
子どもは、どのように学び、どのように成長していくのでしょうか。
勉強というと、知識を覚えて積み重ねていくもののように感じるかもしれません。しかし教育心理学の研究では、学びはもっと動的で、挑戦と理解更新を繰り返すプロセスの中で深まっていくものだと考えられています。
この記事では、ヴィゴツキーの最近接発達領域、ジマーマンの自己調整学習、デシの自己決定理論、ギップスの形成的アセスメント、ブランスフォードの学習環境デザインなどの研究をもとに、子どもの学びがどのように成長していくのかを整理します。
そしてそれらを統合した視点として、MOANAVIが考える**「学びの循環モデル」**を紹介します。
子どもの学びはどのように進むのか。
なぜ挑戦が成長につながるのか。
教育心理学の研究と実践をもとに、子どもの学びの仕組みをわかりやすく解説します。
子どもの学びはどのように成長するのか
子どもの学びについて考えるとき、私たちはつい「どれだけ知識を覚えたか」に注目してしまいがちです。テストの点数や成績は、確かに一つのわかりやすい指標です。しかし、教育心理学の研究を見ていくと、学びは単純な知識の蓄積ではないことがわかってきます。
子どもの学びは、もっと動的で、連続的なプロセスの中で育っていくものです。
たとえば、子どもが新しい問題に出会ったときの様子を想像してみてください。最初は戸惑いながらも、教科書を読み直したり、ノートを見返したり、試行錯誤をしながら理解をつくっていきます。うまくいかないこともありますが、その経験を通して「次はこうしてみよう」と学び方を調整していきます。
このように、学びは一度理解して終わるものではなく、挑戦と気づきを繰り返しながら少しずつ深まっていくものです。
教育心理学では、このプロセスをさまざまな理論から説明してきました。たとえば、子どもの理解は段階的に深まるものであり、学習者自身が自分の学びを調整していくことが重要であるとする研究があります。こうした考え方は、近年の学習研究においても広く共有されています。
また、学びが深まるためには「ちょうどよい難しさ」の課題が必要であることも知られています。簡単すぎる課題では新しい理解は生まれにくく、逆に難しすぎる課題では挑戦そのものが止まってしまいます。
この「成長が生まれる難しさ」については、ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)の研究がよく知られています。詳しくは
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
で解説しています。
また、子どもの学びを理解するためには、「結果」だけを見るのではなく「学習行動」を見ることが重要だとも言われています。子どもがどのように問題に向き合い、どのように考え、どこで立ち止まり、どのようにやり直しているのか。こうした行動の中に、子どもの理解の状態や学び方が表れているからです。
この点については、次の記事でも詳しく説明しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
さらに近年の教育研究では、学習者が自分の学びを振り返り、調整していくことの重要性も指摘されています。こうした学び方は「自己調整学習」と呼ばれています。子どもが自分の理解を確かめながら学び方を調整していくことが、長期的な学びの力につながると考えられています。
自己調整学習については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
こうした研究を見ていくと、子どもの学びにはある共通した特徴があることがわかります。それは、学びが「一方向に進むものではない」ということです。
多くの場合、学びは次のような流れで進みます。
新しい課題に出会う
↓
試行錯誤する
↓
理解が深まる
↓
次の課題に挑戦する
そして、この流れは一度で終わるものではなく、何度も繰り返されていきます。
つまり、学びとは直線的に進むものではなく、「循環」の中で成長していくものなのです。
子どもが新しいことを理解するとき、その理解は必ずしも一度で完成するわけではありません。むしろ、挑戦と修正を繰り返す中で、理解は少しずつ更新されていきます。
このような学びの特徴は、理解研究でも指摘されています。子どもが「わかった」と感じていても、実際にはまだ十分に理解できていないことも多くあります。そのため、理解を深めるためには、さまざまな課題に挑戦しながら理解を組み立て直していくことが必要になります。
理解の深まりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
理解とは何か|子どもの「わかったのにできない」が起きる理由と理解が深まる学び方
https://moanavi.com/10529
このように考えると、子どもの学びを支える教育の役割も見えてきます。教育とは、単に知識を教えることではなく、子どもが挑戦を続けながら理解を更新していく環境を整えることだと言えるでしょう。
そして、この「学びの成長の仕組み」を整理すると、一つの重要な視点が見えてきます。
それは、学びが循環構造を持っているということです。
子どもの学びは、
挑戦 → 行動 → 気づき → 次の挑戦
という流れを繰り返しながら成長していきます。
MOANAVIでは、この学びの仕組みを整理し、
「学びの循環モデル」
として捉えています。
このモデルは、ヴィゴツキー、ジマーマン、デシ、ギップス、ブランスフォードなどの教育研究をもとに、子どもの学びがどのように成長していくのかを整理したものです。
次の章では、この学びの循環について、もう少し具体的に見ていきます。
学びは循環によって成長する
子どもの学びを長く見ていると、あることに気づきます。それは、学びが一直線に進むものではないということです。
多くの人は、勉強を「積み上げ型の作業」としてイメージします。昨日覚えた知識の上に今日の知識が積み重なり、少しずつ理解が増えていく。確かにその側面もありますが、実際の学びはそれほど単純ではありません。
子どもが新しいことを理解するとき、そのプロセスはもっと複雑で、行きつ戻りつしながら進んでいきます。
例えば、ある問題が解けたとしても、次の問題ではうまくいかないことがあります。逆に、最初は全くわからなかった問題が、いくつかの経験を重ねたあとで突然理解できることもあります。こうした経験は、多くの子どもたちが日常的にしているものです。
このような現象は、学習研究の中でもよく知られています。理解とは、一度の説明で完成するものではなく、さまざまな経験を通して少しずつ形づくられていくものだからです。
そのため、学びは直線ではなく、循環として捉える方が実態に近いと考えられています。
子どもの学びは、おおよそ次のような流れで進みます。
新しい課題に出会う
↓
考えながら取り組む
↓
うまくいったり、つまずいたりする
↓
理解が更新される
↓
次の課題に挑戦する
そして、この流れは一度で終わるものではありません。新しい課題に出会うたびに、同じようなプロセスが繰り返されていきます。
つまり、学びとは「理解が更新され続けるプロセス」なのです。
このように考えると、子どもの学びが止まってしまう理由も見えてきます。
学びが止まるとき、多くの場合、この循環のどこかが止まっています。
例えば、挑戦する課題が簡単すぎると、子どもは新しい気づきを得ることができません。逆に、課題が難しすぎると、挑戦そのものが止まってしまいます。
この「ちょうどよい挑戦」の重要性については、教育心理学ではよく知られています。ヴィゴツキーの研究では、子どもは支援があれば到達できる領域で最も成長すると考えられています。これが最近接発達領域(ZPD)です。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
また、学びが止まるもう一つの理由は、子どもが自分の学びを振り返る機会がないことです。
問題を解いたあとに
・どこが難しかったのか
・どうすれば次はうまくいくのか
・理解はどこまで進んでいるのか
こうしたことを考える時間がないと、学びは次の段階へ進みにくくなります。
このように、自分の学びを振り返りながら学習を進めていく力は、教育心理学では自己調整学習と呼ばれています。
自己調整学習については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
さらに、学びの循環を支えるためには、子どもが安心して挑戦できる環境も重要です。
挑戦して失敗してもよい環境であれば、子どもは何度でも試行錯誤を続けることができます。しかし、失敗を強く恐れる環境では、挑戦そのものが減ってしまいます。
このように、子どもの学びは
挑戦
↓
学習行動
↓
振り返り
↓
理解更新
↓
次の挑戦
という循環の中で成長していきます。
教育の役割は、この循環が自然に回り続けるように学びを整えることです。
そしてMOANAVIでは、この学びの仕組みを教育心理学の研究をもとに整理し、
「学びの循環モデル」
として捉えています。
このモデルは、複数の教育理論を組み合わせて、子どもの学びの成長を説明するものです。ヴィゴツキーの最近接発達領域、ジマーマンの自己調整学習、デシの自己決定理論、ギップスの形成的アセスメント、そしてブランスフォードの学習環境デザインなどの研究が、このモデルの背景にあります。
次の章では、このMOANAVIの学びの循環モデルを、もう少し具体的に見ていきます。
MOANAVIの学びの循環モデル
ここまで見てきたように、子どもの学びは直線的に進むものではなく、挑戦と理解更新を繰り返す循環の中で成長していきます。
MOANAVIでは、この学びのプロセスを教育心理学の研究をもとに整理し、**「学びの循環モデル」**として捉えています。
このモデルは、いくつかの教育理論を一つの構造として統合したものです。ヴィゴツキーの最近接発達領域、ジマーマンの自己調整学習、デシの自己決定理論、ギップスの形成的アセスメント、ブランスフォードの学習環境デザインなどの研究をもとに、子どもの学びがどのように成長していくのかを整理しています。
MOANAVIの学びの循環は、次のような流れで進みます。
自律的選択
↓
挑戦
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
この循環が回り続けることで、子どもの学びは少しずつ深まり、成長していきます。
自律的選択
学びの循環は、子どもが自分で学びに向かうところから始まります。
人が長く学び続けるためには、「やらされている感覚」ではなく、自分で学びに関わっているという感覚が重要です。教育心理学では、このような学習の動機づけを説明する理論として、デシとライアンの自己決定理論がよく知られています。
自己決定理論では、人の内発的な動機づけは
・自律性
・有能感
・関係性
という三つの心理的欲求によって支えられているとされています。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
自己決定理論とは何か|デシの動機づけ理論をわかりやすく解説|子どものやる気を生む3つの心理的欲求
https://moanavi.com/10526
MOANAVIでは、子どもが学習内容や課題に主体的に関われるように学びをデザインしています。自分で課題を選び、学びに向かう経験は、学習を長く続ける力につながるからです。
挑戦(最近接発達領域)
学びが成長につながるためには、課題の難しさが重要です。
簡単すぎる課題では新しい理解は生まれません。逆に、難しすぎる課題では挑戦そのものが止まってしまいます。
ヴィゴツキーは、子どもが最も成長する領域を**最近接発達領域(ZPD)**として説明しました。これは、支援があれば到達できる「ちょうどよい難しさ」の領域です。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
MOANAVIでは、この「ちょうどよい挑戦」を学びの中心に置いています。子どもが無理なく、しかし確実に成長できる課題を選ぶことが、学びの循環を生み出します。
学習行動
子どもの学びを理解するためには、テストの点数だけを見るのではなく、学習行動を見ることが重要です。
子どもがどの課題を選び、どのように考え、どこで止まり、どのようにやり直しているのか。こうした行動の中に、理解の状態や学び方が表れています。
MOANAVIでは、子どもの学びを見取るとき、こうした学習行動を大切にしています。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
子どもの学習行動を見るとは何か|勉強の結果ではなく「学び方」を見る理由
https://moanavi.com/10532
モニタリング(自己調整学習)
学びが続くためには、自分の理解を確かめながら学びを調整する力も重要です。
問題を解いたあとに
・どこまで理解できたのか
・どこが難しかったのか
・次はどうすればよいのか
こうしたことを考えるプロセスは、教育心理学では自己調整学習と呼ばれています。
自己調整学習については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
自己調整学習とは何か|ジマーマンの理論をわかりやすく解説|自分で学ぶ子どもはどのように育つのか
https://moanavi.com/10523
子どもが自分の理解を確かめながら学びを進めていくことで、学びの循環は次の段階へ進んでいきます。
フィードバック(形成的アセスメント)
学びの循環を支えるもう一つの要素が、フィードバックです。
ここで重要なのは、テストの点数のような「結果の評価」ではありません。子どもの理解の状態を見取り、次の学びにつながる情報を返すことです。
教育研究では、このような評価を形成的アセスメントと呼びます。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
子どもの理解やつまずきを丁寧に見取り、次の課題の難しさを調整することで、学びの循環は続いていきます。
理解更新
こうしたプロセスを通して、子どもの理解は少しずつ更新されていきます。
理解とは、一度で完成するものではありません。挑戦と修正を繰り返しながら、理解は徐々に深まっていきます。
理解の仕組みについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
理解とは何か|子どもの「わかったのにできない」が起きる理由と理解が深まる学び方
https://moanavi.com/10529
そして、理解が更新されると、子どもは次の挑戦に向かいます。
このようにして、学びの循環は続いていきます。
MOANAVIでは、この循環が自然に回り続けるように学びを整えています。
学びの循環を支える環境
ここまで見てきたように、子どもの学びは
自律的選択
↓
挑戦
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
という循環の中で成長していきます。
しかし、この循環は子どもの努力だけで自然に生まれるものではありません。学びの循環が回り続けるためには、それを支える学習環境が必要です。
教育研究では、学習環境が学びに大きな影響を与えることが長く指摘されてきました。たとえば、ブランスフォードらの研究では、効果的な学習環境は次の四つの視点からデザインされる必要があるとされています。
・学習者中心
・知識中心
・評価中心
・共同体中心
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
学習環境のデザインとは何か|ブランスフォードの学習環境モデルをわかりやすく解説
https://moanavi.com/10514
この研究が示しているのは、学びは個人の努力だけで成立するものではなく、環境の中で生まれるものだということです。
例えば、子どもが新しい課題に挑戦するとき、その挑戦が続くかどうかは環境によって大きく変わります。
挑戦して失敗したときに、「なぜ間違えたのか」を一緒に考えられる環境であれば、子どもはもう一度挑戦してみようと思うかもしれません。しかし、失敗を強く責められる環境では、挑戦そのものを避けるようになる可能性があります。
また、子どもが自分の理解を振り返る機会があるかどうかも、環境によって大きく変わります。振り返りの時間があり、理解を整理する機会がある環境では、学びは次の段階へ進みやすくなります。
このように、学びの循環を支えるためには、次のような環境が重要になります。
まず、子どもが自分のペースで挑戦できる環境です。学びの進み方は一人ひとり異なります。全員が同じ速度で進む環境では、簡単すぎる子どもと難しすぎる子どもが同時に生まれてしまいます。
次に、挑戦が歓迎される環境です。学びの中では失敗やつまずきは避けられません。むしろ、それらは理解を深めるための重要な経験です。挑戦と試行錯誤が自然に行われる環境では、子どもは安心して学び続けることができます。
さらに、子どもの理解を丁寧に見取り、次の学びにつなげる環境も重要です。教育研究では、このような見取りを形成的アセスメントと呼びます。子どもの理解やつまずきを確認し、次の課題の難しさを調整することで、学びの循環は続いていきます。
形成的アセスメントについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
形成的アセスメントとは何か|ギップスの教育評価論をわかりやすく解説|テストだけでは見えない子どもの学び
https://moanavi.com/10520
また、子ども同士の関係も学びの環境の一部です。友達の考え方に触れたり、説明を聞いたりすることで、新しい気づきが生まれることもあります。学びが個人の作業としてだけではなく、共同体の中で広がっていくことも、学習研究では重要な視点とされています。
このように、学びの循環は
子どもの挑戦
だけでなく
学びの環境
によって支えられています。
MOANAVIでは、このような視点をもとに、子どもが安心して挑戦できる学びの環境を整えています。子どもが自分の現在地から挑戦し、試行錯誤しながら理解を更新していく。その過程を丁寧に見取り、次の学びにつなげていく。
そのような環境の中で、学びの循環は少しずつ動き始めます。
そして、この循環の中でも特に重要な要素が挑戦です。子どもが新しい課題に向き合うとき、理解は大きく変化するからです。
次の章では、この挑戦が成長を生む理由について考えていきます。
挑戦が成長を生む理由
子どもの学びを見ていると、ある共通した特徴に気づきます。それは、理解が深まる瞬間の多くが「挑戦」の中で生まれているということです。
新しい問題に出会ったとき、子どもはすぐに答えが出るとは限りません。考えてもわからなかったり、途中で間違えたりすることもあります。しかし、その試行錯誤の中で、少しずつ理解の形が見えてくることがあります。
このような経験は、多くの子どもが日常的にしているものです。
教育心理学では、このような学びの特徴を説明する研究が多くあります。特にヴィゴツキーの研究では、子どもは支援があれば到達できる課題に取り組んでいるときに最も成長すると考えられています。
この領域は「最近接発達領域(ZPD)」と呼ばれています。
簡単すぎる課題では、新しい理解は生まれにくくなります。すでにできることを繰り返すだけでは、理解は大きく変化しないからです。
一方で、難しすぎる課題では、子どもは挑戦そのものをやめてしまうことがあります。何度試してもうまくいかない状況では、学びの意欲は続きにくくなります。
そのため、学びが成長につながるためには、「ちょうどよい難しさ」の課題が重要になります。
最近接発達領域については、こちらの記事で詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か|ヴィゴツキーのZPDをわかりやすく解説|子どもの成長が生まれる学びの条件
https://moanavi.com/10517
このように考えると、教育の役割も少し違って見えてきます。教育とは、すべてを教えることではなく、子どもが挑戦できる課題を整えることだと言えるかもしれません。
子どもが新しい課題に向き合い、考え、試し、修正する。その経験の中で、理解は少しずつ更新されていきます。
また、挑戦が成長につながる理由はもう一つあります。それは、挑戦の経験が子どもの学び方そのものを育てるからです。
問題に取り組む中で、子どもは次のようなことを学んでいきます。
・どうやって問題を考えるのか
・どこで立ち止まるべきか
・どのようにやり直すのか
・どこを確認すれば理解が深まるのか
こうした経験は、単なる知識とは異なる「学び方の力」を育てていきます。
このような学び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
学び方を学ぶとは何か|子どもが自分で学べるようになる学習の本質
https://moanavi.com/10538
さらに、挑戦の経験は子どもの学習意欲にも影響します。難しい課題に取り組み、それを乗り越えた経験は、「自分はできる」という感覚を育てることがあります。
教育心理学では、このような感覚を有能感と呼びます。有能感は、学びを続けるための重要な要素とされています。
有能感を含む学習意欲の仕組みについては、こちらの記事でも紹介しています。
子どものやる気はどう生まれるのか|教育心理学から考える学習意欲と学びの環境
https://moanavi.com/10550
このように考えると、挑戦は単に難しい課題に取り組むことではありません。挑戦は、理解を更新し、学び方を育て、学習意欲を支える重要な経験でもあります。
そして、挑戦が成長につながるためには、その挑戦が適切な環境の中で行われることが重要です。
子どもが安心して挑戦できる環境では、試行錯誤が自然に生まれます。うまくいかなかった経験も、次の理解につながる大切な経験になります。
MOANAVIでは、このような視点から、子どもが挑戦を続けられる学びの環境を整えています。子どもが自分の現在地から課題に向き合い、試行錯誤しながら理解を更新していく。その過程を丁寧に見取り、次の挑戦につなげていく。
そのような学びの中で、学びの循環は少しずつ回り続けていきます。
次の章では、このような学びの循環をもとに、MOANAVIの教育が目指しているものについて考えていきます。
MOANAVIの教育が目指しているもの
ここまで見てきたように、子どもの学びは
自律的選択
↓
挑戦
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
という循環の中で成長していきます。
MOANAVIの教育は、この学びの循環を大切にすることから始まります。子どもが自分の現在地から挑戦し、試行錯誤しながら理解を更新していく。その過程を丁寧に見取り、次の学びにつなげていく。そのような学びを支えることが、教育の役割だと考えています。
学年ではなく「学びの現在地」
学校教育では、学年ごとに学ぶ内容が決められていることが一般的です。同じ年齢の子どもが同じ内容を同じ速度で学ぶという仕組みは、多くの子どもにとってわかりやすい学びの形でもあります。
しかし、子どもの理解の進み方は一人ひとり異なります。
ある子どもにとっては簡単に感じられる課題でも、別の子どもにとっては難しく感じられることがあります。逆に、ある分野では大きく先に進んでいる子どももいます。
そのため、学年だけを基準にして学びを進めていくと、「簡単すぎる学び」や「難しすぎる学び」が同時に生まれてしまうことがあります。
MOANAVIでは、学びを学年ではなく子どもの現在地から考えることを大切にしています。子どもが今どのように理解しているのか、どのような学習行動をしているのかを丁寧に見取りながら、次の課題を整えていきます。
この考え方については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由|子どもが勉強についていけなくなる本当の原因
https://moanavi.com/10535
挑戦を続けられる学びの環境
学びの循環が続くためには、子どもが安心して挑戦できる環境が必要です。
挑戦の中では、うまくいかないことや間違えることもあります。しかし、それらは理解を深めるための重要な経験でもあります。
そのため、MOANAVIでは子どもが試行錯誤を続けられる環境を大切にしています。問題に向き合う時間を十分に取り、考え直したりやり直したりする経験を重ねながら、理解を少しずつ更新していきます。
また、子どもが自分の学びを振り返る機会も大切にしています。どこまで理解できているのか、どこでつまずいているのかを確かめながら、次の課題に向かうことで、学びの循環は次の段階へ進みます。
子どもが自分で学べるようになること
MOANAVIの教育が目指しているのは、単に知識を増やすことではありません。
子どもが自分の学びを調整しながら、学び続けていく力を育てることです。
子どもが自分で課題に向き合い、考え、試行錯誤しながら理解を深めていく。この経験を重ねることで、子どもは次第に自分で学びを進められるようになります。
このような学び方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
学び方を学ぶとは何か|子どもが自分で学べるようになる学習の本質
https://moanavi.com/10538
学びの循環が続いていくと、子どもは少しずつ「学び方」を身につけていきます。問題に出会ったときに考え方を探し、理解を確かめながら学びを進める力は、学校の教科を超えて、さまざまな場面で役立つものになります。
MOANAVIでは、このような学びの力を育てることを大切にしています。
もし、こうした学びの考え方に関心を持たれた方は、モアナビ協創学園の取り組みもご覧ください。
モアナビ協創学園
https://moanavi.com/school
子どもが自分の現在地から挑戦し、試行錯誤しながら理解を更新していく。そのような学びの環境の中で、子どもたちは少しずつ自分の学び方を見つけていきます。
まとめ|学びは循環で成長する
子どもの学びは、単純に知識が積み重なっていくものではありません。新しい課題に出会い、考え、試し、つまずき、理解を更新しながら、少しずつ深まっていくものです。
このような学びの特徴を整理すると、子どもの学びは次のような循環の中で成長していることが見えてきます。
自律的選択
↓
挑戦
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
この循環が回り続けることで、子どもの理解は少しずつ更新され、学びは次の段階へ進んでいきます。
教育心理学の研究でも、学びは一度の説明で完成するものではなく、挑戦と振り返りを繰り返す中で深まっていくものだと考えられています。ヴィゴツキーの最近接発達領域、ジマーマンの自己調整学習、デシの自己決定理論、ギップスの形成的アセスメントなどの研究は、それぞれ異なる視点からこの学びのプロセスを説明しています。
MOANAVIでは、これらの研究をもとに、子どもの学びを循環構造として捉えています。
子どもが自分で課題を選び、挑戦し、試行錯誤しながら理解を更新していく。その過程を丁寧に見取り、次の学びにつなげていく。そのような学びの中で、子どもは少しずつ自分の学び方を見つけていきます。
そして、この学び方は、学校の教科の中だけでなく、その後の人生の中でも役立つ力になります。新しい問題に出会ったときに考え方を探し、理解を確かめながら学び続けていく力は、これからの社会の中でも重要なものだからです。
MOANAVIは、このような学びの循環を大切にしながら、子ども一人ひとりの現在地から学びを整えています。
子どもが自分の理解を確かめながら挑戦を続けていく。そのような学びの環境の中で、子どもたちは少しずつ自分の学び方を育てていきます。
📚学びの本棚から、次の1冊を
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→ MOANAVI Library をひらく
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。



