
小学生が「勉強したくない」「宿題がつらい」と言うようになると、保護者としてはとても心配になるものです。
「このまま勉強嫌いになってしまうのではないか」「努力が足りないのではないか」と悩む方も少なくありません。
しかし、小学生の勉強ストレスの多くは、やる気や性格の問題ではなく、学習の負荷や環境のミスマッチから生まれることがあります。
この記事では、小学生の勉強ストレスが強くなる原因を教育心理学の視点から整理し、勉強を嫌がる子どもへの関わり方や学びを整え直す方法について解説します。
小学生でも起きる「勉強ストレス」|勉強を嫌がる・泣く背景にあるもの
「うちの子、最近勉強を嫌がるようになってしまって……」
小学生の保護者の方から、このような相談を受けることは少なくありません。
これまで普通に宿題をしていた子どもが、ある日から急に勉強を避けるようになる。
宿題の時間になると機嫌が悪くなる。
「どうせできない」「やりたくない」と言う。
中には、勉強の前に泣いてしまう子どももいます。
保護者としては、とても心配になる場面です。
「勉強についていけていないのではないか」
「このまま勉強嫌いになってしまうのではないか」
「甘えなのか、それとも本当に苦しいのか」
さまざまな思いが頭をよぎることでしょう。
しかし、ここでまず大切なのは、
小学生でも勉強によるストレスは十分に起こりうるという事実を理解することです。
そして多くの場合、
その原因は「努力不足」や「やる気の問題」ではありません。
むしろ、子ども自身もどうしてよいか分からず、
苦しさを抱えていることが多いのです。
小学生でも勉強が原因で強いストレスを感じることがある
小学生は一見するとまだ幼く、
「勉強のストレス」という言葉とは結びつきにくいように感じるかもしれません。
しかし実際には、学校生活の中で子どもたちは多くのプレッシャーを感じています。
例えば
・授業のスピードについていけない
・テストの結果が思うようにいかない
・友達と比べられる
・先生から指摘される
・宿題の量が多い
このような経験が積み重なることで、
勉強が「安心して取り組める活動」ではなく、
不安や緊張を伴う活動になってしまうことがあります。
特に小学生は、自分の状態をうまく言葉で説明することが難しいため、
そのストレスは行動として表れやすくなります。
たとえば
・宿題の時間になると怒る
・勉強の話題を避ける
・急に集中できなくなる
・体調不良を訴える
こうした反応は、
単なる「わがまま」ではなく、
勉強に対するストレスのサインであることも少なくありません。
「勉強したくない」「勉強がつらい」と言う子どもは珍しくない
保護者としては、
「勉強したくないなんて言ってはいけない」
「将来のために頑張らなければならない」
そう感じることもあると思います。
もちろん、学びは子どもの成長にとって大切なものです。
しかし同時に、子どもが「つらい」と感じている状態を無視してしまうと、
勉強に対する苦手意識がさらに強くなってしまうことがあります。
教育心理学の研究でも、
学習に対するストレスが強い状態が続くと、
子どもは次第に挑戦すること自体を避けるようになることが指摘されています。
心理学者マーティン・セリグマンは、
このような状態を**「学習性無力感(Learned Helplessness)」**と呼びました。
学習性無力感とは、
「どうせやっても結果は変わらない」
と感じてしまい、
努力すること自体をやめてしまう心理状態のことです。
これは決して特別な子どもに起きる現象ではありません。
失敗経験が繰り返される環境では、
誰にでも起こり得るものです。
つまり、
「勉強したくない」
「どうせできない」
という言葉の裏には、
すでにいくつもの苦しい経験が積み重なっている可能性があるのです。
勉強ストレスは努力不足ではなく学習環境の問題であることが多い
もう一つ大切な視点があります。
それは、
勉強ストレスの多くは学習環境と負荷の問題であるということです。
教育学者ジョン・スウェラーが提唱した
**認知負荷理論(Cognitive Load Theory)**によれば、
人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があります。
もし学習内容が
・難しすぎる
・情報量が多すぎる
・理解の前提が不足している
このような状態になると、
脳は処理しきれず、混乱が起こります。
その結果、
・理解できない
・覚えられない
・疲れる
・嫌になる
といった状態が生まれます。
つまり、
勉強がつらくなる原因は
子どもの能力ではなく
学習の負荷が合っていないこと
である場合も多いのです。
もし今、お子さんが
・勉強を嫌がる
・宿題で泣く
・「どうせできない」と言う
といった様子を見せているなら、
まずはその背景にあるストレスを丁寧に見ていくことが大切です。
その上で考えたいのが、
なぜ勉強ストレスが強くなってしまうのか
という問題です。
次の章では、
小学生の勉強ストレスが強くなる主な原因を、
教育心理学の視点から整理していきます。
小学生の勉強ストレスが強くなる原因|勉強を嫌がる3つの背景
小学生が「勉強したくない」と言うとき、
多くの保護者は次のように考えてしまいがちです。
「まだ小さいから甘えているのではないか」
「やる気が足りないのではないか」
「もう少し頑張ればできるはず」
しかし教育心理学の研究を見ると、
勉強ストレスが強くなる背景には、
いくつかの共通したメカニズムがあることが分かっています。
ここでは代表的な3つの要因を整理してみましょう。
学習内容が難しすぎるとストレスになる(認知負荷理論)
まず考えたいのは、
学習内容そのものの負荷です。
教育学者ジョン・スウェラーは
**認知負荷理論(Cognitive Load Theory)**の中で、
人間のワーキングメモリ(作業記憶)には
処理できる情報量の限界があると説明しています。
簡単に言えば、
一度に考えられる量には限界がある
ということです。
もし授業や宿題が次のような状態になると、
・理解の前提がまだ身についていない
・説明が早すぎる
・情報量が多すぎる
・問題が難しすぎる
子どもの脳は処理しきれなくなります。
すると
・何を考えればいいか分からない
・理解できない
・覚えられない
・疲れる
という状態が起きます。
このとき、子ども自身は
「難しすぎるからつらい」
と説明できるわけではありません。
その代わりに
「やりたくない」
「つまらない」
「もういい」
という言葉として表れることがあります。
つまり、
勉強を嫌がる理由が
「能力」ではなく「負荷のミスマッチ」
であるケースは少なくないのです。
失敗経験が重なると「どうせできない」と感じる(学習性無力感)
もう一つの大きな要因は、
失敗経験の積み重ねです。
心理学者マーティン・セリグマンは、
失敗やコントロールできない状況が続くと、
人は挑戦すること自体をやめてしまうことを発見しました。
これを
学習性無力感(Learned Helplessness)
と呼びます。
例えば
・テストで点が取れない
・宿題が分からない
・授業についていけない
こうした経験が繰り返されると、
子どもは次第にこう考えるようになります。
「どうせできない」
「頑張っても意味がない」
この状態になると、
本来はできる可能性がある問題でも、
挑戦する前に諦めてしまうことがあります。
保護者から見ると、
「やればできるのに、やろうとしない」
ように見えることもあります。
しかし実際には、
過去の経験が挑戦する力を奪っている
場合もあるのです。
勉強への自信が下がると挑戦を避ける(自己効力感)
ここで関係してくるのが
**自己効力感(Self-efficacy)**という概念です。
心理学者アルバート・バンデューラは、
人が行動するかどうかは
「自分ならできる」という感覚に大きく影響される
と説明しました。
自己効力感が高い子どもは
・難しい問題にも挑戦する
・失敗しても続ける
・努力を重ねる
一方、自己効力感が低い子どもは
・挑戦を避ける
・すぐに諦める
・勉強から距離を取る
傾向があります。
そしてこの自己効力感は、
成功体験の積み重ね
によって育つと言われています。
もし学習環境の中で
・失敗ばかり
・成功体験が少ない
・比較される場面が多い
このような状態が続くと、
子どもは自信を失い、
勉強に向かう力が弱くなってしまうことがあります。
ここまで見てきたように、
小学生の勉強ストレスは
・学習負荷
・失敗経験
・自信の低下
といった要因が組み合わさって生まれることが多いのです。
そしてこの状態が続くと、
勉強を避ける行動が次第に増えていきます。
では実際に、
勉強ストレスが強くなっている子どもには
どのようなサインが見られるのでしょうか。
次の章では、
小学生の勉強ストレスのサイン
について具体的に見ていきます。
小学生の勉強ストレスのサイン|勉強を嫌がる子どもに見られる変化
勉強ストレスは、必ずしも「勉強が嫌い」という言葉で表れるとは限りません。
むしろ小学生の場合、子ども自身が自分の状態をうまく説明できないことが多く、行動や態度の変化として表れることがよくあります。
保護者としては「ただの反抗では?」と感じることもあるかもしれませんが、実際には勉強に対するストレスや不安が背景にあるケースも少なくありません。
ここでは、小学生の勉強ストレスでよく見られるサインを整理してみます。
宿題の時間になると機嫌が悪くなる
もっともよく見られるサインの一つが、宿題の時間になると機嫌が悪くなるという変化です。
例えば
・宿題を始める前からイライラする
・机に向かうまで時間がかかる
・「あとでやる」と言って先延ばしする
・すぐに席を立つ
こうした行動は、単なる「怠け」ではなく、勉強への心理的な抵抗として現れていることがあります。
もし学習内容が難しすぎる場合、子どもは
「どうせ分からない」
「また怒られるかもしれない」
といった不安を感じるようになります。
その結果、宿題を始めること自体がストレスになってしまうのです。
勉強の話題になると避ける
勉強ストレスが強くなると、勉強に関する話題そのものを避けるようになることもあります。
例えば
・学校の話をしたがらない
・テストの話題になると黙る
・「大丈夫」とだけ答える
・話題を変えようとする
このような様子が続く場合、子どもは
「うまくできていないことを知られたくない」
「怒られるのではないか」
と感じている可能性があります。
特に真面目な子どもほど、
できないことを隠そうとする傾向が見られることもあります。
「どうせできない」と言う
勉強ストレスが積み重なると、子どもの言葉の中に
「どうせできない」
「無理」
「自分は頭が悪い」
といった表現が増えてくることがあります。
これは先ほど触れた
学習性無力感のサインである可能性があります。
本来、子どもは挑戦することを楽しむ存在です。
しかし失敗経験が重なると、
「頑張っても意味がない」
という感覚が生まれてしまうことがあります。
この状態では、問題が簡単になったとしても、
挑戦する前に諦めてしまうことがあります。
勉強ストレスが体調不良や登校しぶりにつながることもある
勉強ストレスが長く続くと、
体や生活のリズムにも影響が出ることがあります。
例えば
・朝になるとお腹が痛いと言う
・頭痛やだるさを訴える
・学校に行きたがらない
・授業がある日は不安そうにする
こうした反応は、
必ずしも勉強だけが原因とは限りませんが、
学習のプレッシャーが関係している場合もあります。
特に、授業についていけない状況が続いていると、
子どもは学校そのものを不安な場所として感じてしまうことがあります。
ここまで見てきたように、
勉強ストレスはさまざまな形で子どもの行動に現れます。
大切なのは、
「やる気がない」
「怠けている」
とすぐに判断するのではなく、
その背景にある状態を丁寧に見ていくことです。
では、もし勉強ストレスが強くなっていると感じたとき、
家庭ではどのように関わればよいのでしょうか。
次の章では、
小学生の勉強ストレスを減らす家庭での関わり方
について考えていきます。
小学生の勉強ストレスを減らす家庭での関わり方
子どもが勉強を嫌がったり、「どうせできない」と言うようになったとき、保護者としてはとても悩むものです。
「励ましたほうがいいのか」
「少し休ませたほうがいいのか」
「もっと勉強させるべきなのか」
正解が分からず、対応に迷うこともあるでしょう。
ここで大切なのは、
勉強量を増やすことよりも、学習の負荷と関わり方を整えることです。
教育心理学の研究でも、学習意欲を取り戻すためには
・適切な学習負荷
・成功体験
・前向きな認知
が重要であることが示されています。
家庭でできる関わり方を整理してみましょう。
勉強量より「学習負荷」を調整する
まず考えたいのは、勉強の量ではなく難易度や負荷です。
子どもが勉強を嫌がると、
「もっと頑張らせなければ」
「量が足りないのではないか」
と感じてしまうこともあります。
しかし、もし学習内容が子どもに合っていない場合、
量を増やすほどストレスは強くなってしまいます。
例えば
・基礎理解が十分でないのに応用問題を解く
・授業の内容が理解できていないまま宿題に取り組む
・学年相当の問題がまだ難しい
こうした状態では、子どもは
「分からないことを何度もやらされている」
と感じてしまいます。
その結果、
・集中できない
・やる気が下がる
・勉強が嫌になる
という悪循環が生まれます。
まずは
今の理解の状態を見て、負荷を調整する
ことが重要です。
小さな成功体験を積み重ねて自己効力感を育てる
心理学者アルバート・バンデューラは、
人が行動を続けるためには
自己効力感(自分ならできるという感覚)
が重要だと説明しています。
この自己効力感は、
・褒められること
・励まされること
だけで育つわけではありません。
最も大きな要因は
成功体験です。
例えば
・解ける問題から始める
・ヒントを使いながら進める
・短い時間で終わる課題を設定する
このような工夫によって
「できた」
という経験を積み重ねることができます。
すると少しずつ、
「やればできるかもしれない」
という感覚が戻ってきます。
「まだできないだけ」という成長マインドセットを育てる
もう一つ大切なのは、
能力の捉え方です。
心理学者キャロル・ドゥエックは、
能力に対する考え方を
・固定マインドセット
・成長マインドセット
の2つに分けて説明しました。
固定マインドセットでは
「自分は頭が悪い」
「向いていない」
と考えてしまいます。
一方、成長マインドセットでは
「まだできないだけ」
「練習すればできるようになる」
と捉えます。
保護者の声かけは、この考え方に大きく影響します。
例えば
「どうしてできないの?」
ではなく
「どこが難しかった?」
「どこまで分かった?」
といった問いかけは、
子どもが自分の状態を整理する助けになります。
また、
「まだできないだけ」
という言葉は、
挑戦を続ける力を支えることがあります。
ここまで見てきたように、
勉強ストレスを減らすためには
・学習負荷の調整
・成功体験
・前向きな認知
が大切です。
そしてもう一つ重要なのは、
子どもの現在地に合った学び方を見つけることです。
教育学者レフ・ヴィゴツキーは、
子どもの成長は
最近接発達領域(ZPD)
と呼ばれる範囲で最も起こりやすいと説明しました。
つまり
簡単すぎても
難しすぎても
学びは進みにくいのです。
次の章では、
勉強ストレスを減らす学習条件
として、この最近接発達領域について整理していきます。
勉強ストレスを減らす学習条件|小学生の学びは「最適負荷」で進む
ここまで見てきたように、
小学生の勉強ストレスは
・難しすぎる学習
・失敗経験の積み重ね
・自信の低下
といった要因が重なることで強くなります。
では逆に、
子どもが安心して学びに向かえる状態とは
どのようなものなのでしょうか。
教育学者レフ・ヴィゴツキーは、
子どもの成長が最も起こりやすい領域として
最近接発達領域(ZPD:Zone of Proximal Development)
という概念を提唱しました。
これは、
支援があれば到達できる難易度の領域
のことを指します。
簡単すぎても
難しすぎても
学びは進みにくい。
成長が起こるのは、
少し頑張れば届く課題
に取り組んでいるときです。
簡単すぎても難しすぎても学びは進まない
例えば、子どもが解く問題が
・すでに完全に理解している内容
・ほとんど考えなくても解ける問題
ばかりであれば、
勉強は退屈な作業になってしまいます。
逆に、
・理解の前提がない
・解き方が分からない
・難しすぎる
問題ばかりになると、
勉強は苦しい体験になってしまいます。
このとき子どもは
「自分は勉強が苦手だ」
「どうせできない」
と感じやすくなります。
つまり、勉強ストレスの多くは
能力ではなく
学習の難易度が合っていないこと
から生まれることも多いのです。
成長が起きるのは最近接発達領域(ZPD)
最近接発達領域では、
・少し考える必要がある
・ヒントがあれば進める
・サポートがあれば理解できる
といった課題に取り組みます。
この状態では、
「できそう」
「もう少しで分かる」
という感覚が生まれます。
その結果、
・挑戦する
・考える
・理解が深まる
という学びの循環が生まれます。
これは教育心理学だけでなく、
実際の学習現場でも広く知られている原則です。
子どもの現在地から学びをデザインする
ここで重要なのは、
学年や教材のレベルではなく、子どもの現在地です。
同じ学年であっても、
・理解の深さ
・得意分野
・苦手分野
・集中力
は一人ひとり違います。
そのため、子どもに合った学びを考えるときには、
「何年生の内容か」よりも
今どこまで理解できているか
を見ることが大切です。
子どもの状態を丁寧に見て、
・どこでつまずいているのか
・どこまで理解できているのか
を確かめながら、
次の課題の負荷を調整していく。
このような学び方によって、
勉強ストレスを減らしながら
学びを前に進めることができます。
横浜・戸部で学びをデザインする
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)でも、
まず子どもの現在地を丁寧に見取り、
その状態から学びを組み立てていくことを大切にしています。
同じ学年でも理解の深さは一人ひとり違います。
そのため、無理に進めるのではなく、
「少し頑張れば届く課題」
を積み重ねることで、
子どもが再び学びに向かえる状態を整えていきます。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。
学習環境が整っていても、
子どもがまったく学びに向かおうとしない場合、
学びは前に進みにくくなります。
そのため、学習環境を考えるときには、
子どもの学ぶ意思
という視点も欠かせません。
次の章では、
「勉強したくない」と言う子どもをどう考えるか
という問題について整理していきます。
「勉強したくない」と言う小学生への考え方|本当に学ぶ意思がないのか
子どもが「勉強したくない」と言うとき、
保護者としてはとても悩むものです。
「本当にやる気がないのだろうか」
「甘えなのではないか」
「無理にでもやらせたほうがいいのだろうか」
こうした問いに、簡単な答えはありません。
しかし多くの場合、ここで大切になるのは
「学ぶ意思がない」のか
それとも「学べない状態」なのか
を丁寧に見ていくことです。
この二つは似ているように見えて、実は大きく異なります。
勉強ストレスで学びが止まっている状態
これまで見てきたように、
勉強ストレスが強くなると
・失敗経験が増える
・自信が下がる
・挑戦を避ける
という流れが起こります。
その結果、子どもは
「どうせできない」
「やっても無理」
と感じるようになり、
勉強そのものから距離を取ろうとします。
このとき保護者から見ると、
「勉強する気がない」
ように見えるかもしれません。
しかし実際には、
学びに向かう力が弱くなっている状態であることも少なくありません。
つまり、
意思の問題ではなく、経験の問題
であるケースです。
この場合、必要なのは叱責ではなく、
・負荷の調整
・成功体験
・安心して学べる環境
といった支援になります。
学びに向かう力を取り戻すプロセス
子どもが学びへの自信を失っているとき、
まず必要になるのは
「できるかもしれない」という感覚を取り戻すこと
です。
そのためには、
・難易度を下げる
・短い課題から始める
・ヒントを使いながら進める
といった方法で、
小さな成功体験を積み重ねていくことが重要です。
成功体験が増えていくと、
「もう一度やってみよう」
という気持ちが少しずつ戻ってきます。
このプロセスは決して一瞬で起こるものではありません。
しかし環境が整えば、子どもは再び学びに向かう力を取り戻していくことがあります。
学びに向かう文化を大切にする学習環境
一方で、学習環境にはもう一つ大切な視点があります。
それは、
学びに向かう文化です。
子どもが安心して学ぶためには、
・挑戦することが当たり前
・分からないことを考える時間がある
・少しずつ前に進むことを大切にする
という空気が必要になります。
そのため、学習環境によっては
子ども自身が学びに向かおうとしているか
という点も重視されることがあります。
例えば、横浜・戸部にある
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)では、
子ども一人ひとりの現在地を丁寧に見ながら
学びを組み立てていくことを大切にしています。
同時に、
学びに向かう文化を守ることも重視しています。
そのため、
・本人にまったく学ぶ意思がない場合
・学習に向き合う準備ができていない場合
には、入学を見送ることもあります。
ただしこれは、
子どもを選別するためではありません。
勉強ストレスや失敗経験によって
「学びに向かえない状態」
になっている場合には、
そこから回復していくプロセスを大切にします。
つまり、
「最初から完璧に勉強できること」
が求められるわけではなく、
もう一度学びに向かおうとしているか
という姿勢が大切にされているのです。
ここまで見てきたように、
子どもが「勉強したくない」と言う背景には
さまざまな理由があります。
そして場合によっては、
今の学習環境そのものが合っていない
という可能性もあります。
次の章では、
学校の学びが合わないと感じたときの選択肢
について整理していきます。
学校の勉強が合わないと感じたとき|小学生の学びの選択肢
ここまで見てきたように、
小学生の勉強ストレスは
・学習負荷が合っていない
・失敗経験が積み重なっている
・自信が下がっている
といった要因が重なることで強くなります。
そして場合によっては、
今の学習環境そのものが合っていない
というケースもあります。
このとき大切なのは、
「我慢するしかない」と考えてしまうのではなく、
学び方の選択肢を広く見ることです。
学び方は学校だけではない
日本の教育制度では、
多くの子どもが学校で学びます。
学校には
・集団で学ぶ経験
・社会性を育てる機会
・基礎的な学力の保障
といった重要な役割があります。
一方で、すべての子どもにとって
同じ環境が合うとは限りません。
例えば
・授業のスピードが速すぎる
・学習の進み方が合わない
・静かな環境の方が集中できる
・集団より少人数の方が学びやすい
こうした特性がある場合、
学校の学習スタイルが負担になることもあります。
そのため近年では、
・フリースクール
・オルタナティブスクール
・少人数型の学習環境
・個別学習の場
など、学校以外の学びの場も少しずつ広がっています。
大切なのは、
「学校か、そうでないか」という二択ではなく、
子どもが安心して学びに向かえる環境はどこか
という視点で考えることです。
学び直しの環境という選択肢
もし子どもが
・勉強ストレスが強い
・授業についていけない
・自信を失っている
といった状態にある場合、
一度立ち止まって学びを整え直す時間が必要になることもあります。
その際に重要なのは、
子どもの現在地から学びを組み立て直すこと
です。
理解が追いついていないまま進むと、
学習性無力感が強くなり、
「どうせできない」
という感覚が固定されてしまうことがあります。
一方で、
・つまずいているところを整理する
・理解できる課題から始める
・小さな成功体験を積み重ねる
といった学び方によって、
子どもは再び学びに向かう力を取り戻していくことがあります。
横浜・戸部で学びをデザインする
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)でも、
こうした学び直しのプロセスを大切にしています。
まず子どもの状態を丁寧に見取り、
・どこまで理解できているのか
・どこでつまずいているのか
を確認しながら、
その子に合った負荷の課題を組み立てていきます。
また、MOANAVIでは
スタディポイント制度を通して、
・難易度の選択
・挑戦の継続
・学習の振り返り
といった行動を可視化し、
子どもが自分の学びを調整していく力を育てています。
こうした仕組みによって、
勉強ストレスで止まってしまった学びが
少しずつ動き始めることもあります。
横浜で学校以外の学びの場を探している方は、
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)の取り組みも
一つの参考になるかもしれません。
ここまで、小学生の勉強ストレスについて
・原因
・サイン
・家庭での関わり方
・学習環境
という視点から整理してきました。
最後に、
この記事の内容をまとめておきましょう。
まとめ|勉強ストレスが強い小学生に必要なのは学びの再調整
小学生が勉強を嫌がったり、
「どうせできない」と言うようになったとき、
保護者としてはとても不安になるものです。
しかし多くの場合、
勉強ストレスの原因は
・努力不足
・やる気の問題
ではありません。
この記事で見てきたように、
勉強ストレスの背景には
- 学習内容の負荷が合っていない(認知負荷理論)
- 失敗経験が積み重なっている(学習性無力感)
- 勉強への自信が下がっている(自己効力感)
といった要因が関係していることがあります。
この状態のまま無理に勉強を続けると、
子どもはますます学びから離れてしまうこともあります。
だからこそ大切なのは、
子どもの現在地を丁寧に見て、学びを整え直すことです。
教育学者ヴィゴツキーが提唱した
**最近接発達領域(ZPD)**でも示されているように、
子どもは
「少し頑張れば届く課題」
に取り組んでいるときに最も成長します。
簡単すぎても
難しすぎても
学びは前に進みにくくなります。
もしお子さんが
・勉強を強く嫌がる
・宿題で泣く
・「どうせできない」と言う
といった様子を見せているなら、
まずはその背景にあるストレスを丁寧に見ていくことが大切です。
そして必要であれば、
・学習の負荷を調整する
・成功体験を積み重ねる
・学びやすい環境を探す
といった形で、
学びの土台を整え直すことが役立つ場合もあります。
横浜・戸部にある
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)では、
子どもの現在地を丁寧に見取りながら
一人ひとりに合った学びを組み立てていくことを大切にしています。
同時に、
子どもたちが安心して挑戦できる
**「学びに向かう文化」**を守ることも重視しています。
勉強ストレスで学びが止まってしまうことは、
決して珍しいことではありません。
しかし環境や関わり方が変わることで、
子どもがもう一度学びに向かい始めることもあります。
保護者だけで抱え込まず、
必要に応じて学習環境について相談してみることも
一つの方法かもしれません。
📚学びの本棚から、次の1冊を
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→ MOANAVI Library をひらく
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。


