勉強だけじゃない!子どもの未来を拓く「非認知能力」って何?家庭で育むヒント

お子さんの将来について考える時、つい「勉強ができる子になってほしい」「いい学校に行ってほしい」と考えがちではありませんか?もちろん、学力は大切です。でも、それと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に大切だと言われているのが、近年注目を集めている「非認知能力」という力です。

「非認知能力って何?」「うちの子にも関係あるの?」そんな疑問をお持ちの保護者の皆さんのために、今回は非認知能力の正体と、ご家庭で今日からできる育み方のヒントをたっぷりご紹介します。


「非認知能力」って、いったいどんな能力のこと?

まず、「非認知能力」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれませんね。

簡単に言うと、非認知能力とは「テストの点数では測れない、心の力や生きる力」のことです。例えば、以下のような力が非認知能力に含まれます。

  • やる気、がんばる力(グリット):「もうダメだ…」と思っても、粘り強く最後までやり抜く力
  • 自分をコントロールする力(自制心):目の前の誘惑に負けず、目標のために我慢したり、計画通りに進めたりする力
  • 人と協力する力(協調性):友達や先生と協力して、一つの目標に向かって努力する力
  • 自分の気持ちを理解し、表現する力(感情調整能力):イライラした時に深呼吸したり、悲しい気持ちを言葉で伝えたりする力
  • 失敗しても立ち直る力(レジリエンス):失敗から学び、気持ちを切り替えて次へと進む力
  • 自分で考えて行動する力(主体性):言われたことをやるだけでなく、自分で考えて行動を起こす力
  • 「自分ならできる!」と思う力(自己肯定感・自己効力感):自分に自信を持ち、挑戦する気持ち

これらは、学力テストの点数では測れませんが、社会に出て働く時、人間関係を築く時、そして人生の困難を乗り越える時に、必ず必要になる力ですよね。


なぜ今、「非認知能力」がこんなに注目されているの?

「昔はそんな言葉なかったのに、なぜ急に?」そう思われる方もいるかもしれません。非認知能力が注目される背景には、いくつかの理由があります。

1. ノーベル賞受賞者の研究がきっかけに

経済学のノーベル賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授という方がいます。彼が、アメリカで幼い頃から質の高い幼児教育を受けた子どもたちを何十年も追跡調査した研究(「ペリー就学前プロジェクト」などが有名)の結果に、世界中が驚きました。

その研究では、幼少期に非認知能力を育んだ子どもたちは、大人になってから学歴が高くなるだけでなく、収入も増え、健康になり、犯罪率も低くなるといった、驚くほど良い人生を送っていたことが明らかになったのです。つまり、非認知能力への投資は、人生全体を豊かにする最高の投資だということが科学的に示されたわけです。

2. 変化の激しい時代に必要な力だから

今の時代は、AIの進化やグローバル化など、社会がものすごいスピードで変化しています。将来、どんな仕事が生まれて、どんなスキルが求められるのか、誰にも予測できません。

そんな時代だからこそ、知識を詰め込むだけでなく、自分で考え、新しいことを学び、未知の課題に立ち向かい、人々と協力しながら解決していく力が不可欠になります。まさに、これこそが非認知能力なのです。

3. 「詰め込み教育」から「生きる力」へ

これまでの教育は、知識の習得やテストの点数に偏りがちでした。しかし、どれだけ知識があっても、それを活用したり、人と協力して何かを成し遂げたりする力がなければ、社会で活躍することは難しいという認識が広まってきました。

OECD(経済協力開発機構)などの国際機関も、21世紀に必要とされる能力として、非認知能力の重要性を強く提唱しており、世界中で教育のあり方を見直す動きが進んでいます。


家庭でできる!非認知能力を育む具体的なヒント

では、私たち保護者は、日々の生活の中でどのように子どもの非認知能力を育んでいけば良いのでしょうか?特別なことをする必要はありません。いつもの親子の関わりを少し意識するだけで、お子さんの能力はぐんぐん伸びていきます。

1. 好奇心の芽を大切に、たくさん「やってみる」機会を与える

  • 「やってみたい!」を応援する: お子さんが「これってどうなってるの?」「これ、作ってみたい!」と興味を示したら、多少散らかっても、失敗しても、まずは「やってごらん」と背中を押してあげましょう。一緒に調べてみたり、材料を揃えてみたりするのも良いですね。
  • 「なんで?」「どうして?」に付き合う: 子どもは「なぜ?」の宝庫です。面倒に思えても、子どもの問いかけに真剣に耳を傾け、一緒に考えたり、図鑑やインターネットで調べてみたりする時間を大切にしましょう。探求心を育む大切なステップです。
  • 五感をフルに使った体験を: 自然の中で遊ぶ、料理をする、ものづくりをするなど、実体験を通して五感を刺激する機会をたくさん作りましょう。

2. 失敗を恐れず、何度でも「挑戦できる」環境を作る

  • 失敗は「成功のもと」と伝える: お子さんが失敗した時、「なんでできなかったの!」と叱るのではなく、「ドンマイ!次はどうしたらうまくいくかな?」と一緒に考えてみましょう。失敗は決して悪いことではなく、成長するための大切なステップだと教えてあげてください。
  • 「できた」を具体的に褒める: 「よく頑張ったね!」「最後までやり切ったね!」など、結果だけでなく、努力の過程や粘り強さを具体的に褒めることで、自己肯定感や「次も頑張ろう!」という気持ちを育みます。

3. 「自分で選ぶ」「自分で決める」機会を増やす

  • 小さな選択から任せてみる: 「今日の服、どっちがいい?」「おやつのフルーツ、りんごにする?バナナにする?」など、日常のささいなことから子どもに選択させる機会を与えましょう。
  • 子どもの意見に耳を傾ける: 親が決めるだけでなく、「どうしたい?」「どう思う?」と問いかけ、子どもの意見を尊重する姿勢を見せましょう。自分で決めたことは、責任を持ってやり遂げようとする気持ちにつながります。

4. 温かい言葉とスキンシップで「自己肯定感」を育む

  • 「大好きだよ」「ありがとう」を伝える: 無条件の愛情を言葉や態度で伝えることで、子どもは「自分は大切にされている存在だ」と感じ、自己肯定感を育みます。
  • お手伝いや協力に感謝する: 「ありがとう、助かったよ」「おかげで早く終わったね」など、感謝の気持ちを具体的に伝えることで、自分の存在が役に立っていると感じ、自信につながります。

5. コミュニケーション能力を育む「聞く力」と「話す力」

  • 子どもの話をじっくり聞く: 子どもが話している時は、途中で遮らず、最後まで耳を傾けましょう。共感する言葉を挟んだり、「そうだったんだね」と受け止めたりすることで、子どもは安心して話せるようになります。
  • 気持ちを言葉にする練習をする: 「今、嬉しいんだね」「悔しかったんだね」と、子どもの感情を親が言葉にしてあげることで、子どもは自分の気持ちを理解し、表現する力を身につけます。
  • 「なぜ?」を問いかける: 「なんでそう思ったの?」「もし〇〇だったらどうする?」など、子どもの考えを深めるような問いかけをしてみましょう。

6. 家族みんなで「協力する」経験を増やす

  • 一緒にお手伝いをする: 料理や掃除など、家族みんなで協力して何かを成し遂げる経験は、協調性や責任感を育みます。
  • 役割分担をする: それぞれが役割を持って協力することで、自分の役割を果たすことの重要性や、他者と協力する楽しさを学びます。
  • ゲームやスポーツを通して学ぶ: ボードゲームやスポーツなど、ルールを守り、戦略を立て、協力して目標を達成する遊びも、非認知能力を育む良い機会です。

大切なのは、お子さんの「心の育ち」を見守ること

非認知能力は、目に見える形で「伸びた!」と実感しにくいものです。だからこそ、焦らず、お子さんのペースで、日々の小さな成長や変化に目を向け、温かく見守ってあげることが何よりも大切です。

時には、お子さんが失敗して落ち込んでいる姿を見ることもあるでしょう。でも、その失敗から何を学び、どう立ち直っていくのかを、親として一緒に考え、寄り添ってあげてください。

学力だけでは測れない、お子さんの無限の可能性を引き出す「非認知能力」。ぜひ、ご家庭で意識的に育んでみてください。きっと、お子さんの未来がより豊かで、幸せなものになるはずです。

子どもの“未来を生きる力”を育てたいあなたへ

非認知能力は、一朝一夕で育つものではありません。でも、日々の関わりの中で、少しずつ、確実に育まれていく力です。そしてその積み重ねが、子どもたちがこれからの時代をしなやかに、たくましく生きていくための土台になります。

MOANAVI(モアナビ)では、こうした“点数では測れない力”を大切にしながら、子どもたちの主体性や探究心を育むSTEAM教育やプロジェクト型の学びを行っています。不登校や学校外での学びを選ぶご家庭にも寄り添い、一人ひとりのペースに合わせた個別指導や体験の場を提供しています。

もし、今の学びに少しでも違和感を感じていたり、お子さんの力をもっと自由に伸ばしてあげたいと思っていたら、ぜひ一度、MOANAVIの活動ものぞいてみてください。

🌱 未来を創る力を、今ここから。
MOANAVI(モアナビ)|https://moanavi.com

記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / 株式会社MOANAVI代表取締役

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説


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