
同じ勉強をしているのに、成長する子どもとそうでない子どもがいる。
その違いは、努力や能力だけで説明できるものではありません。
教育心理学の研究では、子どもの学びは「どのように学びがデザインされているか」に大きく影響されることが知られています。
この記事では、ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)、ブランスフォードの学習環境デザイン、ジマーマンの自己調整学習、デシの自己決定理論、ギップスの形成的アセスメントなどの教育理論をもとに、MOANAVIの学習デザインの考え方を解説します。
子どもの理解がどのように成長していくのか、そして学びの環境がどのようにその成長を支えるのかを、教育心理学の視点から丁寧に見ていきます。
MOANAVIの学習デザインとは何か
同じ勉強をしているのに、成長する子とそうでない子がいる理由
保護者の方とお話をしていると、よくこんな疑問を耳にします。
「同じように勉強しているのに、どうしてこんなに差が出るのでしょうか。」
学校でも塾でも、子どもたちは同じ教科書を使い、同じ問題を解き、同じ授業を受けています。
それにもかかわらず、理解が深まっていく子どももいれば、なかなか勉強に向かえなくなる子どももいます。
この違いは、単に
- 努力の量
- 能力の差
- 性格の違い
だけで説明できるものではありません。
教育心理学の研究では、学びの成長を大きく左右するのは
「どのように学びがデザインされているか」
であると考えられています。
つまり、
勉強の内容そのものよりも、
どのような学びの環境と仕組みの中で学んでいるか
が重要なのです。
この考え方は、教育研究の中でも広く共有されています。
たとえば、アメリカの教育研究者ジョン・ブランスフォードは、著書
How People Learn(2000)
の中で、効果的な学習環境には次の4つの視点が必要だと説明しました。
- 学習者中心(Learner-centered)
- 知識中心(Knowledge-centered)
- 評価中心(Assessment-centered)
- 共同体中心(Community-centered)
このモデルについては、次の記事で詳しく紹介しています。
学習環境のデザインとは何か
https://moanavi.com/10514
学びは、単に「教える内容」を整えれば成立するものではありません。
- どのような課題に挑戦するのか
- 子どもがどのように考えるのか
- つまずいたときにどのような支援があるのか
- 学びがどのように振り返られるのか
こうした要素が組み合わさることで、はじめて学びは成長していきます。
つまり、教育とは
「知識を教えること」ではなく
「学びの環境を整えること」
とも言えるのです。
勉強の問題ではなく「学びのデザイン」の問題
子どもが勉強につまずくとき、私たちはつい
- やる気がない
- 勉強が苦手
- 努力が足りない
といった理由で説明してしまいがちです。
しかし教育心理学では、学びの問題は
子どもの問題ではなく、学習環境の問題である
と考えられることが多くあります。
たとえば、
- 課題の難しさが合っていない
- 学び方がわからない
- 自分の理解の状態が見えない
- 挑戦する機会がない
といった状況では、子どもは学びに向かいにくくなります。
逆に言えば、
- 自分で課題を選べる
- 少し難しい挑戦ができる
- 学びの過程が見える
- 周囲と対話しながら考えられる
こうした環境が整うと、子どもは自然と学びに向かいやすくなります。
このように、
学びをどのように組み立てるか
という考え方を
学習デザイン(Learning Design)
と呼びます。
MOANAVIでは、この学習デザインを非常に大切にしています。
MOANAVIの教育では、子どもを
- 学年
- テストの点数
- 偏差値
で一律に捉えることはありません。
そうではなく、
その子の「学びの現在地」
から学びを組み立てていきます。
つまり、
- 今どこで理解が止まっているのか
- どこまでなら挑戦できそうか
- どのような課題なら学びが動き出すか
を丁寧に見取りながら、次の挑戦を整えていきます。
この考え方は、ロシアの心理学者ヴィゴツキーが提唱した
最近接発達領域(ZPD)
という理論とも深く関係しています。
最近接発達領域については、こちらの記事で詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か
https://moanavi.com/10517
ヴィゴツキーは、子どもの発達には次の3つの領域があると考えました。
- 一人でできる領域
- 支援があればできる領域
- まだできない領域
そして、子どもがもっとも成長するのは
支援があればできる領域
つまり
最近接発達領域(ZPD)
だと説明しています。
教育とは、この
「ちょうどよい挑戦」
を見つけ、整える営みとも言えるでしょう。
MOANAVIの学習デザインも、この考え方を大切にしています。
子どもが安心して挑戦できる環境の中で、
少しずつ理解を更新していく。
その過程を通して、学びは少しずつ成長していきます。
次の章では、
教育心理学の研究が示している
「学びが成長する仕組み」
をもう少し詳しく見ていきます。
教育研究の中では、学びを理解するためのさまざまな理論が提案されています。
MOANAVIの学習デザインも、こうした研究の知見を参考にしながら組み立てられています。
学びはどのように成長するのか|教育心理学が示す5つの視点
学びの成長は、単純な仕組みではありません。
「勉強をすれば伸びる」というほど単純でもなく、
「やる気があればできる」という精神論でもありません。
教育心理学の研究では、子どもの学びは
- 学習環境
- 挑戦の難易度
- 学習行動
- 動機づけ
- フィードバック
といった複数の要素が組み合わさることで成長していくと考えられています。
MOANAVIの学習デザインも、こうした教育研究の知見を参考にしながら組み立てられています。
ここでは、学びを理解するための代表的な5つの理論を紹介します。
学習環境のデザイン(ブランスフォード)
まず重要になるのが、学習環境のデザインです。
アメリカの教育研究者ジョン・ブランスフォードは、著書
How People Learn(2000)
の中で、効果的な学習環境には次の4つの視点が必要だと説明しました。
- 学習者中心
- 知識中心
- 評価中心
- 共同体中心
この4つの要素が組み合わさることで、子どもの理解は深まりやすくなります。
たとえば、
- 子どもが自分の理解を説明する機会がある
- 他の人の考えを聞くことができる
- 学びの過程が振り返られる
- 挑戦が支えられる環境がある
こうした環境が整うと、学びはより豊かに成長していきます。
この理論については、次の記事で詳しく解説しています。
学習環境のデザインとは何か
https://moanavi.com/10514
最近接発達領域(ヴィゴツキー)
次に重要になるのが、挑戦の難しさです。
ロシアの心理学者ヴィゴツキーは、子どもの成長は
最近接発達領域(ZPD)
で起こると説明しました。
最近接発達領域とは、
支援があれば到達できる領域
のことです。
子どもの学びには、次の3つの領域があります。
- 一人でできる領域
- 支援があればできる領域
- まだできない領域
このうち、もっとも成長が起こりやすいのが
支援があればできる領域
です。
もし課題が簡単すぎると、子どもは退屈してしまいます。
逆に難しすぎると、挑戦する前にあきらめてしまいます。
成長が生まれるのは
「少し難しい」
と感じる挑戦に出会ったときです。
この理論については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
最近接発達領域とは何か
https://moanavi.com/10517
自己調整学習(ジマーマン)
学びを続けるためには、子ども自身が学びを調整する力も重要です。
教育心理学者ジマーマンは、
自己調整学習
という概念を提唱しました。
自己調整学習とは、子どもが
- 目標を立てる
- 学習の進み具合を確かめる
- 必要に応じてやり方を変える
といった行動を通して、自分の学びを調整していくことです。
この過程は、次のような循環で説明されます。
計画
↓
実行
↓
振り返り
↓
次の計画
この循環が回り始めると、子どもは少しずつ
自分で学ぶ力
を身につけていきます。
自己調整学習については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己調整学習とは何か
https://moanavi.com/10523
自己決定理論(デシ)
学びを支えるもう一つの重要な要素が、動機づけです。
アメリカの心理学者デシとライアンは、
自己決定理論
という動機づけ理論を提唱しました。
この理論では、人が自発的に行動するためには、次の3つの心理的欲求が満たされる必要があるとされています。
- 自律性
- 有能感
- 関係性
子どもが
- 自分で選んでいると感じる
- できるようになっていると感じる
- 周囲とつながっていると感じる
こうした状態になると、学びは自然と続きやすくなります。
自己決定理論については、次の記事で詳しく解説しています。
自己決定理論とは何か
https://moanavi.com/10526
形成的アセスメント(ギップス)
最後に重要になるのが、学びをどのように見取るかという視点です。
教育研究者キャロライン・ギップスは、
テストの点数だけでは子どもの学びは理解できない
と指摘しました。
学びを見るためには、
- 子どもがどのように考えているのか
- どこでつまずいているのか
- どのように挑戦しているのか
といった過程を丁寧に見取る必要があります。
このように、学習の途中で理解の状態を確かめ、次の学びを整えていく考え方を
形成的アセスメント
と呼びます。
この理論については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
形成的アセスメントとは何か
https://moanavi.com/10520
これまで見てきたように、学びの成長には
- 学習環境
- 挑戦の難しさ
- 学習行動
- 動機づけ
- フィードバック
といった要素が関わっています。
MOANAVIの学習デザインは、これらの理論をそれぞれ独立したものとして扱うのではなく、
一つの循環として統合する
ことを大切にしています。
次の章では、
MOANAVIが特に大切にしている
「学習行動を見る」という視点
について、もう少し詳しく見ていきます。
MOANAVIが大切にしている「学習行動を見る」という視点
勉強の結果だけでは学びは見えない
子どもの学びを考えるとき、私たちはつい
- テストの点数
- 正解の数
- 成績
といった結果に目を向けがちです。
もちろん、これらの指標にも意味はあります。
しかし教育研究の中では、学びを理解するためには
結果だけでは不十分である
と指摘されています。
たとえば、同じ問題を間違えたとしても、
- どのように考えたのか
- どこで止まったのか
- どのようにやり直したのか
によって、子どもの理解の状態は大きく異なります。
ある子どもは、考え方の途中まで理解できているかもしれません。
別の子どもは、問題の意味をまだつかめていないかもしれません。
テストの点数だけでは、こうした違いは見えてきません。
だからこそMOANAVIでは、
結果よりも学習行動を見る
ことを大切にしています。
学習行動とは、たとえば次のようなものです。
- どの課題を選ぶのか
- どこで止まるのか
- どのように考えるのか
- どのように調べるのか
- どのようにやり直すのか
こうした行動の中に、子どもの理解の状態や学び方が表れます。
この考え方については、次の記事でも詳しく解説しています。
子どもの学習行動を見るとは何か
https://moanavi.com/10532
理解とは「できる」ことではなく「変化する過程」
もう一つ大切な視点があります。
それは、
理解とは一瞬で完成するものではない
ということです。
私たちは「わかった」という言葉をよく使いますが、実際の理解はもっと段階的なものです。
たとえば、子どもが算数の問題に取り組んでいるとき、
- ヒントがあればできる
- 例題を見ればできる
- 似た問題ならできる
- 一人でもできる
といったように、理解にはいくつもの段階があります。
そのため、
「わかったのにできない」
という状況もよく起こります。
これは矛盾ではなく、理解がまだ途中にある状態なのです。
理解は、
- 試す
- 間違える
- 修正する
- 再挑戦する
という過程の中で、少しずつ深まっていきます。
このような理解のプロセスについては、次の記事で詳しく紹介しています。
理解とは何か
https://moanavi.com/10529
教育の役割は、
「正解を教えること」
ではなく、
理解が深まる過程を支えること
とも言えるでしょう。
MOANAVIでは、子どもが挑戦する様子を丁寧に見取りながら、
- 次にどの課題に取り組むか
- どのような支援が必要か
- どの程度の難しさがよいか
を調整していきます。
こうした関わりの中で、子どもの学びは少しずつ成長していきます。
そして、この学びの成長を生み出すために重要になるのが、
「ちょうどよい挑戦」
です。
次の章では、
子どもの成長が生まれる「ちょうどよい難しさ」
について、教育心理学の視点から見ていきます。
子どもが成長する学びには「ちょうどよい挑戦」がある
安心ゾーン・挫折ゾーン・成長ゾーン
子どもの学びを考えるとき、とても重要な視点があります。
それは、
課題の難しさが子どもに合っているか
ということです。
課題の難しさは、大きく次の3つの状態に分けることができます。
① 安心ゾーン(簡単すぎる課題)
すでにできることばかりに取り組んでいる状態です。
この状態では、子どもは安心して取り組むことはできますが、新しい理解はあまり生まれません。
練習にはなりますが、成長はゆっくりになります。
② 挫折ゾーン(難しすぎる課題)
課題が難しすぎて、どう取り組めばよいのかがわからない状態です。
この場合、子どもは
- 手が止まる
- 自信をなくす
- 勉強から距離を置く
といった状況になりやすくなります。
③ 成長ゾーン(ちょうどよい挑戦)
少し難しいけれど、支援があれば取り組める課題です。
この状態では、子どもは
- 考える
- 試す
- 間違える
- 修正する
という過程を通して、理解を深めていきます。
教育心理学では、この成長ゾーンを
最近接発達領域(ZPD)
と呼びます。
この考え方については、次の記事で詳しく解説しています。
最近接発達領域とは何か
https://moanavi.com/10517
また、「ちょうどよい挑戦」がなぜ成長を生むのかについては、こちらの記事でも詳しく説明しています。
挑戦が成長を生む理由
https://moanavi.com/10544
学年ではなく現在地から学ぶ理由
学校教育では、通常は学年ごとに学ぶ内容が決まっています。
これは教育制度として必要な仕組みですが、子どもの理解の状態は必ずしも学年と一致するわけではありません。
たとえば、
- 算数の一部は得意だけれど、別の単元はまだ理解が浅い
- 文章題は苦手だが、計算は得意
- 理科は興味が強く理解が早い
といったように、子どもの理解はとても個別的です。
しかし学年中心の学習では、
- 簡単すぎる内容を繰り返してしまう
- 難しすぎる内容に進んでしまう
ということが起こりやすくなります。
すると、
- 勉強が退屈になる
- 自信をなくす
- 学びに向かいにくくなる
といった状況が生まれることがあります。
そのためMOANAVIでは、
学年ではなく「学びの現在地」
から学習を組み立てます。
つまり、
- 今どこまで理解できているのか
- 次にどこに挑戦できそうか
- どの程度の難しさがよいか
を丁寧に見取りながら、次の課題を整えていきます。
この考え方については、次の記事でも詳しく説明しています。
学年ではなく現在地で学ぶ理由
https://moanavi.com/10535
子どもの学びは、
学年という枠の中で均一に進むものではありません。
それぞれの理解の状態に合わせて挑戦が整えられるとき、学びはもっと自然に動き出します。
そしてMOANAVIでは、この「ちょうどよい挑戦」を一度きりの出来事として捉えるのではなく、
学びの循環
として考えています。
子どもが
- 課題を選び
- 挑戦し
- 学びを振り返り
- 次の挑戦へ進む
という流れの中で、理解は少しずつ更新されていきます。
次の章では、
MOANAVIの学びを支えている「学びの循環モデル」
について紹介します。
MOANAVIの学びの循環モデル
ここまで見てきたように、子どもの学びには
- 学習環境
- 挑戦の難しさ
- 学習行動
- 動機づけ
- フィードバック
といったさまざまな要素が関わっています。
MOANAVIでは、これらをそれぞれ独立したものとして扱うのではなく、
一つの循環として捉える
ことを大切にしています。
子どもの学びは、次のような流れの中で成長していきます。
自律的選択
↓
挑戦(ZPD)
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
↓
次の挑戦
この循環が回り始めると、子どもの理解は少しずつ更新されていきます。
ここでは、この学びの循環を順番に見ていきます。
自律的選択
学びの出発点になるのは、自律的な選択です。
子どもが
- 自分で課題を選ぶ
- 自分で取り組む順番を決める
- 自分の理解を確かめながら進める
こうした経験を積み重ねることで、学びに対する主体性が育っていきます。
心理学者デシとライアンの自己決定理論でも、人が自発的に行動するためには
- 自律性
- 有能感
- 関係性
という3つの心理的欲求が満たされる必要があるとされています。
子どもが「自分で選んでいる」と感じられるとき、学びは自然と続きやすくなります。
この理論については、次の記事で詳しく解説しています。
自己決定理論とは何か
https://moanavi.com/10526
また、子どもの学習意欲については、こちらの記事でも紹介しています。
子どものやる気はどう生まれるのか
https://moanavi.com/10550
挑戦(ZPD)
次に重要になるのが、挑戦の難しさです。
学びは、簡単すぎても難しすぎても成長しにくくなります。
成長が生まれるのは、
少し難しいけれど挑戦できる課題
に出会ったときです。
ヴィゴツキーは、この領域を
最近接発達領域(ZPD)
と呼びました。
この理論については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
最近接発達領域とは何か
https://moanavi.com/10517
学習行動
子どもが課題に取り組むとき、さまざまな学習行動が現れます。
たとえば、
- 教科書を読み直す
- 図を書いて考える
- 問題をもう一度解き直す
- 友達と考えを話す
こうした行動の中に、理解の状態が表れます。
MOANAVIでは、こうした学習行動を丁寧に見取りながら、次の学びを整えていきます。
この視点については、次の記事で詳しく紹介しています。
子どもの学習行動を見るとは何か
https://moanavi.com/10532
モニタリング
学びが進んでいくと、子ども自身も
- どこまで理解できているか
- どこが難しいか
を少しずつ確かめるようになります。
このように自分の学習を振り返りながら調整していく力を、
自己調整学習
と呼びます。
自己調整学習については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己調整学習とは何か
https://moanavi.com/10523
フィードバック
学びの途中では、理解の状態を確かめながら次の挑戦を整えていくことが重要です。
このとき役立つのが
形成的アセスメント
という考え方です。
形成的アセスメントとは、
学習の途中で子どもの理解を見取り、次の学びを調整することです。
たとえば、
- どこでつまずいているのか
- どの考え方ができているのか
- どの課題なら挑戦できそうか
を確かめながら、次の課題を整えていきます。
この理論については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
形成的アセスメントとは何か
https://moanavi.com/10520
理解更新
こうした挑戦と振り返りの中で、子どもの理解は少しずつ更新されていきます。
理解は、
- 一度説明を聞けば完成するものではありません
- 一度問題が解ければ終わるものでもありません
試し、間違え、修正する過程の中で、理解は少しずつ深まっていきます。
理解の成長については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
理解とは何か
https://moanavi.com/10529
このように、
自律的選択
↓
挑戦
↓
学習行動
↓
モニタリング
↓
フィードバック
↓
理解更新
という循環の中で、子どもの学びは成長していきます。
MOANAVIでは、この循環を支える仕組みとして、
ZPD × スタディポイント
という学習デザインを取り入れています。
次の章では、この仕組みについてもう少し詳しく紹介します。
MOANAVIの学びの仕組み|ZPD×スタディポイント
ここまで見てきたように、子どもの学びは
- 自律的な選択
- ちょうどよい挑戦
- 学習行動
- 振り返り
- フィードバック
といった循環の中で成長していきます。
MOANAVIでは、この学びの循環を支える仕組みとして
ZPD × スタディポイント
という学習デザインを取り入れています。
この仕組みについては、次の記事でも詳しく紹介しています。
ZPD×スタディポイントとは何か
https://moanavi.com/10547
挑戦を可視化する仕組み
多くの教育では、評価の中心は
- テストの点数
- 正解率
- 成績
になりがちです。
しかしMOANAVIでは、
結果ではなく挑戦の過程
を大切にしています。
そのため、スタディポイントでは
- 難易度を選ぶ
- 挑戦する
- 続ける
- 学びを調整する
といった学習行動をポイントとして可視化します。
つまり、
「どれだけできたか」ではなく
「どのように挑戦したか」
を見える形にしているのです。
比較ではなく成長を見る
もう一つ大切にしているのが、
他者比較をしない
という考え方です。
教育の中では、どうしても
- テストの順位
- 偏差値
- 成績の比較
といった仕組みが生まれやすくなります。
しかし、子どもの理解の状態は一人ひとり違います。
同じ問題でも
- すでに理解している子
- まだ途中の子
- 今まさに理解が動き始めている子
がいます。
そのためMOANAVIでは、
他の子どもと比べるのではなく
自分の挑戦の履歴を見る
という考え方を大切にしています。
スタディポイントは、
- 自分がどんな挑戦をしてきたか
- どのように学びが進んできたか
を振り返るための仕組みでもあります。
このように挑戦の履歴を可視化することで、子どもは
- 自分の成長を実感しやすくなる
- 次の挑戦を選びやすくなる
- 学びを調整しやすくなる
といった変化が生まれます。
こうして
挑戦 → 学習行動 → 振り返り → 次の挑戦
という学びの循環が少しずつ回り始めます。
そして、この循環が続くことで、子どもは少しずつ
自分で学ぶ力
を身につけていきます。
この「自分で学ぶ力」を育てることは、MOANAVIの教育の大きな目的の一つです。
次の章では、
「学び方を学ぶ」という視点
についてもう少し詳しく見ていきます。
学び方を学ぶとは何か
子どもの教育について考えるとき、私たちはつい
- どの教科を勉強するか
- どの問題を解くか
- どれだけ知識を覚えるか
といった学習内容に注目しがちです。
もちろん知識や技能は大切です。
しかし教育研究の中では、もう一つ重要な視点が指摘されています。
それは、
学び方そのものを学ぶこと
です。
子どもが将来にわたって学び続けていくためには、
- 自分で課題を見つける
- 学び方を調整する
- 理解を確かめる
- 次の挑戦を選ぶ
といった力が必要になります。
このような力を身につけることを、
「学び方を学ぶ」
と言います。
このテーマについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
学び方を学ぶとは何か
https://moanavi.com/10538
学び方は一度で身につくものではない
学び方は、授業で一度説明すれば身につくものではありません。
子どもは
- 試す
- うまくいかない
- やり方を変える
- 再挑戦する
という経験を通して、少しずつ学び方を身につけていきます。
たとえば算数の問題に取り組むときでも、
- すぐに答えを求める子
- 教科書を読み直す子
- 図を書いて考える子
- 友達と話しながら考える子
など、学習行動はさまざまです。
こうした行動の違いは、単なる性格の違いではなく、
学び方の違い
でもあります。
MOANAVIでは、子どもがどのように学んでいるのかを丁寧に見取りながら、
- 次にどのような課題に挑戦するか
- どのような支援が必要か
を整えていきます。
こうした経験の積み重ねの中で、子どもは少しずつ
自分に合った学び方
を見つけていきます。
学び方は環境の中で育つ
もう一つ大切なことがあります。
それは、
学び方は環境の中で育つ
ということです。
もし学習環境が
- 常に指示される
- 答えをすぐ教えられる
- 失敗が許されない
といった状態であれば、子どもは自分で学び方を探す機会を持ちにくくなります。
逆に、
- 自分で課題を選べる
- 挑戦する時間がある
- 試行錯誤ができる
といった環境では、子どもは自然と
どうすれば理解できるか
を考えるようになります。
つまり、
学び方は教えられるものというより、
経験の中で育つもの
とも言えるでしょう。
MOANAVIでは、このような学び方が育つ環境を大切にしています。
そして学びは、個人の努力だけで成長するものではありません。
子ども同士の対話や、教師との関わりの中で、理解はさらに深まっていきます。
次の章では、
学びが「つながり」の中で成長していく理由
について見ていきます。
学びは「つながり」の中で育つ
学びは、必ずしも一人で完結するものではありません。
もちろん、問題を解いたり、文章を読んだりする時間は個人の活動です。
しかし教育研究では、理解は
人との関わりの中で深まりやすい
ことが多くの研究で指摘されています。
子どもが
- 自分の考えを言葉にする
- 他の人の考えを聞く
- 違う見方に気づく
こうした経験を通して、理解は少しずつ広がっていきます。
つまり、学びは
個人の努力だけでなく、環境と関係の中で育つ
ものなのです。
学習環境が学びを支える
教育研究者ブランスフォードは、学びを支える環境には
- 学習者中心
- 知識中心
- 評価中心
- 共同体中心
という4つの視点が必要だと説明しました。
この考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
学習環境のデザインとは何か
https://moanavi.com/10514
この中でも特に重要なのが、
共同体中心(Community-centered)
という視点です。
学びは、子どもが一人で努力するだけではなく、
- 周囲の人と関わりながら
- 対話しながら
- 協力しながら
成長していきます。
友達の説明を聞いて理解が深まることもあります。
自分の考えを言葉にすることで、新しい気づきが生まれることもあります。
このような環境の中で、子どもの学びはより豊かなものになっていきます。
このテーマについては、次の記事でも紹介しています。
学習環境が学びを変える理由
https://moanavi.com/10541
学びでつながる、学びがつながる
MOANAVIの理念には、
「学びでつながる、学びがつながる」
という言葉があります。
この言葉には、二つの意味があります。
一つは、
学びでつながる
という意味です。
子ども、保護者、教育者、そして社会が、
学びを媒介として関係を築いていく。
学びは、単なる勉強ではなく、人と人を結ぶものでもあります。
もう一つは、
学びがつながる
という意味です。
子どもの理解や経験は、断片的に積み重なるものではありません。
- 挑戦する
- 気づく
- 修正する
- 次の挑戦へ進む
という過程の中で、理解は少しずつ更新されていきます。
MOANAVIでは、このような
人とのつながりと、理解のつながり
の両方を大切にしながら学びを育てています。
学びの場としてのMOANAVI
こうした学びの考え方のもとで運営しているのが、
モアナビ協創学園です。
モアナビ協創学園
https://moanavi.com/school
モアナビ協創学園では、
- 子どもの学びの現在地を丁寧に見取り
- ちょうどよい挑戦を整え
- 学びの循環を支える環境をつくる
ことを大切にしています。
子どもが安心して挑戦できる環境の中で、
- 考え
- 試し
- 間違え
- 修正する
こうした経験を積み重ねることで、学びは少しずつ成長していきます。
そしてその過程の中で、子どもは
自分で学ぶ力
を身につけていきます。
ここまで、MOANAVIの学習デザインについて、教育心理学の視点から紹介してきました。
最後に、この記事の内容をまとめてみましょう。
まとめ|学びはデザインできる
子どもの学びは、単に
- 勉強時間
- 努力
- 能力
だけで決まるものではありません。
教育心理学の研究では、学びの成長には
- 学習環境
- 挑戦の難しさ
- 学習行動
- 動機づけ
- フィードバック
といったさまざまな要素が関わっていることが示されています。
MOANAVIの学習デザインは、こうした研究の知見を参考にしながら組み立てられています。
子どもが
- 自分で課題を選び
- 少し難しい挑戦に取り組み
- 学びを振り返り
- 次の挑戦へ進む
という循環の中で、理解は少しずつ更新されていきます。
この学びの循環を支えるのが、
- 最近接発達領域(ZPD)
- 自己調整学習
- 自己決定理論
- 形成的アセスメント
- 学習環境のデザイン
といった教育研究の知見です。
MOANAVIでは、これらの理論を個別に扱うのではなく、
一つの学びの循環として統合する
ことを大切にしています。
そしてその循環を支える仕組みが、
ZPD × スタディポイント
という学習デザインです。
子どもが
- 挑戦し
- 試し
- 間違え
- 修正する
という経験を積み重ねながら、自分の理解を少しずつ更新していく。
その過程の中で、子どもは
自分で学ぶ力
を身につけていきます。
学びは、単に知識を増やす活動ではありません。
挑戦と気づきを通して理解が更新されていく、
成長のプロセス
でもあります。
MOANAVIは、この学びのプロセスを丁寧に支える教育の場です。
子ども一人ひとりの現在地を大切にしながら、
挑戦と対話を通して学びを育てていきます。
そして小さな実践を積み重ねながら、
学びの可能性を社会の中で広げていきたいと考えています。
📚学びの本棚から、次の1冊を
このテーマに関連する教育・学びのコラムを、本棚を眺めるように探せます。
→ MOANAVI Library をひらく
この記事を書いた人
西田 俊章(MOANAVIスクールディレクター/STEAM教育デザイナー)
公立小学校で20年以上、先生として子どもたちを指導し、教科書の執筆も担当しました。
現在はMOANAVIを運営し、子どもたちが「科学・言語・人間・創造」をテーマに学ぶ場をデザインしています。



