結果のばらつきに備えておく

学習理論

科学的に考えるために

科学的であるためには、実証性・再現性・客観性が必要であると言われています。

自分たちの仮説の正しさが実験を通して確かめられること(実証性)、同じ条件下で実験を行った時に同じ結果が得られること(再現性)、事実に基づいた考察が他者からも認められること(客観性)が必要です。

授業における実験レベルでは、厳密に条件を一定に揃えることはできません。

気温・気圧・湿度などの気象条件、床のたわみや水平などの物理条件、測定機器の個体差や目視による測定精度などの測定条件を完璧に整えることなどできないからです。(研究所レベルでも難しい話ですが…)

ですから、「実験の結果はばらつくものだ。」と考えておくことが重要なのです。

100回やったら100回違う結果が出てしまうものだと思っておくことです。

しかし、100回違う結果が出てしまったら、実験からは何も分からなかったというわけではありません。

結果の傾向が見えてくるからです。

プロットの活用

上の図は、ゴムの本数を1本、2本と変えてゴムを引く長さを10cmにした時の実験結果をプロットしたものです。

ゴム1本の時は150〜600と結果がばらついていますが、350のところにピークがあることが分かります。

同様にゴム2本の時は300〜900とばらついていますが、600のあたりに結果が多く集まっています。

この実験から得られた事実から、「ゴムの本数が2倍になると車の進む距離も比例して2倍になる」ことを3年生に読み取らせるためには、ちょっとした工夫が必要でした。

結果を読み取るための工夫

結果の切り捨て

1つ目の工夫は、結果を50cm単位で切り捨てにしたことです。

実験会場の床に50cmおきにテープを貼り、車体が線を超えたところを記録するようにしました。

これで結果が少し丸まりました。

3回実験して中央値を取る

2つ目の工夫は、ゴム1本も2本も、一人3回ずつ実験させたことです。

そして、2番目の記録を自分の記録としました。

3年生は、平均値を計算で求められなくても、中央値ならば簡単に求められます。

また、平均値は外れ値の影響が大きくなるのに対して、中央値では影響が少なくなります。

みんなの結果を集めて中央値を取る

3つ目の工夫は、30人が一人3回行った結果をプロットにまとめ、その中で再び中央値を使って数値を求めたことです。

短い時間に90回分の実験結果が集められるのが、協働学習のメリットです。

一度自分で中央値を使っているので、中央値を全員の結果にすることに対する抵抗感もありませんでした。

理科の学び方を学ぶ

このように、実験方法や結果の整理の仕方を指導することを通して、子どもたちに理科の学び方を学ばせるとともに、友達と一緒に学ぶことの価値に気付かせていくのです。
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