オルタナティブスクールとは

文部科学省の調査によると、2024年度の小中学生の不登校児童生徒数は346,000人となりました。小中学生の26人に1人が不登校ということは、各クラスに1人以上の不登校児童生徒がいるということになります。

うちの子が不登校になるなんて・・・

誰のせいでもなく、誰にでも不登校になる可能性があります。学校に通えなくなった本人にさえ、明確な理由が分からないことも多くあります。

不登校の悩みが希望に変わるオルタナティブスクールがあります

公立学校とオルタナティブスクール

オルタナティブスクールは、教育に対するアンテナの高いご家庭が、小学校の入学時から特別な教育カリキュラムを求めて入学を希望することが多いです。インターナショナル、イエナプラン、シュタイナーなど、様々な独創的なカリキュラムが提供されています。

日本には文部科学省が定めるカリキュラムとして学習指導要領があります。学習指導要領は公教育において優れたカリキュラムです。検定済教科書は学習指導要領に基づいて作成され、教科書を一通り学習することで、必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力が育成されるように作られています。

学習指導要領では各教科・領域ごとに教育の目標が最低限身につけたい内容として明確に示されています。国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・家庭科・体育・英語・生活・総合・道徳・特別活動など、最低限度学ばなければならない教科・領域がたくさんあります。

一つひとつが優れているため、全部集まるとかなりのボリュームになり、子どもも教員も時間に追われています。ある程度のスピード感で学習を進めなければならないため、分からなくなると置いていかれますし、簡単すぎても先には進めません。

一方、オルタナティブスクールでは学習指導要領で示されている内容と程よい距離感で付き合いながら、子どもの発達に応じた独自のカリキュラムで学習を進めます。子どもと先生の距離が近く、一人ひとりに合わせた学習を行うことができます。

学んでおかなければならないことを全て学ぶことはできないというデメリットもあります。

オルタナティブスクールの多くは、文部科学省が定める学習指導要領に基づいた指導を行なっているわけではないため、小学校や中学校を卒業しても卒業資格を取得することができません。そのため、公立小学校に在籍し、出席認定を受けることで卒業資格を取得することができるようになります。

公立の小中学校でも、子ども一人ひとりの個性に応じた学びを行っています。ただ、1クラスあたりの人数が多いことや、「ねばならない」指導が多すぎるため、柔軟なカリキュラムを設定するハードルが高く、どうしても規格に沿った教育を行うことが求められます。

公教育の公平性を保つため、1クラスだけが特別な教育を行うことは推奨されません。

公立の小中学校でも、一部の学校は指定の研究校として、各教科や領域、テーマなどに沿った研究を学校単位で行い、独自のカリキュラムを設定しているところがあります。このような研究校で学ぶと、一般の公立小中学校で学ぶよりも子どもたちの資質・能力は伸びやすいと考えられます。

入学には地域ごとに指定があるため、学校を選んで入学することはできません。

越境での入学には所定の要件があり、学校長の許可が必要なためハードルは高いです。

また、研究校での研究内容は学校ごとに決まるため、全ての子どもに対して適しているとは限りません。子どもによって、その学び方が合う、合わないということがあります。

オルタナティブスクールでは、子どもの個性に合わせて自分で学校を選ぶことができます。また、学び方が合わない場合、他のオルタナティブスクールや公立学校を選ぶということもできます。

オルタナティブスクールは海外では一般的ですが、日本ではまだ一般的ではないため、お子さんが小学校に入学する際に検討されることも少なく、多くの人がオルタナティブスクールの存在とオルタナティブスクールで学ぶ価値に気付いていません。

不登校をきっかけに教育のアンテナが高くなる

子どもや保護者の多くは、毎日普通に通学して、普通に卒業できるものだと思って公立の小中学校に入学します。ところが、突然登校を渋ったり、登校できなくなったりするのです。原因となるきっかけが明確な場合もありますが、原因が解消されても不登校が続く場合や、そもそも原因が子ども本人にもよく分からない場合が多いのです。

不登校になると、子どもも保護者もたくさん悩み、原因を見つけようとして奔走し、状況を改善するための手段を求めて、教育へのアンテナが高くなります。教育に対して真剣に考え取り組むようになる一方で、子どもも保護者も心身ともに消耗してしまいます。

文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」にあるように、不登校になった子どもを学校に戻すことだけが不登校の解決策ではありません。

(1)支援の視点
    不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

「学校に戻る」以外の選択が、子どもと保護者を守り、子どものより良い成長へとつながる場合があります。

不登校を経験することで、子どもも保護者もとても消耗しています。「無理して学校に戻らない」ことで、子どもと保護者が平穏な時間を取り戻すことができることがあります。一方で、自宅に籠ることで、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することも事実です。

こうしたリスクに対応しようと、保護者と子どもが一歩踏み出した時、オルタナティブスクールやフリースクールは大きな力となることができます。

子どもに合った最高の教育環境を手に入れることができるチャンスかもしれません。

フリースクールとオルタナティブスクール

不登校の対応としてフリースクールとオルタナティブスクールが検討されることが多いので、ここでフリースクールとオルタナティブスクールの違いについて簡単に整理しておきます。

フリースクール
不登校で傷つき、消耗した子どもが安心して過ごせる居場所。勉強の時間や教育プログラムが提供される場合もあるが、基本的には子どもの心身の回復を目的としているため、遊びやコミュニケーションが重視される。自治体が運営するフリースクールでは、いずれは学校にもどることを目指している場合が多い。週1〜2回の登校の場合もある。

オルタナティブスクール
独創的なカリキュラムを提供する学校。不登校ではなく、初めから入学する子どもも多い。子ども一人ひとりに合わせて柔軟にカリキュラムを調整することができるので、不登校になった子どもでも安心して楽しく学ぶことができる。学習指導要領に準拠してはいないものの、教育機関として「学ぶこと」を重視している。そのため、時間割や教育プログラムが設定されていて、ほぼ毎日登校する。

あくまで一般的な整理であるため、すべてのフリースクールやオルタナティブスクールに当てはまるわけではありません。

子どもに合わせて学校を選べる時代

中央教育審議会は2021年に示した「令和の日本型学校教育」の構築を目指した答申において「個別最適な学び」キーワードとして掲げました。

個別最適な学び
子ども一人ひとりの学習深度や個性、興味関心に応じて、主体的に学習を進める学び

これを受けて、日本の学校は多様なニーズをもつ子どもたちに合わせた教育を行えるように、様々な挑戦を行なっています。しかし、先生不足などの教育が抱える問題や、ニーズが多様化しすぎている状況のため、個別最適な学びの実現にはまだまだ時間がかかりそうです。

そこで、各自治体はフリースクールなどを充実させて、個別最適な学びの場を作ろうと試みています。自治体によっては民間のフリースクールを利用する家庭に対して補助金を支給することで、子どもたちの多様なニーズに応えようと取り組み始めています。

子どもが学校に合わせるのではなく、子どもに合わせて学校を選べる時代になりました。

不登校の悩みは、オルタナティブスクールで独創的なカリキュラムを学ぶきっかけとなり、子どもの未来を切り拓く希望となるかもしれません。

STEAM教育で学ぶオルタナティブスクール

STEAM教育とは

現代社会では、新たな問題や課題に対して創造的なアプローチが求められています。そのため、教育界でいま最も注目を集めているのがSTEAM教育です。

STEAM教育は科学、技術、工学、アート、数学を統合した総合的な学習領域です。

STEAM教育の詳細はこちらを参考にしてください。

MOANAVIオルタナティブスクール

独創的なカリキュラムとしてSTEAM教育を柱とした教育を行っているオルタナティブスクールがMOANAVIです。

公立の小中学校と連携して出席認定に対応しているため、MOANAVIに出席した日は在籍している公立小中学校に出席したものとみなされます。そのため、MOANAVIに通うことで公立の小中学校の卒業資格を取得することができます。

STEAM教育を行うために必要なので、算数などの各教科の基礎的な学習を、子ども一人ひとりの理解度に合わせて繰り返し行います。苦手が見つかれば、苦手の原因となっている単元まで戻ってじっくりと学び直します。得意であること、習得していることが確認できれば、次のステップにどんどん学びを進めます。

1校8人までの少人数の学校で、通っている子どもたちの学年もバラバラですから、学年に関係なく協力して課題に取り組んだり教え合ったりしています。

一人ひとりみんな違う課題に取り組んでいても、顔が見えて話が聞こえる程よい距離感で学んでいるので、自然と様々な課題についての情報に触れることができ、予習や復習が行われるというメリットがあります。

MOANAVIの学習では、公立の小中学校で学ぶ各教科の知識と技能を全て習得することができるように進めています。子どもの現在の能力に合わせて効率よく学習を進めるので、教科によっては次の学年で学習する内容にどんどん進むことができます。

対話と体験を大切にした学び

MOANAVIでは、対話と体験をとても大切にしています。

自分の好きなもののこと、楽しかったこと、やりたくないことや嫌いなことなど、MOANAVIに来た子どもたちはたくさん話をします。そして、それをちゃんと聞いてくれる仲間や先生がいます。だから子どもたちはみんな安心して自分のことを話すことができるのです。

とりあえずやってみようか!どうなるかな!?

MOANAVIでは「小さく、早く、何度も試す」ことができる学びの場を大切にしています。何度も小さな失敗を積み重ねながら、納得がいくまでじっくり試せるからこそ、子どもたちは安心して新しいことにも挑戦できるのです。

まちを活用して豊かに学ぶ

定員が8名までとなっているMOANAVIの校舎はとても小さいです。ですが、MOANAVIで学ぶ子どもたちは、130万冊の蔵書数、2000匹以上の生き物、すばらしい美術作品、プラネタリウム、最先端の科学技術、広大な運動場、自然豊かな森でたくさんのことを学んでいます。

MOANAVIの近隣には図書館や美術館、動物園、博物館、大きな公園が集まっているため、これらの施設を積極的に活用しています。

少人数だからこそ機動力が高い

ものづくりのための材料と道具が充実

STEAM教育は、目的に合わせて価値のあるものを生み出すものづくりの教育であるといえます。

そのためMOANAVIには、木工に必要な道具や電動工具はもちろん、絵の具や色鉛筆画用紙やキャンバスなどの画材、動画を作成したりプレゼンテーションを行ったりするための機材、プログラミングやロボット作成のためのパーツやコンピューター、調理のための道具や家電、実験観察のための器具などがたくさん揃っています。

MOANAVIでは、子どもたちが普段なかなかできないことを体験するだけでなく、道具として使いこなせるようになることを目指しています。

フリースクールとしてのMOANAVI

MOANAVIには毎日通うオルタナティブスクールのほかに、フリースクールとして月に3回通えるコースもあります。公立の学校に時々登校できたり別室登校をしていたりする子どもたちが利用することができます。

フリースクールですが学びの場所として開校しているので、オルタナティブスクールのカリキュラムを一緒に学びます。

また、土曜参観や学校行事などの代休に1日だけ参加できる1dayスクールのコースもあります。1dayスクールもオルタナティブスクールのカリキュラムに参加します。

MOANAVIのオルタナティブスクールに関心のある方は、フリースクールや1dayスクールのコースでまずは体験してみることができます。

まとめ

不登校をきっかけに教育に対するアンテナが高くなる。

独自のカリキュラムを提供するオルタナティブスクールを子どもに合わせて選ぶ。

MOANAVIはSTEAM教育で学ぶオルタナティブスクール。

直接お話ししたい方、もっと詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
体験のご予約も受付中です。

記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / 株式会社MOANAVI代表取締役

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説


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