国語教育が変わる!読む・書く・話す・聞くをつなぐ新しい授業と家庭での学び方

2025年10月、文部科学省の「国語ワーキンググループ」で、国語教育の未来を左右する重要な議論が行われました。
テーマは――「読む」「書く」「話す」「聞く」をどう“つなげる”か。

これまで国語の授業は、読む・書く・話す・聞くをそれぞれ独立した技能として教えてきました。
しかし、AIやSNSが生活に浸透した今、子どもたちに必要なのは「言葉を使って考え、伝え合う力」。
つまり、4つの力を関連づけて育てる**“言語活動中心の国語教育”**への転換が求められています。

この改革は、学校現場だけでなく、家庭での学び方にも大きな変化をもたらします。
教師は「教える人」から「学びを支える伴走者」へ。
保護者は、日常の会話や読書を通じて「言葉で考える家庭学習」を育てる役割を担うようになります。

この記事では、国語教育改革の背景と方向性、授業がどう変わるのか、
そして家庭で実践できる“ことばの育て方”までをわかりやすく解説します。
さらに、MOANAVI Libraryの「教材・読み物」を活用して、家庭でも探究的な学びを進める方法を紹介します。

国語は、すべての学びの出発点。
「読む」「書く」「話す」「聞く」をつなげる新しい学びが、子どもたちの未来を広げていきます。


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  1. なぜ国語教育が見直されているのか?
    1. ― 学習指導要領改訂の背景と「言葉の力」を育てる新たな方向性 ―
    2. 現行カリキュラムが抱える「領域の壁」
    3. 社会の変化と「言葉で考える力」の重要性
    4. ワーキンググループでの主な指摘
    5. 学習指導要領改訂のねらい:スキルからプロセスへ
    6. 教育現場・家庭への期待
    7. まとめ:国語教育の改革は「学び方の改革」
  2. 「読む・書く・話す・聞く」をつなぐ“言語活動中心の授業”とは
    1. ― 4つの技能を一体化し、「考えを言葉にする力」を育てる新しい学び ―
    2. 「読む→考える→書く→伝える」という学びの流れ
    3. 従来の“技能別授業”との違い
    4. 目的・相手意識をもった言語活動へ
    5. 「対話」と「思考」が中心にある授業デザイン
    6. ICT・メディアを活用した新しい言語活動
    7. 教科横断型の学びへの広がり
    8. 言語活動中心の授業が目指すもの
    9. まとめ:「言葉の使い方を学ぶ」から「言葉で学ぶ」へ
  3. 新しい国語教育で育てたい“言葉の力”とは
    1. ― 「知識」から「思考・表現・対話」へ。変わる国語のゴール ―
    2. 「資質・能力ベースの国語教育」への転換
    3. 「正しく読む」から「どう考え、どう伝えるか」へ
    4. 「表現」と「対話」で育つ、思考の深まり
    5. ICT・メディア時代に必要な「新しい読み書き能力」
    6. 評価も“できる・できない”から“どう考えたか”へ
    7. 家庭で育てたい“言葉の力”の基礎
    8. まとめ:「考える国語」へのシフト
  4. 授業はどう変わる?これからの国語の指導方法のポイント
    1. ― “教える授業”から“ことばで探究する授業”へ ―
    2. 指導の軸が変わる:「読む」「書く」を“つなぐ”授業設計へ
    3. 「主体的・対話的で深い学び」への転換
    4. 授業づくりの具体的なポイント
    5. ICTとデジタル教材の活用
    6. 評価の在り方も変わる
    7. 教員の役割も再定義される
    8. 家庭・地域との連携も鍵に
    9. まとめ:「ことばで学び、ことばで生きる」授業へ
  5. 家庭でできる!子どもの国語力を伸ばす言葉の育て方とMOANAVI Library活用法
    1. ― 「日常の会話」と「読み物の時間」を学びに変える ―
    2. 1. 日常会話で“話す・聞く”力を育てる
    3. 2. 読書を“読むだけ”で終わらせない工夫
    4. 3. 書く力を育てる“ことばの習慣”を家庭に
    5. 4. ニュース・映像・SNSを題材に“現代の言葉の力”を育てる
    6. 5. MOANAVI Libraryの「教材・読み物」で学びを広げる
    7. 6. 家庭で育てたい“言葉の土台”
    8. まとめ:家庭が“ことばの学び場”になる
  6. 今後の国語教育改革の流れと注目ポイント
    1. ― 学習指導要領改訂の動きと、これから変わる“ことばの学び” ―
    2. 1. 2026年度に向けた学習指導要領改訂スケジュール
    3. 2. 改革のキーワードは「統合」「対話」「活用」
    4. 3. 教科書と教材の変化
    5. 4. 教員研修と評価の刷新
    6. 5. 学校・家庭・地域の連携が鍵になる
    7. 6. 教育現場が注目する今後の課題
    8. 7. 国語教育改革がめざす未来
    9. まとめ:次の10年、国語教育は「社会とつながる学び」へ
  7. まとめ:読む・書く・話す・聞くを“つなぐ”学びへ
    1. ― 言葉で考え、言葉でつながり、言葉で未来をつくる ―
  8. 記事を書いた人
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なぜ国語教育が見直されているのか?

― 学習指導要領改訂の背景と「言葉の力」を育てる新たな方向性 ―

2025年10月に開催された文部科学省の「国語ワーキンググループ」では、次期学習指導要領の改訂に向けて、国語教育の根本的な見直しが議論されました。
その中心にあるのは、「話す・聞く・読む・書く」という4つの言語活動が、現行の教育の中であまりにも分断されているという問題意識です。


現行カリキュラムが抱える「領域の壁」

現在の国語科の学習指導要領や教科書は、「話すこと・聞くこと」「読むこと」「書くこと」といった領域別構成になっています。
この構成は理解しやすく、指導の整理にも役立ってきましたが、一方で現場では次のような課題が指摘されています。

  • 授業が「読む練習」「書く練習」「話す練習」と、技能ごとに独立した活動になりやすい。
  • 子どもたちが、読んだ内容を使って自分の考えを書く、話し合うといった統合的な学びの流れを経験しにくい。
  • 学年が上がるにつれて、「書けるけれど話せない」「読めるけれど要約できない」など、言葉を使いこなす力の断片化が起きている。

つまり、教科としての整理はできていても、実際の言語活動としては「読む」「書く」「話す」「聞く」がつながらず、“言葉を使って考える力”が育ちにくい構造になっていたのです。

この問題を受け、文科省は今回のワーキンググループで、これら4領域を再びつなぎ直す方向で議論を進めています。


社会の変化と「言葉で考える力」の重要性

こうした見直しの背景には、社会全体の変化もあります。
AIの普及、情報化社会の進展、そして多様な価値観が共存する時代――これからの子どもたちは、単に文章を正しく読む・書くだけでなく、自分の考えを整理し、他者に伝え、対話を通じて新しい価値を生み出す力が求められています。

文部科学省では、この力を「言語能力の育成」として位置づけていますが、その中身は単なる国語力にとどまりません。
情報を批判的に読み取るリテラシー、意見を根拠をもって説明するロジカルスピーキング、他者の意見を受け入れて議論を深める対話的思考など、21世紀型スキルの根幹をなす能力として再定義されています。

ところが、現行の授業ではこうした「複合的な言語活動」を行う場面が限られており、読む・書く・話すが別々に扱われているために、思考と表現の往復が十分に行われていません。
これが今回の見直しの出発点です。


ワーキンググループでの主な指摘

今回の会議資料では、「話す・聞く・読む・書くがそれぞれ独立しすぎており、関連付けて学びを深めることが難しい実態がある」と明記されています。
たとえば、

  • 「話す・聞く」はスピーチや発表で終わってしまい、読んだ内容と結びつかない
  • 「読む」はテストの読解練習中心で、その内容をもとに書いたり、話し合ったりする機会が少ない
  • 「書く」は作文の型を覚えることが目的化しており、読む・聞く活動との往復が弱い

こうした分断を解消するために、文科省は「言語活動の系統性」を整理し、児童生徒が発達段階に応じて、読む・書く・話す・聞くを関連づけながら学べるようにする方針を打ち出しています。

今後は「読む→考える→書く→伝える」といった言語活動の流れ(プロセス)を重視した授業構成がキーワードになっていくでしょう。


学習指導要領改訂のねらい:スキルからプロセスへ

これまでの国語教育では、「読解力」「作文力」「聞き取り」「発表」といった個別スキルが重視されてきました。
しかし今回の改訂議論では、「スキルの習得」ではなく、スキルをどのように組み合わせ、目的に応じて言葉を使いこなすかに焦点が移っています。

たとえば、

  • 「情報を読み取って整理する」だけでなく、「その情報をもとに意見をまとめ、発信する」までを含めた学び。
  • 「感想を書く」だけでなく、「読書を通じて考えたことを家族や友人と共有する」ことを含む活動。
  • 「他者の話を聞く」だけでなく、「質問や意見を返して対話を深める」活動。

こうした一連のプロセスが「言葉を使って考える力=国語力」の本質とされ、今後の授業づくり・教材設計・評価基準にも反映される見通しです。


教育現場・家庭への期待

国語教育の再構築は、単に授業の方法が変わるだけではありません。
学校・地域・家庭が協力して「言葉で考える文化」を育てることが求められています。
授業の中で対話や発表が増えるだけでなく、家庭での会話・読書・書く習慣など、生活全体が学びの場になる時代が来ています。

特に保護者にとって重要なのは、「国語=テストの点を取る教科」ではなく、社会で生きるための思考と言葉の基礎として捉え直すことです。
この視点が変わると、子どもとの会話や読書のあり方も自然に変化していきます。


まとめ:国語教育の改革は「学び方の改革」

今回の国語教育の見直しは、単なる教科の改訂ではなく、「学び方」そのものを変える試みです。
読む・書く・話す・聞くを分けて教える時代から、それらを結びつけ、言葉を通じて思考し、対話し、創造する学びへ

次章では、この改革で導入が進む「言語活動中心の授業」について、実際の授業イメージや新しい学びの形を紹介します。


「読む・書く・話す・聞く」をつなぐ“言語活動中心の授業”とは

― 4つの技能を一体化し、「考えを言葉にする力」を育てる新しい学び ―

今回の国語ワーキンググループでは、これまで分断されていた「話す・聞く・読む・書く」を一体化して学ぶ授業のあり方が大きなテーマとして取り上げられました。
これは単なる教え方の工夫ではなく、国語教育の構造そのものを見直す試みです。
「読む」「書く」「話す」「聞く」をそれぞれ“別の技能”として扱うのではなく、相互に関連する言語活動として循環させる授業が求められています。


「読む→考える→書く→伝える」という学びの流れ

新しい国語教育で重視されるのは、「読む・書く・話す・聞く」という順番ではなく、**言葉の流れ(プロセス)**です。
子どもが何かを読んで考え、考えを整理して書き、他者に伝え、意見を交わす――この一連のプロセスを1つの“学びの単位”として扱います。

たとえば、次のような授業が想定されています。

  • 読書単元で「登場人物の行動の理由」を読み取り、自分の考えをまとめる。
  • その考えを友達と話し合い、異なる見方を聞いて新たな発見を得る。
  • 自分の考えを再整理し、文章やスピーチとして発表する。

こうした活動では、「読む」「書く」「話す」「聞く」が同時に働きます。
読むことが考えることにつながり、書くことで考えが深まり、話す・聞くことで他者の視点が加わる――この連続的な言語活動を通して、自分の言葉で世界を捉え直す力が育ちます。


従来の“技能別授業”との違い

これまでの授業は、たとえば「物語文を読んで感想を書く」「スピーチの構成を学ぶ」といったように、特定の技能を練習する形式が多く見られました。
しかし、ワーキンググループでは次のような課題が共有されています。

  • 技能を個別に学ぶだけでは、「なぜそれを使うのか」という目的意識が育たない。
  • 実社会では“読む”と“書く”、“話す”と“聞く”は常にセットで行われるのに、授業では分離されている。
  • 生徒が「言葉を使って考える」経験が不足し、表面的な発表・作文で終わってしまう。

これに対して、新しい方向性では、実際のコミュニケーションや探究の場面を模した言語活動を重視します。
授業が「スキルの練習」から「課題を解決するための言葉の実践」へと変わるのです。


目的・相手意識をもった言語活動へ

言葉は「誰に」「何を」「どう伝えるか」という目的や相手があってこそ力を発揮します。
そのため、新しい授業では次のような“目的意識をもった活動”が多くなります。

  • 情報の伝達:調べた内容をクラスに発表する。
  • 意見の説得:自分の主張を論理的に書き、話し合いで検証する。
  • 感動の共有:詩や物語を読み、感じたことを言葉で伝え合う。

これらの活動では、「読む」「聞く」が「書く」「話す」と常に連動しています。
読むことがゴールではなく、読み取った内容をどう活かすかが学びの中心になります。
こうした“目的連動型の言語活動”が、次期学習指導要領でも重視されると見込まれます。


「対話」と「思考」が中心にある授業デザイン

言語活動をつなげる鍵は、対話的な学びです。
教師が問いを提示し、生徒同士が意見を交わしながら考えを深める。
対話を通して、読む・書く・話す・聞くの境界が自然に溶け合います。

たとえば、次のような授業展開です。

  1. 文章を読み、問いを立てる(読む)
  2. 自分の考えをメモにまとめる(書く)
  3. グループで話し合い、他者の意見を聞く(話す・聞く)
  4. 考えを再構成し、文章やスピーチにまとめる(書く・話す)

このように「思考→対話→再構築」というサイクルを繰り返すことで、自分の考えを言葉で洗練させていく学びが生まれます。
教師の役割も、教える人から「対話を支えるファシリテーター」へと変化していきます。


ICT・メディアを活用した新しい言語活動

ワーキンググループの議論では、情報社会への対応も重要な視点として挙げられました。
これからの授業では、紙の文章だけでなく、デジタルメディア・映像・SNSなど多様な言語環境を題材にした活動が求められます。

  • タブレットで資料を読み、要点をまとめる。
  • オンライン上で意見交換を行い、共同で文章を作成する。
  • ニュース映像やSNS投稿を題材に、発信の意図や表現方法を分析する。

これらは単なるICT活用ではなく、現代社会における「読み解く力・伝える力」を育てる活動として位置づけられます。
国語科が「情報活用能力」「メディアリテラシー」を担う重要な教科になるという見方も強まっています。


教科横断型の学びへの広がり

「読む・書く・話す・聞く」をつなぐ学びは、国語科だけにとどまりません。
理科の実験結果をまとめて発表する、社会科の調べ学習をレポートに書く――これらも立派な言語活動です。

今後の学校教育では、国語科が他教科と連携し、全教科に通じる「言葉の使い方」を支える基盤教科として位置づけられていくでしょう。
たとえば、探究学習でのレポート作成・プレゼンテーションの指導に国語科の専門性を活かすなど、教科横断的な協働が進むと考えられます。


言語活動中心の授業が目指すもの

このような改革が目指すのは、「国語力=点数」ではなく、「言葉を使って世界を理解し、自分を表現する力」の育成です。
読む・書く・話す・聞くという技能を組み合わせて、

  • 情報を正確に読み解く
  • 自分の考えを組み立てる
  • 他者にわかりやすく伝える
  • 対話を通じて新しい理解をつくる

――このサイクルを授業の中で繰り返すことが、子どもの言葉と考えを成長させます。


まとめ:「言葉の使い方を学ぶ」から「言葉で学ぶ」へ

これまでの国語の授業は「言葉の使い方を学ぶ場」でした。
しかしこれからは、「言葉を通して学ぶ場」へと変わります。
読む・書く・話す・聞くを統合した言語活動を中心に、子どもたちは教科を越えて考え、対話し、表現する力を磨いていく――それが新しい国語教育の方向性です。

次章では、この改革で育てたい具体的な力――「思考力・判断力・表現力・伝達力」について詳しく見ていきます。


新しい国語教育で育てたい“言葉の力”とは

― 「知識」から「思考・表現・対話」へ。変わる国語のゴール ―

新しい国語教育が目指しているのは、「言葉を使って考える力」を育てることです。
これまでの国語の授業では、漢字や語彙、文法、読解などの知識的な側面が重視されてきました。
もちろんそれらは大切ですが、それだけでは子どもが「自分の考えを言葉で表す」ことはできません。
今、国語教育に求められているのは、知識を使って考え、表現し、対話を通して新しい理解を生み出す力です。


「資質・能力ベースの国語教育」への転換

文部科学省が今回のワーキンググループで強調しているのが、「資質・能力」という視点です。
これは、単に“何を知っているか”ではなく、“知識をどう使いこなすか”という能力のこと。
国語科では、特に次の4つの力が柱として整理されています。

  1. 思考力:読んだり聞いたりした情報をもとに、自分の考えを構築する力
  2. 判断力:多様な情報や意見を比べ、適切な結論を導く力
  3. 表現力:自分の考えを相手にわかりやすく伝える力
  4. 伝達力(コミュニケーション力):他者と対話し、意見を調整しながら理解を深める力

これらは、単独のスキルではなく、読む・書く・話す・聞くを通して相互に働く複合的な力です。
たとえば文章を読んで意見を書くとき、思考力で考えをまとめ、判断力で根拠を選び、表現力で文章にし、伝達力で他者に伝える――このプロセス全体が国語教育の核心となります。


「正しく読む」から「どう考え、どう伝えるか」へ

従来の国語教育では、「本文の内容を正しく読み取る」「筆者の意図を理解する」といった読解中心の指導が主流でした。
しかし、これからの国語教育では「正解を探す読み方」よりも、**自分の考えをもって読む“能動的な読解”**が重視されます。

たとえば、同じ文章を読んでも、

  • 子どもによって感じ方や着目点が異なることを認める。
  • 「自分はこう思う」と意見を言葉にし、友達と比較・対話する。
  • 他者の見方を取り入れ、自分の考えを再構築する。

このように、「読む」こと自体が思考の出発点となり、読解と表現が一体化した学びが目指されています。

また、「書く」活動も、従来の“感想文”や“作文”のような形式的な練習ではなく、目的や相手を意識した表現が重視されます。
「誰に」「何を」「どんな言葉で」伝えるかを考え、読者や聞き手の存在を前提とした文章を書く――これが新しい国語教育の大きな特徴です。


「表現」と「対話」で育つ、思考の深まり

「書く」ことや「話す」ことは、単なるアウトプットではありません。
自分の考えを言葉にする過程で、子どもたちは初めて“自分の考え”に出会います。

たとえば、

  • 文章を書きながら、「本当に自分はそう思っているのか?」と考え直す。
  • 友達に説明するうちに、考えの曖昧さに気づく。
  • 他人の意見を聞いて、自分の視点が狭かったと感じる。

このように、表現は思考を深める手段であり、対話は思考を広げる契機になります。
国語教育は、単に「話せる子」「書ける子」を育てるのではなく、「言葉を通して自分と世界を考え直せる子」を育てる方向へと進んでいるのです。


ICT・メディア時代に必要な「新しい読み書き能力」

AIやSNSが身近になった今、子どもたちはこれまで以上に多様な情報に触れています。
その中で求められるのは、単に速く読む・きれいに書く力ではなく、情報を読み解き、適切に発信する力です。

たとえば、

  • ニュースやネット記事の信頼性を判断する。
  • 異なる立場の意見を比較し、自分の意見を組み立てる。
  • デジタルツールを使って、根拠のある意見を発信する。

こうした活動は「メディア・リテラシー」や「情報活用能力」と呼ばれますが、実はこれも国語科が担うべき重要な学びです。
「読む・書く・話す・聞く」は、今後ますますリアルな社会活動と結びついたスキルとして再構成されていくでしょう。


評価も“できる・できない”から“どう考えたか”へ

これまでの国語の評価は、「内容を正確に読み取れたか」「語彙や文法が正しいか」といった基準が中心でした。
今後は、プロセスや思考の深まりを評価する方向に移行すると見られています。

たとえば、

  • 他者の意見を聞いて、自分の考えをどう変えたか。
  • 自分の意見に根拠をもって説明できたか。
  • 相手に伝わるように工夫して書けたか。

このように、「結果」ではなく「思考・対話・表現の過程」を評価する視点が重視されるようになります。
教師もまた、評価を通じて子どもの成長を対話的に支援する立場へと変わっていきます。


家庭で育てたい“言葉の力”の基礎

「思考力」「表現力」「対話力」は学校だけで育つものではありません。
家庭の中で、日々の会話や読書を通して「言葉で考える習慣」を持つことが重要です。

  • 「今日はどんなことを考えた?」と問いかけて、考えを言葉にする。
  • 本やニュースを見ながら、「自分ならどうする?」と意見を交わす。
  • 感情をそのまま表す言葉を大切にし、「わかってもらう」経験を積む。

こうした日常の積み重ねが、学校で学ぶ国語教育と自然に結びつき、家庭が“ことばの実験室”になるのです。


まとめ:「考える国語」へのシフト

新しい国語教育は、「読む・書く・話す・聞く」を通じて、考えをつくり、広げ、深める学びを目指しています。
知識を教える国語から、言葉を使って思考を育てる国語へ。
これこそが、次期学習指導要領で示されようとしている国語教育の核心です。

次章では、こうした力を育てるために、実際の授業がどのように変化していくのか――
新しい指導方法のポイントを具体的に紹介します。


授業はどう変わる?これからの国語の指導方法のポイント

― “教える授業”から“ことばで探究する授業”へ ―

国語ワーキンググループでの議論は、単なる「教科内容の見直し」ではなく、授業そのものの変革を求めるものでした。
これまでのように教師が知識や答えを教えるスタイルから、子どもが「読む・書く・話す・聞く」を通して自分の考えをつくり出す学びへ。
国語の授業が「ことばの力で考える・つながる・発信する」場に変わっていこうとしています。


指導の軸が変わる:「読む」「書く」を“つなぐ”授業設計へ

新しい国語教育では、授業の構成そのものが変わります。
これまでは「読解の単元」「作文の単元」など、領域ごとの指導が中心でしたが、これからはそれを結びつけて一連の言語活動として設計することが求められます。

たとえば、

  • あるテーマに関する文章を「読む」
  • その内容について「意見をまとめる」
  • クラスで「話し合い、発表する」
  • 最後に「自分の考えを文章として表現する」

このように、「読む→考える→話す→書く」の流れが1つの授業単位になります。
技能をバラバラに練習するのではなく、目的に応じて言葉を使いこなす力を育てる方向へ。
教師の指導も、答えを教えるのではなく、「どんな言葉で考えを表すか」「どうすれば伝わるか」を一緒に考える伴走型に変わっていきます。


「主体的・対話的で深い学び」への転換

文部科学省が示す教育のキーワードは、「主体的・対話的で深い学び」。
国語科ではこれを「言葉による探究」として具体化していくことが期待されています。

授業の中では次のような変化が起こります。

  • 教師が問いを投げかけ、生徒が自分の考えをもって文章を読む。
  • グループで意見を共有し、他者の考えを聞いて比較・再構成する。
  • 対話の中で自分の立場を整理し、文章や発表として表現する。

このように、教師中心から生徒が考えを動かす授業へとシフトします。
対話やディスカッションは単なる発言練習ではなく、思考を深める活動として位置づけられます。


授業づくりの具体的なポイント

新しい指導方法を実現するための、授業デザインのポイントを整理すると次の通りです。

  1. 目的を明確にする授業設計
     「何のために読むのか」「誰に伝えるのか」を最初に共有する。
     目的意識をもって読む・書く・話すことで、活動が自立的になる。
  2. 問いを中心に据える
     教師が“正解を問う”のではなく、“考えを深める問い”を提示する。
     例:「主人公の行動の理由をどう考える?」「筆者が伝えたいことを一言で言うなら?」
  3. 活動をつなぐ構成
     「読む」→「考える」→「話す」→「書く」→「振り返る」を一連のサイクルとして設計する。
  4. 振り返りを組み込む
     学びの最後に、「自分の考えがどう変わったか」を記録させる。
     これが思考の成長を実感する評価材料にもなる。

これらを意識することで、国語の授業が単なる「内容理解」から、ことばによる探究と表現の場へと変化していきます。


ICTとデジタル教材の活用

ワーキンググループでは、デジタル時代に対応した新しい言語活動の形も重視されています。
黒板とノート中心の授業から、ICTを使った多様な学びへ。

たとえば、

  • タブレットを使って複数の資料を読み比べる。
  • クラスルームアプリ上で意見を共有し、全員の考えを可視化する。
  • 動画やスライドで発表内容を整理し、他クラスとも交流する。

こうしたデジタル環境では、子どもたちが「読む・書く・話す・聞く」を自然に往復させながら学ぶことができます。
教師はICTを“手段”として活用し、言葉の使い方をよりリアルに体験できる授業をデザインしていくことが求められます。


評価の在り方も変わる

指導方法が変われば、当然ながら評価の考え方も変化します。
これまでは「正答できたか」「表現が正しいか」といった結果中心の評価が主でした。
しかし今後は、学びの過程そのもの――つまり思考・表現・対話のプロセスが重視されます。

  • 他者の意見を聞き、自分の考えをどう整理したか。
  • 文章や発表で、目的や相手を意識した表現ができたか。
  • 学びの振り返りを通じて、自分の成長を言葉で説明できるか。

このような視点で評価する「ルーブリック型評価」「ポートフォリオ評価」などが広がっていくでしょう。
教師にとっては“点をつける評価”から、“学びを支援する評価”への転換が求められます。


教員の役割も再定義される

授業改革の中心には、教師の在り方そのものの変化があります。
これまでのように「知識を教える専門家」ではなく、子どもと共に学びをつくるファシリテーターへ。

  • 学びのゴールを共有し、探究の方向性を支える。
  • 対話の場を設計し、意見が広がるよう促す。
  • ICTや教材をつなぎ、学びの道筋を可視化する。

教師が“知の案内人”として生徒の思考を支えることで、授業がより豊かなコミュニケーション空間へと変わります。


家庭・地域との連携も鍵に

このような授業の変化を持続的に進めるには、学校だけで完結しない学びの循環が必要です。
家庭での会話・読書・ニュースの共有が、学校での言語活動とつながることで、学びはより深まります。
また、地域の図書館・新聞社・放送局などと連携し、「言葉を使う現場」を体験する取り組みも進む可能性があります。

子どもが「言葉で社会と関わる」経験を積むことが、これからの国語教育の大きなテーマになるでしょう。


まとめ:「ことばで学び、ことばで生きる」授業へ

これからの国語の授業は、単に文章を読む・書く練習の場ではありません。
読む・書く・話す・聞くをつなぎ、ことばを通じて考え、対話し、表現する場へと変わっていきます。
教師は子どもの思考を支える伴走者に、授業は「知識の伝達」から「学びの創造」へ。

この変化の先にあるのは、

ことばで学び、ことばで生きる力を育てる国語教育。
―― それが、次の時代の国語授業の姿です。


家庭でできる!子どもの国語力を伸ばす言葉の育て方とMOANAVI Library活用法

― 「日常の会話」と「読み物の時間」を学びに変える ―

国語教育の改革は、学校だけで完結するものではありません。
「読む・書く・話す・聞く」をつなげる学びを定着させるためには、家庭の中で言葉を使う機会をどう育てるかが欠かせません。
子どもが「ことば」で考え、「ことば」で伝える力を育むのは、日々の小さな対話と読書の積み重ねです。

ここでは、保護者が家庭でできる具体的な関わり方と、MOANAVI Libraryを活用した学びの広げ方を紹介します。


1. 日常会話で“話す・聞く”力を育てる

家庭で最も自然にできる国語教育は、「話す」「聞く」の習慣づくりです。
子どもの話を遮らずに最後まで聞き、「そう思った理由を教えて」「どうしてそう感じたの?」と問い返してみましょう。
この「なぜ?」という質問が、子どもの思考を深め、自分の考えを言葉にする練習になります。

食事のときの会話、ニュースを見た後の感想、買い物やお出かけの途中の出来事――
どんな小さな話題でも構いません。大切なのは、親が“聞き役”になる時間をもつことです。
聞いてもらえる経験は、子どもに「話すことへの自信」と「言葉で考える力」を与えます。


2. 読書を“読むだけ”で終わらせない工夫

読書は国語力の土台ですが、ただ読むだけでは「受け身の学び」で終わってしまいます。
読んだあとの会話が、思考と表現をつなぐ大切なステップです。

たとえば次のような関わり方があります。

  • 「どんなところが面白かった?」と感想を聞く。
  • 「主人公だったらどうした?」と立場を変えて考えさせる。
  • 「この本を友達にすすめるなら、どんな言葉で紹介する?」と発信の練習をする。

こうした問いかけを通して、読書が「読む」から「考える」「話す」「書く」へと発展していきます。
週末に家族で同じ本を読んで感想を言い合う“家庭読書会”もおすすめです。
読む力だけでなく、語彙・構成力・共感力が自然と育ちます。


3. 書く力を育てる“ことばの習慣”を家庭に

「書く力」は、思考を整理し、自分の意見を形にする力です。
家庭では、正しい書き方よりも「自分のことばで書く」経験を大切にしましょう。

  • 今日楽しかったことを一言メモに書く。
  • 家族への感謝の手紙を書く。
  • 読んだ本や観た映画の感想を短く書いてみる。

文字の上手さや文法の正しさを指摘するよりも、「こんな考えを持ってるんだね」と内容を受け止めることが大切です。
書くことに肯定的な体験を積み重ねると、子どもは「ことばを使うこと」に前向きになります。

また、書いたものを家族で読み合い、感じたことを話し合うと、書く→話す→聞く→考えるの循環が家庭で生まれます。


4. ニュース・映像・SNSを題材に“現代の言葉の力”を育てる

現代社会では、子どもたちも日々多くの情報に触れています。
その情報をどう読み解き、どんな言葉で反応するか――これも国語力の一部です。

たとえば、

  • ニュース番組を一緒に見て、「あなたはどう思う?」と意見を交換する。
  • SNSの投稿や動画を題材に、「どんな伝え方が上手だと思う?」と表現を分析する。
  • インターネット上の言葉をきっかけに、「言葉の使い方と感情の関係」を考える。

こうした会話を通して、子どもは情報を批判的に読み取り、言葉を選んで発信する感覚を身につけます。
「読む・聞く・書く・話す」が社会の中でつながる瞬間です。


5. MOANAVI Libraryの「教材・読み物」で学びを広げる

家庭での言葉の学びをさらに深めるために、MOANAVI Libraryの「教材・読み物」カテゴリーを活用するのも効果的です。

MOANAVI Libraryには、

  • 理科や社会、文化、芸術などを横断的に学べる STEAM型の読み物
  • 読むだけでなく、考える・調べる・話し合うことを促す クイズ付き教材
  • 学校の授業ともつながる 自由研究アイデアや探究テーマ

など、子どもの「読む→考える→書く→伝える」を自然に引き出す記事が豊富にあります。

たとえば、「トラス構造」「地産地消」「レジリエンス」「雨と風の名前」などのテーマは、
親子で読んだあとに「どう思った?」「他の例を調べてみよう」と会話を広げるのに最適です。
記事の最後にある「おさらいクイズ」や「自由研究アイデア」を家庭で試すだけでも、統合的な言語活動を実践できます。

MOANAVI Libraryは、教科書の補助教材というより、**家庭の学びを広げる“探究の入り口”**として活用できるサイトです。
子どもが自分の興味に沿って選べる仕組みになっているため、「自分で読む→話す→調べる」流れが生まれます。


6. 家庭で育てたい“言葉の土台”

国語力の根底にあるのは、知識やスキルではなく「人と関わる力」です。
言葉は、人の気持ちや考えをつなぐ“架け橋”だからです。

  • 「ありがとう」「ごめんね」「どう思う?」を大切にする。
  • 感情を言葉にして伝える練習をする。
  • 他者の話を聞き、違いを受け入れる経験を重ねる。

こうした日常のやりとりの中で、子どもは「ことばが人をつなぐもの」だと学びます。
それが、国語教育が目指す対話的・思考的な学びの基盤になります。


まとめ:家庭が“ことばの学び場”になる

国語教育の新しい流れは、「学校で学ぶこと」と「家庭で生きること」を近づけています。
家での会話、読書、書く習慣、そしてMOANAVI Libraryのような探究的教材――
それらはすべて、「読む・書く・話す・聞く」をつなぐ実践そのものです。

国語力は“教えるもの”ではなく、“暮らしの中で育てるもの”。

家庭で生まれる小さな言葉のやりとりが、子どもの未来を支える大きな言葉の力へとつながっていきます。


今後の国語教育改革の流れと注目ポイント

― 学習指導要領改訂の動きと、これから変わる“ことばの学び” ―

国語ワーキンググループでの議論は、次期学習指導要領の改訂に向けた重要なステップです。
ここで示された方向性は、今後数年をかけて教育現場全体に反映されていきます。
この章では、国語教育改革の今後の流れと、学校・保護者が注目すべきポイントを整理します。


1. 2026年度に向けた学習指導要領改訂スケジュール

文部科学省は現在、2030年を見据えた新たな教育指針の策定を進めています。
国語をはじめとする全教科の学習指導要領は、2026年度以降の改訂・実施を目指して審議が進行中です。

大まかな流れは以下の通りです。

年度主な動き
2024〜2025年度各教科WG(国語・理科・社会・外国語など)で現行カリキュラムの課題整理と提言を作成
2025年度後半中央教育審議会が最終報告をまとめ、改訂方針を公表
2026年度新学習指導要領の告示(小・中・高の新しい目標と内容を明示)
2027〜2028年度教科書会社による新教科書の編集・検定、教員研修の開始
2029〜2030年度全国の学校で本格実施予定

つまり、今回の国語ワーキンググループの議論は、次の10年の国語教育を方向づける基礎なのです。


2. 改革のキーワードは「統合」「対話」「活用」

今後の国語教育の改革は、大きく3つの柱で進むと考えられています。

(1)技能の「統合」

これまで分断されていた「読む・書く・話す・聞く」を一体化。
単元ごとに4技能を横断する“言語活動中心型”の授業が主流になります。

(2)学びの「対話化」

教師が教える授業から、生徒が意見を交わしながら考える授業へ。
「読む→考える→話す→書く→振り返る」というプロセスを軸に、学びが対話的に進む構造になります。

(3)知識の「活用化」

文法や語彙を“テストで使う知識”から“表現や理解に生かす知識”へ。
学んだ言葉を実生活・社会の中でどう使うかを重視する流れです。

この三本柱が、「考える国語」「伝え合う国語」「社会とつながる国語」という新しい方向性を形づくっています。


3. 教科書と教材の変化

学習指導要領の改訂は、教科書の大きな変化を伴います。
次の教科書改訂では、領域別構成から課題探究型構成への転換が予想されています。

たとえば、

  • 「読むこと」「書くこと」という章立てではなく、テーマや目的別に構成される。
  • 読む教材と書く教材が連動し、考えの形成を支えるストーリー型展開になる。
  • 複数の資料やメディアを比較し、情報をまとめる課題が増える。

さらに、教科書のデジタル化が進み、動画・音声・インタラクティブ教材など、複合的な読み書き体験が取り入れられる見通しです。
授業は「紙のテキストを読む」だけではなく、「情報を読み解き、意見を発信する」実践の場へと広がります。


4. 教員研修と評価の刷新

国語教育の改革は、教師の指導観にも大きな影響を与えます。
「読む・書く・話す・聞く」を統合する授業設計や、プロセス評価の手法などを学ぶため、全国規模の教員研修が実施される予定です。

  • 学びの過程を可視化する「ポートフォリオ評価」
  • 対話や発表を観点別に記録する「ルーブリック」
  • 児童生徒の振り返りを活かした「自己評価の導入」

こうした評価改革により、教師は「何ができるか」よりも「どう考え、どう伝えたか」を見取ることが求められます。
授業改善と評価改革が一体となって進むことが、次の国語教育の大きな特徴です。


5. 学校・家庭・地域の連携が鍵になる

新しい国語教育では、学びの場を学校の外にも広げる視点が強調されています。
地域の図書館やメディア、地元企業との連携を通じて、子どもが実際に言葉を使い、考えを発信する場を持つことが期待されています。

一方で、家庭での協力も欠かせません。
家庭での読書やニュースの共有、日常会話の時間が、学校の学びを支える基盤になります。
ワーキンググループの報告書でも「家庭・地域・学校が一体となった言語文化の形成」が提言されています。

特に保護者には、**「家庭の会話も学びの一部」**という意識を持つことが求められています。
国語の授業改革は、家庭での言葉の関わり方を変えるきっかけにもなります。


6. 教育現場が注目する今後の課題

改革を進めるうえで、現場からは次のような課題も指摘されています。

  • 教員の指導負担の増加(教材研究・評価・ICT対応など)
  • 小中高での一貫性の確保(「読む・書く・話す・聞く」の成長段階の整理)
  • 学力テストなどとの整合性(思考・表現をどう評価するか)
  • 地域間格差の是正(デジタル教材・通信環境・家庭学習支援の差)

これらの課題をどう解決するかが、改訂後の教育実践の質を左右する重要なポイントです。
特に、子どもの多様性に対応できる言語教育をどう構築するかは、次期改訂の大きな焦点になるでしょう。


7. 国語教育改革がめざす未来

国語教育の改革は、単に授業内容を変えるものではありません。
その目的は、「言葉で考え、言葉で関わり、言葉で未来を創る力」を育てることにあります。

読む・書く・話す・聞くという技能を越えて、

  • 他者と協働しながら考える力
  • 社会の課題を言葉で整理する力
  • 自分の意見を表現し、対話を通じて解決策を導く力

こうした**“言葉の実践力”**を育てることこそ、国語教育の最終的なゴールです。
この方向性は、STEAM教育や探究学習とも親和性が高く、教科を越えた学びの基盤を支える存在になるでしょう。


まとめ:次の10年、国語教育は「社会とつながる学び」へ

2026年以降の国語教育は、「読む・書く・話す・聞く」をつなげるだけでなく、
言葉を通じて社会と関わる教育へと進化します。
学校の授業と家庭の学びが連携し、子どもたちが自分の考えを言葉で伝え、他者と協働して学ぶ時代が始まります。

言葉を学ぶことは、生き方を学ぶこと。
これからの国語教育は、まさにその理念を体現していく改革となるでしょう。


まとめ:読む・書く・話す・聞くを“つなぐ”学びへ

― 言葉で考え、言葉でつながり、言葉で未来をつくる ―

2025年秋の国語ワーキンググループで示された議論は、単なる教科改革ではなく、「学びの在り方」そのものを問い直す動きでした。
国語という教科は、他のどの教科よりも「人の思考」と「人との関係」を支える基盤にあります。

これまでの国語教育は、読む・書く・話す・聞くを別々に教える形で進んできました。
しかし、これからはそれらを結びつけ、「言葉を通して考え、伝え、共に創る」学びへと転換していきます。
その背景には、AIの普及や多様化する社会の中で、「自分の考えを言葉で表現し、他者と協働して課題を解決する力」が必要とされている現実があります。

学校現場では、教師が知識を伝える授業から、子どもが問いを立て、考えを深め、仲間と意見を交わす授業へ。
教科書も「読む教材」から「対話を生み出す教材」へと進化していくでしょう。
そして評価も、「正答を出す」ことより、「どう考え、どう伝えたか」という思考と表現のプロセスが重視される時代になります。

一方で、家庭の役割もこれまで以上に大きくなります。
親子の会話、読書の時間、ニュースや出来事を語り合うひととき――それらすべてが“国語の授業”になるのです。
日常生活の中で、子どもが「言葉で考える」体験を重ねることが、学校での学びをより深く支えていきます。

MOANAVI Libraryの「教材・読み物」も、そうした家庭と学校をつなぐ学びの場として機能します。
記事を読み、親子で話し、クイズや自由研究を通して考えを形にする――そのプロセスこそ、国語教育が目指す統合的な学びの実践です。

これからの国語教育は、「言葉を学ぶ」から「言葉で学ぶ」へ。
そして、「言葉で学ぶ」から「言葉で生きる」へ。

読むこと、書くこと、話すこと、聞くこと。
それらをつなぐ力が、子どもたちの未来を切り拓く。
国語教育の新しい時代は、まさにその始まりを迎えています。


記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / MOANAVIスクールディレクター

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説


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