
子どもが成長する学びには、どのような条件があるのでしょうか。
教育心理学の研究では、子どもの理解が大きく伸びるのは「少し難しい課題」に挑戦したときだと考えられています。簡単すぎる課題では理解は広がらず、難しすぎる課題では学びが止まってしまいます。本記事では、ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)、デシの自己決定理論、ジマーマンの自己調整学習などの研究をもとに、なぜ挑戦が子どもの成長を生むのかをわかりやすく解説します。子どもが伸びる学びの条件と、挑戦を支える学習環境について整理します。
挑戦がないと子どもは成長しないのか
子どもが成長する学びとは、どのようなものでしょうか。
多くの保護者の方が思い浮かべるのは、
「たくさん勉強すること」や「できる問題を繰り返すこと」かもしれません。
もちろん、練習や反復は学びにとって大切です。
しかし教育学の研究では、それだけでは子どもの理解は大きく成長しないことがわかっています。
子どもが本当に成長するときには、
必ずそこに**「少し難しい挑戦」**が存在します。
できることだけを繰り返していると、
安心して取り組むことはできますが、理解はほとんど広がりません。
反対に、難しすぎる課題に出会うと、
子どもは「どうせできない」と感じ、学びから離れてしまうことがあります。
つまり、学びには次の三つの状態があります。
・すでにできること
・まだできないこと
・頑張ればできること
教育学では、この三つ目の領域がとても重要だと考えられています。
この領域こそが、子どもの理解が大きく伸びる場所だからです。
「できる問題」ばかりでは学びは広がらない
たとえば算数の学習を考えてみましょう。
すでに解き方を完全に理解している問題を繰り返すと、
計算のスピードは上がるかもしれません。
しかし、理解そのものはほとんど変わりません。
なぜなら、その問題はすでに
**「一人でできる領域」**に入っているからです。
この領域は学びの中では大切な場所ですが、
理解が大きく広がる場所ではありません。
理解が広がるのは、
「少し考えないと解けない問題」に出会ったときです。
新しい考え方を使ったり、
教科書を読み直したり、
友達と話しながら考えたりする中で、
理解は更新されていきます。
このような学びの姿は、
MOANAVIの教室でもよく見られます。
子どもたちは、すぐに答えを求めるのではなく、
教科書を読み直したり、これまでのノートを見返したりしながら、
理解をつくり直していきます。
このような学びの様子については、次の記事でも詳しく解説しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
学びを深く理解するためには、
テストの点数だけではなく、
子どもがどのように学びに向かっているのかを見ることが大切です。
難しすぎる課題も学びを止めてしまう
ただし、難しければ良いというわけではありません。
理解から遠すぎる課題に出会うと、
子どもはどこから考えればよいのかわからなくなります。
このとき多くの子どもは
「自分には無理だ」
「やっても意味がない」
と感じてしまいます。
学びは、挑戦と同時に
安心感も必要です。
挑戦の難易度が高すぎると、
学びは不安や挫折の経験になってしまうことがあります。
つまり学びには
・簡単すぎる課題
・難しすぎる課題
のどちらでもない
ちょうどよい難しさが必要になります。
成長が生まれるのは「ちょうどよい難しさ」
教育心理学者の
ヴィゴツキー(Lev Vygotsky)は、
子どもが最も成長する領域を
最近接発達領域(ZPD)
と呼びました。
これは、
支援があれば到達できる課題の領域
のことです。
一人ではまだ難しいけれど、
ヒントや対話があれば理解できる。
この領域での挑戦こそが、
子どもの理解を大きく成長させます。
最近接発達領域については、
こちらの記事で詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
教育とは、
単に知識を教えることではありません。
子どもが挑戦できる課題を見つけ、
その挑戦を支える環境を整えることです。
つまり教育とは
「最適な挑戦をデザインすること」
とも言えるのです。
次の章では
「子どもが成長する課題の条件|最近接発達領域(ZPD)」
について、
もう少し詳しく解説していきます。
子どもが成長する課題の条件|最近接発達領域(ZPD)
子どもの学びを見ていると、
同じ問題でも、すぐに解けるものと、少し時間がかかるものがあります。
そして、ときには
「少しヒントがあればできる」
という問題に出会うことがあります。
教育心理学者のヴィゴツキーは、
このような課題の領域に注目しました。
子どもが最も成長するのは、
**「支援があればできる課題」**に挑戦したときだと考えたのです。
この領域は
最近接発達領域(ZPD:Zone of Proximal Development)
と呼ばれています。
成長が生まれるのは「支援があればできる課題」
ヴィゴツキーは、子どもの能力を次の三つの領域に分けて考えました。
① 一人でできること
すでに理解している領域です。
練習や定着の場としては大切ですが、理解は大きくは広がりません。
② 支援があればできること
ヒントや対話、教材の助けがあれば理解できる領域です。
ここでの挑戦が、子どもの理解を大きく成長させます。
③ まだできないこと
理解から遠く、どこから考えればよいのかわからない領域です。
ここに挑戦すると、学びは挫折になりやすくなります。
つまり、子どもが成長するのは
② 支援があればできる領域
なのです。
この領域については、次の記事で詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
教育とは、
この領域を見つける営みでもあります。
簡単すぎる課題と難しすぎる課題
学校の学びでは、
多くの場合「学年」で学習内容が決まります。
しかし実際の理解は、
学年と必ずしも一致するわけではありません。
ある子どもにとっては簡単すぎる内容でも、
別の子どもにとっては難しすぎることがあります。
簡単すぎる課題では
・退屈
・集中の低下
・学習意欲の低下
が起こりやすくなります。
一方で、難しすぎる課題では
・混乱
・諦め
・自己効力感の低下
が起こります。
つまり、
難易度が合わない学びは、どちらも成長を止めてしまうのです。
学年と理解の関係については、こちらの記事でも解説しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
子どもの学びを考えるときには、
学年ではなく
「今どこで学んでいるのか」
という現在地を見ることが大切になります。
教育とは「最適負荷のデザイン」
子どもが成長するのは、
適切な難易度の挑戦に出会ったときです。
簡単すぎず、難しすぎない。
少し頑張れば届く難しさ。
このような課題は、
子どもに次のような行動を生みます。
・教科書を読み直す
・これまでのノートを見返す
・友達と話しながら考える
・別の解き方を試す
こうした学習行動の中で、
理解は少しずつ更新されていきます。
MOANAVIでは、
このような学びの過程を大切にしています。
テストの点数だけではなく、
子どもがどのように課題に向き合っているのかを丁寧に見取り、
次の課題の難易度を整えていきます。
このような学びの見取りについては、
次の記事で詳しく紹介しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
教育とは、
単に知識を教えることではありません。
子どもが挑戦できる課題を見つけ、
その挑戦を支える環境を整えることです。
つまり教育とは
「最適な挑戦をデザインすること」
とも言えるのです。
次の章では
「挑戦がやる気を生む理由|自己決定理論」
について解説します。
子どもが挑戦するとき、
なぜ学習意欲が高まるのでしょうか。
挑戦がやる気を生む理由|自己決定理論
子どもが学びに向かうとき、
そこには必ず「やる気」が関わっています。
しかし、このやる気は
単に「頑張ろう」という気持ちだけで生まれるものではありません。
教育心理学では、
人が自発的に行動するときには、
いくつかの心理的な条件があると考えられています。
その代表的な理論が、
心理学者エドワード・デシ(Edward Deci)と
リチャード・ライアン(Richard Ryan)が提唱した
自己決定理論(Self-Determination Theory)
です。
この理論では、
人が自発的に行動するときには、
次の三つの心理的欲求が満たされることが重要だとされています。
・自律性(自分で選んでいる感覚)
・有能感(できるようになっている感覚)
・関係性(人とつながっている感覚)
この三つが満たされるとき、
人は外から強制されるのではなく、
自分の意志で学びに向かうようになると考えられています。
この理論については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
自己決定理論とは何か|デシの動機づけ理論をわかりやすく解説|子どものやる気を生む3つの心理的欲求
https://moanavi.com/10526
子どもは成功体験だけで伸びるわけではない
「子どもには成功体験が大切」
という言葉をよく耳にします。
もちろん、できるようになった経験は、
子どもに自信を与えます。
しかし、成功体験は
簡単な課題だけで生まれるわけではありません。
本当の意味での成功体験は、
「少し難しいことに挑戦し、できるようになる」
という経験の中で生まれます。
もし子どもが
・最初から簡単にできる課題
・失敗の可能性がない課題
だけに取り組んでいると、
そこには達成感はあっても
成長の実感は生まれにくくなります。
成長の実感とは、
「前はできなかったことができるようになった」
という変化を感じることです。
そしてその変化は、
挑戦を通して初めて生まれるのです。
有能感は挑戦の中で育つ
自己決定理論では、
人のやる気を支える重要な要素として
有能感(competence)
が挙げられています。
有能感とは、
「自分はできるようになっている」
という感覚です。
この感覚は、
次のような経験の中で育ちます。
・少し難しい問題に取り組む
・試行錯誤する
・理解が深まる
・できるようになる
このプロセスを通して、
「自分は学ぶことができる」
という感覚が育っていきます。
反対に、挑戦の機会が少ない学びでは、
この感覚が育ちにくくなります。
なぜなら、
成長の変化を感じる機会が少ないからです。
挑戦が内発的動機づけを育てる
自己決定理論では、
外から与えられた報酬ではなく、
学ぶことそのものに興味を持つ状態
を
内発的動機づけ
と呼びます。
この内発的動機づけは、
・自分で選び
・挑戦し
・理解が深まり
・できるようになる
という経験の中で育っていきます。
つまり、
挑戦 → 成長 → 有能感 → 学習意欲
という循環が生まれるのです。
この意味で、
挑戦は単に難しいことをする行為ではありません。
挑戦とは、
子どもが学ぶ力そのものを育てる経験
なのです。
次の章では
「挑戦は『学び方』を育てる|自己調整学習」
について解説します。
挑戦は、単に理解を深めるだけではありません。
子どもが自分で学べるようになる力も育てていきます。
挑戦は「学び方」を育てる|自己調整学習
子どもが成長する学びには、もう一つ重要な特徴があります。
それは、学び方そのものが育っていくということです。
最初は大人の助けが必要だった子どもも、
少しずつ
・自分で考える
・自分で調べる
・自分でやり直す
といった行動ができるようになります。
このように、子どもが自分で学びを進めていく力は、
教育心理学では
自己調整学習(Self-Regulated Learning)
と呼ばれています。
この理論は、心理学者バリー・ジマーマン(Barry Zimmerman)によって体系化されました。
自己調整学習では、学びは次のような循環で進むと考えられています。
目標を立てる
↓
挑戦する
↓
結果を振り返る
↓
やり方を調整する
↓
次の挑戦を選ぶ
この循環が繰り返されることで、
子どもは少しずつ
「自分で学ぶ力」
を身につけていきます。
この理論については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
学びは挑戦と振り返りの循環で進む
自己調整学習では、
挑戦そのものが重要な意味を持ちます。
なぜなら、挑戦がなければ
振り返りも、調整も起こらないからです。
たとえば、
・なぜこの問題は解けなかったのか
・どこで理解が止まったのか
・どの方法なら解けそうか
といったことを考えるのは、
挑戦した経験があるからです。
もし簡単な課題だけに取り組んでいたら、
このような振り返りはほとんど生まれません。
つまり挑戦とは、
学びを振り返る材料を生み出す経験
でもあるのです。
挑戦が「学び方」を学ぶ経験になる
挑戦の経験を重ねると、
子どもは少しずつ
「どうすれば理解できるのか」
を学んでいきます。
たとえば、
・教科書を読み直す
・別の例題を見る
・友達と考えを共有する
・別の解き方を試す
といった行動です。
これらはすべて、
学び方を調整する行動です。
MOANAVIでは、このような学習行動をとても大切にしています。
テストの結果だけを見るのではなく、
・どの課題を選んだのか
・どこで止まったのか
・どのようにやり直したのか
といった学びの過程を丁寧に見取りながら、
次の学びを整えていきます。
このような視点については、こちらの記事でも紹介しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
失敗は学びの材料になる
挑戦には、失敗がつきものです。
しかし教育心理学では、
失敗は学びの中で重要な意味を持つと考えられています。
なぜなら、失敗は
・理解のどこが曖昧なのか
・どこで考え方が違っていたのか
を教えてくれるからです。
このような情報をもとに、
・やり方を変える
・理解を整理する
・もう一度挑戦する
という学びが生まれます。
つまり、失敗は
理解を更新するための手がかり
なのです。
この意味で、挑戦とは
単に難しい問題に取り組むことではありません。
挑戦とは、
子どもが自分で学べるようになるための経験
でもあります。
次の章では
「挑戦の過程を見ることが学びを変える」
について解説します。
テストの点数だけでは見えない、
子どもの学びの本当の姿について整理していきます。
挑戦の過程を見ることが学びを変える
子どもの学びは、
テストの点数だけで見えるものではありません。
もちろんテストは、
理解の状態を確認する一つの手段になります。
しかし、点数だけでは
・どのように考えたのか
・どこで理解が止まったのか
・どのようにやり直したのか
といった、学びの過程は見えてきません。
教育学では、
このような学びの過程を丁寧に見取りながら、
次の学びにつなげていく考え方を
形成的アセスメント
と呼びます。
形成的アセスメントについては、
こちらの記事で詳しく解説しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
テストだけでは学びは見えない
テストは、ある時点での理解の結果を示します。
しかし学びは、
その結果に至るまでの過程の中で生まれています。
たとえば同じ問題を間違えたとしても、
・途中までは正しく考えていた
・式の意味は理解していた
・計算のミスだけだった
という場合もあれば、
・考え方そのものが違っていた
・理解が途中で止まっていた
・そもそも問題の意味がわかっていなかった
という場合もあります。
テストの点数だけを見ると、
これらはすべて「不正解」として同じ扱いになります。
しかし学びを支えるためには、
その違いを丁寧に見ていくことが大切です。
学習行動を見ることが大切
MOANAVIでは、
子どもの学びを考えるときに
学習行動
をとても大切にしています。
学習行動とは、
・どの課題を選んだのか
・どこで止まったのか
・どのように考えたのか
・どのようにやり直したのか
といった、学びの過程のことです。
これらの行動は、
子どもの理解の状態をよく表しています。
たとえば、
・教科書を読み直している
・例題を見返している
・別の方法を試している
という行動は、
理解を更新しようとする姿です。
一方で、
・すぐに答えを聞こうとする
・考える前に諦めてしまう
という行動は、
学び方がまだ育っていないサインかもしれません。
このような視点については、
こちらの記事でも詳しく紹介しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
挑戦の過程が次の学びをつくる
挑戦は、
結果よりも過程の中に価値があります。
子どもが課題に取り組むとき、
・どこで考えが止まったのか
・どのようにやり直したのか
・どのようなヒントが役立ったのか
といったことを丁寧に見ていくことで、
次の学びの方向が見えてきます。
たとえば、
・次はどの課題に挑戦するのか
・どの部分をもう一度整理するのか
・どのようなヒントが必要なのか
といったことが見えてきます。
このように、
学びは
挑戦 → 見取り → 次の挑戦
という循環の中で進んでいきます。
教育とは、
この循環を支える営みとも言えるでしょう。
次の章では
「学年ではなく『学びの現在地』で挑戦を選ぶ」
について整理します。
なぜ子どもの学びは
学年だけではうまくいかないのでしょうか。
学年ではなく「学びの現在地」で挑戦を選ぶ
学校の学びでは、
多くの場合「学年」によって学習内容が決まります。
小学校○年生ならこの単元、
中学校○年生ならこの内容、という形です。
これは教育制度としては合理的な仕組みですが、
子どもの理解という視点から見ると、
必ずしもすべての子どもに合うとは限りません。
なぜなら、子どもの理解は
学年と同じスピードで進むわけではない
からです。
同じ学年の子どもでも、
・すでに理解している内容
・少し考えれば理解できる内容
・まだ難しい内容
は一人ひとり違います。
つまり、子どもの学びには
それぞれの「現在地」
があるのです。
学年だけで学ぶと挑戦の難易度が合わなくなる
学年だけを基準に学習内容を決めてしまうと、
次のようなことが起こりやすくなります。
ある子どもにとっては
・簡単すぎる
・退屈
・集中できない
という状態になります。
一方で別の子どもにとっては
・難しすぎる
・理解が追いつかない
・勉強が嫌になる
という状態になることがあります。
どちらの場合も、
子どもは適切な挑戦の機会を失ってしまいます。
このような問題については、
こちらの記事でも詳しく解説しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
子どもが成長するためには、
「今どこで学んでいるのか」
を丁寧に見ていくことが大切です。
子どもの理解に合わせて学びを調整する
MOANAVIでは、
子どもの学びを考えるときに
学びの現在地
という視点を大切にしています。
これは、学年やテストの点数だけではなく、
・どこまで理解しているのか
・どこで考えが止まるのか
・どのような学習行動をしているのか
といった様子を見取りながら、
次の挑戦を整えていく考え方です。
このような学びの見取りは、
教育心理学で
形成的アセスメント
と呼ばれる考え方にもつながっています。
形成的アセスメントについては、
こちらの記事でも紹介しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
子どもが本当に成長する学びは、
・今の理解に合った挑戦があり
・その挑戦を支える環境があり
・学びを振り返る機会がある
という環境の中で生まれます。
つまり、学びは
挑戦の難易度が合ったときに動き出す
のです。
次の章では
「MOANAVIの学び|挑戦をデザインする学習環境」
について紹介します。
これまで整理してきた
・ZPD
・自己決定理論
・自己調整学習
・形成的アセスメント
が、どのように学びの場で組み合わされているのかを説明します。
MOANAVIの学び|挑戦をデザインする学習環境
ここまで見てきたように、
子どもの成長には
・適切な挑戦
・理解に合った難易度
・学びの振り返り
が大切になります。
しかし、これらは子どもの努力だけで生まれるものではありません。
子どもが挑戦できるかどうかは、
学びの環境によって大きく変わるからです。
教育研究では、
このような学びの条件を整えることを
学習環境のデザイン
と呼びます。
この考え方は、教育学者ジョン・ブランスフォードらによる
学習環境研究の中で体系的に整理されました。
詳しくは、こちらの記事でも紹介しています。
学習環境のデザインとは何か|ブランスフォードの学習環境モデルをわかりやすく解説
https://moanavi.com/10514
学びは、
単に教材や授業だけで決まるものではありません。
子どもが安心して挑戦できる環境があることで、
学びの循環が生まれていきます。
子どもが自分で挑戦を選ぶ仕組み
MOANAVIでは、
子どもが自分の理解に合わせて学びを進められるよう、
学びの環境を丁寧に整えています。
子どもたちは
・自分の理解に合った課題を選び
・挑戦し
・つまずきを整理し
・もう一度挑戦する
という学びを繰り返していきます。
教師は答えをすぐに示すのではなく、
・どこで考えが止まっているのか
・どのヒントが必要なのか
・次の課題はどの難易度がよいのか
を見ながら、学びを支えていきます。
このような環境の中で、
子どもたちは少しずつ
自分で学ぶ力
を育てていきます。
このような学びの場として、
横浜で活動しているのが
モアナビ協創学園(https://moanavi.com/school)
です。
モアナビ協創学園では、
学年ではなく「学びの現在地」を大切にしながら、
子どもが安心して挑戦できる環境を整えています。
挑戦を支える学びの循環
MOANAVIの学びでは、
次のような循環を大切にしています。
自分で課題を選ぶ
↓
挑戦する
↓
つまずきを整理する
↓
理解を更新する
↓
次の挑戦を選ぶ
この循環は、教育心理学の研究とも深く関係しています。
・ヴィゴツキーの最近接発達領域
・デシの自己決定理論
・ジマーマンの自己調整学習
・ギップスの形成的アセスメント
これらの理論は、それぞれ独立したものではなく、
子どもの学びの中で一つの循環としてつながっています。
つまり、学びとは
挑戦と理解が連続的に更新されていく過程
なのです。
まとめ
子どもの成長は、
単にたくさん勉強することで生まれるわけではありません。
成長を生み出す学びには、
いくつかの条件があります。
まず大切なのは、
適切な挑戦があることです。
簡単すぎる課題では理解は広がらず、
難しすぎる課題では学びが止まってしまいます。
子どもが最も成長するのは、
少し頑張れば届く課題
に挑戦したときです。
教育心理学では、この領域を
最近接発達領域(ZPD)
と呼びます。
この領域での挑戦は、
・理解を深め
・やる気を育て
・学び方を育てる
経験になります。
そして、その挑戦を支えるためには、
・子どもの理解の現在地を見取り
・適切な難易度の課題を整え
・学びを振り返る機会をつくる
という学習環境が必要になります。
学びとは、
知識を受け取る行為ではありません。
挑戦と気づきを通して、
理解が少しずつ更新されていく過程です。
子どもが安心して挑戦できる環境の中で、
その学びの循環は少しずつ育っていきます。
📚学びの本棚から、次の1冊を
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→ MOANAVI Library をひらく
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。



