【教育コラム】不登校の家庭でできること|学習・生活・心理面の支え方と保護者の対応

不登校は特別なことではなく、誰にでも起こり得ます。「無理に学校へ行かなくてもいい」という考えは広がっていますが、学習や生活の遅れなどに対する責任やサポートは十分ではなく、保護者と子どもが悩みを抱える現状があります。
本記事では、不登校によって起こりうるデメリットと現状の課題を整理し、家庭でできる基本・応用の対応、保護者が気をつけたい点、そしてMOANAVIが提供できるサポートについて解説します。


不登校は誰にでも起こり得る

近年、「無理に学校へ行かなくてもいい」という考えが広がりつつあります。子どもの心を守るという意味では大切なメッセージですが、実際には学校に行けなくなったときの学習・生活・進路への影響に対するサポートは十分ではありません。

結果として、保護者と子ども本人が不安や責任を背負い込み、悩みを深めてしまうケースも少なくありません。不登校は特別なことではなく、誰にでも起こり得るものです。その現実を理解したうえで、家庭でどのように支えていけるのかを考えていきましょう。


不登校によって起こりうるデメリット

学習面

  • 学校の進度から遅れやすい
  • 学習習慣が途切れ、再開の負担が大きくなる
  • 進学や受験に影響が出る可能性

生活面

  • 昼夜逆転など生活リズムの乱れ
  • 運動不足や不規則な食生活
  • 活動量の低下による健康への影響

心理面

  • 「行けない自分はダメ」と感じ、自己肯定感が下がる
  • 孤独感や疎外感を抱きやすい
  • 長期化すると不安や抑うつにつながることも

社会性

  • 友人との関係が希薄化する
  • 社会との接点が減少する
  • 再登校や社会参加のハードルが高くなる

「行かなくてもいい」の現状と課題

「無理に学校へ行かなくてもいい」という言葉は、子どもの心を守る点では重要です。
しかし実際には、不登校による学習や生活の遅れに対して制度的なサポートは不十分であり、最終的な責任は家庭に委ねられています。

保護者も子どもも悩むのは、「言葉としての安心」と「現実的な不安」の間に大きなギャップがあるからです。だからこそ、家庭の中でできることを具体的に考える必要があります。


家庭でできる基本的なこと

休むことを認める

「今日は休んでもいいよ」と伝えるだけで、子どもは安心できます。無理に学校へ押し出すよりも、「ここで安心して休める」と感じることが回復の第一歩です。

無理に問い詰めない

「どうして行けないの?」と原因を追及すると、子どもはますます口を閉ざしてしまいます。理由よりも「ここにいるよ」という存在の肯定を伝えることが大切です。

生活リズムを整える

学校に行けなくても「朝起きる・朝食をとる・着替える」だけは続けましょう。小さなリズムがあることで、一日の見通しが持てるようになります。

安心できる居場所づくり

家庭が「責められる場所」になってしまうと、子どもはより孤立します。安心して休める「安全基地」として家庭を整えることが重要です。


家庭でできる応用的なこと

小さな成功体験をつくる

料理や掃除を手伝う、買い物を任せるなど、身近なことでも「できた!」を積み重ねることで自己肯定感が高まります。

子どもの興味を尊重する

ゲームやYouTubeに夢中でも、学びにつながる要素は隠れています。実況から文章力、動画編集から表現力など、興味を肯定的に捉えて広げていく姿勢が大切です。

一方で、子どもがゲームやYouTubeに夢中になる姿は、一見ただの遊びに見えても、実は依存のリスクを含んでいます。詳しくは 「ゲーム・YouTube依存の心理と回復のステップ」 を参考にしてください。

学校との接点を工夫する

登校が難しくても、プリントの受け取りや短時間の参加など、細い糸をつなげておくことが再登校の負担を減らします。


保護者が気をつけたいこと

焦らない

「早く学校に戻らなきゃ」と焦る気持ちは自然ですが、強い制限や叱責は逆効果です。特にスマホやゲームに関しては、禁止するのではなく 「スマホ・ゲームとの付き合い方|親子でつくるルールの工夫」 を参考にルールを考えてみましょう。

他の子と比べない

「○○ちゃんは学校に行っているのに」という言葉は、子どもの自尊感情を深く傷つけます。比べるのは過去の我が子と今の我が子。昨日より今日、少しできたことに目を向けましょう。

孤立しない

保護者自身が相談できる相手を持つことも大切です。学校・専門機関・地域の団体・友人など、話せる環境があることで保護者の安心感が子どもへの支えにもなります。


MOANAVIができるサポート

MOANAVIは、学校に行けない子どもにとって安心して学べる「学びの居場所」です。

  • 自己調整学習:子ども自身が学びの内容や量を選び、小さな達成感を積み重ねる仕組み
  • STEAM教育・プロジェクト型学習:遊びや体験を通して新しい「やってみたい」を引き出す
  • 保護者への伴走:無理に学校復帰を急がず、「今できること」を一緒に考える支援

MOANAVIでは、子どもが新しい選択肢に出会えるような学びと、保護者が安心できる伴走を大切にしています。


まとめ

不登校は子どもの弱さではなく、誰にでも起こり得る現象です。
確かに学習や生活、心理面でのデメリットはありますが、家庭での工夫や学校以外の学びの場を活用することで緩和できます。

大切なのは、無理に戻すことではなく、安心して過ごせる場を確保し、子どもが自分らしい学びを続けられる環境をつくること。家庭・地域・そしてMOANAVIのような居場所を組み合わせることで、子どもの未来は大きく広がります。

記事を書いた人

西田 俊章(Nishida Toshiaki)

STEAM教育デザイナー / MOANAVIスクールディレクター

理科・STEAM教育の専門家として、20年以上にわたり子どもたちの学びに携わる。文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』の著者であり、TVやラジオで教育解説の経験ももつ。「体験×対話」の学びを大切にし、子どもたちが楽しく学べる環境を提供している。

📚 経歴・資格
✅ 文部科学省検定済教科書『みんなと学ぶ 小学校理科』著者
✅ 元公立小学校教員(教員歴20年)
✅ 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修士(教育学)
✅ TVK『テレビでLet’s study』理科講師として出演
✅ Fm yokohama『Lovely Day』でSTEAM教育を解説


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