
【教育コラム】「9月の壁」とは?
夏休み明けに学校へ行けない子どもを
家庭でどう支えるか
夏休みが明けた9月は、不登校や行き渋りが増える時期です。これは「9月の壁」と呼ばれ、生活リズムの乱れ、長い学期の始まり、行事や友人関係の負担などが重なって起こります。本記事では、子どもと保護者が直面する課題、家庭でできる対策、そして学びの場としてのMOANAVIのサポートについて解説します。学校以外の居場所や学びの選択肢を知ることで、子どもは新しい一歩を踏み出すことができます。
9月の壁とは?
夏休み明け、「今度こそ頑張ろう」と気持ちを新たに学校へ向かう子どもは多くいます。ところが数週間も経たないうちに、疲れや不安から学校に行けなくなってしまうケースが目立ちます。これが「9月の壁」です。
文部科学省の調査でも、9月は不登校や自殺が増える時期として報告されています。
- 夏休み中に崩れた生活リズムを戻せない
- 長い2学期の見通しに気持ちが重くなる
- 宿題や課題の遅れがプレッシャーになる
- 行事や人間関係のストレスが再燃する
子どもたちにとって、9月は心身ともに大きな負担を抱える時期なのです。
子どもが直面する課題
- 朝起きられず、疲れがたまる
- 「頑張れなかった自分」を責めてしまう
- 学校生活に再び強いストレスを感じる
- 「どうせできない」という気持ちで自己肯定感が下がる
保護者が抱える悩み
- 朝の送り出しで親子のバトルが続く
- 「どう声をかければいいのか」わからず不安になる
- 学校からの連絡や周囲の目がプレッシャーになる
- 「せっかく夏休みでリセットできたのに…」と落胆する
家庭でできる対策
1. 休むことを「悪」と決めつけない
体調不良と同じように、心にも休養が必要です。無理に登校させず、安心して休める環境を確保しましょう。
2. 声かけはシンプルに
「大丈夫?」よりも「ここにいるよ」。子どもが安心できる一言が大切です。
3. 小さな生活リズムを整える
学校に行けなくても「朝ごはんを食べる」「服に着替える」など、できることを続けることで自己肯定感を守ります。
4. 学校との接点を切らさない
担任に「全部は無理でも一部なら参加できる」ことを相談したり、プリントや連絡帳のやり取りを続けたりするだけでも、つながりを保てます。
ゲーム・YouTube依存と子ども
子どもがゲームやYouTubeに依存する背景には、それ以外の選択肢を知らない/与えられていないことがあります。
「依存=悪いこと」と決めつけるのではなく、「選択肢が狭まっている状態」と考えると理解が深まります。
新しい体験や多様な学びに出会うことで、子どもは少しずつ依存以外の時間の過ごし方を見つけられるようになります。
MOANAVIができるサポート
学びの場としてのMOANAVI
MOANAVIは「安心できる居場所」であると同時に、学び続けるための場です。
「勉強はいや」という子どもでも、学校の授業が合わなかっただけで、MOANAVIの学びには取り組めるケースが多くあります。
新しい選択肢を広げる体験
STEAM教育やプロジェクト型学習、仲間との協働を通じて、子どもが「新しい楽しみ方」「新しい生き方」に出会える機会を提供します。
学びに向かう準備ができている子どもを支える
ただし、強いゲーム・YouTube依存のままではMOANAVIについていくことは難しい場合があります。
MOANAVIは「学びたい気持ち」を持つ子どもを支え、その可能性を伸ばすことを大切にしています。
保護者への伴走
無理に学校復帰を急がず、「今できること」に目を向ける視点を共有します。安心できる家庭環境を整えるための伴走支援も行っています。
まとめ
「9月の壁」は子どもの弱さではなく、誰にでも起こりうる自然な現象です。
大切なのは、無理をさせず安心できる場を確保すること。
学校だけにとらわれず、家庭・地域・そしてMOANAVIのような学びの場を活用することで、子どもは新しい選択肢に出会い、自分らしい学びと未来を育んでいけます。
記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)
STEAM教育デザイナー / MOANAVIスクールディレクター
理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。
📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説