学習理論
人間が新しいことをわかったりできたりするようになるためにどのように学習しているのかについて、古くから多くの研究が積み重ねられてきました。
これらの研究から、人間は構成主義、特に社会構成主義と呼ばれている学び方をしていることが明らかとなっています。
人間は何かを学ぶときに、自分が既にわかっていることやできることと、新たにわかろうとしていること、できるようになろうとしていることを関連付けて学んでいきます。
発達の最近接領域(ZPD)
ヴィゴツキーによると、人間が新たにわかったりできたりするようになるものは、発達の最近接領域(Zone of Proximal Development: ZPD)に横たわるものであるとされています。
これは、ものすごく簡潔にまとめると、他者の援助があってできるようになるものは、その後に1人でできるようになり、それが発達であると言うことです。
ですから、学習において他者の存在は極めて重要です。
その時点で、何をわかっているか何ができるかを把握し、援助によって学習できる内容を判断し、発達を促すことが大切なのです。
有能な他者
ここで言う他者とは、人間のことであるとは限りません。
多くの書籍には先人の残した知恵が詰まっていますし、多くの情報や道具がその役割を果たすこともあります。
これらの学習に対して援助を行うことができるもののことを有能な他者と呼びます。
有能な他者が人間でなくても良いということは、人間は独学でもある程度の知識や技能は身に付けることができると言うことです。
ですが、その知識や技能が正しく有効であるものかどうかを知るためには、学びの状況を把握し、適切に評価してくれる存在が必要です。
アセスメント
学びのナビゲーターによるこうした評価のことをアセスメントといいます。
教師の仕事は、突き詰めると、子どもたち一人ひとりの発達の最近接領域に目を向け、適切なアセスメントによって発達を促すことに尽きると考えています。
この教師のスキルは一朝一夕には身に付きません。
ですから、教師もまた生涯をかけた学習者として学び続ける必要があると私は考えています。