新撰組とは?幕末の正義と「誠」の意味を小学生にもわかりやすく解説|自由研究にも使える歴史学習

あなたにとって「正義」とはなんでしょう?
悪をたおすこと? ルールを守ること? それとも、仲間を信じること?

今から150年以上前の日本、江戸時代の終わり――「幕末」と呼ばれる時代に、
“正義”を信じて行動した若者たちがいました。
彼らの名は新撰組(しんせんぐみ)

剣の腕をみがき、京都のまちを守るために立ち上がった彼らは、
「誠(まこと)」の旗をかかげて、仲間と共に戦いました。
けれど、時代が変わると、その正義は“古い考え”とされ、彼らは歴史の波にのまれていきます。

そんな新撰組の姿は、AI(人工知能)が社会を変えていく今の時代にも重なります。
「何が正しいのか」「人にしかできないことは何か」を考える私たちに、
新撰組の生き方は大切なヒントを与えてくれます。

この記事では、
新撰組の歴史と人物を紹介しながら、
「正義」「誠」「チームの力」をテーマに、時代を超えて学べるポイントをわかりやすく解説します。
最後には自由研究のアイデアやクイズもあるので、楽しみながら歴史と現代をつなげてみましょう。


新撰組とは?幕末に生まれた「正義のチーム」の始まり

新撰組(しんせんぐみ)は、江戸時代の終わりごろ――「幕末(ばくまつ)」とよばれる時代に登場した、京都のまちを守るために作られた侍(さむらい)たちのチームです。
当時の日本は大きくゆれ動いていました。ペリーが黒船で来航し、外国とどうつき合うかをめぐって、人々の考えが大きく分かれていたのです。

一方には「外国を追いはらえ!」と考える人たち(尊王攘夷派・そんのうじょういは)、もう一方には「幕府を中心に落ち着いた政治を続けよう」とする人たち(佐幕派・さばくは)。
新撰組は、この幕府を守る側の立場で活動しました。つまり、「世の中の秩序を守る」「京都を平和にする」ことを自分たちの正義と考えていたのです。

当時の京都は政治の中心であり、多くの事件や争いが起きていました。人々が安心して暮らせるようにするためには、力を持つ組織が必要でした。
そこで江戸の「試衛館(しえいかん)」という道場にいた剣術にすぐれた若者たち――近藤勇(こんどう いさみ)、土方歳三(ひじかた としぞう)、沖田総司(おきた そうじ)などが中心となり、
1863年(文久3年)に「壬生浪士組(みぶろうしぐみ)」として活動をはじめました。これが、のちの新撰組の始まりです。

「壬生浪士組」は、まもなく「新撰組」と名前を変えます。
“撰”という字には、「えりすぐりの精鋭(せいえい)」という意味があります。
つまり、新撰組という名前には「えりぬかれた強い侍たち」という誇りが込められていたのです。


クイズ①
次のうち、新撰組が生まれた目的として正しいのはどれでしょう?

  1. 外国と戦うため
  2. 京都のまちを守るため
  3. 将軍を京都から追い出すため

正解は 2 です。
👉 新撰組は「京都の治安を守ること」「日本の秩序を保つこと」を目的に作られたチームでした。


幕末とAI時代に共通する「正義とは何か」の問い

新撰組が生きた幕末の時代、日本は「何が正しいのか」をめぐって意見が大きく分かれていました。
幕府を守ろうとする人々は「秩序を守ることこそ正義」と考え、
一方で、新しい政治を作ろうとする人々は「古い体制を変えることこそ正義」と信じていました。

つまり、どちらの側にも「正義」があったのです。
同じ「正義」という言葉でも、立場や時代によって意味が変わることが、歴史の中でくり返し起こっています。

新撰組は「幕府の正義」を守るために剣を取りました。
京都のまちを守ること、人々の平和を守ること――それは確かに正しいことのように見えます。
けれど時代が進むと、彼らは「時代に逆らう人たち」と呼ばれるようになり、
明治維新(めいじいしん)のあとには、“古い考え”の象徴とされてしまいました。

しかし、「正義」とは本当に“変わるもの”なのでしょうか。
新撰組が守ろうとしたのは、ただの政治ではなく、仲間や信念を守る気持ちでもありました。
自分たちが信じた道をまっすぐに進もうとする姿勢は、
時代が変わっても消えることのない「人間の強さ」と言えるでしょう。


いまの私たちも、新しい時代のまっただ中にいます。
AI(人工知能)が進化し、仕事のやり方や学び方、人と人との関わり方までもが変わろうとしています。
AIが文章を書いたり、音楽を作ったりする時代に、「人間にしかできないこと」は何でしょうか?

幕末の人々が直面したように、私たちも「何が正しいのか」「どう生きるべきか」を問い直す時代に生きています。
「正義を信じて行動する」「仲間と協力して社会を支える」という新撰組の姿勢は、
AIの時代に生きる私たちにも大切なヒントを与えてくれます。

たとえ環境が変わっても、人の心や信頼、そして「誠(まこと)」の思いは変わらない。
150年以上前の新撰組の生き方は、“変化の時代をどう生きるか”という普遍的なテーマを今に伝えているのです。


クイズ②
次のうち、「新撰組」と「AIの時代」に共通している課題として、もっとも近いものはどれでしょう?

  1. お金をたくさん集めること
  2. 正しいことを選び取る判断力
  3. 新しい武器を作ること

正解は 2 です。
👉 幕末の新撰組も、現代の私たちも、「何が正しいのか」を自分で考えて行動する力が求められています。


新撰組の信念「誠(まこと)」に込められた意味と局中法度

新撰組といえば、青い羽織に白い山形の模様、そして背中に大きく書かれた「誠(まこと)」の一文字。
この「誠」には、彼らの生き方そのものが込められています。

「誠」とは、うそをつかないこと、約束を守ること、人をだまさないこと。
でも、それだけではありません。
どんなときも自分の信念を貫き、仲間を思いやる心も「誠」の中にあります。

新撰組のメンバーは、命をかけて「誠」の旗を守りました。
なぜなら、この旗は「自分たちは正しく生きよう」「人のために剣をふるおう」という信念の象徴だったからです。


しかし、「誠」を守るためには、強いきまりが必要でした。
それが、新撰組の内部で定められたルール「局中法度(きょくちゅうはっと)」です。

局中法度には、次のような厳しい項目がありました。

  • 仲間同士で私的なけんかをしてはならない。
  • 命令に背いた者は切腹。
  • お金の貸し借りをしてはいけない。
  • 逃げ出した者は処罰される。

今の時代から見るととてもきびしいように感じますが、
このルールがあったからこそ、新撰組は強いチームとしてまとまっていられたのです。

彼らにとって「誠」は、ただの言葉ではなく、仲間を信頼し合うための約束でした。
一人が勝手に動けば、チーム全体が危険になります。
だからこそ、一人ひとりが「仲間のために行動する」という責任を持っていたのです。


この「誠」の精神は、現代の私たちにも通じるものがあります。
たとえば、学校でのグループ活動やクラブチームでも、信頼を失えばうまくいきません。
AIが発達して仕事の多くが機械に代わる時代でも、
「人と人との信頼」「約束を守る誠実さ」は、機械にはまねできない人間の力です。

新撰組が生きた時代も、今の社会も、
「強さ」よりも「まごころ(誠)」が人と人をつなげる大切なものだといえるでしょう。


クイズ③
新撰組の旗に書かれた「誠」という文字には、どんな意味がこめられていたでしょう?

  1. うそをつかないことだけを大事にした言葉
  2. 仲間を信じ、信念をつらぬく心をあらわした言葉
  3. 戦いに勝つためのまじないの言葉

正解は 2 です。
👉 「誠」は、正直さだけでなく、信頼や思いやり、そして仲間と共に生きる心をあらわす言葉です。


近藤勇・土方歳三・沖田総司 ― チームを導いたリーダーたちの生き方

新撰組がここまで強く、まとまりのあるチームになれたのは、三人のリーダーの存在が大きかったといわれています。
それが――**近藤勇(こんどう いさみ)・土方歳三(ひじかた としぞう)・沖田総司(おきた そうじ)**の三人です。

この三人は、東京・調布にあった剣術道場「試衛館(しえいかん)」で共に修行した仲間でした。
同じ道場から出発した彼らは、まるで一つのチームのように、お互いを支え合いながら新撰組を作り上げていきます。


近藤勇 ― 理想を語るリーダー

新撰組の隊長であり、中心人物。
近藤はいつも「人のために正義を行う侍であれ」と語っていました。
彼は力だけでなく、人の心をまとめる力にすぐれていました。
仲間を信じ、失敗しても叱るより励ますタイプのリーダー。
その温かさに、多くの隊士たちが心を寄せていました。

しかし、理想を貫くあまり、時代の変化に取り残されてしまうこともありました。
それでも、最後まで「正義のために生きる」という信念を変えなかったのです。


土方歳三 ― 厳しさで支えた副長

土方は近藤を支える副長(ふくちょう)で、新撰組の「頭脳」とも呼ばれました。
とても厳しく、ルールを破った隊士には容赦(ようしゃ)しませんでした。
けれど、その厳しさの裏には「仲間を守りたい」という深い思いやりがありました。

新撰組が強くなれたのは、土方が全員をまとめ、
誰もが安心して戦えるように“チームの秩序”を守っていたからです。
現代でいえば、プロジェクトを成功に導くマネージャーのような存在でした。


沖田総司 ― 優しさと強さをあわせもつ剣士

沖田は一番隊の隊長で、剣の腕は新撰組でもトップクラス。
けれど、彼の本当の魅力は「強さ」だけではありません。
病気に苦しみながらも、いつも明るく仲間を笑わせ、
人の痛みに寄り添うやさしい心を持っていました。

彼の姿からは、「強さとは、誰かのために使う力である」というメッセージが伝わってきます。


この三人の関係は、まさにチームの理想形でした。
近藤が理想を語り、土方が組織を守り、沖田が心をつなぐ。
それぞれが違う役割をもちながら、互いに信頼し合うことで、新撰組は大きな力を発揮したのです。

現代でも、リーダーシップの形は一つではありません。
人を導く人、支える人、場を明るくする人――それぞれがチームには欠かせない存在です。
AI時代を生きる私たちにとっても、「一人の力より、チームの力」という考え方は変わりません。


クイズ④
次のうち、「チームをまとめる力」としてもっとも大切なのはどれでしょう?

  1. 自分だけが強くなること
  2. 仲間を信頼し、支え合うこと
  3. 命令して言うことを聞かせること

正解は 2 です。
👉 新撰組の三人が見せたように、信頼と協力こそが本当のチームの強さを生み出します。


新撰組の最期と「正義」が入れ替わる瞬間

新撰組は、幕末の京都で一躍名をとどろかせた剣士集団でした。
しかし、時代の流れは急速に変わっていきます。
幕府の力が弱まり、新しい時代をつくろうとする「新政府軍」が力をのばしていきました。
それは、まるで川の流れが逆転するように、「正義」が入れ替わっていく瞬間でした。


鳥羽・伏見の戦い ― 正義が反転した日

1868年(慶応4年)、京都の南で「鳥羽・伏見(とば・ふしみ)の戦い」が起こりました。
新政府軍は「天皇のために戦う」と掲げ、幕府側を「反乱軍」と呼びました。
つまり、それまで「秩序を守る正義の味方」だった新撰組が、
一夜にして「時代に逆らう側」とされたのです。

彼らは自分たちの信念を貫きましたが、
時代の大きなうねりの前に、次第に追いつめられていきました。
それでも土方歳三たちは「誠」の旗を掲げ続け、仲間を守りながら戦いました。


北へ北へ ― 最後まで信念を貫いた男たち

戦いは京都から江戸へ、そして北の地・北海道へと広がっていきます。
新撰組の多くの隊士が倒れ、近藤勇もついに捕らえられて処刑されました。
それでも副長の土方歳三は、函館(はこだて)に渡って新しい国をつくろうとする仲間と合流し、
最後の最後まで戦い抜きました。

その姿は、勝ち負けを超えた「信念の強さ」を感じさせます。
彼らはもはや時代の主役ではありませんでしたが、
「自分の正義を信じて生きる」という一点では、誰よりも誇り高い存在でした。


正義が変わっても、人の心は変わらない

明治時代になると、日本は新しい国へと生まれ変わります。
新撰組は「時代おくれの侍」として批判されることもありました。
けれど今、多くの人が彼らの生き方に心を打たれています。

なぜでしょう?
それは、「正義」とは一つではなくても、
「誠実に生きる心」はどんな時代でも変わらないからです。

AIが進化する現代もまた、幕末のような転換期です。
技術や価値観が入れ替わるとき、何を信じ、どう行動するのか。
新撰組の生きざまは、時代が変わっても人間の“芯(しん)”を持って生きることの大切さを教えてくれます。


クイズ⑤
新撰組が「反乱軍」と呼ばれるようになった理由として、もっとも正しいのはどれでしょう?

  1. 約束を守らなかったから
  2. 新政府に逆らって幕府を守ろうとしたから
  3. 京都の人々を攻撃したから

正解は 2 です。
👉 新しい時代の中で「正義」の立場が入れ替わり、幕府を守る新撰組は“時代に逆らう側”と見られるようになったのです。


自由研究に使える新撰組の学びアイデア

新撰組の学びは、ただ歴史を覚えるだけではありません。
彼らが生きた「時代の変化」「正義のあり方」「チームのしくみ」などを通して、
今の社会や自分たちの生き方にもつなげることができます。

ここでは、自由研究や総合学習で使えるテーマを4つ紹介します。
それぞれ、すぐに取りかかれるように手順もつけています。


① 「正義とは何か」を考えるポスター研究

テーマ例: 「幕末とAI時代の“正義”をくらべよう」

進め方:

  1. 新撰組が考えていた正義(=幕府を守ること)を調べる。
  2. 尊王攘夷派(そんのうじょういは)や明治政府の正義(=新しい時代をつくること)も調べる。
  3. それぞれの立場を「正義A」「正義B」としてポスターにまとめる。
  4. 現代のAI社会ではどんな正義があるのか、自分の考えを加えてみよう。

まとめ方のヒント:

  • タイトルを「正義はひとつじゃない!」などにすると印象的。
  • 色分けして「立場による正義のちがい」をわかりやすく整理。

② 「誠(まこと)」の旗の意味を探るワーク

テーマ例: 「“誠”の文字にこめられた新撰組の思い」

進め方:

  1. 「誠」の漢字の成り立ちや意味を国語辞典で調べる。
  2. 新撰組の行動(局中法度や仲間との関係)とどうつながるかを考える。
  3. 自分にとっての「誠」を一文字で表すポスターや習字作品にしてみよう。

発展:

  • クラスメートや家族に「あなたにとって“誠”とは?」とインタビューしてみよう。
  • 集まった答えをまとめて、「現代の“誠”とは何か」を考察するレポートにするのもおすすめ。

③ 新撰組のチームルールを現代に置きかえる

テーマ例: 「わたしたちの局中法度をつくろう!」

進め方:

  1. 新撰組のルール(局中法度)を3〜5個紹介する。
  2. その目的(なぜ必要だったのか)を整理する。
  3. 学校やチーム活動で役立つ“現代の局中法度”を考えてみる。

まとめ方のヒント:

  • 新撰組の法度(原文)と自分のルールを左右に並べて比較するとわかりやすい。
  • 「自分のチームに足りないルール」「守りたいルール」を考えると深まる。

発展:

  • クラス全体で話し合い、「クラスの局中法度」を作る活動にしてもおもしろい。

④ 新撰組の足跡を地図でたどる

テーマ例: 「新撰組の旅ルートをたどろう」

進め方:

  1. 図書館やネットで、新撰組が活動した場所を調べる(京都・江戸・函館など)。
  2. 日本地図にルートを書きこみ、戦いや事件をメモする。
  3. 写真やイラストを貼り、旅のアルバムのようにまとめる。

発展:

  • その土地の名所や食べ物も調べて「新撰組観光マップ」に発展。
  • 「歴史×地理×観光」を組み合わせると自由研究としての完成度が高まる。

🌱 まとめ:自由研究のコツ

  • テーマを「人」「言葉」「ルール」「地図」などの切り口で選ぶとまとめやすい。
  • どの研究でも、「今の時代とどうつながるか」を入れると深い学びになる。
  • 参考資料には、歴史マンガや博物館の展示パンフレットも活用してOK。

おさらいクイズ|新撰組


クイズ①

新撰組が生まれた目的として、正しいものはどれでしょう?

  1. 外国と戦うため
  2. 京都のまちの治安を守るため
  3. 新しい政府をつくるため

正解は 2 です。
👉 新撰組は、幕末の京都で治安を守るために作られた侍のチームでした。


クイズ②

幕末とAI時代に共通している「課題(かだい)」はどれでしょう?

  1. どんな食べ物が人気かを決めること
  2. 何が正しいのかを判断すること
  3. 強い人を見つけること

正解は 2 です。
👉 どちらの時代も、社会の変化の中で「正義」や「人間らしさ」を考える力が求められています。


クイズ③

新撰組の旗に書かれた「誠(まこと)」の文字には、どんな思いがこめられていたでしょう?

  1. うそをつかないだけの心
  2. 仲間を信じ、信念を貫く心
  3. 勝つためのまじないの言葉

正解は 2 です。
👉 「誠」は、正直さに加えて、仲間との信頼や思いやりを意味しています。


クイズ④

新撰組の三人のリーダーに関して、正しい組み合わせはどれでしょう?

  1. 近藤勇=リーダー、土方歳三=副長、沖田総司=一番隊長
  2. 近藤勇=副長、土方歳三=一番隊長、沖田総司=相談役
  3. 近藤勇=医者、土方歳三=詩人、沖田総司=政治家

正解は 1 です。
👉 この3人がそれぞれの役割を果たし、信頼でつながる強いチームを作りました。


クイズ⑤

なぜ新撰組は「反乱軍」と呼ばれるようになったのでしょうか?

  1. 新しい政府に逆らって幕府を守ろうとしたから
  2. 京都の人々を攻撃したから
  3. 自分たちの仲間同士で争ったから

正解は 1 です。
👉 明治維新のとき、「正義」の立場が新政府に移り、新撰組は時代に逆らう存在と見られるようになりました。


🧭 ここがポイント!

  • 正義はひとつではなく、立場や時代によって変わる。
  • けれど、「誠(まこと)」=まごころをもって生きる姿勢は、いつの時代でも変わらない。
  • 新撰組の生き方は、AI時代を生きる私たちにもヒントを与えてくれます。

まとめ|時代を超えて学ぶ「誠」と「チームの力」

新撰組の物語は、150年以上前の出来事です。
けれど、その生き方には、今を生きる私たちにも通じる普遍的なメッセージがあります。

彼らは、ただ戦いのために剣をふるっていたわけではありません。
「まちを守る」「仲間を信じる」「正義をつらぬく」――その気持ちが、新撰組というチームを強くしていたのです。

しかし時代が変わると、その「正義」は“古い考え”とされてしまいました。
正義は、立場や時代によって形を変える。
けれど、誠実に生きようとする心はどんな時代にも変わらない――
それこそが、新撰組が私たちに残した最大の教えです。


いま私たちは、AIという新しい力とともに生きる時代を迎えています。
情報があふれ、価値観が多様化し、何が正しいのかがわかりにくくなっています。
そんな時代だからこそ、「誠」=うそをつかず、思いやりをもって行動する力が、
人と人とをつなぐ“最後のよりどころ”になるのではないでしょうか。

AIはどんなに賢くなっても、「誠」を持つことはできません。
それができるのは、感情をもち、他人を思いやることができる人間だけです。


新撰組の生き方を学ぶことは、
「過去の歴史を知ること」ではなく、
「これからの生き方を考えること」につながります。

正義とは何か。
仲間を信じるとはどういうことか。
変わる時代の中で、どうやって“自分の芯”を保つのか。

その答えを見つけるヒントは、150年前の若者たちの「誠」の旗の中にあります。
そしてその旗は、今も私たち一人ひとりの心の中で、静かに風にゆれているのです。


この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。

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