
対話による合意形成とは?
「子どもが主体的に学ぶためにはどうすればいい?」
この記事では、対話を通じて学びを深め、合意形成することの大切さについて解説します。授業での実践例を交えながら、子どもたちが新たな考えを生み出す過程を紹介します。
対話とは何か?
対話とは、ただの「会話」ではありません。お互いの考えを共有し、深く理解し合うためのコミュニケーションの方法です。
対話の語源
物理学者デヴィッド・ボーム(2007)は、対話の語源について次のように説明しています。
- 「ダイアローグ(dialogue)」は、ギリシャ語の「dialogos」に由来
- 「logos」は「言葉」、または「言葉の意味」
- 「dia」は「~を通して」という意味
- 対話は「意味が流れていくプロセス」であり、必ずしも二人で行うものではない
このことから、対話は単なる意見交換ではなく、考えが流れることで新たな理解が生まれるプロセスだと考えられます。
教育における対話の重要性
学校教育では、子ども同士や教師との対話を通じて、新しい知識を構築することが求められます。
対話の広がり
対話の相手は人間だけではありません。
- 自然との対話:「科学者も自然を相手に対話している」(ボーム, 2007)
- 過去の学者との対話:書籍を通じて過去の考えを学ぶことも対話
- 自分自身との対話:自分の考えを深めるために振り返る
特に、理科の学習では、子どもたちが自然と対話しながら法則や原理を探究することが重要です。
子ども同士の対話と学び
子ども同士の対話では、考え方の「ずれ」が発生します。
- 個々の枠組みの違い:同じものを見ても捉え方が異なる
- 相手の意見とのギャップ:自分とは違う考えを知ることで新しい発見が生まれる
こうした違いを乗り越え、新しい考えを共に創造することが、対話の醍醐味です。
対話による合意形成とは?
合意形成とは、お互いの意見をすり合わせて共通の理解をつくることです。
科学と対話の関係
科学もまた、対話を通じて進化してきました。
- 発見や理論は対話を重ねながら生まれる
- 科学的な事実も不変ではなく、常に更新される
例えば、地球が「平ら」だと信じられていた時代から、「丸い」と証明されるまでには、多くの対話がありました。
授業における対話の実践
教室での対話を活用することで、子どもたちが主体的に学ぶことができます。
対話型授業の特徴
- 問いかけから始める:「なぜだろう?」と考えさせる
- 意見を出し合う:子ども同士で自由に発言する場を作る
- 新しい視点を加える:教師がファシリテーターとして、議論を深める
- 合意形成する:みんなで納得できる答えを見つける
実際の授業例
例えば、「風はなぜ吹くのか?」というテーマについて対話を行うとします。
- 子どもの意見を出す:「木が動くから風がある」など自由に発言
- お互いの考えを聞く:「それって本当?」「どうしてそう思うの?」
- 実験や資料を見せる:「空気の流れを観察してみよう」
- 新たな結論に至る:「温度差で空気が動くんだ!」
こうしたプロセスを経ることで、ただ知識を覚えるのではなく、納得しながら理解を深めることができます。
概念は常に更新される
対話によって得た結論は、決して「正解」ではありません。
子どもの学びを尊重する
- 子どもが作り上げた概念を「間違い」として否定しない
- 「なるほど、そう考えたんだね!」と受け入れる
- そこからさらに深く考える機会を与える
科学の概念も進化する
- 現在の「科学的な事実」も、新しい発見によって変わる可能性がある
- 例えば、昔は冥王星は「9番目の惑星」として教科書に載っていたが、2006年に「準惑星」に分類され、現在の太陽系の惑星は8個になった。
子どもたちの学びも同じで、対話を重ねることで新しい発見が生まれていきます。
教師も対話を大切に
教師自身も、子どもと一緒に考え、学ぶ姿勢が求められます。
メタ認知の重要性
- 自分の知識がどのように形成されたのかを振り返る
- 子どもに「正解を教える」のではなく、共に考える
- 対話の中で、新しい発見が生まれることを大切にする
教師が「知識を埋め込む」存在ではなく、対話を通じて学びをサポートする立場になることが重要です。
まとめ:対話によって学びは深まる
対話を通じて、子どもたちは新たな概念を生み出し、理解を深めていきます。
- 対話は「意味が流れるプロセス」
- 子ども同士の対話を重ねることで新しい発見が生まれる
- 科学的な概念も対話を通じて更新され続ける
- 教師もまた、対話を大切にしながら学び続けることが重要
子どもたちが主体的に学び、新たな知識を創造するために、授業の中で対話を意識して取り入れていきましょう。
MOANAVIでの学び

MOANAVIでは、対話と体験を大切にした学習を行っています。子どもたちが自ら考え、学ぶ力を伸ばせるよう、一人ひとりに寄り添った指導を実践しています。対話を通じて学ぶ楽しさを体験しながら、新しい知識を創り上げていきましょう。
記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)
STEAM教育デザイナー / 株式会社MOANAVI代表取締役
理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。
📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説