
子どもが勉強しなくなるとき、
多くの場合「やる気」が原因だと考えられます。
しかし教育心理学では、
学習意欲は「やる気」だけで説明できるものではないとされています。
簡単すぎる勉強は退屈につながり、
難しすぎる勉強は挫折につながります。
子どもの成長が生まれるのは、
少し努力すればできる課題に出会ったときです。
この記事では、
ヴィゴツキーの**最近接発達領域(ZPD)**の理論をもとに、
・子どもの理解がどのように成長するのか
・「ちょうどよい挑戦」がなぜ大切なのか
・MOANAVIのスタディポイント制度がどのように学びを支えているのか
を整理していきます。
子どもが学び続けるために必要な環境について、
教育心理学の視点から考えていきます。
子どもが勉強しなくなる理由は「やる気」ではない
子どもが勉強しなくなるとき、
多くの場面で「やる気」という言葉が使われます。
「やる気がない」
「やる気を出させたい」
「どうしたらやる気が出るのか」
しかし、教育心理学の視点から見ると、
子どもが勉強しなくなる原因は、
必ずしも「やる気」ではありません。
むしろ多くの場合、
学びの難易度と子どもの理解の状態が合っていないことが原因です。
子どもが学びに向かうかどうかは、
その課題が
・簡単すぎるのか
・難しすぎるのか
・ちょうどよい挑戦なのか
によって大きく変わります。
この点は教育心理学でも広く知られており、
子どもの学習意欲は「難易度」と強く関係しています。
詳しくは以下の記事でも解説しています。
挑戦が成長を生む理由|子どもの理解が伸びる「ちょうどよい難しさ」とは|教育心理学から考える学びの条件
https://moanavi.com/10544
学びにとって重要なのは、
「やる気を出させること」ではありません。
子どもが挑戦できる難易度を見つけることです。
やる気がないように見える子ども
保護者の方からよく聞く言葉に、
次のようなものがあります。
「うちの子は勉強のやる気がありません」
「勉強が嫌いで、すぐにやめてしまいます」
しかし、実際の子どもの様子を丁寧に見ていくと、
本当に「やる気がない」と言えるケースは
それほど多くありません。
例えば、次のようなことはないでしょうか。
・問題が難しくて手が止まる
・わからない状態が続く
・すぐにあきらめてしまう
・やり方がわからない
このような状態は、
やる気の問題ではなく、
課題の難易度と理解の状態が合っていない可能性があります。
簡単すぎる勉強は退屈になる
反対に、
簡単すぎる勉強も問題になります。
すでにできる問題ばかり続くと、
子どもは退屈を感じます。
挑戦がないため、
学びに集中する理由がなくなってしまうのです。
大人でも同じです。
簡単すぎる仕事を続けていると、
集中することは難しくなります。
子どもの学びも同じです。
成長が生まれるためには、
少しだけ難しい挑戦が必要です。
難しすぎる勉強は挫折になる
逆に、
難しすぎる課題はどうなるでしょうか。
理解できない状態が続くと、
子どもは次のように感じます。
「どうせできない」
「やっても無駄」
「自分は勉強が苦手だ」
こうした経験が積み重なると、
子どもは学びから距離を取るようになります。
これは怠けているわけではなく、
心理的な防衛反応です。
人は誰でも、
失敗が続く状況からは離れようとします。
子どもの学びに必要なのは「ちょうどよい挑戦」
では、子どもが学び続けるためには
何が必要なのでしょうか。
教育心理学では、
次のような条件が重要だとされています。
少し努力すればできる課題
この状態のとき、
子どもは挑戦を続けることができます。
・難しすぎない
・簡単すぎない
・少し頑張ればできる
このような難易度のとき、
子どもは集中し、
理解を深めていきます。
この学びの状態を説明する理論として、
教育心理学では
「最近接発達領域(ZPD)」
という考え方が知られています。
次の章では、
このZPDという理論について
もう少し詳しく見ていきます。
最近接発達領域(ZPD)とは何か
子どもの学びを考えるとき、
教育心理学で非常に重要な概念があります。
それが 「最近接発達領域(ZPD)」 です。
この理論は、ロシアの心理学者
Lev Vygotsky
(レフ・ヴィゴツキー)によって提唱されました。
ZPDは、子どもの学びがどのように成長していくのかを説明する、
教育学の中でも特に重要な理論の一つとされています。
詳しい解説は以下の記事でも紹介しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
ここでは、ZPDの基本的な考え方を整理していきます。
ヴィゴツキーが示した学びの領域
ヴィゴツキーは、
子どもの能力を次の3つの領域に分けて考えました。
① 一人でできること
すでに理解しており、
支援がなくても解ける課題です。
これは「現在の発達水準」と呼ばれます。
② 支援があればできること
ヒントをもらったり、
考え方を教えてもらったりすれば解ける課題です。
この領域が
最近接発達領域(ZPD)
と呼ばれます。
③ まだできないこと
今の理解では難しく、
支援があっても到達できない課題です。
このように、
子どもの能力は「できる/できない」という
単純な二分ではありません。
段階的な領域として存在しているのです。
一人でできることと、支援があればできること
ZPDの重要なポイントは、
学びは一人で完結するものではない
という考え方です。
子どもは、
・大人の助言
・友達との対話
・ヒント
・考え方の共有
などを通して、
新しい理解に到達します。
つまり学びは
社会的な活動の中で発達する
と考えられています。
この考え方は、現在の教育研究でも
非常に重要な位置を占めています。
例えば、
・協働学習
・対話型授業
・探究学習
などの教育方法も、
この考え方の影響を受けています。
成長が生まれるのはZPDである
ヴィゴツキーが強調したのは、
成長はZPDで起こる
という点です。
すでにできることだけを繰り返しても、
成長はあまり起こりません。
反対に、
難しすぎる課題に取り組んでも、
理解に結びつかないことが多くなります。
成長が起きるのは、
少し努力すれば到達できる課題
に取り組んだときです。
この領域こそが
最近接発達領域です。
子どもはこの領域で挑戦を繰り返しながら、
できなかったことを
少しずつ「できること」に変えていきます。
教育とは「最適負荷」を見つけること
この視点から考えると、
教育の役割は少し違って見えてきます。
教育とは、
知識を教えること
だけではありません。
むしろ重要なのは、
子どもにとって最適な難易度を見つけること
です。
・簡単すぎない
・難しすぎない
・少し頑張ればできる
この「ちょうどよい挑戦」を
見つけ続けることが、
子どもの学びを支える
重要な役割になります。
MOANAVIでも、
このZPDの考え方を
学びの土台として大切にしています。
子どもを
「学年」や「テストの点数」で
一律に捉えるのではなく、
その子が今どこで学んでいるのか
という
学びの現在地を丁寧に見ていきます。
そして、
・どの課題を選ぶか
・どのように挑戦するか
・どこで止まるか
・どうやり直すか
といった
学習行動
を見取りながら、
次の挑戦を整えていきます。
次の章では、
このZPDの考え方と深く関係する
「挑戦の履歴」
という視点について考えていきます。
子どもの理解は、
一度の成功で完成するものではありません。
挑戦と調整の積み重ね
の中で育っていくのです。
子どもの理解は「挑戦の履歴」で育つ
勉強というと、
「できた」「できなかった」という
結果で捉えられることが多くあります。
テストの点数や正答率は、
確かに一つの情報ではあります。
しかし教育心理学では、
学びを結果だけで捉えることは
あまり適切ではないと考えられています。
なぜなら、
理解は一度で完成するものではないからです。
子どもの理解は、
試行錯誤を繰り返す中で
少しずつ形づくられていきます。
理解は一度で完成するものではない
子どもが問題を解けるようになるまでには、
多くの場合、次のような過程があります。
・最初は解き方がわからない
・ヒントをもらう
・一部だけ理解する
・何度かやり直す
・少しずつできるようになる
このように、理解は
段階的に成長していくものです。
この点については、
次の記事でも詳しく解説しています。
理解とは何か|子どもの「わかったのにできない」が起きる理由と理解が深まる学び方
https://moanavi.com/10529
子どもの理解は、
・一度の成功
・一度の説明
だけで完成するわけではありません。
挑戦と修正の積み重ね
の中で育っていきます。
大切なのは結果ではなく学習行動
このとき重要になるのが、
子どもの学習行動です。
例えば次のような行動は、
子どもの理解の状態をよく表しています。
・どの問題を選んだのか
・どこで手が止まったのか
・どのようにやり直したのか
・ヒントをどう使ったのか
・どのタイミングで助けを求めたのか
これらの行動を見ることで、
子どもの理解の状態が
少しずつ見えてきます。
この視点については、
次の記事でも整理しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
子どもの学びを支えるためには、
結果だけを見るのではなく、
学びの過程を見ること
がとても重要です。
挑戦→調整→再挑戦という学びの循環
子どもの理解は、
次のような循環の中で成長します。
挑戦
↓
つまずき
↓
調整
↓
再挑戦
このサイクルが繰り返されることで、
理解は少しずつ深まっていきます。
ここで重要なのは、
つまずきは学びの一部である
ということです。
もし失敗を避けようとすると、
子どもは挑戦をしなくなります。
しかし、挑戦がなければ
理解は広がりません。
だからこそ教育では、
安心して挑戦できる環境が必要になります。
そしてもう一つ大切なのが、
挑戦の履歴を見える形にすること
です。
子どもがどのような挑戦をしてきたのか。
どのような試行錯誤を重ねてきたのか。
それが見えるようになると、
子ども自身も
「自分は少しずつ成長している」
と感じられるようになります。
MOANAVIでは、
この「挑戦の履歴」を大切にしています。
そしてその履歴を
子ども自身が確認できる仕組みとして
取り入れているのが
スタディポイント制度です。
次の章では、
このスタディポイントが
どのように学びを支えているのかを
整理していきます。
スタディポイントは「挑戦の履歴」を可視化する
子どもの理解が成長する過程では、
多くの挑戦と試行錯誤が積み重なります。
しかし学校や塾では、
その過程が十分に見える形になっていないことが
少なくありません。
多くの場合、
見えるのは次のような結果です。
・テストの点数
・正答率
・順位
これらの情報は確かに一つの指標ですが、
子どもの学びの全体像を示すものではありません。
なぜなら、
理解は「結果」ではなく、
過程の中で成長していくものだからです。
MOANAVIではこの点を大切にし、
子どもの挑戦の過程を見える形にする仕組みとして
スタディポイント制度を取り入れています。
点数ではなく挑戦を記録する仕組み
スタディポイント制度では、
子どもの評価をテストの点数で行うことはありません。
代わりに大切にしているのは、
次のような行動です。
・どの難易度の課題を選んだか
・どのように挑戦したか
・途中でどう調整したか
・どのようにやり直したか
・どのくらい挑戦を続けたか
つまり、
結果ではなく挑戦の履歴
を見ていきます。
このような考え方は、
教育研究の中でも
形成的アセスメント
と呼ばれる考え方に近いものです。
形成的アセスメントでは、
テストによる評価よりも
学びの途中の状態を見取り、
次の学びにつなげること
を重視します。
この考え方については、
次の記事でも詳しく解説しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
評価ではなく学びの調整のための情報
ここで大切なのは、
スタディポイントが
「評価」のための制度ではないという点です。
目的は、
子どもを評価することではありません。
むしろ、
学びを調整するための情報を集めること
にあります。
例えば、
・どの難易度の課題に挑戦したか
・どこでつまずいたか
・どこで理解が進んだか
といった情報を見ることで、
次にどの課題に挑戦するのがよいか
を考えることができます。
これは、
子どもの学びを支えるための
大切な手がかりになります。
子どもが自分で学びを調整する仕組み
さらに重要なのは、
この情報を子ども自身も見ることができるという点です。
挑戦の履歴が見えるようになると、
子どもは次のようなことに気づくようになります。
・前より難しい問題に挑戦できている
・少しずつできることが増えている
・失敗しても次に進める
このような経験を通して、
子どもは自分の学び方を
少しずつ理解していきます。
教育心理学では、
このような力を
自己調整学習
と呼びます。
子どもが
・目標を考え
・課題を選び
・学び方を調整し
・振り返りながら次に進む
このような学び方については、
次の記事でも紹介しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
MOANAVIでは、
スタディポイントを通して
挑戦 → 振り返り → 次の挑戦
という学びの循環を
子ども自身が作れるようにしていきます。
この循環こそが、
子どもの理解を育てる
大きな力になります。
次の章では、
ZPDとスタディポイントが組み合わさることで生まれる
MOANAVIの学びの循環
について整理していきます。
ZPD×スタディポイントが生む学びの循環
ここまで見てきたように、
子どもの成長は
最近接発達領域(ZPD)での挑戦
によって生まれます。
しかし実際の学びの中で、
この「ちょうどよい挑戦」を
毎回見つけることは簡単ではありません。
子どもにとって難しすぎる課題は挫折につながり、
簡単すぎる課題は退屈につながります。
そのため教育では、
挑戦と調整の循環をつくることが重要になります。
MOANAVIでは、この循環を支える仕組みとして
スタディポイントを取り入れています。
自分で課題を選ぶ
学びの最初の一歩は、
子どもが課題を選ぶところから始まります。
どの課題に挑戦するのかを
子ども自身が選ぶことで、
学びへの主体性が生まれます。
教育心理学では、
このような主体的な選択は
学習意欲と深く関係するとされています。
この考え方は、
デシとライアンによる
自己決定理論
でも説明されています。
人は
・自分で選んでいると感じるとき
・挑戦に意味を感じるとき
学びに向かいやすくなります。
この理論については、
次の記事でも解説しています。
自己決定理論とは何か|デシの動機づけ理論をわかりやすく解説|子どものやる気を生む3つの心理的欲求
https://moanavi.com/10526
挑戦する
課題を選んだあと、
子どもは実際に挑戦します。
このとき大切なのは、
その課題が
ZPDの中にあるかどうか
です。
つまり、
・少し努力すればできる
・考えれば理解できる
・ヒントがあれば進める
という難易度です。
この状態のとき、
子どもは学びに集中しやすくなります。
そして、
理解を少しずつ広げていきます。
振り返る
挑戦のあとには、
必ず振り返りがあります。
ここでは
・どこでつまずいたのか
・何が理解できたのか
・どこをやり直す必要があるのか
を整理します。
この振り返りによって、
子どもは自分の理解を
客観的に見られるようになります。
次の挑戦を決める
振り返りをもとに、
次の課題を決めます。
このとき重要なのは、
挑戦の難易度を少し調整すること
です。
・少し難しくする
・少し簡単にする
・別の問題に挑戦する
このように調整することで、
子どもは再びZPDの中で学ぶことができます。
この流れを整理すると、
MOANAVIの学びは次のような循環になります。
自律的選択
↓
挑戦(ZPD)
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
この循環が続くことで、
子どもの理解は連続的に成長していきます。
スタディポイントは、
この循環を支えるために
挑戦の履歴を見える形にする仕組み
として機能しています。
次の章では、
この学びの循環を支えるもう一つの視点として
学年ではなく「学びの現在地」で学ぶこと
について考えていきます。
学年ではなく「学びの現在地」で学ぶ理由
学校教育では、
多くの場合「学年」によって学習内容が決められています。
例えば、
・小学4年生はこの単元
・中学1年生はこの範囲
というように、
学習内容は年齢に合わせて整理されています。
この仕組みは、
多くの子どもに教育を届ける上で
とても重要な役割を果たしています。
しかし一方で、
すべての子どもが同じペースで
理解を進めるわけではありません。
子どもによって、
・理解のスピード
・得意な分野
・つまずきやすいポイント
は大きく異なります。
そのため、
学年だけで学習を進めていくと、
次のような問題が起きることがあります。
学年ベースの学習が起こす問題
例えば、
算数の授業を考えてみます。
ある子どもは
すでに理解している内容を
何度も繰り返すことになります。
別の子どもは
まだ理解できていない状態のまま
次の単元へ進んでしまうことがあります。
このような状況では、
・簡単すぎる学習
・難しすぎる学習
が生まれやすくなります。
そして結果として、
・退屈
・挫折
・学習意欲の低下
につながることがあります。
現在地から始める学び
そこで重要になるのが、
子どもの「学びの現在地」
という視点です。
現在地とは、
・今どこまで理解しているのか
・どこでつまずいているのか
・どのような学び方をしているのか
といった
子どもの学びの状態を指します。
この現在地を丁寧に見ていくことで、
その子にとって適切な挑戦
を見つけやすくなります。
この考え方については、
次の記事でも詳しく解説しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
現在地から学びを始めることで、
・簡単すぎる課題を減らす
・難しすぎる課題を避ける
・ZPDの中で挑戦を続ける
ことが可能になります。
学習行動から現在地を見る
MOANAVIでは、
この現在地を知るために
学習行動
を重視しています。
例えば、
・どの課題を選ぶのか
・どこで手が止まるのか
・どのようにやり直すのか
・ヒントをどう使うのか
といった行動を
丁寧に見ていきます。
こうした行動は、
子どもの理解の状態を
よく表しています。
テストの点数だけでは見えない
学びの姿が、
そこには表れます。
ZPDを見つけるための視点
子どもの現在地が見えてくると、
その子にとってのZPD
も見つけやすくなります。
つまり、
・今はまだ難しいこと
・少し支援があればできること
・すでにできること
の境界が見えてくるのです。
この境界こそが、
子どもの成長が生まれる場所です。
MOANAVIでは、
このZPDを見つけながら
・課題の難易度
・挑戦の順序
・学習の進め方
を調整していきます。
そしてその挑戦の履歴を
スタディポイントとして
子ども自身が確認できるようにしています。
このようにして、
ZPD × スタディポイント
という仕組みが
子どもの学びを支えていきます。
次の章では、
この考え方をもとにした
MOANAVIの学びのデザイン
について整理していきます。
MOANAVIの学びのデザイン
ここまで見てきたように、
子どもの成長は
・ちょうどよい挑戦
・挑戦の履歴
・学びの現在地
といった要素の中で育っていきます。
しかし、このような学びは
子ども一人の努力だけで生まれるものではありません。
子どもが安心して挑戦を続けるためには、
学びを支える環境が必要です。
教育研究でも、
学習環境の重要性は繰り返し指摘されています。
この点については、
次の記事でも紹介しています。
学習環境のデザインとは何か|ブランスフォードの学習環境モデルをわかりやすく解説
https://moanavi.com/10514
MOANAVIでは、
子どもの学びを支えるために
学びの環境そのものをデザインすること
を大切にしています。
学びの環境が挑戦を支える
子どもが挑戦を続けるためには、
次のような条件が必要です。
・安心して失敗できる
・自分のペースで進められる
・わからないときに相談できる
・挑戦が尊重される
もし、
・間違えると怒られる
・他の子と比較される
・理解よりスピードが重視される
といった環境では、
子どもは挑戦を避けるようになります。
そのためMOANAVIでは、
挑戦そのものを価値として扱う環境
をつくっています。
これはスタディポイントの考え方とも
深く関係しています。
スタディポイントでは、
・難しい問題に挑戦した
・途中でやり直した
・理解しようと試行錯誤した
といった行動が大切にされます。
つまり、
挑戦の過程そのものが尊重される環境です。
子どもが自分で学び方を身につける
MOANAVIの学びでは、
もう一つ大切にしていることがあります。
それは、
学び方を学ぶこと
です。
学校では、
「何を学ぶか」が中心になることが多いですが、
MOANAVIでは、
どのように学ぶか
をとても大切にしています。
子どもが次のようなことを
少しずつ身につけていくことを目指しています。
・自分の理解の状態を知る
・課題の難易度を選ぶ
・つまずいたときに調整する
・振り返りながら次に進む
このような力は、
教育心理学では
自己調整学習
と呼ばれています。
この考え方については、
次の記事でも紹介しています。
学び方を学ぶとは何か|子どもが自分で学べるようになる学習の本質
https://moanavi.com/10538
子どもが自分の学び方を理解すると、
学習は少しずつ自律的になっていきます。
つまり、
「教えられる学習」から
「自分で進める学習」へ
と変わっていくのです。
モアナビ協創学園の学び
MOANAVIでは、
こうした考え方をもとに
学びの場をつくっています。
子どもを
・学年
・テストの点数
・順位
だけで捉えるのではなく、
その子が今どこで学んでいるのか
という
学びの現在地を丁寧に見ていきます。
そして、
・どの課題に挑戦するか
・どのように取り組むか
・どこでつまずくか
・どう調整するか
といった学習行動を
子どもと一緒に見ていきます。
このような学びを実践しているのが
モアナビ協創学園です。
モアナビ協創学園
https://moanavi.com/school
子ども一人ひとりが
自分の現在地から学びを進め、
挑戦を積み重ねていく。
その過程を支えるのが、
ZPD × スタディポイント
という学びの仕組みです。
まとめ|子どもの成長は「ちょうどよい挑戦」から生まれる
子どもの学びを考えるとき、
私たちはつい
「やる気」
「努力」
といった言葉で説明してしまいがちです。
しかし教育心理学の研究では、
学びに向かうかどうかは
課題の難易度と理解の状態
と強く関係していることが知られています。
簡単すぎる学習は退屈につながり、
難しすぎる学習は挫折につながります。
子どもの成長が生まれるのは、
少し努力すれば到達できる挑戦
に出会ったときです。
この状態を説明する理論が、
ヴィゴツキーの
最近接発達領域(ZPD)
です。
子どもはこの領域で挑戦を繰り返しながら、
できなかったことを
少しずつ「できること」に変えていきます。
そしてその成長を支えるためには、
・挑戦を選べること
・つまずきを調整できること
・試行錯誤を振り返れること
が大切になります。
MOANAVIでは、
この学びの循環を支える仕組みとして
スタディポイント制度
を取り入れています。
スタディポイントでは、
テストの点数ではなく、
・どの課題を選んだのか
・どのように挑戦したのか
・どのようにやり直したのか
といった
挑戦の履歴
を大切にします。
その履歴を振り返りながら、
子ども自身が
次の挑戦を選ぶ
ことができるようにしていきます。
このようにして、
自律的選択
↓
挑戦(ZPD)
↓
学習行動
↓
振り返り
↓
次の挑戦
という学びの循環が生まれていきます。
学びは、
一度の成功で完成するものではありません。
挑戦と試行錯誤を繰り返しながら、
理解は少しずつ更新されていきます。
MOANAVIでは、
子ども一人ひとりの
学びの現在地
を丁寧に見ながら、
その子にとっての
ちょうどよい挑戦
を整えていきます。
そしてその挑戦の積み重ねが、
子どもの成長を支えていきます。
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この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。



