分かりやすい授業
学校の授業よりも塾やYouTubeの授業動画の方がわかりやすいと言われることがあります。
では、学校よりも塾の先生の方が授業力が高いのかと言うとそうとは一概に言い切れません。
学校と塾では、重点的に育てようとしている学力に違いがあるからです。
学力の3要素
学力は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」の3要素あるとされています。
このうち、「知識・技能」は、テストによって数値化して測定しやすい「見える学力」であると言えます。
一方、「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」はテストによる数値化が難しく、「見えない学力」であると言えます。
そのため、「勉強ができる」「成績アップ」と言う話になると、「知識・技能」の得点の高さが注目されます。
見える学力は育てやすい
塾や通信教育が、「知識・技能」の育成に重点を置くのは、「見える学力」は教えやすく、教育の成果を数値化して評価しやすいからです。
学校においては、「見えない学力」である「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」をどのように育成するかが授業研究・授業改善のテーマとなっています。
塾や通信教育、YouTubeなどで公開されている授業動画に比べて、学校の授業は回りくどく、時間がかかるのはそのためです。
学校で育てようとしている学力
「知識・技能」の豊かさは、「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」の高さに大きく関係しています。
いずれかの学力だけが重要であると言う事はありません。
いずれかの学力だけを重点的に育成すれば、どの学力も身に付いてくると言うわけでもありません。
「知識・技能」は、詰め込み教育や参考書での独学、授業動画などでも育成しやすいですが、「思考力・判断力・表現力」を育成するためには、相手意識や対話といった協働的な学びが必要です。
そのため、子どもたちが集まる「学校」という環境で重点的に育成しようと試みています。
知識・技能の広さと深さ
「知識・技能」には広さ(量)と深さ(質)があります。広さは教えやすく学びやすいのですが、深さを身に付けるためには「思考力・判断力・表現力」が必要です。
1人1台スマートフォン持っている現代において、知識の量はスマートフォンに勝てません。
子どもの未来、教育を語るとき、私たち大人の学力観を変えていかなければならないのです。