うちの子は牛乳が飲めない
小学校に入学した娘から「パパぎゅうにゅうぜんぶのめたよ」というメールが届きました。
娘が牛乳を飲めるようになるまで4ヶ月の二人三脚の努力が実を結びました。
食事の仕方に表れる
小学校の先生を始めてから、500人以上の子どもたちに給食の指導を行ってきました。
その中で、科学的に明らかなわけではありませんが、経験的に感じていることがあります。
それは、「子どもたちの性格や物事に取り組むときの姿勢は食事の仕方に表れている」ということです。
例えば、好きなものを最後に食べる子どもは周りの状況をよく見ている傾向があるように感じますし、苦手なものを最初に全部食べてしまう子どもは夏休みの宿題も7月中に終わらせるタイプのようです。
三角食べをしてほぼ同時にすべてのお皿をきれいに食べ終わる子どもは、見通しをもった計画を立てられるタイプが多いです。
人生が習慣の組み合わせでできていると考えれば当然なのかもしれません。
苦手なものとの向き合い方
その中で特に気になるのが苦手な食べ物とどのように向き合うかという姿勢です。
苦手なものを一切口にしないタイプ、全部食べられるようにちょっとはがんばるタイプ、苦手だけどがんばって全部食べるタイプは、それぞれ学習においても生活においても同じような行動をとるようです。
うちの子の場合は、はじめての給食の日はよくわからずに牛乳を全部飲んだようですが、2日目以降は苦手意識もあって牛乳をほとんど残していました。
そこで、苦手なものとどのように向き合って克服していけば良いかを学ぶ機会として、娘と一緒に牛乳を飲めるようになる挑戦を始めたのです。
スモールステップ
「今日は牛乳パックの模様のここまで飲んでみよう。」というスモールステップの目標を立てて、毎日の取り組みの様子を話し合い、一緒に喜んだり、励ましたり、必要に応じてアドバイスをしたりしながら毎日必ず話題にするようにしました。
「家でも牛乳飲む練習する?」と声をかけ、2人で一緒に牛乳を飲んだり、「牛乳が全部のめたら一緒に本を買いに行こう!」と約束したりしました。
戦略:ストラテジー
ある日、「牛乳がちょっと好きになってきた。」と娘が言いました。
本当に好きになったのではなく、自己暗示をかけているように見えましたが、これは苦手なものを克服するためのスキルでもあるので、様子を見守ることにしました。
また、クラスの友達が牛乳をどうやって飲んでいるかを語り始めるようになったので、「すごいね。」と褒めました。
苦手なものを克服するために戦略を立て始めたようです。
すぐに褒めて新しい課題を設定する
そしてある日、「牛乳が飲めたよ。」のメールが届きました。
その日のうちにすぐに一緒に本屋に行って本をプレゼントしました。
それから、「今日から何日続けて牛乳全部飲めるかチャレンジしてみよう。」という新しい課題も設定しました。
娘は今でも毎日牛乳を残さずに飲み続けています。
発達の最近接領域(ZPD)
アレルギーなど食べたくても食べられないこともありますし、教室での給食指導においては苦手なものを食べるように無理強いはできません。
ですが、給食にかかわらず様々な場面で支援を必要としている子どもたちのその状況に応じた適切な支援をすれば、子どもたちの発達を促すことができるということがいえます。
ヴィゴツキーの「発達の最近接領域(ZPD)」の理論です。
家庭や地域、様々な機関とも連携しながら子どもたちの成⻑を見守っていきたいですね。