記憶を活用すること
授業の中で子どもは学習を行います。
その目的は学習したことを記憶し、必要なときにその記憶を呼び起こし、活用することです。
授業に参加していたとしても、学習した内容について記憶していなければ学習を行ったとはいえません。
また、たとえ記憶していたとしても、忘れてしまったり、必要なときに想起して活用したりすることができなければ、それもまた学習が行われたとはいえません。
教師の指導
教師は授業において子どもが学習内容を記憶できるようにしなければなりません。
そのためには、記憶がどのようなものであるかを教師は知っておく必要があります。
記憶の種類や記憶のプロセス、記憶すべきことや記憶のための方略等を理解しておけば、それは指導へと反映され、よりよい教育へとつながっていくのです。
記憶に関する研究
近年、記憶に関する研究は注目を集めています。
動物を使った単純な刺激と反応の研究に留まらず、様々な症例から人間の記憶に関する謎が解き明かされつつあります。
また、医学の視点から人間の脳についての研究が進められ、脳科学としてその成果が報告されています。
これらの成果を活用して、記憶力を高め、学習を効果的に進めようとすることに関心が集まることは必然であるといえます。
知識を流し込む
これらの研究の成果から言える確かなことは、記憶のために知識を流し込む学習では、ほとんど効果を得ることができないということです。
さらに、世界に溢れる大量の知識を記憶しておかなければならない必要もなくなっています。
深く学ぶ
現代を生きる人間にとってより重要なことは、必要な知識がどこにあるのか、それらの情報はどのようにして収集すればよいのかが分かることです。
こうした情報収集はテクノロジーの飛躍的な進歩により支えられています。
今日の先進的なテクノロジーは、次の段階には普及し、それに伴って私たちの学習のあり方をも変えていくのです。
伝統的な学習観においては、学力は学習によって知識を記憶することであり、その量を増やすことにありました。
しかし、今日の社会情勢に適した新しい学習において重要視されるのは知識の量ではなく質なのです。
知識の質を高めるためには、様々な経験や人々とつながりながら、深く学ぶしかないのです。