96点はすごい!?
あなたは平均点65点の理科のテストで96点を取ることができました。
どうやら、花さんも96点で、一郎さんは93点だったようです。
その結果、3人とも評価はAでした。
あなたは自分の学習の成果についてどのように考えるでしょうか。
指導と評価の一体化
教師にとって、評価は大切な仕事です。
「指導と評価の一体化」というスローガンもあります。
「指導をしたら評価しなくてはならない。」「評価ができるように指導しなければならない。」と考えて授業をデザインし、子どもの学習の成果を点数化することを「指導と評価の一体化」だと捉えていませんか。
だとしたら、授業をすることが堅苦しく感じませんか。
評価をすることは大変な作業ではないですか。
学習の成果を点数化することはとても大変な作業です。
しかし、子どもの学力を伸ばすという意味では教育効果はあまり期待できません。
なぜなら、点数からは得られる情報があまりにも少ないからです。
Evaliationとは
学習の成果を点数化する評価をEvaluationといいます。
あなたと花さんと一郎さんの学力を数値的に比較することができます。
また、全体との比較もできるので、A B Cなどの評価も簡単です。
しかし、点数化された情報では、どうすればあと4点が取れるのかは分かりません。
点数的には花さんと同点ですが、花さんと同じ内容でつまずいているとは限りません。
「次は100点が取れるように努力しよう。」とモチベーションは上がるかもしれませんが、具体的に何の努力をすればよいのかは、点数からは読み取ることができません。
Assessmentとは
評価には、Evaluationの他にAssessment(アセスメント)というものがあります。
アセスメントは、学習の成果を様々な方法で学習者に伝える評価です。
該当箇所を指差しながら、「この考え方がいいね。」「ここを考え直してみよう。」と伝えることや、頑張って学習に取り組んでいる姿ににっこり微笑むこともアセスメントです。
無言で親指を上げることもあるでしょう。
アセスメントで授業が変わる
子どもの学習の様子を見取り、よくできていれば「いいね!」と伝え、できていないところは「こう考えてみたらどうかな。」とアドバイスをすることがアセスメントとしての評価です。
子どもにとってアセスメントの情報は、学習の方向性が正しいかどうかを確かめるコンパスになります。
ですから、学習後ではなく、学習中の形成段階でアセスメントを行うこと(形成的アセスメント)が大切なのです。
子どもと一緒に学習を作り上げるアセスメントは、子どもに寄り添う評価です。
子ども一人ひとりの良さを見つけられる評価です。
アセスメントを意識して授業をデザインすれば、子どもがお互いの良さを見つけて高め合う授業ができます。
学習ライブラリーから内容の情報だけでなく、アセスメントの情報も引き出せるようになれば、授業において相互アセスメントが行えるということになります。
「指導と評価の一体化」を「指導とアセスメントの一体化」「アセスメントは指導」と考えてみましょう。
子どもの良さがたくさん見つかるので、授業をすることが楽しくなりますよ。