーパーで袋をもらわずに、自分のエコバッグを使う習慣をつけましょう。
👉 小学生でも「水筒を持つ」「マイバッグをおうちの人と使う」など、すぐに実践できます。
② 正しく分別してリサイクル
- プラスチックのスプーンやストローなどを使ったら、必ず決められた分別ごみに出しましょう。
- リサイクルマークのついたものは、きれいに洗って資源ごみに出すことも大切です。
👉 正しく分別すれば、新しい製品に生まれ変わり、自然に流れ込むごみを減らすことができます。
③ 一度使ったら終わりの「使い捨て」をやめる
- ストローやカップ、フォークなど、使い捨てのプラスチックをなるべく使わないようにしましょう。
- 家でも、長く使える食器やカトラリーを選ぶことが「小さなエコ」につながります。
④ 家から出るマイクロプラスチックを知る
実は、家庭からもマイクロプラスチックが出ています。たとえば、
- 合成繊維の服(フリースなど)を洗うとき → 洗濯で小さな繊維が水に流れ出る。
- 歯みがき粉やスクラブ入りの洗顔料 → 細かいプラスチック粒が含まれているものもある。
👉 こうしたことを知っておくだけでも、「使いすぎない」「代わりのものを選ぶ」工夫ができます。
⑤ 学校や地域でできる活動
- ごみ拾いイベントに参加してみる。
- 学校で「エコ活動」をテーマにしたポスターや新聞を作る。
- 夏休みの自由研究で「マイクロプラスチックを調べる」活動にする。
🌍 ポイントは「無理なくできることから」。
小さな工夫の積み重ねが、やがて大きな変化につながります。
自由研究におすすめ!マイクロプラスチックを調べてみよう
マイクロプラスチックはニュースや社会問題としても大きく取り上げられているテーマなので、自由研究にすると「身近さ」と「社会性」の両方を持った発表ができます。身の回りで実際に調べられる方法もいくつかあるので、小学生・中学生にもおすすめです。
① 身近なプラスチックごみを調査する
- 家や学校で出るプラスチックごみを1週間記録し、量や種類を調べる。
- 「ペットボトル」「お菓子の袋」「ストロー」などカテゴリーに分けて表やグラフにまとめる。
👉 見える化することで「どこを減らせるか」がよくわかります。
② 水辺でプラスチックを調べる
- 河原や海辺で小さなごみを集め、プラスチックのかけらがどれくらいあるかを数える。
- 色や大きさを記録し、写真を撮ってまとめる。
👉 実際に集めると、自然の中にどれだけプラスチックがあるのかが実感できます。
⚠ 安全のため、大人と一緒に行いましょう。
③ 洗濯とマイクロプラスチック
- フリースや化学繊維の服を洗ったとき、どんな細かい繊維が出るのか調べる。
- 洗濯機のフィルターを観察して記録する。
👉 「服からもマイクロプラスチックが出ている!」という気づきが研究テーマになります。
④ 世界や日本の取り組みをまとめる
- SDGs(持続可能な開発目標)の「海の豊かさを守ろう」と結びつけて調べる。
- 日本のスーパーで行われている「レジ袋削減」「紙ストロー導入」などを紹介する。
👉 社会的な視点を入れると研究が深まり、発表でも注目されます。
⑤ 自分の提案を考える
- 「学校でできる取り組み」や「家庭でできる工夫」を考え、まとめに入れる。
👉 「調べた → まとめた → 提案した」という流れがあると、自由研究として完成度が高くなります。
🌊 まとめのヒント
自由研究は「調べて終わり」ではなく、「自分の生活にどう活かせるか」を書くとさらに良くなります。
「だから私は水筒を持ち歩きます」「家でエコバッグを使います」など、行動につなげる一言を入れると発表もぐっと伝わりやすくなりますよ。
マイクロプラスチックおさらいクイズ!
ここまでの内容をしっかり理解できたか、3問のクイズで確認してみましょう。
クイズ①
マイクロプラスチックの大きさはどのくらい?
- 5センチ以下
- 5ミリ以下
- 5ナノ以下
正解は 2. 5ミリ以下
👉 5ミリメートルより小さいプラスチックを「マイクロプラスチック」と呼びます。砂粒のように小さいものから、目に見えないレベルのものまであります。
クイズ②
マイクロプラスチックはどこから発生するでしょう?
- ペットボトルやレジ袋などのごみが壊れて細かくなる
- 洗濯などで出る細かい化学繊維
- どちらもある
正解は 3. どちらもある
👉 大きなごみが波や紫外線で細かくなる場合と、最初から小さく作られている場合の2種類があります。どちらも環境に影響を与えてしまうのです。
クイズ③
マイクロプラスチックの問題に関連するSDGsの目標はどれ?
- 目標6「安全な水とトイレを世界中に」
- 目標14「海の豊かさを守ろう」
- 目標15「陸の豊かさも守ろう」
正解は 2. 目標14「海の豊かさを守ろう」
👉 マイクロプラスチックは海に流れ込み、魚や海鳥に大きな影響を与えます。そのため「海を守る」SDGsの14番目の目標と深く関わっています。
まとめ|マイクロプラスチックを知り、行動しよう
マイクロプラスチックは、
- ペットボトルやレジ袋などのごみが細かくなったもの
- 洗濯や日用品から出る目に見えないほど小さなプラスチック
として、海や川、そして私たちの体にも影響を与える深刻な問題です。
大事なポイントは3つ!
- 5ミリ以下の小さなプラスチックが「マイクロプラスチック」。
- 海の生き物や人の健康に悪影響を与える可能性がある。
- 自分たちでも「エコバッグを使う」「ペットボトルを減らす」などで対策できる。
👉 マイクロプラスチックは「遠い問題」ではなく、毎日の生活とつながっています。
ニュースや社会科の授業だけでなく、自由研究でも扱えるテーマなので、身近な行動から考えてみましょう。
🌏 未来の海や地球を守るためにできることは、今日から始められます。
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。