お互いに教え合って学ぶ!協同学習で子どもの力を引き出す方法

「協同学習って、どうして効果的なんだろう?」と感じたことはありませんか?この記事では、協同学習がどのように子どもの学びを深め、成長を促すのかを詳しく解説します。協同学習のメリットや、実際にどんな場面で活用されているのかを知りたい方、ぜひ読んでみてください。


協同学習が学びを深める理由

協同学習は、子どもたちがお互いに教え合いながら学ぶ方法です。この方法は、学力の向上にとどまらず、メタ認知(自分の思考を振り返る力)や協力の精神も育むため、非常に効果的です。

教え合いが学習を深める

「お互いに教え合うことで、どうして学びが深まるの?」と思うかもしれません。実は、教えるという行為は、自分の理解を深めるための重要なステップとなります。自分の考えを他の人にわかりやすく説明することで、理解がより深まります。また、教えることで自分の思考の整理が進み、新たな発見をすることもあります。

パリンサーとブラウン(1984)は、この「教え合い」の重要性について実験で明らかにしました。彼らは、学習障害や知的障害のない子どもたちを対象に、相互の教授法(Reciprocal Teaching)を使ったグループ学習と、通常の授業を行ったグループを比較しました。その結果、教え合いを取り入れたグループの方が、読解力や理解度の向上が見られたのです(Palincsar & Brown, 1984)。

メタ認知を育む協同学習

協同学習の中では、子どもたちは「教える側」と「教えられる側」を交代しながら進めていきます。この交互の立場によって、子どもたちは自分の考えを振り返り、他の人の考えを受け入れる能力が育ちます。これを「メタ認知」と呼びます。

パリンサーとブラウン(1984)の研究でも、教え合いを通じて、子どもたちが自分の理解をモニタリングし、思考を修正していく様子が観察されました。具体的には、子どもたちは教えることで自分の理解を再確認し、教えられることで新しい視点を得て、さらに理解を深めていきました。これにより、学習の効果が高まったのです。


協同学習の具体的な効果と活用例

協同学習は、さまざまな教科で活用されており、特に読解や理科、社会科などで効果が実証されています。以下のような具体的な効果があります。

1. 読解力の向上

パリンサーとブラウン(1984)の研究では、読解における協同学習の効果が明確に示されました。相互の教授法を使ったグループでは、理解度が飛躍的に向上したことがわかっています。教え合いを通じて、子どもたちは文章の内容を深く理解し、問題の解き方を他の人に説明することで、自分の理解も強化されます。

2. 社会科や理科での活用

協同学習は、社会科や理科でも効果的です。たとえば、社会科では歴史的な出来事をグループで議論し、異なる視点から学び合うことで、より深い理解を得ることができます。また、理科では実験結果をグループで分析し、意見を交わすことで、科学的な概念をよりしっかりと理解することができます。

パリンサーとブラウン(1984)の研究によると、協同学習は、社会科や理科のような知識を応用する教科でも、理解を深めるのに非常に有効だとされています。実際に、相互の教授法が理科学習にも有効であることが確認されています。


協同学習の定義と精神

協同学習の効果について、さらに深く理解するためには、杉江(2011)の見解を知ることが重要です。杉江は協同学習を「グループ学習の手法」や「単なるグループ活動」とは区別しており、協同学習の本質を教育の基本的な考え方に位置づけています。

協同学習の定義

杉江(2011)は、「協同学習はグループ学習の技法ではなく、教育の基本的な理論であり、学習者全員が共通の目標に向かって学ぶことで得られるもの」と述べています。つまり、協同学習は学習者がグループのメンバーとしてではなく、互いに支え合い、学び合うという精神に基づいて行われるべきものです。この定義に従うと、協同学習の場面では、グループの人数や学習の手法にかかわらず、学習者同士の「共同の成長」を追求することが重要であることがわかります。

協同学習の精神

杉江(2011)はさらに、協同学習が単なる作業の分担ではなく、「学級集団の全員が互いに成長することを目指し、一人ひとりの成長が全員にとっての喜びとなるような学習の形」を指すと説明しています。この「協同学習の精神」に基づく学習は、子どもたちが自由に自分の考えを表現できる場を提供し、同時にその考えを他者と共に育てていく力を養います。


協同学習を実践するためのポイント

協同学習を効果的に行うためには、いくつかのポイントがあります。

1. グループの構成

協同学習を行う際には、グループの構成が大切です。異なるレベルの子どもたちをバランスよくグループにすることで、お互いに教え合いながら学びを深めることができます。また、グループ内での役割分担や、子どもたち同士のやり取りをしっかりサポートすることも大事です。

2. 教師のサポート

教師は、協同学習の進行をサポートする重要な役割を担います。教師は、グループがうまく機能しているかを確認し、適切な指導を行うことが求められます。必要に応じて、子どもたちにフィードバックを行い、学習を深める手助けをすることが大切です。


まとめ

協同学習は、子どもたちが自分の考えを教え合い、学びを深める力強い方法です。パリンサーとブラウン(1984)の研究が示すように、お互いに教え合うことで、理解力やメタ認知が向上し、学力の向上につながります。また、杉江(2011)の協同学習に対する考え方に従えば、協同学習は単なるグループ活動にとどまらず、学習者全員が共に成長するための基本的な教育原則であることが理解できます。協同学習は、読解力の向上に限らず、社会科や理科の学習にも効果があり、子どもたちの成長を促します。


MOANAVIの紹介

MOANAVIでは、協同学習を大切にした教育を行っています。子どもたちは、お互いに教え合い、支え合いながら成長しています。MOANAVIでは、対話と体験を重視した学習を通じて、子どもたちの力を引き出し、学びを深めるサポートをしています。

記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / 株式会社MOANAVI代表取締役

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説

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