
子どもが急に勉強しなくなると、保護者は大きな不安を感じます。
「やる気がなくなったのではないか」「このままで大丈夫なのだろうか」と心配になることもあるでしょう。
しかし、教育心理学の研究を見ると、子どもが勉強しなくなる理由は単純な「やる気の問題」ではないことがわかってきます。
学習の難易度、学び方、学習環境など、さまざまな要因が重なり、学びの循環が止まってしまうことがあるのです。
この記事では、教育心理学の研究をもとに、子どもが勉強しなくなる理由を整理しながら、子どもの学びが再び動き始める条件について考えていきます。
子どもが勉強しなくなるとき家庭で起きていること|「急に勉強しない」はなぜ起きるのか
子どもが急に勉強しなくなるとき、家庭でよく起きている変化
保護者の方からよく聞く言葉の一つに、次のようなものがあります。
「前は普通に勉強していたのに、急に勉強しなくなった」
「小学校までは問題なかったのに、中学生になってから全く勉強しなくなった」
「机には向かうけれど、すぐにやめてしまう」
こうした変化が起きると、多くの保護者は不安を感じます。
「このままで大丈夫なのだろうか」
「やる気がなくなってしまったのではないか」
「何か強く言わなければいけないのではないか」
しかし、教育心理学の研究を見ていくと、
子どもが勉強しなくなるときに起きていることは、
単純な「やる気の問題」ではないことがわかってきます。
子どもが勉強しなくなるとき、その背景では
- 学習の難易度
- 学び方
- 学習環境
- 動機づけ
といった複数の要素が重なり、
学びの循環が止まってしまっていることが多いのです。
勉強とは何かという点については、次の記事でも詳しく解説しています。
勉強とは何か|子どもはなぜ学ぶのかを教育心理学から解説
https://moanavi.com/10559
「子どもが勉強しない=やる気がない」と考えてしまう危険
子どもが勉強しなくなると、多くの家庭で次のような言葉が出てきます。
「もっとやる気を出しなさい」
「やればできるのに」
「努力が足りない」
もちろん、子どもが努力することは大切です。
しかし教育心理学では、学習行動は単純に「やる気」だけで説明できるものではないと考えられています。
人が何かに取り組むとき、その行動は
- 課題の難易度
- 学習環境
- 成功体験
- 周囲との関係
など、さまざまな要因の影響を受けます。
つまり、子どもが勉強しなくなったときに起きているのは、
子どもの性格の問題ではなく、学びの構造の問題
であることが多いのです。
教育心理学者の Lev Vygotsky は、
子どもの成長には「最近接発達領域(ZPD)」という領域があると説明しました。
これは、
支援があればできる最適な難易度の学び
を指します。
もし学習課題が
- 簡単すぎる
- 難しすぎる
どちらかになってしまうと、子どもの学習意欲は低下しやすくなります。
最近接発達領域については、次の記事で詳しく紹介しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
子どもが勉強しなくなるとき、学びの循環が止まっている
教育心理学の研究では、学習は次のような循環によって進むと考えられています。
1 課題に挑戦する
2 理解を深める
3 振り返る
4 次の課題に挑戦する
この循環がうまく回っているとき、子どもは
「できるようになった」
「もう少しやってみたい」
という感覚を持ちやすくなります。
しかし、どこかでこの循環が止まると、子どもは次第に学習から離れていきます。
たとえば
- 問題が難しすぎて理解できない
- 何をどう勉強すればいいかわからない
- 努力しても成果を感じられない
といった状況が続くと、
子どもは次第に「勉強しても意味がない」と感じるようになります。
これは、子どもが怠けているわけではありません。
学びの構造がうまく機能していない状態と言えるでしょう。
この学びの循環については、次の記事でも詳しく紹介しています。
MOANAVIの学びの循環モデルとは|子どもの理解が成長する学びの仕組みを教育心理学から解説
https://moanavi.com/10553
勉強しなくなることは、珍しいことではない
子どもが勉強しなくなる時期は、多くの家庭で起こります。
特に次のようなタイミングでは、学習行動が変化しやすくなります。
- 小学校高学年
- 中学校進学
- 学習内容が急に難しくなる時期
- 学校環境が変わるとき
こうした変化の中で、子どもは
「どう勉強すればよいのか」
「なぜ勉強するのか」
を見失ってしまうことがあります。
しかし、教育心理学の研究が示しているのは、
子どもが再び学び始めることは十分に起こりうるということです。
重要なのは、子どもを責めることではなく、
- 学びの難易度
- 学び方
- 学習環境
を丁寧に見直していくことです。
そうすることで、止まっていた学びの循環が再び動き出すことがあります。
次の章では、教育心理学の研究をもとに、
子どもが勉強しなくなる具体的な理由について整理していきます。
子どもが勉強しない理由① 勉強の難易度が合っていない
簡単すぎる勉強でも難しすぎる勉強でも子どもは勉強しなくなる
子どもが勉強しなくなる理由として、教育心理学の研究でよく指摘されているのが
学習の難易度の問題です。
多くの家庭では、子どもが勉強しないときに
「もっと努力すればできるはず」
「やる気が足りないのではないか」
と考えてしまいがちです。
しかし実際には、子どもが勉強に向かわなくなる背景には、
課題の難易度が合っていないという問題が隠れていることが少なくありません。
教育心理学者の Lev Vygotsky は、
子どもの成長には「最近接発達領域(ZPD)」という考え方があると説明しました。
これは、
一人ではまだできないが、支援があればできる課題の領域
を指します。
この領域にある課題に挑戦するとき、子どもの理解は大きく成長します。
ZPDについては、次の記事でも詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
勉強が簡単すぎると子どもは退屈になる
一見すると意外に思えるかもしれませんが、
簡単すぎる勉強も学習意欲を下げる原因になります。
すでに理解している問題を繰り返すだけでは、
- 新しい発見がない
- 挑戦する感覚がない
- 学ぶ意味を感じにくい
という状態になりやすいからです。
このような状態が続くと、子どもは次第に
「勉強はつまらないもの」
と感じるようになります。
つまり、勉強しない原因は「難しすぎること」だけではなく、
簡単すぎることでも起こるのです。
勉強が難しすぎると子どもは挑戦できなくなる
反対に、課題が難しすぎる場合も問題が起こります。
理解が追いつかない状態が続くと、子どもは
- 何をどうすればよいかわからない
- 努力しても結果が出ない
- 失敗体験ばかりになる
といった状況に置かれます。
この状態が続くと、子どもは次第に
「どうせできない」
「やっても意味がない」
と感じるようになり、
学習行動そのものが止まってしまうことがあります。
教育心理学では、こうした状態は
学習の最適負荷が失われている
と考えられます。
成長は「ちょうどよい難しさ」で起こる
子どもの理解が伸びるのは、
- 簡単すぎる課題
- 不可能に近い課題
ではありません。
少し難しいが、挑戦できる課題
に取り組むときに成長が生まれます。
このような難易度は、教育心理学では
最適負荷
と呼ばれることがあります。
この考え方については、次の記事でも詳しく紹介しています。
挑戦が成長を生む理由|子どもの理解が伸びる「ちょうどよい難しさ」とは|教育心理学から考える学びの条件
https://moanavi.com/10544
子どもが勉強しなくなる背景にある「難易度のズレ」
実際の学習現場では、子どもの学びの難易度が合わなくなる場面は少なくありません。
たとえば
- 学年の進行に合わせて内容が急に難しくなる
- 一度つまずいた単元がそのまま残る
- 学習の理解差が大きくなる
といった状況です。
このような状態では、子どもは次第に
「勉強についていけない」
「自分は勉強が苦手だ」
と感じるようになってしまうことがあります。
しかし、この問題は必ずしも子どもの能力の問題ではありません。
学びの現在地と課題の難易度が合っていない
という構造的な問題であることが多いのです。
学年ではなく現在地から学ぶことの重要性については、
次の記事でも詳しく解説しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
ここまで見てきたように、
子どもが勉強しなくなる背景には
学習の難易度の問題
が大きく関係しています。
しかし、もう一つ大きな要因があります。
それは
子ども自身が学び方を知らないこと
です。
次の章では、教育心理学の研究をもとに、
子どもが勉強しない理由② 勉強の進め方がわからない
について整理していきます。
子どもが勉強しない理由② 勉強の進め方がわからない
勉強しない子どもの多くは「学び方」がわからない
子どもが勉強しなくなる理由として、もう一つ重要なのが
勉強の進め方がわからないという問題です。
保護者の方からは、よく次のような相談を受けます。
「机には向かうのですが、何をすればいいのかわからないようです」
「教科書を開いても、すぐに手が止まってしまいます」
「やり方がわからないのか、すぐに諦めてしまいます」
こうした状況は、子どもが怠けているわけではなく、
学び方そのものをまだ身につけていない状態であることが多いのです。
教育心理学では、学び方を自分で調整する力を
自己調整学習と呼びます。
この概念を提唱した研究者の一人が、教育心理学者の Barry Zimmerman です。
自己調整学習では、学習は次のような循環で進むと考えられています。
1 学習の目標を決める
2 課題に取り組む
3 結果を振り返る
4 次の行動を調整する
この循環が回っているとき、子どもは次第に
「どうすれば理解できるのか」
「次はどの問題に挑戦すればよいのか」
を自分で考えられるようになります。
自己調整学習については、次の記事でも詳しく紹介しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
勉強しない子どもは「何から始めればよいか」が見えない
学び方が身についていない場合、子どもは勉強を始める段階でつまずきます。
たとえば
- どの問題を解けばよいのか
- どこから復習すればよいのか
- わからないときどうすればよいのか
がわからないと、子どもは次第に勉強から離れていきます。
大人から見ると「簡単なこと」に思えるかもしれませんが、
子どもにとっては
勉強の進め方そのものがわからない
という状態が起きていることがあります。
その結果、
- 手が止まる
- すぐに諦める
- 勉強を避ける
という行動につながっていくことがあります。
学び方がわからないと努力が成果につながらない
学び方がわからない状態で努力しても、
理解が深まらないことがあります。
その結果、子どもは
「頑張ってもできない」
「勉強しても意味がない」
と感じてしまうことがあります。
この経験が繰り返されると、
子どもは次第に学習行動を減らしていきます。
つまり、子どもが勉強しなくなる背景には
努力不足ではなく、学習方法の問題
があることが少なくないのです。
学び方を学ぶことが学習の基盤になる
教育心理学では、学習の中で重要なのは
単に知識を覚えることだけではなく、
学び方を学ぶこと
だと考えられています。
たとえば
- 教科書を読み直す
- ヒントを探す
- 別の問題に戻る
- 理解できたところを確認する
といった行動は、
子どもが自分で学びを進めるための大切な力になります。
こうした力が育つと、子どもは
「わからない問題に出会っても、どうすればよいか」
を考えながら学習を続けることができるようになります。
学び方を学ぶことの重要性については、
次の記事でも詳しく解説しています。
学び方を学ぶとは何か|子どもが自分で学べるようになる学習の本質
https://moanavi.com/10538
勉強しない背景には「学び方を学ぶ機会の不足」がある
学校教育では、教科の内容を教えることが中心になりやすく、
学び方そのものを学ぶ機会は意外と多くありません。
そのため、
- 勉強は教えてもらうもの
- 答えを教えてもらうもの
という感覚を持ったまま成長する子どももいます。
しかし、学び方が身についてくると、子どもは次第に
「どうすれば理解できるのか」
を自分で考えるようになります。
そしてこのとき、学びの中で重要になってくるのが
勉強する意味を感じられるかどうかです。
次の章では、教育心理学の研究をもとに、
子どもが勉強しない理由③ 勉強の意味が見えなくなる
について整理していきます。
子どもが勉強しない理由③ 勉強の意味が見えなくなる
勉強する理由が見えないと子どもは学ばなくなる
子どもが勉強しなくなる背景には、
勉強する意味が見えなくなるという問題があります。
小さい頃の子どもは、新しいことを知ること自体に興味を持ちやすく、
自然と学びに向かう姿が見られることがあります。
しかし成長するにつれて、
「なぜ勉強しなければならないのか」
「この勉強は何の役に立つのか」
といった疑問を持つようになります。
この問いに対して納得できる答えが見つからないと、
子どもは次第に勉強への意欲を失っていくことがあります。
教育心理学では、この問題を
動機づけ(モチベーション)の問題として研究してきました。
その代表的な理論の一つが、
心理学者の Edward Deci と
Richard Ryan が提唱した
**自己決定理論(Self-Determination Theory)**です。
人が主体的に学ぶための3つの心理的欲求
自己決定理論では、人が主体的に行動するためには
次の3つの心理的欲求が満たされることが重要だとされています。
1 自律性(自分で選んでいる感覚)
2 有能感(できるという実感)
3 関係性(人とのつながり)
これらが満たされているとき、人は自然と行動に向かいやすくなります。
反対に、
- 強制されていると感じる
- どうせできないと感じる
- 周囲との関係が希薄になる
といった状況では、
学習への意欲は低下しやすくなります。
自己決定理論については、次の記事でも詳しく解説しています。
自己決定理論とは何か|デシの動機づけ理論をわかりやすく解説|子どものやる気を生む3つの心理的欲求
https://moanavi.com/10526
勉強の意味が見えないと「やらされる学び」になる
勉強の意味が見えないと、子どもは次第に
「やらされている」
という感覚を持つようになります。
この状態では、
- 宿題だからやる
- テストがあるからやる
- 親に言われたからやる
という形になりやすくなります。
このような学びは短期的には成立することがありますが、
長期的に見ると学習意欲を維持することが難しくなることがあります。
教育心理学の研究では、
外からの強制だけで行われる学習は
持続しにくい
ことが指摘されています。
「わかる経験」が学びの意味をつくる
子どもが再び学びに向かうとき、
多くの場合、次のような経験がきっかけになります。
「わかった」
「できた」
「少し前より理解できた」
こうした経験は、子どもに
「学ぶことには意味がある」
という実感をもたらします。
この意味で、学習意欲は
「やる気を出すこと」
から生まれるのではなく、
理解の経験から生まれる
とも言えます。
理解とは何かというテーマについては、
次の記事でも詳しく解説しています。
理解とは何か|子どもの「わかったのにできない」が起きる理由と理解が深まる学び方
https://moanavi.com/10529
学びの意味は「環境」の中で生まれる
勉強の意味を感じられるかどうかは、
子ども個人の問題だけではありません。
- どのような課題に取り組むのか
- 周囲がどのように関わるのか
- 学びがどのように共有されるのか
といった学習環境が大きく影響します。
教育心理学者の John Bransford らの研究では、
効果的な学習環境にはいくつかの共通点があることが示されています。
たとえば、
- 学習者を中心に考えられていること
- 知識の理解を重視していること
- 学びを振り返る機会があること
- 学習共同体が形成されていること
などです。
こうした環境が整うと、子どもは
「なぜ学ぶのか」
「何のために学ぶのか」
を少しずつ実感できるようになります。
学習環境については、次の記事でも詳しく紹介しています。
学習環境が学びを変える理由|子どもの成長を支える「学びの環境」とは
https://moanavi.com/10541
ここまで、教育心理学の研究をもとに
- 勉強の難易度
- 学び方
- 勉強の意味
という3つの観点から、子どもが勉強しなくなる理由を見てきました。
しかし、これらをまとめて考えると、
ある重要なことが見えてきます。
それは
子どもが勉強しなくなる原因は、
「やる気」ではなく「学習環境」かもしれない
ということです。
次の章では、教育心理学の研究をもとに
子どもが勉強しなくなる原因は「やる気」ではなく「学習環境」
という視点から整理していきます。
子どもが勉強しなくなる原因は「やる気」ではなく「学習環境」
学習環境は子どもの学習行動を大きく左右する
ここまで見てきたように、子どもが勉強しなくなる背景には
- 学習の難易度
- 学び方
- 勉強の意味
といった要素が関係しています。
そして、これらをまとめて考えると見えてくるのが
学習環境の影響の大きさです。
子どもは、もともと学ぶ力を持っています。
新しいことを知ることに興味を持ち、理解できる喜びを感じる存在です。
しかし、学習環境が合わなくなると、
- 理解できない状態が続く
- 学び方がわからない
- 勉強する意味を感じられない
という状況が生まれやすくなります。
その結果として、子どもは次第に学習から離れていくことがあります。
このとき起きているのは
子どものやる気の問題ではなく、学びの環境の問題
であることが少なくありません。
学習環境にはいくつかの重要な要素がある
教育心理学者の John Bransford らは、
学習科学の研究をもとに、効果的な学習環境には次の4つの視点があると説明しました。
1 学習者中心
2 知識中心
3 学びの様子を丁寧に見取り次につなげる環境
4 学習共同体
これらが整うことで、子どもの学びはより深まりやすくなります。
たとえば、
学習者中心
とは、子どもの現在の理解や経験を出発点として学びを組み立てることです。
子どもの学びの現在地を見ながら課題を整えることで、
理解が積み重なりやすくなります。
知識中心
とは、単に問題を解くだけではなく、
理解を深めることを重視する学びです。
理解が積み重なることで、子どもは
「わかる」
「できる」
という実感を持ちやすくなります。
学習環境については、次の記事でも詳しく解説しています。
学習環境が学びを変える理由|子どもの成長を支える「学びの環境」とは
https://moanavi.com/10541
学びの様子を見取り、次の学びにつなげることが大切
学習環境の中で特に重要なのが、
子どもの学びの様子を丁寧に見ていくことです。
テストの点数だけでは、
- どこでつまずいているのか
- どのように理解しているのか
を十分に知ることはできません。
そのため、教育研究では
学習の途中の様子を見ながら学びを整えていくこと
が重要だとされています。
教育評価の研究者である Caroline Gipps は、
このような学びの見取りを
形成的アセスメントとして整理しました。
形成的アセスメントでは、
- 子どもの理解の状態
- 学習行動
- つまずき
などを見ながら、次の課題を整えていきます。
形成的アセスメントについては、次の記事でも詳しく解説しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
学びは人との関係の中で育つ
もう一つ重要な視点が、
学習共同体です。
子どもは、一人で勉強しているように見えても、
- 先生
- 友達
- 家庭
といった関係の中で学びを進めています。
誰かと一緒に考えたり、
学びを共有したりする経験は、
理解を深める大切な機会になります。
このような関係の中で学ぶ環境が整うと、
子どもは学びの意味を感じやすくなります。
学習環境のデザインについては、次の記事でも紹介しています。
学習環境のデザインとは何か|ブランスフォードの学習環境モデルをわかりやすく解説
https://moanavi.com/10514
ここまで見てきたように、
子どもが勉強しなくなる背景には
- 学習の難易度
- 学び方
- 動機づけ
- 学習環境
といった複数の要素が関係しています。
しかし、これらが整ってくると、
子どもの学びは少しずつ変化していきます。
次の章では、
子どもが再び学び始めるときに起きていること
について整理していきます。
勉強しない子どもが再び学び始めるときに起きていること
小さな「わかった」が学びを動かし始める
子どもが勉強しなくなると、保護者は
「どうすればやる気を出してくれるのだろう」
と考えることがあります。
しかし、教育心理学の研究を見ていくと、
学習意欲は「やる気を出させること」から生まれるものではなく、
理解の経験から生まれることが多いとされています。
子どもが再び学びに向かい始めるとき、
そのきっかけになることが多いのは、
「少しわかった」
「前より理解できた」
という小さな変化です。
こうした経験が積み重なると、子どもは次第に
「もう少しやってみよう」
と感じるようになります。
この意味で、学習意欲は
理解の積み重ねの中で育つものとも言えるでしょう。
理解というテーマについては、次の記事でも詳しく解説しています。
理解とは何か|子どもの「わかったのにできない」が起きる理由と理解が深まる学び方
https://moanavi.com/10529
学びの循環が動き始めると子どもは自分で学び始める
子どもが再び学びに向かうとき、
多くの場合、学びの中で次のような循環が生まれています。
1 課題に挑戦する
2 理解が少し深まる
3 振り返る
4 次の課題に挑戦する
この循環が回り始めると、子どもは
「できるようになってきた」
「もう少し進んでみたい」
という感覚を持ちやすくなります。
その結果、子どもは
- 次にやることを考える
- わからない問題を調べる
- もう一度挑戦する
といった行動を少しずつ取るようになります。
つまり、
学びの循環が動き出すと、子どもは自分で学び始める
ようになるのです。
この循環については、次の記事でも詳しく紹介しています。
MOANAVIの学びの循環モデルとは|子どもの理解が成長する学びの仕組みを教育心理学から解説
https://moanavi.com/10553
子どもの学びは「現在地」から動き始める
子どもが再び学び始めるとき、重要になるのが
今どこにいるのかを丁寧に見ることです。
子どもは一人ひとり、
- 理解していること
- つまずいているところ
- 学び方
が異なります。
そのため、学びを進めるときには
「学年」や「平均」ではなく、
子どもの現在地を出発点にすることが大切になります。
現在地から学ぶことの重要性については、
次の記事でも詳しく紹介しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
学びの経験は少しずつ自信を育てる
子どもが理解の経験を積み重ねていくと、
次第に次のような変化が見られるようになります。
「前よりできるようになった」
「少しわかるようになってきた」
この感覚は、
子どもにとって大きな意味を持ちます。
なぜなら、こうした経験は
自分は学べる存在だ
という感覚につながるからです。
このような感覚が育つと、子どもは
- 新しい課題に挑戦する
- 失敗してもやり直す
- 学びを続ける
といった行動を少しずつ取るようになります。
そして、このような経験が積み重なることで、
子どもの学びは再び動き始めることがあります。
ここまで見てきたように、
子どもが勉強しなくなる理由は
- やる気の問題
- 性格の問題
ではなく、
- 学習の難易度
- 学び方
- 学習環境
など、学びの構造の問題として考えることができます。
次の章では、
MOANAVIが大切にしている学びの考え方
について紹介します。
MOANAVIが大切にしている学びの考え方
学びの「現在地」から学習を始める
ここまで見てきたように、子どもが勉強しなくなる背景には
- 学習の難易度
- 学び方
- 勉強の意味
- 学習環境
といったさまざまな要素が関係しています。
そのため、MOANAVIでは
「子どもはなぜ勉強しないのか」
という問いを、単純に「やる気の問題」として考えるのではなく、
学びの現在地から丁寧に見ていくことを大切にしています。
子どもは一人ひとり、
- 理解していること
- つまずいているところ
- 学び方
が異なります。
そのため、学びを進めるときには
「学年」や「平均」
ではなく、
その子の現在地
を出発点にすることが重要になります。
現在地から学ぶことの大切さについては、
次の記事でも詳しく紹介しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
学習行動を見取り、次の学びを整える
MOANAVIでは、子どもの学びを考えるとき、
単にテストの結果を見るのではなく、
学習行動を丁寧に見ていきます。
たとえば、
- どの課題を選んでいるか
- どこで手が止まるのか
- どのようにやり直しているか
といった行動には、子どもの理解の状態が表れます。
こうした学びの様子を見取りながら、
- 次の課題の難易度を調整する
- 学び方を一緒に考える
- 理解を深める機会をつくる
といった形で、次の学びを整えていきます。
学習行動を見ることの重要性については、
次の記事でも詳しく解説しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
挑戦の経験が子どもの理解を育てる
子どもの理解が伸びるのは、
- 簡単すぎる課題
- 不可能に近い課題
ではありません。
少し難しいが挑戦できる課題
に取り組むとき、子どもの理解は大きく成長します。
MOANAVIでは、このような課題を
最適な挑戦として大切にしています。
挑戦と成長の関係については、
次の記事でも詳しく紹介しています。
挑戦が成長を生む理由|子どもの理解が伸びる「ちょうどよい難しさ」とは|教育心理学から考える学びの条件
https://moanavi.com/10544
学びの循環が子どもの成長を支える
MOANAVIでは、子どもの学びを次のような循環として捉えています。
自分で課題を選ぶ
↓
挑戦する
↓
理解を深める
↓
振り返る
↓
次の課題に挑戦する
この循環が動き始めると、子どもは少しずつ
「自分で学ぶ」
という経験を積み重ねていきます。
そして、この経験が積み重なることで、
子どもは次第に
- 学び方を身につける
- 理解を深める
- 新しいことに挑戦する
ようになっていきます。
このような学びの循環については、
次の記事でも詳しく解説しています。
MOANAVIの学びの循環モデルとは|子どもの理解が成長する学びの仕組みを教育心理学から解説
https://moanavi.com/10553
横浜で子どもの学びを考える保護者へ
子どもが勉強しなくなると、
保護者は大きな不安を感じることがあります。
しかし、教育心理学の研究を見ていくと、
子どもの学びは
- 学習環境
- 課題の難易度
- 学び方
といった要素によって大きく変わることがわかっています。
もし、
「子どもが勉強しなくなってしまった」
「学び方がわからなくなっているように見える」
と感じることがあれば、
学びの環境を見直すことも一つの選択肢かもしれません。
横浜で子どもの学びについて考えている方は、
モアナビ協創学園の取り組みも参考にしてみてください。
モアナビ協創学園
https://moanavi.com/school
まとめ|子どもが勉強しない理由は「やる気」ではなく「学びの構造」
子どもが勉強しなくなると、多くの保護者は不安を感じます。
「どうして勉強しなくなったのだろう」
「やる気がなくなってしまったのではないか」
「このままで大丈夫なのだろうか」
しかし、教育心理学の研究を見ていくと、子どもが勉強しなくなる理由は、単純に「やる気の問題」として説明できるものではないことがわかってきます。
この記事では、教育心理学の視点から、子どもが勉強しなくなる背景を整理してきました。
子どもが勉強しなくなるとき、そこには次のような要因が重なっていることがあります。
- 勉強の難易度が合っていない
- 勉強の進め方がわからない
- 勉強の意味が見えなくなる
- 学習環境が合っていない
これらの要因が重なると、子どもの学びの中で
「挑戦する → 理解する → 振り返る → 次に挑戦する」
という学びの循環が止まってしまうことがあります。
この循環が止まると、子どもは次第に
「どうせできない」
「勉強しても意味がない」
と感じるようになり、学習行動そのものが減っていくことがあります。
しかし、教育心理学の研究が示しているのは、子どもの学びは環境によって変わる可能性があるということです。
学習の難易度が調整され、
学び方を知り、
理解の経験が積み重なると、
子どもは再び学びに向かうことがあります。
このとき重要なのは、子どもを責めることではなく、
- 学びの現在地を見ること
- 学習環境を整えること
- 小さな理解を積み重ねること
です。
子どもは一人ひとり違う理解の状態を持っています。
そのため、「学年」や「平均」ではなく、その子の現在地から学びを整えることが大切になります。
そして、小さな理解の経験が積み重なることで、子どもの学びは少しずつ動き始めます。
「前よりわかるようになった」
「もう少しやってみたい」
こうした感覚が生まれるとき、子どもの中で学びの循環が再び動き始めることがあります。
MOANAVIでは、こうした学びの循環を大切にしながら、子ども一人ひとりの学びの現在地を見取り、次の学びを丁寧に整えることを大切にしています。
横浜で子どもの学びについて考えている方は、モアナビ協創学園の取り組みも参考にしてみてください。
モアナビ協創学園
https://moanavi.com/school
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この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。



