理科と社会は暗記科目?それとも考える力を育む科目?小中学生の学び方を徹底解説!

理科や社会は、子どもたちが学ぶ重要な科目ですが、多くの親や子どもたちにとって、「暗記科目」という印象が強いかもしれません。しかし、実際にはこれらの科目こそが「考える力」や「実生活に活かす力」を育むための重要な学びの場であることをご存知でしょうか?

この記事では、理科や社会を「暗記型学習」と「思考・活用型学習」としてどのように学ぶべきかを具体的に解説します。さらに、家庭でどのようにサポートすれば子どもたちの学びが深まるのかについても触れていきます。MOANAVIで実施されている学びの方法も紹介し、子どもたちがより深い理解を得るためのヒントを提供します。

理科と社会は本当に暗記科目なのか?

理科や社会の学習は、確かに覚えるべき内容が多いという側面はあります。しかし、知識を「暗記」することだけが学びではありません。これらの科目では、「考える力」や「実生活で活かせる力」を身につけることが大切です。従来の「暗記型学習」と、今求められる「思考・活用型学習」の違いを見ていきましょう。

理科の具体例

  • 小学校(例:植物の成長条件)従来の暗記型学習
    • 「植物は水、光、土が必要だ」と覚える。
    • テストでは「植物が育つのに必要なものは?」と聞かれ、「水、光、土」と答える。
    現在の学び方(探究型学習)
    • 実験を通して自分で考える。
    • 例えば、グループで「植物の成長にどの条件が大事か?」を話し合う。
    • 水や光、土を変えて植物を育て、その結果を観察し、なぜその条件が必要なのかを深く考えながら学びます。
    • 結果を発表し、意見交換をすることで、理解がさらに深まります。
  • 中学校(例:電流と電圧の関係)従来の暗記型学習
    • オームの法則(V = IR)を暗記して、テストで数値計算を行う。
    現在の学び方(探究型学習)
    • 実際に実験を行い、電流計と電圧計を使ってデータを収集します。
    • 測定したデータをグラフや表にまとめ、「電流と電圧の関係はどうなっているのか?」を考え、理解を深めます。

社会の具体例

  • 小学校(例:日本の地理)従来の暗記型学習
    • 日本の主要な山脈(例:飛騨山脈、赤石山脈、木曽山脈)を覚える。
    • テストで「日本アルプスを構成する山脈は?」と問われ、「飛騨山脈、赤石山脈、木曽山脈」と答える。
    現在の学び方(思考・活用型学習)
    • 地図や資料を活用して、地形や気候が暮らしにどう影響するかを考える。
    • 山脈や平野が地域に与える影響や、特産品と地形・気候の関係を調べ、発表します。
    • 単に暗記するのではなく、データを読み取る力や、実生活に活かす力を育む学びです。
  • 中学校(例:江戸時代の改革)従来の暗記型学習
    • 「享保の改革」「寛政の改革」「天保の改革」などの改革を暗記。
    • 内容を覚えてテストで出題される。
    現在の学び方(考察・議論型学習)
    • 各改革の目的や背景を学んだ後、「もし自分が幕府の責任者だったら、どんな改革をするか?」と考え、議論します。
    • 歴史を単なる出来事として捉えるのではなく、その背景や影響について深く考察し、発表します。

家庭でのサポート:子どもに声をかけるポイント

理科や社会の学習を家庭でサポートする際は、ただ結果を伝えるのではなく、子どもが自分で考える機会を提供することが大切です。子どもが学んだことを深く理解できるように導くためには、日々の声かけが重要な役割を果たします。以下のポイントを参考に、学びをサポートしましょう。

理科の場合

  1. 「どうしてそうなると思う?」
    • 実験や観察を通じて学んだことについて、子どもに問いかけてみましょう。例えば、光合成の実験を行った後、「どうして植物は光が必要なんだろう?」と問いかけ、子どもに自分の言葉で理由を説明させることが重要です。
  2. 考えさせる質問をする
    • 結果だけを求めるのではなく、その過程に注目して質問をしましょう。
      • NG例:「植物には水が必要って習ったでしょ?」(答えを押しつける)
      • OK例:「水をあげなかったら、どうなると思う?」(自分で考えさせる)
  3. 日常生活と結びつける
    • 理科の学びを日常生活の中で実践させることで、理解が深まります。
      • 料理の際:「お湯を沸かしたら湯気が出るのはなぜ?」(水の状態変化)
      • 天気の変化:「今日は湿度が高いみたいだけど、どうしてかな?」(気象)
      • 物理の知識:「ブランコはなぜこぎ続けると高くなるんだろう?」(運動と力)
  4. 実験や観察を一緒に楽しむ
    • 子どもの好奇心を刺激するために、実験や観察を一緒に行うと効果的です。
      • 例:「ペットボトルに水を入れて冷凍庫に入れたら、どうなると思う?」
      • 例:「家の中に磁石をくっつけられるもの、どこにあるかな?」

社会の場合

  1. 「この出来事が、今の生活にどうつながっていると思う?」
    • 歴史の出来事を学んだ後、「どうしてその出来事が起こったんだろう?」と深堀りして考えさせることが大切です。子どもにとって、過去の出来事と現在の生活とのつながりを意識させることが重要です。
  2. 興味を引き出す会話をする
    • 年号や地名を覚えることだけに重点を置くのではなく、子どもが自分で「なぜ?」と考えられるような問いを投げかけましょう。
      • NG例:「徳川家康が江戸幕府を開いたのは1603年!」(暗記のみ)
      • OK例:「どうして関ヶ原の戦いで勝った家康が、わざわざ幕府を開く必要があったんだろう?」
  3. 日常のニュースや出来事と結びつける
    • 社会で学んだことを、日常生活や時事ニュースと結びつけて考えさせましょう。
      • 「この間の地震、どうしてこの地域で大きな被害が出たのかな?」(防災・地理)
      • 「選挙のポスターが貼ってあるね。何の選挙か知ってる?」(政治・公民)
      • 「このお菓子、どこの国から来てると思う?」(貿易・地理)
  4. ゲーム感覚で楽しむ
    • ゲーム感覚で学べるように、子どもの興味を引く質問をしましょう。
      • 「日本の都道府県、ヒントを出すから当ててみて!」(地理)
      • 「戦国武将になったつもりで、自分ならどんな作戦を立てる?」(歴史)
      • 「この広告のグラフ、どういうデータを伝えようとしてると思う?」(統計・情報リテラシー)

学習は、ただ覚えるだけではなく、実生活との関連を考える力や、物事を深く理解する力を育むものです。子どもが自分で考える力を養うためのサポートを、日々の会話の中で大切にしていきましょう。

MOANAVIでの指導:対話と体験を大切にした学び

MOANAVIでは、理科や社会の学習において、対話体験を大切にした指導法を実践しています。単に知識を詰め込むのではなく、実際に体験し、考えることを重視しています。

  • 対話を重視
    • 学びの中で教師と生徒、生徒同士の意見交換を通じて深い理解を得ることができます。
    • 例えば、理科の実験後に「なぜこうなるのか?」をみんなで考え、意見を出し合うことで、学びがより深まります。
  • 体験を通じた学び
    • 実際に地図を見たり、実験を行ったりすることで、学んだことが「実際にどう活かせるか」を体験的に学びます。
    • 例えば、地域の特産品や気候に関連する調査を行い、発表を通じて学んだ内容を自分の言葉で表現します。

まとめ

理科や社会は、ただ暗記するだけではなく、「考える力」や「活用する力」を育む大切な科目です。実験や観察、地域との関わりを通じて、子どもたちが学びを深め、実生活に活かす力を育てることが求められています。

家庭でのサポートや、MOANAVIのような教育現場での対話と体験を重視した学びが、子どもたちの学びをさらに深め、未来の可能性を広げていくことでしょう。

記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / 株式会社MOANAVI代表取締役

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説


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